オオムギのウドンコ病に対する抵抗性品種について

オオムギのウドンコ病に対する抵抗性品種について
日浦運治・部田英雄
官
緒
ウドンコ病l
こ対する抵抗性品種を育成するためには,まず第 1仁.抵抗性の給源となるべき適当な
は
,
親品種を選ばなければならない.それであるからアメリカ,カナダ,ドイツあるいはアルゼツチツなEで
抵抗性遺伝子の給源を探索するというはっきりした目的を持って,世界各地のオオムギ品種を対象
として,多くの研究がなされている (Mains & D
i
e
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z1
9
3
0
; Mains& M
a
r
t
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n
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9
3
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i
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1
9
3
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;Poehlman1949;Moseman1
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5
5,1
9
5
6
; Newton& Cherewick1
9
4
7
; Honecker
1
9
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;NoverundMansfeld1
9
5
5;G
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,Hoffman& Schottenloher1956;Sarasola,
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a
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l
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a1
9
4
6
)
.しかし,筆者らの研究で明らか仁されたよう仁(Hi
ura&Heta1
9
5
5
),
日本に分布しているウドシコ病菌の病原性は, r
a
c
eIXを除くと,諸外国の p
h
y
s
i
o
l
o
g
i
cr
a
c
eと
は異なったものであるから,外国の研究結果を,そのまま利用するわけ仁はいかない.
ところで, 日本におけるオオムギのウドツコ病に対する抵抗性の品種間差異仁関する研究報告を見
ると,ほとんどが圃場仁おける自然発生の観察であって年により,また場所仁よって結果が異なってい
る. しかも,これらの観察は,ごく限られた品種仁ついて行ったものが多く,抵抗性品種の探索には,
あまり役に立っていなし¥ただ平田(19
4
7
)によって報告された, 2
0
9品種仁ついての観察結果は,
かなりまとまったものであるが,観察場所の異なったものや,各地の試験場の報告なども取り入れてあ
a
c
閣に対する結果が含まれている可能性がある.この様に,日本仁おいては, r
a
c
e
るため,違った r
を明示した実験結果はもち論のこと,広く世界の品種についての研究は皆無であった.
3
2
5のオオムギ品種仁ついて, 日本のウドツコ病菌l
こ対する抵
筆者らは世界各地から牧集された 2
抗性を検定した.その結果の一部は,すで仁報告されたが〈西門,高橋,日浦 1
9
4
9;日浦, 部回
1
9
5
4;H
i
u
r
aandHeta1
9
5
5
),本報告では, これらすでに報告された結果およびその後の研究仁
よって明らか仁された結果など, 取組めて,ウドンコ病仁対する抵抗性品種の種類,抵抗性品種の
地理的分布および抵抗性品種の標識となる形質などについて述べる.
こ当って, 終始御指導を賜った前岡山大学農業生物研究所長西門義一先生, および
本研究l
貴重な種子を御分譲下さった岡山大学長業生物研究所教授高橋隆平博士ならび仁 U.S
.De
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.
A
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.G.Moseman博士仁厚く御礼申し上げます.
実験材料および実験方法
実 験 材 料 この実験仁供試された品種の大節分は,岡山大学農業生物研究所の高橋降
平博士によって牧集されたものである.また, 日本のヒマラヤ登山隊および京都大学のヒ γズーク ッ
ジ$・カラコラム探検隊仁よって採集された貴重な品種も,同氏の御好意仁より分譲された.このほ
か,耐病性として牧集された 1
3
4品種の大部分は U.S
.De
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t
.A
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c
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eの J
.
G
.Mo
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博士から分譲されたものである.
-72ー
供試品種中には,同じ品種でありながら,明らか仁抵抗性の異なったものがあった.とくに, 日本の
東北地方で栽培されている品種中には,このようなものが多かった.このように,抵抗性仁関して,
雑種あるいは混合と思われるものは,抵抗程度仁よって分類し,それぞれ次代検定を行ったが,多く
の場合, 1回の選抜で固定した系統が得られた.混合と思われる品種で,形態的に区別できない場
合は抵抗程度の強い方を採用した.
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s は筆者らによって明らかにされた r
a
c
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,IVお
供言食されたウドツコ病菌の p
H
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a& Heta1
9
5
5
)
.
