第29号 平成23年4月1日 - 聖路加看護学会 - UMIN

St.Luke’ s Society for Nursing Research
2011.4.1 No.29
聖路加看護学会
ニュースレター
第16回聖路加看護学会学術大会に向けて 第16回聖路加看護学会学術大会のご案内「第 2 報」 第14回学術交流会報告
Lobby お知らせ 編集後記
●第16回聖路加看護学会学術大会に向けて
第16回学術大会 大会長 田代 順子(聖路加看護大学)
第16回聖路加看護学会学術大会は、
「看護の可能性を拓くー看護実践の高度化と役割拡大」をテーマ
に、開催準備しております。看護実践が高度化し、役割拡大が問われていることを背景に、どの様に
看護を開拓させてゆくのかの可能性を皆様と考える場としたいと考えております。
考える視点の第一は、グローバル化の進展で、活発な経済活動を背景とし、グローバル化が急速に
進み、私たちの地域・社会の医療ニーズは大きく変化しています。国際化する日本とグローバル化す
る世界での日本の役割の中で国際看護学をひらいてゆく必要があります。
第二の視点は、変化する医療ニーズに応えるための看護の高等教育化と、看護の役割の拡大で、新
たな、仮称 “ 特定看護師 ” は、さらに将来を見据え、考えてゆく必要があり、看護実践開拓が必要な課
題です。
聖路加看護大学大学院は、看護実践の役割拡大ニーズに応えて、2005年度には、在宅看護学と国際看護学を、2010年度か
ら周麻酔期看護学、2011年度から遺伝看護学を開講しています。加えて、脳神経看護学の専門領域の必要性を認識し、若手
教員の海外研修が進んでいます。
本学術大会では、今日のグローバルヘルスニーズへの看護の貢献を、会長講演、及び、特別講演で考えます。特別講演者
として、前 WHO コラボレーティングセンター「グローバルネットワーク」の事務局長で、現在はバングラディッシュのグ
ラミン・カレドニアン看護大学の校長を務められているバーバラ パーフィット(Professor Barbara Parfitt)教授をお願い
し、グローバル時代の看護協働実践モデルを紹介していただきます。シンポジウムでは、「看護実践の高度化と役割拡大」と
して、新たに看護領域:遺伝看護学、周麻酔期看護学、脳神経看護学をひらくその領域開拓の様子を講演していただき、看
護実践の発展可能性を議論できればと考えております。
ランチョンセミナーとして、聖路加国際病院の継続教育についてと、聖路加看護大学の People-centered Care の理念を基
盤とした短期研修をされた方々の成果を共有していただければと考えております。聖路加看護学会からの研修助成金を獲得
した研究成果も発表していただくことになっております。
第16回の学術大会で、多くの皆様の研究発表をお待ちしております。また、共に、看護の実践を重視した明日の看護実践
の発展を議論し、拓いてゆけることを願っています。ご参加をお待ち申しております。
●第16回聖路加看護学会学術大会のご案内「第2報」
メインテーマ:
「“看護の可能性を拓く”―看護実践の高度化と役割拡大の中で―」
会 期 2011年 9 月24日(土)
会 場 聖路加看護大学 東京都中央区明石町10- 1
大会長 田代 順子
〈プログラム(予定)〉
◆大会長講演
「グローバルヘルスニーズの変遷と日本の国際看護の発展」
田代 順子氏
◆特別講演
(仮)
「グローバルヘルスへの貢献とグローバルネットワークの発展」
バーバラ A. パーフィット氏
◆ランチョンセミナー
「聖路加国際病院の看護継続教育」(仮)
高屋 尚子氏
「People-Centered Care をひらく―海外研修報告」
長松康子氏・小林真朝氏・伊東美奈子氏
◆一般演題 示説発表
●
◆シンポジウム
「看護実践の高度化と役割拡大」
◇遺伝看護学をひらく
◇脳神経看護学をひらく
◇周麻酔期看護学をひらく
◆自由集会
有森 直子氏
大久保暢子氏
宮坂 勝之氏
〈参加費〉事前申し込み:2011年 9 月 3 日(土)まで
〔学 会 員〕¥5,000(当日参加 ¥6,000)
〔非学会員〕¥6,000(当日参加 ¥7,000)
