News Letter 研究大廻(幾阜) も - 日本児童英語教育学会 中部支部

発行:平成 23 年 12 月吉日
JASTEC 中部支部
News Letter 研究大廻(幾阜) �も�
今年 10 月2日、日本児童英語教育学会(JASTEC)の中部支部では、定期研究大会を岐阜・中部学
院大学にて開催した。今回の研究大会の趣旨は、児童英語教育の学会の役割として、実践的な内
容の提案、これまでの実践の成果の再確認、そして、児童英語をより広い視野と様々な角度から
考える機会にすることであった。そのため、今回は久埜百合先生のワークショップに続き、小学
校の英語活動を推進する3名によるシンポジウムの形態を設定した。昨年度からの目標である、
「ワークショップの充実」と「実践や理論をもとにした発表」の両立が達成されつつある研究大
会であった。そのように充実した岐阜大会を支えてくださった数々のご発表に感謝している。
(実行委員長 新井謙司)
1. ワークショップ (10:00 10:30)
『 英語活動の料理法-ひと味加えて楽しい授業 』
巽 徹先生〈岐阜大学〉
全国の小学校で英語活動が本格的に実施されて半年が経っ
た。準備期間が異なり、カリキュラムも指導者も各学校の現
状に合わせてのスタートだが、『英語ノート』という共通教
材は行き渡った。ゆるやかにできている『英語ノート』の料
理法は各指導者の腕の見せ所で、自分のレシピの完成度に不
満や不安もつきない。そこで秋季大会の幕開けとして、「美
味しくな
れ!」のおまじないのかけ方を体験型ワークショ
ップで学んだ。
英語ノート1の名刺交換は手順はわかりやすいが児童の心
を動かすことは難しい。まずはそれを「自分探しの旅に出よう!」というアレンジ活動で体験し
た。小さなカードに名前を書かせて回収後、全員にだれかのカードを配る。もらったカードの級
友になりきって仲間と挨拶を繰り返すと、あるとき自分と出会う。自分と出会ったら席につくの
だが、カードを交換しないので座っている人にも挨拶しないと自分探しは終わらない。誰が誰の
カードをもっているかはわからないので相手の”My name is …”をしっかり聞かないと座れない。
指導者の仕事は全体に目を配るだけで、児童は教室中を歩き回って旅を続ける。座った児童にも
活動は続く。転校生バージョンも全員で楽しんだ後、巽先生からカードを約2cm四方にしたの
は見せ合い防止、普通用紙でなく厚紙だったのは児童が握
ることができるように、と教えていただき、なるほどとひ
ざを打った。
英語ノート2から児童が飽きずにアルファベットに慣れ
親しむペア活動を全員で楽しんであっと言う間の30分だ
った。巽先生にご紹介いただいた料理法は児童の積極性や
楽しい反復練習の引き出し方に工夫が凝らされ、材料の下
準備、火加減は「児童を活躍させる活動」か否かで調節さ
れているのが見事だった。
(一宮市立萩原中学校 樋田禎美)
2. 実践発表① (10:35 11:10)
『 より良いコミュニケーション活動のための体験型の授業案 』
大和田眞智子〈あま市教育委員会 英語指導助手〉
愛知県あま市内の小学校三校で「聞く・話す」を中心
とした体験型の活動をしていらっしゃる大和田氏に、小
学校2年生と3年生の活動について、授業の様子を写し
たビデオを使って実践発表をしていただいた。
現在行われている小学校英語活動の手法は主に歌、チ
ャンツ、ゲーム、ごっこ遊び、ロールプレイであるが、
コミュニケーション活動の効果は少なく、実際には使わ
ないような表現が出てきたり、英語が暗号のような感覚
になってしまっているのではないか、と感じた氏。鬼ご
っこをしないのに
Let’s play tag!’ 、元気でもないのに’I’m fine.’という不自然な設定で無理
に覚えさせられたり短い時間で暗記を強いられたりする活動ではなく、コンテントベースの実体
験型の活動を展開していらっしゃる。その例として2年生は色水を使った授業、3年生は粘土を
使って動物を作る授業をビデオで見せていただいた。子どもたちが驚くほどいきいきと英語を使
って自分の気持ちや考え、感想を伝えており、氏の実践の大きな成果を見せていただいた。
授業後のアンケート結果によれば、子どもたちは楽しいだけでなく本物の意味を持った活動を
より望んでおり、教科に基づいた知的好奇心を刺激する体験型の活動は「聞く・話す」能力に貢
献することがわかった。
子どもが主体となって関わりを持つことの大切さをどんなときにも忘れないようにして、一緒
に子どもの興味関心に合わせて授業を創っていくことが指導者に必須の視点であることを教えて
いただいた。
(NPO 法人フィール・ザ・ワールド平松貴美子)
3.
実践発表② (10:15 11:50)
『 Team Teaching English lessons in ES and JHS –
Where do we go from here? 』
Peter Richardson〈(株)アルティアセントラル〉
Activities or Games?