よび収?である (
実 験 方 法 抵抗程度の検定はすべて,温室内における幼菌検定方法仁ょった.すなわち,
c
m,深さ 12cmの木箱仁, 1品種 5本ずつ 45品種を矯種し,隔離用の枠は使用せ
大きさ 58x35
o
Cに調節された接種
ず,接種原のない温室内で育商した.第 2葉が展開しはじめたとき, 17-20
}
:
,あらかじめ分生胞子を多数形成せし
室内で接種し, 3日後仁再び温室内に運び出した.接種t
めた感受性品種,コピソカタギ,を被検幼商上で強く振とうさせ,分生胞子を落下せしめてなされ
た.隔離用の枠を使用していないため,まれに自然感染の病斑が認められたが,人工的に接種され
a
c
eの病斑は多数, しかも,同時に発生するから, 自然感染と混同するようなことはない.接
たr
種原は,もちろん,隔離用の枠内で増殖したものを使用した.実験は少くとも, 2回反復したが,
品種仁よっては, 3-5回反復したものもある.
H
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u
r
a&Heta1
9
5
5
)で述べたと同様に,次の 5階級の基準
感染程度は筆者らの先の報告 (
仁従って判定された.すなわち,
O一高度の抵抗性. 植物は肉眼的には完全に健全か, n
e
c
r
o
s
i
sが認められるが,菌糸を
生じない.
1ー抵
抗
性.
N
e
c
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s
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sができ,薄い菌糸を生ずるが,分生胞子はほとんE形成
されない.
2ーかなりの抵抗性. •N
e
c
r
o
s
i
sができ,かなりの菌糸と分生胞子を生ずる.
3ーかなりの感受性. 豊富な菌糸と分生胞子を生ずるが, n
e
c
r
o
s
i
sができる.
4一高度の感受性. 豊富な菌糸と分生胞子を生じ, n
e
c
r
o
s
i
sを生じない.
実 験 結
果
1.ウドソコ病に対する抵抗性品種の種類
HiuraandHeta(
1
9
5
5
)は1
1の p
h
y
s
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句i
cr
a
c
e
sに対する抵抗反応によって,オオムギ品
a
c
eに対する反応型あるいは感染型と区別するため,いくつかの r
a
c
eに
種を 20の抵抗型(1つの r
対する反応型を組合わせた場合を抵抗型と呼ぶことにする〉仁群別したが,その後,世界各地から
集められた多数の品種仁ついて実験したところ,非常仁多くの抵抗型があることがわかった. し
か
し
,
伶
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あまり多くの抵抗型仁わけることは,かえって繁雑仁なり,群別の意義がなくなるから,ここでは, 日
思われる r
a
c
e
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,N および IXの3つの r
a
c
e
sに対する反応によって供試品種を群
本で重要 ι
別して見ると,第 1および第 2表の通りである.
第 1表の実験仁供試された品種は世界各地から任意じすなわち,ウドツコ病仁対する抵抗性仁
は無関係に,集められた品種群であり, しかも案提培地が確実と思われる品種群である.第 2表は,
ウドッコ病や,その他の病害仁対して抵抗性を示すものとして牧集された品種群仁つひての実験結果
0
7
4品種であるが,これらの品種仁対し, r
a
c
e
である.第 1および 2表の実験仁供試した品種は, 1
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mrRRRRRRRRMMMMMMSSS
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)R一高度の抵抗性(ト()-l), M一中等の窓抗柱。-3"),
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一 一 一 一 一 一 一 一
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一 一 一 一 一
1
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•••••••
扇アめ?事そ合対する
シ ジ
R
γ
'‘'‘'‘'‘'‘'‘,. .
, ,‘'‘2'
,
. 5.,
'
‘'
‘
'‘
.
3‘
8‘
2
.
9
3
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6
3
.
7
北 北 潰 え 士 郎 合
日 朝
ヅ
l
本 鮮 重 量 ト ル 度 計
F
総供試
域
域 品 種 に
界
西
境
裁 培 地 あ る そ 、 は 取 り 寄 せ 先
一 一 一 一 一 一 一 - 3
.
7 ー
2
)西パキスタン以西
RMS RMS
1)関東北陸以南
供示品種泳
Ne
p
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l
無 葉
Quinn
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S
M
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Nigrinudum
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n1
2
MsssM
Chevron
H.E.S.4
城
南 1) 南 富 合
日 朝 宗
本 鮮 土 計
東
品種の世界各地仁おける頻度(任意に収集された品種群).
