乳酸菌バクテリオシンの探索と利用 - オーラルピース

Japanese Journal of Lactic Acid Bacteria
Copyright © 2014, Japan Society for Lactic Acid Bacteria
総
説
乳酸菌バクテリオシンの探索と利用
善藤 威史 1*、石橋 直樹 1、園元 謙二 1, 2
1
九州大学大学院農学研究院、2 九州大学バイオアーキテクチャーセンター
乳酸菌の中には、バクテリオシンと総称される抗菌ペプチドを生産するものが存在する。乳酸菌バクテ
リオシンは一般に細胞膜に瞬時に作用して抗菌活性を示し、腸管内の消化酵素で容易に分解されて残留に
よる環境負荷が少ないことから、耐性菌を生じにくく、安全性の高い抗菌物質と考えられている。とくに
Lactococcus lactis の一部の菌株によって生産されるナイシン A は、日本を含む世界 50 ヶ国以上で食品
保存料として利用されている。我々は、乳酸菌バクテリオシンの特徴を活かした安全な微生物制御の実現
を目指し、ナイシン A の様々な分野への展開を図るとともに、ナイシン A に続く、優れた特性を有する
新奇バクテリオシンを探索し、それらの構造と機能について研究を行ってきた。本稿では、ナイシン A
をはじめとする乳酸菌バクテリオシンについて概説するとともに、ナイシン A の口腔ケア剤などの非食
品用途への利用や、新奇乳酸菌バクテリオシンの探索とラクティシン Q やラクトサイクリシン Q などの
新奇バクテリオシンの特性について、我々の成果を中心に紹介し、今後の展望を述べたい。
Key words:Bacteriocin, Nisin, Lactic acid bacteria, Antimicrobial agent
1.はじめに
きた 2,3)。乳酸菌が生産するバクテリオシンは、高い抗菌
作用のみならず、一般に酸や熱に対して安定で、腸管内の
乳酸菌は様々な環境中に見出すことができ、種々の抗菌
消化酵素で容易に分解されるという食品保存への利用に適
物質を生産することで自身の生存・生育を有利にしている
した性質を有している。また、細胞膜に瞬時に作用して抗
ことが知られている。発酵食品では、乳酸菌の働きによっ
菌作用を示すこと、容易に分解されて環境中に残留しない
て独特の風味を付与するだけでなく、その特徴を活かし、
ことから、耐性菌を生じにくいと考えられている。最近で
乳酸菌が生産する種々の抗菌物質を保存性の向上に利用し
は、このような優れた特徴から、乳酸菌バクテリオシンの
ている。長い歴史の中で培われてきた発酵食品中の乳酸菌
非食品用途への利用も試みられている。本稿では、とくに
とその抗菌物質の働きを活用できれば、発酵食品だけでな
最も代表的な乳酸菌バクテリオシンであるナイシンを中心
く一般の食品においても安全な微生物制御の実現が期待で
に、その性質と食品への利用について述べるとともに、非
きる。
食品用途への利用と新奇乳酸菌バクテリオシンの探索につ
乳酸菌が生産する主な抗菌物質は乳酸などの有機酸で
いて、我々の取り組みを紹介したい。
あるが、菌株によっては、バクテリオシンと総称される
抗菌ペプチドを生産するものもある 1)。バクテリオシン
2.乳酸菌が生産するバクテリオシン
は、細菌によってリボソーム上で合成される抗菌ペプチド
で、様々な細菌種で報告例がある。とくに、前述のように
2.1.一般的性質と分類
食品との関わりが深い乳酸菌が生産するバクテリオシン
乳酸菌をはじめとするグラム陽性細菌が生産するバクテ
は、食品保存への利用の可能性から、広く研究が行われて
リオシンは、翻訳後修飾によって生じる異常アミノ酸を含
むクラス I と、含まないクラス II に大別される 3,4)。最も
*
To whom correspondence should be addressed.