〔大学院生〕¥1,000(当日参加 ¥1,000)
〔学 部 生〕無料
〔2011年卒業および修了の発表者〕¥1,000
〈問い合わせ先〉
学術大会事務局:〒104-0045 東京都中央区築地 3 - 8 - 5
聖路加看護大学 2 号館 4 階(長松 康子)
ホームページ:http://slnr16.umin.jp/
E–Mail:[email protected]
[email protected]会のご案内」をご
覧ください。
第14回学術交流会
平成21年 聖路加看護学会 学術交流委員会主催 パネルディスカッション
〈研究と実践をつなぐ〉
2010年10月30日、聖路加看護大学2号館6階講義室にて、聖路加看護学会学術交流委員会が主催するパネル
ディスカッション『研究と実践をつなぐ』が開催され、台風が接近する荒天の中、大学院生、臨床家、教員を
中心に全国から22名の参加者が集いました。
パネリストには、大学院修了後に、臨床現場で臨床の看護師と協働したり、臨床家の行う研究をサポートし
たりしながら看護の質を高めようとする研究に携わっている3名をお招きし、研究と実践のつなぎ手としての
活動の現状や課題について報告していただきました。その後、研究と実践をつなぐ看護の未来について参加者
と共に語り合い、展望しました。終始熱気を帯びていた当日の概要について、ここに紹介します。
いく過程で「日常のケア」に行き詰まり、博士に進学したと
専門看護師の役割の現状と展望
いう白柿さん。博士論文では「精神と身体の疾患を併せ持つ
梅田 恵(株式会社緩和ケアパートナーズ
患者の生と死」をテーマに据え、患者たちが身体症状や精神
代表取締役・がん看護専門看護師)
症状とどのようにかかわりあっているのかを明らかにするた
梅田さんは、大学病院の緩和ケアチームの一員として、10
めには、患者を取り巻く地域社会を理解することが必要不可
年にわたってがん看護や緩和ケアに携わってきた。しかし、
欠と考え、患者の生まれ育った地域で 2 年をかけてフィール
保険診療の枠内での活動に限界を感じ、2006年に独立、2009
ドワークを行った。その結果、漁業や農村の変遷が疾患に深
年に株式会社を立ち上げた。それにより、病院では実践・調
く関わっていることがわかり、患者を支えるためには地域再
整に偏りがちであった CNS としての活動も、現在では外部
生をともにやっていく必要があると実感したという。
コンサルタントの活動を中心に、患者への相談や研究活動も
そのような研究成果を実践に反映させようと、現在は精神
積極的に行えるようになってきているという。
科病院の病棟主任として勤務する傍ら、他職種からなる地域
「臨床とパートナーシップを組んで研究をやっていくのが課
支援研究プロジェクトチームを立ち上げ、子どもや高齢者、
題」と述べる梅田さんは、データ・組織・人・専門性・成果
障害者と住民がともに力を合わせて行う町づくりを目指して
について、研究と実践の橋渡しをすることが CNS としての
病院や患者と地域とのネットワーク作りに取り組んでいる。
自分の役割ととらえ、協働する際に気をつけていることは、
地域や行政を巻き込みながら、徐々に「つながり」が広がり
研究の安全性・適切性・迅速性のほか、現場のナースのモチ
つつあるが、そのような活動を支える人的資源や財政面の基
ベーションが持ち上がるかどうかが重要と述べた。
盤の弱さなどから、まだ「研究」にまで発展していないのが
臨床における研究の課題として、多くの看護研究が成果の
課題で、今後助成金を得るためにも近隣大学と連携していく
公表にとどまり、利用にまで至らない結果、成果が患者に還
ことも検討している、と述べた。
元できていない現状を指摘した。そして、研究成果を実践現
場で利用できるシステムの構築や、研究を支える環境整備が
アクションリサーチを通じて研究と実践をつなぐ
必要と述べ、トランスレーショナル・リサーチに今後どのよ
古橋 知子(福島県立医科大学看護学部/
うに看護師が関わっていくか、という問題提起を行った。
附属病院看護部・小児看護専門看護師)
「籍は大学にあるが、仕事の 8 割は病院」と述べる古橋さん
研究と実践をつなぐ