Races1
,IVおよび IX仁対するオオムギ品種の抵抗型,ならびじそれぞれの抵抗型仁属す否
一M U
宮城 1
2
3号
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X
町
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R
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6
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RMSRMS
六角シバリー
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a
n7
4
H.
s
.nigrum
それぞれの抵抗
型の代表品種
1 表
主Z
E
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第
%740224128964241446
1 1 6 0 1 F b o o - 0 3 4 0 1 7 0 2 1 9haU2
第 2表
1
6
1
3
3
1
1
M
S
Nepal
供試品種合計
2
1
5
1
2
一一一
1
6
2
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2
2
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4
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1
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1
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1
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1
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1
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5
,
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n v F D n E a 4 。,“勾' n U A u n t r D P
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2
供試品種合計
1
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1
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それぞれの抵抗
型の代表品種
Ra
c
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,IVおよび IXに対するオオムギ品種の鑑抗乱および,
それぞれの低抗型に属する品種の数(ウドンコ病,あるいは,その他
の病割ご対して抵抗性として収集された品種群).
1
3
4
1)満蒙およびチベットを含む.
2)ネパールおよびパキスタンを合D
.
3) アフガニスタン以西.
4)北米.南米,オーストラリア
5)[email protected]
M
l
Vは race1と同程度,あるいはより強い病原性を示し,その逆の場合はなかった. それゆえ,抵
0
.
.
.
.
.
.0
1
),M (1"
"
"
'
3
) および S (
3
4
"
"
'
"4) の3階級に区別すると, 3つの
抗反応を R (
M.Sの反応によって区別できる抵抗型は 18種類どなる.そして,第 1および 2
r
a
c
e
s仁対する R,
表に示したように, 1
8の抵抗型が実際に認められた.これら 18の抵抗型は. 3つの r
a
c
e
s(
1,N
および l
X
)以外の racesによって,それぞれきら仁小きくわけられるから, 11の racesを供試する
と,やかに多くの抵抗型仁わけられるかが,容易にわかるであろう.そして,いろいろ異なった抵抗型
が多数あることは,抵抗性品種育成の将来を明るくするものである.なお, 3つの r
a
c
e
s仁高度の
.nigrum型が, 6
0品種あった. これらの品種はウドソコ病
抵抗性を示した品種,すなわち,H.s
に対する抵抗性の給源として重要な品種であるから,その品種名をあげると,第 3表の通りである.
-75ー
Races1
.IVおよび IXの3つ
のr
a
c
e
sに高鹿の抵抗性を示した品種名.
第 3表
品
種
名
取寄先・
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2
3
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5
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n
t
i
n
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Ri
c
a
r
d
oC
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.6
ぬ6
Uruguay
-高橋. Mosemanによ忍.
2
.抵抗性品種の地理的分布
オオムギの栽培地域を東城〈南日本,南朝鮮,中国本土),境界域〈北日本,北朝鮮,満輩,
チベット,ネパー)~,印度〉および西域〈ロシア,西南アジア,ヨ-口
トラリア)にわけると,第 1表仁示したよう仁,東域では抵抗型の種類が非常に少し約 90%が無業
耳型および Nepal型である.境界域では,北日本,満豪およびネパールの 3地域仁はいろいろの抵
こ
抗型があるが,北朝鮮, チベッ トおよび印度仁は少し¥それで,境界域仁入れた 6地域を同じよう l
こ対し,境界域では無業耳型よ
扱うわけ仁はいかないが,東城では Nepal型より無葉耳型が多いのl
-7
6ー
りN
epal型が多い.西域にはいろいろの抵抗型があり, しかも,それぞれの抵抗型に属する品種の
数が分散的である.
第 2表仁あげた品種は抵抗性品種として牧1
模されたものであるから,抵抗型の分布頻度の資料
仁はならないが, 西域仁は抵抗型の種類が多ひことがわかる. なお,第 2表では,印度に H.s
.
n
i
g
r
u
m型が多数あって,第 1表の結果と異なった傾向を示してやる.これは,第 2表の「栽培地
あるいは取り寄せ先」は MainsandM
a
r
t
i
n
i(
1
9
3
2
),B
r
i
g
g
s(1938),Moseman(
1
9
5
5
)およ
び Moseman氏からの私信仁ょったもので,これらの記載を検討して見ると,パキスタンやネパールが
印度仁含まれてやることがわかった.また,中国の 2つの抵抗性品種 (
N
i
g
r
a
t
eおよび Chinerme)
は,チベ γ トの境界地だけで栽培されている品種であるくB
r
i
g
g
s1
9
3
8
)
.それゆえ,第 2表の結果も
第 1表の結果と矛盾するようなことはない.
第 1表は 3つの r
a
c
回仁対する抵抗反応を組合わせた抵抗型の地理的分布状況であるが,第 1
衰の結果をそれぞれの r
a
c
e仁わけて見ると,第 4表の通りである.