Phone: +81-92-642-3021
Fax : +81-92-642-3021
E-mail: zendo@agr.kyushu-u.ac.jp
一般的な分類では、クラス II は、その構造と性質によって、
さらにクラス IIa から IId の 4 つのサブクラスに分類され
る(表 1)。クラス I バクテリオシンもその構造などによっ
てさらに細分化できる 5,6)。しかし、各クラス内の分類には、
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研究者間に相違があり、議論の余地を残している。
ことが明らかとなっている。
クラス I バクテリオシンは、翻訳後修飾によって生じる
一方、クラス II バクテリオシンは、ランチオニン等の
ランチオニン等の異常アミノ酸を含むことから、ランチビ
異常アミノ酸を含まず、一般のアミノ酸のみで構成されて
オティックとも総称される。ランチオニンを含むペプチ
いる(図 2)。クラス IIa バクテリオシンは、Listeria に対
ドは、単にランチペプチドと呼ばれることもある。最も
してとくに強い抗菌活性を示すことから、抗リステリアバ
代表的なクラス I バクテリオシンは、乳酸菌 Lactococcus
クテリオシンとも呼ばれている。また、ナイシンに続く実
lactis subsp. lactis に属する一部の菌株によって生産され
用化が期待されるペディオシン PA-1/AcH に代表される
るナイシン A である(図 1)。次項で詳しく触れるが、ナ
ことから、ペディオシン様バクテリオシンとも総称され
イシン A はグラム陽性細菌全般に高い抗菌活性を示し、
る。クラス IIa バクテリオシンは、N 末端側にペディオシ
広く食品保存料として実用されている。ナイシンの他にも、
ンボックスと呼ばれる YGNGVXC の保存配列を有すると
乳酸菌あるいは Bacillus 、Staphylococcus などのグラム陽
いう構造上の特徴も有している。クラス IIb バクテリオシ
性細菌によって生産されるクラス I バクテリオシンが多数
ンは、2 つのペプチドが相乗的に抗菌活性を示し、2- ペプ
報告されている。構造中の異常アミノ酸は、クラス I バク
チドバクテリオシンとも呼ばれる。各ペプチド単独では、
テリオシンの強力な抗菌活性と高い安定性に寄与している
抗菌活性を全く示さないか、きわめて微弱で、2 つのペプ
チドが 1:1 のモル比で存在するときに最も高い相乗作用
を示す。このような特徴をもつバクテリオシンは、ラクティ
表 1.乳酸菌が生産するバクテリオシンの分類
シン 3147 やエンテロシン W などのクラス I バクテリオシ
ンにも見られる。クラス IIc には、N 末端と C 末端がペプ
チド結合をした環状構造をもつバクテリオシンが分類され
る。環状バクテリオシンとも呼ばれ、この環状構造が高い
抗菌活性と安定性に寄与していると考えられる。この環状
構造は、翻訳後修飾によって生じるため、環状バクテリオ
シンをクラス I・II とは独立したクラスとして分類するこ
とを提唱する研究者もいる。クラス IId は、クラス IIa ~
c には属さないクラス II バクテリオシンが分類される。し
たがって、クラス IId には構造や性質にあまり共通性のな
い種々雑多なバクテリオシンが分類されており、今後類似
したものが発見されてくれば、分類を再考する必要が生じ
るだろう。
2.2.ナイシンの特徴
先 に 述 べ た よ う に、 ナ イ シ ン は Lactococcus lactis
subsp. lactis に属する一部の菌株によって生産され、強力
な抗菌活性を有することから食品保存料として応用され、
その構造、生合成機構、作用機構などについて、広く研究
が行われている 7)。食品保存料として認められているのは
図 1.ナイシン A の構造
黒色のアミノ酸残基は、翻訳後修飾で生じる異常アミノ酸を示す。破線矢印はナイシン Z、灰色はナイ
シン F で異なるアミノ酸残基を示す。ナイシン Q では矢印で示した 4 つ全てのアミノ酸残基が異なる。