は、大学では特別講義を行ったり看護研究実践応用センター
白柿 綾(特定医療法人清和会和ホスピタル・
研究員としての役割をとったりしながら、大学附属病院では
CNS として組織横断的な活動をしている。
看護学博士)
精神看護の CNS の単位を取得したものの、実績を積んで
着任 1 年前より始まっていた県内全域から小児看護の実践
参加者とのディスカッション
左から司会の中山副委員長、パネリストの梅田さん、白柿さん、古橋さん
ディスカッションの様子
家が集う研究会で、プリパレーション(子どもが入院、治療、
これらに対し、他の参加者から、大学と臨床現場が共同で
処置、検査、手術などを主体的に乗り越える力を高めるケア
研究を行っていくことでこれらの課題が解消できるのではな
の一つ)の停滞や導入困難という共通の課題を抱えているこ
いかと期待する声が上がり、各パネリストからは、増加する
とがわかった。そこで、大学に在籍していることで科学研究
看護系大学と現場をどう共同させていくかや、大学教員が臨
費補助金が獲得できる利点を生かし、研究プロジェクトを立
床研究をサポートできるような仕組みづくりが必要との意見
ち上げ、小児看護の研究者と実践家によって運営されるアク
が出された。
ションリサーチを 3 年かけて行った。多施設協同システムと
して通信ネットワーク環境を整備し、各施設を研究者が支援
最後に司会の中山副委員長から、 3 人のパネリストの専門
する体制を作り、プリパレーションの導入・定着に向けてグ
であるがん看護・精神看護・小児看護は、看護の中でも最初
ループ討議を何度も重ね、プランを実践し、評価を繰り返し
に専門分化した領域であり、それに象徴されるように、それ
た。取り組みが進むにつれ、施設間で主体的に連携をはかり
ぞれのパネリストが枠にとらわれず、自由で先進的な活動を
刺激し合いながら、プリパレーションの取り組みが病棟から
他職種と連携しながら行ってきたことについて言及があり、
外来へ、また小児科以外の科にまで波及していった施設もあっ
いかに「規格外」の看護師を育てていくかが看護に課せられ
たという。実践と評価を繰り返す過程で促進者自らが内省を
た課題なのではないか、という言葉と共に閉会した。
深め、課題に分析的に取り組めるかどうかがポイントの一つ
であったと述べた。
ディスカッション
Evidence Baced Nursing(EBN)という言葉が聞かれ
るようになって久しい。科学的根拠に基づく看護実践がなさ
れるためには、研究者と臨床家が研究テーマを共有し、パー
フロアからは、
「臨床で研究をしようと思っても図書文献の
トナーシップを発揮しながらともに手を携えて取り組んでい
設備さえ整っていない」施設の現状や、研究に関する相談や
くことが重要であるが、それが難しい現状があることも実感
指導が受けられる体制がないなど、研究支援体制の充実を望
した。研究と実践の間をバランスよく歩みながら、関連当事
む発言が相次いだ。修士課程を修了したばかりという臨床家
者達をうまく巻き込んで研究の俎上にのせるしなやかさを持
からは、
「日々の業務に追われ、自分自身の研究と実践のバラ
つ 3 人のパネリストからは、EBN の推進に、研究と実践をつ
ンスをとることが困難である」ことや、臨床研究においては
なぐ「つなぎ手」の存在が欠かせないことを教えてくれた。
成果を学会で発表することで研究が完了してしまい、肝心の
梅田さん、白柿さん、古橋さん、そして参加者の皆さんに
「研究成果を患者アウトカムにつなげる」という視点が持ちに
くく、研究が継続しないことが課題という声が寄せられた。
感謝いたします。
(学術交流委員会 鶴田・中山・大森・佐竹・伊東)
LOBBY
テーマに関する書籍紹介
Parfitt, B., Cornish, F., & Ferguson, L.(2010).Global perspectives on health and nursing In W. Holzemer(Ed.)
, Improving
Health through Nursing Research(pp.3-16).
Oxford: Wiley-Blackwell.
