Analog Dialogue 46-12 Back Burner, December (2012)

10以上のゲインで安定する
RO
50
VIN
アンプを低ゲインで
動作させるための補償方法
RT
50
R1
28
VOUT
CL
120pF
RF
200
RG
200
著者:Charly El-Khoury
本稿では、一般に +9 より高いゲインで安定動作するアンプ、た
とえば ADA4895-2 などを +2 の低ゲインで動作させるときに、
どのように補償すれば同等の内部補償付きアンプより高いスルー
レートや短いセトリング時間を実現できるかを説明します。2 つ
の方法をご紹介し、それぞれの回路の長所と短所について解説し
ます。
ADA4895-2 は、ADA4896-2、ADA4897-1、ADA4897-2 と
同じファミリーのデバイスであり、低ノイズ、レール to レール
出力の高速電圧帰還型アンプ(デュアル)です。10 以上のゲイ
ンで安定動作し、ゲイン帯域幅積は 1.5GHz、スルーレートは
940V/ μ s、セトリング時間(0.1%)は 26ns、1/f ノイズは 10Hz
で 2nV/ √Hz、広帯域ノイズは 1nV/ √Hz、スプリアスフリー・ダ
イナミックレンジは 2MHz で− 72dBc です。3 ∼ 10V 電源で動
作し、アンプ当たりの静止電流は 3mA です。
RT
50
RC
28
CC
56pF
RG
200
依存性はありません。つまり、広帯域出力ノイズは低い周波数で
常に最初の方法よりも高くなります。
この構成も、+2 から +9 までの任意のゲインに対応できるように
調整できます。表 2 は、ゲイン設定ごとの部品の値と全広帯域出
力ノイズを示しています。
VOUT
CL
330pF
RF
200
図 2 に示す方法 2 では、反転入力と非反転入力の間に抵抗(R1 =
28Ω)を追加して、アンプのノイズ・ゲインを +9 に増大します。
R1 の両端に電圧がないため、電流は存在しません。したがって、
反転入力に並列な R1 に対する入力インピーダンスは高い状態を
維持します。入出力間の信号ゲインは 1+R F /R G であり、この場
合は +2 です。補償回路にコンデンサを使用しないため、周波数
表 2. +10 未満のゲインで使用する部品の値
(RT = RO = 49.9、CL = 120pF)
RO
50
VIN
図2. 方法2: +2のゲインで安定動作するための
ADA4895-2の補償方法
ゲイン
CF
5pF
図1. 方法1: +2のゲインで安定動作を実現するための
ADA4895-2の補償方法
図 1 に 示 す 方 法 1 で は、 単 純 な RC 回 路(R C = 28Ω、C C =
56pF)を反転入力に追加し、帰還コンデンサ(C F = 5pF)を帰
還抵抗と並列に接続します。この回路は、高周波でのノイズ・ゲ
インが +9、共振周波数 1/2π R C C C = 100MHz を下回る周波数
でのゲインが +2 です。高周波でのノイズ・ゲインがほぼ +9 で
あっても、R O と C L で構成されるローパス・フィルタで高周波
成分を遮断するため、全出力ノイズを低く抑えられます。こうす
れば、アンプは全出力ノイズを非常に低い値(3.9nV/ √Hz)に抑
えたままゲイン +2 で動作することができます。
この構成は、+2 から +9 までの任意のゲインに対応できるように
調整できます。表 1 は、ゲイン設定ごとの部品の値と全広帯域出
力ノイズを示しています。
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9
CL
(pF)
330
270
200
150
150
120
120
100
13.39
13.39
13.39
13.39
13.39
13.53
13.53
13.67
図 3 は、図 1 と図 2 で示した回路の小信号および大信号の周波数
応答を示しています(50Ω のアナライザを使用、G = +5V/V ま
たは 14dB)。図に示すように、回路は両方とも非常に安定してお
り、ピーキングは 1dB を少し上回る程度です。表 1 と表 2 の値を
使用する限り、+2 ∼+9 のゲイン範囲全体でこの安定性を実現す
ることができます。
全出力ノイズを改善するために、アプリケーションに応じて出力
のローパス RC フィルタを調整して、この回路の 50MHz 以下の
帯域をカットできます。
17
全出力ノイズ 1
(nV/ √Hz)
3.88
5.24
6.60
7.96
9.32
10.82
12.18
13.67
1 下記の全ノイズを求める式を参照してください。
Analog Dialogue 46-12 Back Burner, December (2012)
14
CLOSED-LOOP GAIN (dB)
ゲイン