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図 2.クラス II バクテリオシンの構造
ペディオシン PA-1/AcH は、黒色で示したクラス IIa バクテリオシンに特有の保存配列を有する。ラク
トコッシン Q は、2 つのペプチドによって構成される。ラクトサイクリシン Q は、黒色で示した N 末
端と C 末端のアミノ酸残基がペプチド結合した環状構造を有する。ラクティシン Q は、黒色で示した
N 末端のメチオニン残基がホルミル化されている。
最初に発見されたナイシン A のみであるが、ナイシン Z、
トランスポーターである NisT によって、菌体外に分泌さ
Q、F など、アミノ酸が 1 ~ 4 残基異なる類縁体も報告さ
れる。最後に、NisP によってリーダーペプチドが切断さ
れている(図 1)。いずれも 34 残基のアミノ酸で構成され、
れて、成熟型のナイシン A となる。ナイシン生合成遺伝
1 つのランチオニンと 4 つの 3- メチルランチオニンによ
子群には、他に自己耐性や生産制御に関する遺伝子もあ
る計 5 つのモノスルフィド結合の架橋構造と、脱水アミノ
る。ナイシン生産菌は、生産したナイシンから自身を守る
酸であるデヒドロアラニンを 1 つ、デヒドロブチリン 2 つ
ために 2 種類の自己耐性機構を有している。一つは NisI
を有している。
によるナイシンの吸着、もう一つは NisFEG によって構成
各ナイシン類縁体は同様の生合成機構によって生産さ
される ABC トランスポーターによるナイシンの排出であ
れ、ナイシンに含まれるランチオニンなどの異常アミノ酸
る。また、ナイシンの生産は、ナイシン自身を誘導因子と
は、ナイシン生合成遺伝子群に存在する修飾酵素による翻
する二成分制御系によって制御されている。細胞膜上に存
訳後修飾によって生じる(図 3)。ナイシン A を例にする
在する NisK が菌体外のナイシンを感知し、NisR へのリ
と、最初にナイシン A 構造遺伝子 nisA が転写・翻訳され、
ン酸基のリレーによって、ナイシン生合成遺伝子群中のプ
23 アミノ酸残基のリーダーペプチドを伴う計 57 アミノ酸
ロモーターを活性化し、ナイシンの生産が誘導される。
残基のナイシン A 前駆体が合成される。この前駆体が、
ナイシンは、細菌細胞の表面に存在するペプチドグリ
NisB による脱水、NisC による架橋(環化)を経て、ABC
カン前駆体であるリピド II を標的として作用する 5,8)。リ
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図 3.ナイシン A の生合成機構
前駆体 NisA が、脱水・環化(翻訳後修飾)されて菌体外に排出され、最後にリーダーペプチドが切断
されて成熟型のナイシンとなる。自己耐性や生産制御に関わるタンパク質も同じ生合成遺伝子群に存在
する。ナイシン Z や Q も同様の機構で生合成される。
ピド II を足掛かりとして、細胞膜に孔を形成し、ATP や
ターを標的とするように、多くのバクテリオシンは細胞膜
イオンなどの細胞内容物を溶出させることで、殺菌的な抗
上の分子を標的に作用すると予想され、キレート剤との併
菌作用を示す。この一連の過程は瞬時に起こり、リピド II
用はグラム陰性細菌への抗菌スペクトルの拡大への有効な
がグラム陽性細菌の表面に普遍的に存在することから、ナ
手段と考えられる。
イシンに対する耐性は生じにくいと考えられている。さ
らに、最近では、ナイシンが低濃度の場合には、リピド II
3.ナイシン利用の展開
への結合による細胞壁合成阻害によって抗菌作用を示すこ
とが明らかとなった。また、多くのクラス I バクテリオシ
3.1.食品への利用
ンがナイシンと同様に、リピド II を標的分子として作用
ナイシンの食品保存料としての歴史は 60 年以上を遡る
することが明らかとなっている
5,9)
ことができる 10)。ペニシリンと時をほぼ同じくして 1920
。
一方、細胞の最も外側に外膜をもつグラム陰性細菌に対
年代に発見されたナイシンは、1950 年代にはチーズへの