(Submitted by Peter Richardson - ALTIA CENTRAL ALT
Supervisor)
“English is fun!” It is something that we all like to hear from our students and the activity is
usually the part our students enjoy most and look forward to in our lessons. It also takes up a
large amount of the class time; in many cases nearly half the lesson is “Activity Time.” We give
a lot of time in the lesson to activities, and the students like them, so they must be important.
However, in many lessons lead by both HRTs and ALTs I see games not activities. I see fun, but
not much learning. Last week I asked an ALT, “Why did you use that activity?” He replied “The
students love karuta. I thought they needed a game after all that practice.” The game was used
as a bit of fun and a break between sections of repetition. But the lesson plan didn’t say “Game
Time,” it said “Activity Time.”
Does using the students favorite game to give them some
entertainment and make them think English is fun really fit this description?
Perhaps we need a more logical approach to English activities - one that has fun, interesting
activities as part of the learning process. Not using games to excite and amuse, but using
activities that encourage the students to practice the English we have taught them. Using the
target language is the goal. The game element means the students are happy to say the same
target language many times. Fun is a bonus!
A game is only one type of activity, and it is a very useful activity used well and for the right
reasons. But an activity could also be a show and tell, a song, a storyboard, a worksheet or a
listening exercise. So what should we be thinking about when we decide on activity for our
class? Below are some things we should keep in mind when thinking about the type of activity
we want to use..
1 Target your students’ current ability level.
If they only know vocabulary, don’t try to do an interview game that requires a question and
answer. If they can do a question and answer, don’t play a vocabulary repetition activity
like the keyword game. Our students want to speak English. Let the activity show them
how much they can do, not how much they can’t do.
2 Have a clear language goal for your activity.
Be clear about the target language your students will practice in the activity. Are you
looking to target listening or speaking - this will influence the type of activity you choose.
Karuta can...
1) Be a simple vocabulary recognition game. You say the word or phrase and the
students touch the card.
2) Practice a question. The students ask the question, you give the answer and
the students touch the card.
3) Practice the question and answer. The students ask a friend the question, the
friend answers and the students touch the card.
Choose an activity that matches the target language you want to practice or modify your
activity to practice the language you want.
3 Let the students improve durin g the activity.
Drills allow your students to reach a basic level of ability. The activity gives your students a
chance to practice some more. This also allows the students to learn from each other, to
check their understanding with their friends. By the end of the activity the students should
have more confidence and have enjoyed practicing the language. Fun practice, not just fun.
4 Give the students a sense of ach ievement.
If we have followed the above guidelines, then the students should be using English more in
our activities. This should give them a sense of achievement, a feeling that they are good at
English. Children enjoy things that they are good at. If they succeed at something, then