“健康、疾病、ヘルスケアはグローバルな問題であり、グローバルな解決策が必要である”(田代訳)
。この本の序文の書き
出しの文章である。第16回学術大会の特別講演者として、この筆頭著者の Barbara Perfitt 博士を招聘した。彼女は、グロー
バルゼーションの多きなうねりの中で、今日の医療が各国だけでは対処できない状況を指摘している。日本において、少子
高齢社会の医療における看護ケア開発は看護職の課題である。少子高齢社会も、“医療・看護の高度化も看護の役割拡大”も
グローバルな健康問題である。グローバリゼーションの中での在日外国人医療や近隣諸国からの看護職の受け入れもその具
体的な現象である。私たちの地域での医療・看護問題をその問題の当事者と共に、そして問題の認識も解決策もグローバル
に共有してゆくこと、そしてミレニアム開発目標の達成向けて協働してゆくことが求められている。
この章が含まれる著書自体は、四半世紀に亘って、日本の看護研究の発展に貢献された William Holzemer 博士が編集し
た“看護研究を通しての変更の改善”である。この著者全体は実践を支える質の高い研究が、日本のみならず世界で共有で
きる方策であることを確認させてくれる。国内の健康問題と海外の健康問題を連合している問題を意識化し、日本での看護
実践・教育・研究にパワーが得られる著書である。
(田代 順子)
お知らせ
★学術交流委員会
聖路加看護学会看護実践科学助成基金2011年度「研究助成」の募集を行いま
した。応募いただいた方々には、近日中に選考結果を通知いたします。この基
金制度は、
「看護実践科学研究の推進を目指し、看護実践の向上と看護学の発展
に寄与すること」を目的としています。臨床と実践をつなぎ、看護の質向上に
つながるような研究成果が得られることを願っております。
次回の学術交流会は、2011年10月頃に開催する予定です。詳細につきまして
は、決まり次第学会ホームページ等でお知らせいたします。皆様と共に有意義
な時間を共有できることを楽しみにしております。
(担当理事:鶴田惠子・中山洋子)
の皆様への本学会へのお誘いをお願いいたします。入会申込書は、HP「入
会案内」ページからダウンロードできます。
・4 月は移動の時期です。皆様の勤務先や所属、住所などの変更がありました
ら、本部事務局まで速やかにご連絡くださいますよう宜しくお願い致します。
事務局への連絡は、郵便,Fax、E-mail のいずれかでお願い申し上げます。
[連絡先]E-mail:[email protected]:03-5565-1626(代表)
(担当理事:森明子・佐居由美)
★学会誌編集委員会
学会誌編集事務局を㈱ライフサポート社に委託し、 2 年目となりました。専
任の担当者が事務局、および編集業務を担うことにより投稿・査読作業が以前
よりスムーズになったと感じています。また、以前と比べ、一部文字の割り付
けや間隔が微妙に変化したことに、お気づきの方はいらっしゃるでしょうか。
より見やすい誌面とするために、さまざまな提案をしていただいています。
さて、最新刊(15巻第 1 号)の発刊が遅れ、皆様にはご迷惑をおかけいたしま
★会 計
日頃より、当学会運営へのご理解、ご協力ありがとうございます。学会の年
度会費の納入状況を同封しました。システムソフトではなく、手仕事のため変
換ミスがあるかもしれません。失礼をどうぞご容赦いただき、修正のうえ、会
費をお納めいただけると幸甚です。
当該年度の会費の納入が確認できない場合、学会誌の発送を見合わせており
ます。2011年度の年会費は2011年 6 月末日までにお納めください。
会費に関するお問い合わせは、メールもしくはファックスで、大久保宛にお
寄せください。
Fax:03-5803-0154または Email:[email protected]
[email protected]た論文が、できるだけタイム
リーに社会に発信されるよう努力して作業しております。今後ともますますの
ご投稿ならびに編集へのご協力をお願い致します。
(担当理事:太田)
タイトルに「聖路加看護学会会費問い合わせ」と明記願います。
振込先:郵便振替口座00100-8-670371 加入者名:聖路加看護学会
(担当理事:大久保功子)
★庶 務
・10月から新年度(2011年)となりました。本年度、役員選挙を開催いたしま
す。選挙管理委員は、押川眞喜子氏(聖路加国際病院)、森田夏実氏(慶應義
塾大学看護医療学部)
、八重ゆかり氏(聖路加看護大学看護実践開発研究セン
ター)です。本年度の年会費を 4 月30日までに納入した会員が選挙権を有し
ます。皆様のご協力をお願いいたします。
・現在の会員数は576名(2011年 1 月20日現在)です。聖路加看護学会員は聖路
加看護大学図書館を利用できます。聖路加看護大学関係者のみならず、周囲
★高度実践看護開発検討委員会
2011年度より「高度実践看護開発検討委員会」が発足しました。本学会は看
護技術の発展を支援することを大きな目標としています。看護技術は患者さん
から見ることができ、それを社会が評価して普及してこそ価値があるのだと考
えます。この委員会では会員の皆様が研究の中から紡ぎだした看護技術を、看
護系学会等社会保険連合(看保連)との連携を通して、診療報酬などの日本の
医療制度の中に位置づけるための活動を行います。関心ある会員の皆様のご意
見をお待ちしています。
(委員長:山田雅子)
編集後記
本号をもちましてニュースレター委員の任期終了となり、次号からは新しい委員の皆様とバトンタッチいたします。
ニュースレターの執筆や作成にご協力いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。
(ニュースレター委員一同)
●発 行:2011年 4 月 1 日 ●編 集:高木廣文 鈴木良美 新井優紀 ●印 刷:㈱プリカ
●連絡先:聖路加看護学会事務局 〒104-0044 東京都中央区明石町10- 1 聖路加看護大学内
電話 03-3543-6391(代表) FAX 03-5565-1626(代表) HPアドレス http://slnr.umin.jp/