しては、ナイシンは細胞膜上のリピド II に到達すること
利用が検討され始め、ナイシン製剤である「Nisaplin(ニ
ができず、抗菌作用を及ぼすことができない。グラム陰性
サプリン)」が商品化された。その後、WHO と FAO に
細菌の外膜はナイシンを使用する上で文字通りの障壁と
よって認可され、米国 FDA では一般に安全と認められ
なっている。しかし、外膜を突破しさえすれば、ナイシン
(GRAS)、現在では 50 ヶ国以上で食品保存料として利用
もグラム陰性細菌に対して、抗菌活性を示す。例えば、外
されている。日本においては、2009 年 3 月 2 日に食品添
膜の構造を変化させるキレート剤を併用することで、ナイ
加物(保存料)として指定され、食品保存料としての使用
シンは外膜を透過することができ、グラム陰性細菌にも抗
が可能となった 7)。
菌活性を示すことが知られている。ナイシンとは異なり
食品保存料としてのナイシンは、ナイシン A を 2.5%
リピド II を標的分子にしない場合にも、ある種のクラス
含有し、乳培地の成分や塩化ナトリウムを含むナイシン
II バクテリオシンが細胞膜上の糖取り込みのトランスポー
製剤(Nisaplin)である。ナイシンはグラム陽性細菌に
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強 い 抗 菌 活 性 を 示 す た め、Bacillus 属、Clostridium 属、
シンを利用した乳房炎予防剤・治療剤は、優れた抗菌効果
Staphylococcus 属、Listeria 属などの食品汚染菌や食中毒
のみならず、残留薬剤に対する懸念の解消、さらには休薬
菌が問題となる、チーズ、乳製品、缶詰、液卵などが主な
期間の短縮による廃棄乳量の低減も実現でき、従来のヨー
使用対象で、各国で対象食品や使用許容量が定められてい
ド剤や抗生物質に代わるものとして大いに期待される。
る 11)。とくに、低温での保存ができない食品や、低温で
③上記のような洗浄剤や治療剤への利用には、高純度か
増殖する微生物が問題となる食品、加熱処理ができない食
つ低価格のナイシンが求められる。そこで我々は、乳酸菌
品が使用対象となる。日本においても、食品添加物への指
用の培地として、とくに九州地方で廃棄処理方法が問題と
定に際し、乳培地由来のナイシン製剤の規格と各国での使
なっている焼酎蒸留粕に着目し、ナイシンの低コスト大量
用基準に準じて、食品添加物「ナイシン」の成分規格、使
生産を試みている。また、従来の高濃度の食塩を使用する
用基準等が定められた。詳細は厚生労働省の発表を確認さ
塩析法ではなく、新規無塩分離法を採用することでナイシ
れたいが、成分規格には、乳アレルギーを低減でき、かつ
ンの高純度化を可能とした。また、分離工程で発生する発
高純度のナイシンが得られる糖培地が加えられ、使用用途
酵残渣は機能性発酵調味液として有効に活用することがで
には味噌が加わっているのが特徴である 7)。
きた。このように、ものづくりと廃棄物の有効利用を両立
し、かつ残渣を出さない環境調和型生産プロセスを構築す
3.2.非食品用途への利用
ることができ、低価格化にはさらに検討が必要ではあるが、
ナイシンは優れた特性を有することから、非食品用途へ
高純度のナイシンを得ることが可能となった。
の利用も検討されている。とくに、容易に分解されて残留
④ナイシンと梅エキスを組み合わせた口腔用抗菌剤(ネ
せず、食べても安全であることから、種々の問題を抱えて
オナイシン)を開発した 13)。ナイシンは、梅エキスに含まれ、
いる従来の抗菌剤との代替が多方面で検討されている。し
キレート作用をもつクエン酸との相乗作用によって、グラ
かしその一方では、グラム陰性細菌などへの微弱な抗菌活
ム陽性の虫歯菌(Streptococcus mutans )のみならず、グ
性や、低純度、高価格など、克服すべき課題がある。我々
ラム陰性の歯周病菌(Porphyromonas gingivalis )にも高
も非食品用途への利用と課題の解消を試みてきたので、簡
い抗菌活性を示す。さらに、このネオナイシンを配合した
単に紹介したい 3,7)。