they will want to do it again, and again, and again. Our activities should give the students a
chance to challenge themselves and succeed. This success encourages them to try harder; it
motivates them. This sense of achievement is what we should be aiming for in our
activities.
Activities are a large part of our lessons. We need to make sure that we use this time effectively,
not just as a way to increase the fun factor of our lessons. We should choose our activity with
care, not just play a game. A good activity is one that interests the students, is achievable given
their current level of knowledge, practices the target language, and is something that they will
enjoy doing. Give them the time they deserve.
((株)アルティアセントラル Peter Richardson)
3. 実践発表③(13:00 13:30)
『 進んで人とかかわる児童を育てる英語活動
3 つのタイムの設定とほめほめシートの活用を通して
』
小田切由美〈名古屋市立野跡小学校〉
名古屋市で外国語活動を積極的に推進されてきた小田切先生
の実践研究発表であった。日常の外国語活動において、児童が
コミュニケーション活動を行う際に、教師が期待するようにな
かなか発話できないという課題を克服するための取り組みにつ
いて、具体的な指導例を示しながらご発表頂いた。
自らの実践を振り返ることによって、子ども達がスムーズに
発話できない原因として、次の2点が障害となっているのでは
ないかと考えた。①児童が対話の場面や状況をイメージできず、
導入された表現や言葉を場面と結びつけて、自分の言葉として発話していない、②児童が、英語
を用いて発話した際でも、自分や友達のよさに気づき達成感を持って活動できていない、という
点である。
①については、英語の表現や音声を捉えることで精一杯であり、言葉が使われる状況や、発話
する人の気持ちなどを理解した上での発話となっていないのが主な原因であると捉えた。そこで、
教師が対話の流れを絵でポスターに示し、パペットを使って状況や発話者の気持ちを示しながら
導入する手法を取り入れることにした。具体的には、「リスニングタイム」「スピーキングタイム」
に加えて「ダイアログタイム」を設定することで、英語表現に合わせて、その意味や言葉が使用
される状況役割をより深く経験的に学んでいくステップとした。さらに、②については、「ほめほ
めシート」の活用により、児童同士が英語でコミュニケーションを行う上で、お互いのよさを認
め合う場を設け、進んで人とかかわる児童の育成を目指そうとした。
発表では、実際の授業シーンの実演やビデオによる子ども達の活動も紹介され、お互いの良い
点を見つけ出し、積極的に英語を用いてコミュニケーションを図ろうとする姿が見られた。また
子どものアンケート結果にも積極的に良さを見つける姿勢の向上が見られたことが報告された。
今後の課題としては、活動中の子ども達の自然なアイコンタクトを活かしながら「ほめほめシ
ート」を活用する工夫や子ども達のコミュニケーション活動と「ほめほめ」による相互評価活動
が自然に含まれるダイアログの作り方の工夫など、3つのタイムと「ほめほめシート」のさらな
る有効活用のあり方について意見が交わされた。
具体的な実践に基づき、さらに裏付けとなるデータによる検証も行われた研究であり、参加者
が体験的に学べる発表の工夫により、楽しく実りのある提案となった。
(岐阜大学 巽 徹)
4.久埜百合先生の言語習得理論を踏まえたワークショップ (13:30
15:00)
『 小学校英語活動:今、教師が出来ること、子どもができること 』
久埜百合〈中部学院大学〉
久埜百合先生の児童英語教育を見る造詣の深い視点に圧倒さ
れ続けた90分だった。何度も「そうなんだ!」とうなずいた。
そして私が幼児・児童英語教室をはじめた頃に、久埜百合先生
の講演や著書で啓蒙された頃のことを思い出した。
「アウトプットさせようとしてインプットするとインプット量
が制限され、かつ不自然になる。」と先生は言われる。これ!
そのとおり!
「子どもは聞き取れた部分を全体として把握して対応しようとする。
」これ!そのとおり!
「日本語で通訳すると子どもの発話の語順が混乱する。
」これ!そのとおり!
これら、私の教室の子どもたちで体験してきた。久埜百合先生の長い教育体験から出る珠玉のこ
とばに私は大感動。
先生は「今、電子黒板と奮闘しているんです。
」と言われた。
「こんな私でも今使ってるんです。」と言われた。そして「こ
んな私でも使っている奮闘ぶりを紹介してくれた。今回それ
を目でじかに見て、電子黒板に興味を抱いて、使ってみよう
と思った参加者も多かったのではないか。こういう形の啓蒙
の仕方も久埜先生ならでは。実に愛のこもったやり方。児童
英語に携わる後輩の先生方に、先輩としての久埜百合先生か
ら宝が贈られた!そんなワークショップだった。もっともっ
と先生の話を聞いていたかった。
5.シンポジウム (15:10 16:30)
『 小学生時代に身につけさせたいこと
小・中連携を踏まえて
実践報告と討議』
本間啓子〈金沢市教育委員会 学校指導課指導主事〉
石榑千恵〈岐阜県教育委員会 学校指導課課長補佐〉
薄井伸一〈多治見市立笠原小学校教頭〉
豊富な現場体験と現在の指導的な立場を経験されてい
るパネリスト達を迎えて、大局的 かつ具体的な内容で実
り多いものとなった。紙面の都合で三つの項目に絞って
報告する。
① 小中連携 : 金沢市は先進的に英語教育に取り組んで
おり、特に教科書の早期給与 (小学6年生に中学1年の教
科書)で注目を浴びてきた。小・中英語教育担当者会議、
中学校校区別連絡会の活性化など連携を積極的に展開し
ているが、平成24年度からは「金沢スタンダード」と呼ばれる9年間の新カリキュラムを実施する
に伴い教科書早期給与を廃止し新教材を導入する計画とのことである。岐阜県は3つのステップを
設定している。
1) 小・中学校で相互授業参観や合同研修会
2) 小・中学校間の多様な交流:小学校教員が中学校で教え子たちの授業参観、中学から小学校
への出前授業、小・中学生コラボ授業など。
3) カリキュラムの連携 :目標の一貫性・学習内容の系統性、指導方法の継続性などが設定され
ている。文科省の指定を受けている岐阜県多治見市笠原小・中学校では岐阜県が示すステッ
プに基づき、小中合同で各単元の指導内容を俯腋する「Data Base」を作成している。
② 小学生に身につけさせたいもの : 一様に「コミュニケーション能力の素地」を挙げられた。
その目標を具体化し指導目標や評価基準を明確化することが大切であるとして、薄井先生から笠
原の積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度養成へのステップ :「聞くこと」の12段階
「話すこと」の16段階が示され、笠原型コンテント・ベイストの活動ビデオが紹介された。
③ 大切にしたいこと: 本間先生「児童の思考の流れ。言語習得の自然な流れに添い、児童から汲
み取りながら指導法を改善し、真のコミュニケーションの場を作ること」、石榑先生「発話を急ぎ
すぎないこと、態度面だけでなく英語力をつける素地の育ちを見る評価の目」を大切にしたいと
の言葉で締めくくられた。
(中部学院大学 片桐多恵子)
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JASTEC中部支部 役員 新井謙司
岐阜県高山市立松倉中学校 教員