RF
()
200
200
200
200
200
226
226
249
全出力ノイズ 1
(nV/ √Hz)
1 下記の全ノイズを求める式を参照してください。
表 1. +10 未満のゲインで使用する
部品の値(RT=RO=49.9)
RC
RG
CC
() (pF) ()
28.6
56
200
33.3
56
100
40
56
66.7
50
56
50
66.7
40
40
113
30
37.5
225
20
32.1
N/A N/A 31.1
R1 () RG () RF ()
28.6
200
200
33.3
100
200
40
66.5
200
49.9
49.9
200
66.5
40
200
113
37.4
226
225
32.4
226
N/A
30.9
249
11
8
5
2
0.1
VOUT = 2V p-p, METHOD 1
VOUT = 250mV p-p, METHOD 1
VOUT = 2V p-p, METHOD 2
VOUT = 250mV p-p, METHOD 2
1
10
FREQUENCY (MHz)
100
1k
図3. G=+5での周波数応答
www.analog.com/jp/analogdialogue
1
方法 1 の式:全出力ノイズ=
4KTRT × 1 +
RF
RG
2
+ en × 1 +
RF
RG
2
RF
RE
2
+ i n × 10 − 3 × R T × 1 +
RF
RG
2
+ i n × 10 − 3 × R T × 1 +
RF
RE
2
+
4KTR G ×
RF
RG
+
4KTR E ×
RF
RE
2
+ i n × 10 − 3 × R F
2
+ i n × 10 − 3 × R F
2
2
+
4KTR F +
+
4KTR F
4KTR O
2
方法 2 の式:全出力ノイズ=
4KTRT × 1 +
RF
RE
2
+ en × 1 +
2
2
+
4KTR O
2
1.5
VOUT = 2V p-p
方法 2より方法1での出力ノイズが良くなる理由
+7 より小さいゲインの場合は特にそうですが、方法 1 の出力ノ
イズは方法 2 に比べてかなり低下します。これは、方法 1 のノイ
OUTPUT VOLTAGE (V)
1.0
ズ・ゲインが高周波でのみ高いからです。このポイントでローパ
ス・フィルタを使うことによって高周波のノイズ成分を除去で
きます。方法 2 では、低周波数のときでも、アンプは常に +9 の
ノイズ・ゲインで動作します。したがって、表 2 に示すように、
全出力ノイズがゲインに応じて変動することはありません。上の
式はそれぞれ 2 つの方法に対応しています(注:R E = R G //R1)。
図 4 に示すように、補償なしの ADA4895-2 は、+1 以上のゲイ
ンで安定する内部補償付きの ADA4897-2 に比べると、スルー
レートが高く(100V/ μ s に対して 300V/ μ s)、セトリング時間が
短くなります。これらの利点は回路ゲインの増大に伴って大きく
なります。
0
ADA4895-2, G = +2
ADA4897-2, G = +2
–0.5
–1.0
それぞれの方法の長所と短所
ここでは、外付け部品をいくつか使って、高ゲインで安定するよ
うに設計されたアンプを低ゲインで安定動作できるようにする 2
つの方法を示しました。方法 1 は方法 2 に比べると受動部品を多
く使用しているため、基板面積が増え、コスト高になる可能性が
あります。これに対し、最初の回路の全出力ノイズは第二の方法
の回路より小さくなります。したがって、どの回路を選択するか
はアプリケーションとその仕様によって決まります。
0.5
–1.5
0
10
20
30
40
50
TIME (ns)
図4. 補償付きアンプと補償なしのアンプの比較(G=+2)
結論
G ≧ +10 で安定する ADA4895-2 などの補償なしのアンプは、
低ゲインでの(安定)動作が可能になるよう補償できます。上述
した 2 つの方法では、複雑さと全帯域幅ノイズのどちらを取るか
という関係になります。両方とも、G ≧ +1 で安定する等価な内
部補償付き ADA4897-2 よりスルーレートが高く、セトリング
時間が短くなります。
著者
Charly El-Khoury [[email protected]
com] は、高速アンプ・グループのアプリケーション・
エンジニアです。2006 年に米国のウースター・ポリ
テクニック・インスティテュート(WPI)で ECE の
修士号を取得し、同大を卒業して以来アナログ ・ デバ
イセズに勤務しています。
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Analog Dialogue 46-12 Back Burner, December (2012)