口腔ケア剤を開発した(図 4)14)。ナイシンと梅エキス以
①ナイシンを主剤とした手指用殺菌洗浄剤を開発した。
外も可食天然成分のみを使用し、飲み込んでも安心な歯磨
中性からアルカリ性域では不安定で、酸性域では安定なナ
きジェルを実現できた。誤飲しやすく口腔ケアが困難な要
イシンと配合可能な界面活性剤のスクリーニングを行い、
介護高齢者や重度心身障がい者、乳幼児などによる利用が
洗浄成分および殺菌主剤として使用可能な界面活性剤を選
見込まれる。
定することができた。洗浄成分として使用可能な非イオン
あるいは両性界面活性剤の一部には、ナイシンとの併用に
3.3.顕在化しうる問題点とその対応
よる相乗的な抗菌作用の増強が認められた。既存殺菌成分
前述のように、ナイシンのグラム陰性細菌への抗菌スペ
である陽イオン界面活性剤とナイシンを併用した開発品
クトルの拡大や高純度化にはある程度の目途が立っている
は、広範な抗菌スペクトルと高い殺菌力を示し、グラム陰
ものの、低コスト化をさらに図る必要がある。ほかにも、
性細菌に対しても十分な殺菌作用を示した。
ナイシンを使用していく上で考慮すべき点が大まかに三つ
②ナイシンを利用した牛乳房炎の予防剤・治療剤を開発
ある。一つは安定性である。ナイシンは酸性領域では安定
した 12)。乳房炎の予防には、搾乳前後にヨード剤が広く
であるものの、中性からアルカリ性領域では、安定性が低
使用されているが、乳房炎起因菌の残存や出荷乳中のヨー
い。酸化による抗菌活性の低下が問題となる可能性もある。
ド剤残留が問題視される場合があり、より効果的で安全な
二つめは、抗菌スペクトルである。ナイシンはグラム陽性
乳頭消毒剤が求められている。一方、抗生物質による治療
細菌全般に広い抗菌スペクトルを有するものの、抗菌活性
は耐性菌の出現を助長する場合があり、耐性菌を誘導しに
の低い菌種もある。三つめは、耐性菌である。実用におけ
くく、かつ安全性が高い乳房内注入用の抗菌剤も求められ
るナイシン耐性菌出現の報告例は未だ無く、上述のように
ている。このような理想的な乳房炎予防剤・治療剤に求め
ナイシン耐性菌はきわめて生じくいと考えられるものの、
られる条件は、まさにナイシンの特性に合致している。ナ
実験室レベルではナイシン耐性菌が得られることが知られ
イシンとクエン酸などを含有する乳房炎予防剤(乳頭消毒
ている。いかなる抗菌物質にも付きまとう懸念ではあるが、
剤)は、既存の市販品と同等の抗菌効果を実現し、規定時
今後、継続使用によるナイシン耐性菌の出現の可能性もゼ
間内(60 秒)で 99.9% 以上の強力な殺菌効果をグラム陽性・
ロではない。これまでに抗生物質耐性菌が蔓延した経緯か
陰性両方の乳房炎原因菌に示した。また、ナイシンと油性
ら学び、対策を講じておくことが必要である。
軟膏から成る乳房炎治療剤(乳頭注入剤)は潜在性乳房炎
これらの問題点を解決する手段の一つとして、多様なバ
および軽度の臨床型乳房炎に対してとくに優れた治療効果
クテリオシンの利用が考えられる。前述したように、乳酸
を示した。食品添加物グレードの高い安全性を有するナイ
菌バクテリオシンには、ナイシン以外にも多種多様なもの
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Vol. 25, No. 1 Japanese Journal of Lactic Acid Bacteria
図 4.ナイシンの非食品用途への利用例
口腔ケア製品「オーラルピース・歯磨き & 口腔ケアジェル」(左)と「オーラルピース・マ
ウススプレー & ウォッシュ」
(右)。どちらも可食成分のみから成り、飲み込んでも害がない。
が見出されている。例えば、Listeria 属細菌に対しては、
ンを見出すことができた(表 1)16)。その中から、代表的
ペディオシン様バクテリオシンの方がナイシンよりも高い
なものを数例紹介する。
活性を有し、より効果的な制御が可能と考えられる。この
福岡県の河川水から分離された L. lactis 61-14 が新しい
ように、それぞれの用途に合った性質をもつバクテリオシ
ナイシン類縁体を生産することが明らかとなり、これをナ
ンを適材適所に用いることで、有害菌のみを少量で効果的
イシン Q と命名した 17)。ナイシン Q は、ナイシン A とは
に抑制し、無用の耐性菌を生じない、より高度な微生物制
4 残基が異なるものの同様の抗菌スペクトルと架橋パター
御の実現が期待される。そのためには、優れた性質をもつ
ンを有しており、ナイシン A とほぼ同様の生合成機構に
多様な新奇乳酸菌バクテリオシン得る必要がある。
よって生産されることが明らかとなった(図 1、3)18,19)。
ナイシン A は抗菌活性に重要な中央部分のヒンジ領域に
4.新奇乳酸菌バクテリオシンの探索
酸化されやすいメチオニン残基を有しており、このメチオ
ニン残基の酸化による抗菌活性の低下が実用時の問題と
4.1.迅速スクリーニング法の構築
なる。一方、このメチオニンがロイシンに置換したナイ
多様な新奇バクテリオシンを得るには、多数の乳酸菌を
シン Q は酸化の影響を受けにくいことが明らかとなって
迅速に評価することが重要となる。そこで、スクリーニン
おり 19)、食品保存料等への利用に有利と考えられる。
グの初期段階でバクテリオシンの新奇性の判定を行い、迅
トウモロコシから分離された L. lactis QU 5 が、新奇バ
速化を図ることとした。様々な分離源から得られた乳酸菌
クテリオシン、ラクティシン Q を生産することが明らか
分離株の培養液上清を試料とし、抗菌スペクトルと分子量
となった(図 2)20)。ラクティシン Q は、ナイシンと同様
を新奇性の指標とした。バクテリオシン高感受性株として
に広い抗菌スペクトルと高い抗菌力を有し、ナイシンに続
設定した 6 ~ 12 株の検定菌に対する、培養液上清の抗菌
くバクテリオシンとして期待される。とくに、ナイシンの
スペクトルを抗菌活性の強度として数値化し、主成分分析
安定性が低下する中性~弱アルカリ性領域において高い安
等で解析することで、抗菌スペクトルをグループ化し、新
定性を有するため、ナイシンには不利な条件での利用が期
奇性を判定することができる。また、LC/MS によってナ
待できる。ラクティシン Q は特定の標的分子を必要とせ
イシンを含む数種のバクテリオシンを培養液上清から検出
ずにきわめて迅速に細菌細胞膜に作用し、小さなタンパク
することができる 15)。抗菌スペクトルの解析と LC/MS に
質をも流出させる大きな孔を形成することが明らかとな
よる分子量の解析を組み合わせることで、スクリーニング
り、この作用機構を「Huge Toroidal Pore Model」と命名
の初期段階において、ナイシンなどの既知のバクテリオシ
した 21,22)。さらに、馬の腸管より分離された L. lactis QU
ンを除外し、新奇性の高いバクテリオシンを効率的に選抜
14 が、ラクティシン Q の 3 つのアミノ酸残基が置換され
することが可能となった 16)。
たラクティシン Z を生産することを見出した 23)。いずれも、
N 末端のアミノ酸残基は開始コドンに対応するホルミルメ
4.2.新奇乳酸菌バクテリオシンの構造と特徴
チオニンで、さらに生合成遺伝子群を解析した結果、ラク
構築した迅速スクリーニング法によって、様々なクラス・
ティシン Q・Z は、一般的なバクテリオシンとは異なり、
サブクラスに属する、多種多様な新奇乳酸菌バクテリオシ
リーダーペプチドなしで合成・分泌されることが明らかと
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Jpn. J. Lactic Acid Bact. Vol. 25, No. 1
図 5.新奇乳酸菌バクテリオシンの迅速スクリーニング法
乳酸菌分離株の培養液上清を用いて、抗菌スペクトルと分子量の解析を行う
ことで、バクテリオシンの新奇性をスクリーニングの初期段階で判定できる。
なった 24,25)。このようなリーダーレスバクテリオシンは、
5.今後の展望
菌体内で翻訳後すぐに活性を有するため、他の一般的なバ
クテリオシンとは異なる生合成機構を有していることが予
最近では、バクテリオシンおよびその生産乳酸菌と作用
想される 26)。
機構について、いくつか興味深い知見が得られつつある。
チーズの製造工程より分離された Lactococcus sp. QU
ラクトコッシン Q(図 2)は、L. lactis のみに特異的に抗
12 が、N 末端と C 末端がペプチド結合した環状構造を有
菌活性を示す 35)。作用機構の詳細は未だ不明だが、この
する新奇バクテリオシンを生産することが明らかとなり、
ような菌種特異的な抗菌作用を示すバクテリオシンが他に
これをラクトサイクリシン Q と命名した(図 2)27)。また、
もあることが明らかとなりつつある。特異的な抗菌作用を
赤 カ ブ 漬 け か ら 分 離 さ れ た Leuconostoc mesenteroides
もたらす要因や機構を突き止めることができれば、有用菌
TK41401 がラクトサイクリシン Q に類似の構造をもつ新
に影響を与えずに狙った有害菌のみをピンポイントかつ確
奇環状バクテリオシン、ロイコサイクリシン Q を生産す
実に攻撃できる、まさに「魔法の弾丸」をデザインするこ
ることを明らかとなった 28,29)。これらの環状バクテリオ
とが可能となるかもしれない。ランチビオティックや環状
イシンは各属由来として、初めての環状バクテリオシンの
バクテリオシン、リーダーレスバクテリオシンの生合成機
報告例となった。これらの環状バクテリオシンはいずれも
構を活用し、新しい抗菌ペプチドの様々なデザインが可能
高い構造安定性を有しており、バクテリオシン自体の利用
となることも期待できる 26,36)。また、ある種の病原菌が
のみならず、環化・分泌機構および作用機構にも興味が持
二成分制御系によって、ナイシンなどのバクテリオシンを
たれ、その機構を利用した新奇ペプチドの創出への展開も
感知することが明らかになってきた 37,38)。対象菌の応答
期待される
26)
。
機構が明らかとなれば、バクテリオシンをより効果的に利
構造の異なる複数のバクテリオシンを同時に生産する乳
用することが可能となろう。さらに、2 株のバクテリオシ
酸菌が多数見出された 30,31,32)。これらの多成分バクテリ
ン生産乳酸菌の全ゲノム配列を得ることができた 39,40,41)。
オシン生産乳酸菌は、様々な環境に適応して、あるいはス
両株ともキシロースなどからの乳酸発酵能に優れており、
トレスなどに応答して、各バクテリオシンの生産を制御し
バクテリオシンの高生産にもゲノム情報の活用が望まれ
ていることが明らかとなりつつある。例えば、発酵魚から
る。近年、ゲノム解析にかかる費用は劇的に低下しており、
分離された Enterococcus faecium NKR-5-3 は 5 種のバク
新奇バクテリオシン探索の方法も大きく変化することが考
テリオシンを生産し、そのうちの 1 つであるエンテロシン
えられる。
NKR-5-3D が 5 種のうち自身を含む 4 種の生産を誘導す
一方、乳酸菌バクテリオシンの拡大する用途に合わせた、
33,34)
。このような多成分バクテ
より効果的な使用方法の開発も重要である。食品保存料と
リオシン生産乳酸菌は、抗菌スペクトルの異なる複数のバ
してバクテリオシン用いる場合、バクテリオシンが食品成
クテリオシンを生産することで、発酵食品中や環境中で自
分に吸着してしまい、効果が持続しにくいという問題が生
身の生存を競合細菌よりも有利にしていると考えられる。
じる場合がある。その解決法の一つとして、バクテリオ
このような機構を模倣することができれば、より効果的な
シンを食品包装用のフィルム剤に添加する方法がある 42)。
微生物制御を実現できる可能性がある。
バクテリオシン生産乳酸菌をスターターあるいは非スター
ることが明らかとなった
—7—
Vol. 25, No. 1 Japanese Journal of Lactic Acid Bacteria
ターとして添加し、食品中でバクテリオシンを直接生産さ
せるという方法もある
43,44)
。減塩した発酵食品における
汚染菌の制御にはとくに有効であろう(善藤:化学工学、
45,46)
存料の代替など、安全な抗菌物質が求められる多くの分野
に拡大すると考えられる。将来的には、得られた多様なバ
クテリオシンの中から、用途に応じた最適なバクテリオシ
。この場合は複数のバクテリオシンや乳酸
ンの選択が望まれる。対象に最適なバクテリオシンを選択
などの他の抗菌成分の相乗作用も期待できる。このような
できれば、より効果的に対象菌を制御できるのはもちろん
相乗効果を有効に利用したい場合には、種々の抗菌物質の
のこと、耐性菌を生じるリスクが大きく低減される。その
混合物として乳酸菌培養液上清を利用することも考えられ
ためには、安全性も含め、各バクテリオシンの特性や作用
る。ある種のバイオフィルムに対してナイシンなどのバク
機構に関する情報を充実させる必要がある。
生物工学)
テリオシンが有効で、ナイシンをリポソームに封入するこ
とで抗菌効果が持続することなども明らかになってきてい
謝 辞
る 47,48)。
本稿での研究成果は、経済産業省、農林水産省、文部科
このように、ナイシンは食品のみならず、様々な分野へ
学省等による多くの研究支援によるものです。関係の皆様、
の展開が試みられ、ナイシンとは性質の異なる乳酸菌バク
共同研究者の皆様に感謝申し上げます。また、口腔用抗菌
テリオシンも多数見出されてきている。乳酸菌バクテリオ
剤・歯磨きジェルにつきまして、株式会社優しい研究所・
シンの用途は、食品保存料に始まり、上述した医薬品関連
永利浩平氏をはじめとする関係の皆様に厚く御礼申し上げ
のほか、畜水産飼料における抗生物質や化粧品における保
ます。
参 考 文 献
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Takeshi Zendo1*, Naoki Ishibashi1, Kenji Sonomoto1,2
Faculty of Agriculture, Graduate School, Kyushu University
2
Bio-Architecture Center, Kyushu University
1
Abstract
Some strains of lactic acid bacteria (LAB) can produce antimicrobial peptides, bacteriocins. LAB
bacteriocins generally exert antibacterial activity through quick action on bactetrial cell membrane and
can be degraded easily by intestinal digestive enzymes without leaving residues to the environment,
which lets them considered as safe antimicrobial agents. In particular, nisin A produced by some
strains of Lactococcus lactis has been being utilized as a food preservative in more than 50 countries
including Japan. To realize safe microbial control using LAB bacteriocins, we have developed
various applications of nisin A as well as discovered and characterized novel LAB bacteriocins with
good properties for applications. In this review, we outline nisin A and other LAB bacteriocins and
introduce our recent studies on applications of nisin A such as oral care agents, and screening and
characterization of novel LAB bacteriocin such as lacticin Q and lactocyclicin Q.
— 10 —