Ra
c
e
s1
.IVおよび lXのそれぞれに対する抵抗性品種の世界各地じあける頻度
第 4表
R.
a
c
e1
本
国
計
0
6
∞
1
∞
∞
1
6
6
回
6
9
51
5
9
印
5
5
噌
a
内 n '
A
唱
A
噌
3
0
S
供試
品種数
3
9
舗S
5
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5
0
3
3
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9
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6
1
4
86
4
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1
0
0
1
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2
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1
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1
83
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7 FO
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4
4
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日
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本鮮蒙ト
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申串鮮土
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M
R
ru 0 0 0
R
R
a
c
eI
X
R
a
c
eIV
‘6 1 0 5
栽培地あるいは取り寄せ先
6
6
2
3
4
3
7
3
1
7
0
3
5
2
8
1
6
4
9
4
0
ま
ず
, r
a
c
e1仁つひて見ると東域には, 高度の抵抗性品種はほとんどなく,感受性品種が 9
0%
を占めている.これ仁反して,西域では,高度の抵抗性品種が多く,感受性品種は 3
0
'
五であって,
東西両域の聞に顧著な差が認められる. 境界域では,東西両域の中間あるいは, .
!
:
:
ち
ら
かl
こかたよ
った場合など一定の傾向を示してやない.そこで,東域および境界域の高度の抵抗性品種をよく調
べて見ると, 日本の抵抗性品種の大部分は, 明らかにヨー口ヅパあるいは口ジアから輸入されたも
の,あるいは,それらから育成された品種であることがわかる.例えば,二角ジパリー,北海道ジパリ
-77ー
一,六角ジパリー,モラピヤ,宮城ゴー)~,ゴールデツメロ γあるいは鹿児島ゴールデγな Eは,高
度の抵抗性を示すが, その品種名から外来系であることがわかる. また,北大 1号(ゴールTツ
メ
ロン×ジパリ-),宮城 1
2
3号(S.伊n
taneumx腰巻),会津穣 3号〈楳陸羽 l号×岩手メシジ
sアーリー〉あるいは博多
2号〈濠州シパリー×ゴールデンメロツ)などは, その来歴から,外来
系から育成された品種であるこどがわかる.このほか,来歴が明らかでない場合でも,高橋ら(19
4
7
.
1
9
4
8
.1
9
5
1および 1
9
5
5
) によって明らかにされた外来系の形質〈短毛底刺,葉鞘無毛, 2条な
ど〉を調べると,ほとんどの抵抗性品種が外来系である(西門,高橋, 日浦 1
9
4
9
)
. 満蒙の抵抗
性品種の大部分は旧満鉄仁よって,ロジアあるやはヨーロッパから輸入された品種,あるいはそれから
育成されたことがわかっている品種である. このように, 境界域仁は現在では抵抗性品種がかなり栽
培されているところもあるが,これらの抵抗性品種は,ネパールの品種を除けば,ほとんど大混分がヨ
ーロッパあるいはロシアから輸入されたものである.それゆえ,ネパー)~を除くと東亜諸地域〈日本,
朝鮮,中国,印度〉の在来品種仁は r
a
c
e1に対して高度の抵抗性を示す品種は,ほとんどなや
と言ってもよかろう.
R
a
c
eIV仁対しては. r
a
c
e1の場合と大体同じ傾向を示してやるが, r
a
c
eN 1
1race1よ
り病原性が強い場合が多いから,感受性品種 (S)の割合が高い.
RaceIXに対しては,東域では中程度の抵抗性品種 (M)がいちばん多く,感受性品種 (S)
は45%である.これに対して,西減では感受性品種がいちばん多く. 66%であって, r
a
c
e1の場合
と逆仁なっている.
a
c
e1に対しては,東域仁は抵抗性品種が少やが,西域には抵抗性品種が
以上を要約すると, r
多~'.反対仁 race I
X仁対しては,東城l
こは中程度の抗抵性品種が多く,感受性品種は西域の
方が多い.境界域の品種は東城と西域の単なる混合ではなく,境界域独特の品種もあるようで(例
えはネパールの品種),この点、は,よりくわしゃ研究が必要であろう.
1
. 第 1および [email protected] race1仁対する抵抗性を検定
第 5表仁1
した結果をあげた.この結果も第 4表の結果とよく一致している.
R
a
c
e1に対する抵抗性品種の世界各地における頻度
(任意に収集された品種,ただし,第 1表にあげた品種を除 O
.
第 5表
r
a
c
e1 に
反
対
応
する抵抗
R
M
S
供試品種数
日本
朝鮮
中国
。
‘4
2
.
t
。
,
5
.
1 o.
9
.
7
8
4
.
7
5
.
7
9
4
.
3
3
2
0
3
5
ロシア
トノレョ
ヨーロ
総
に
対
供
す
試
る
品
種
%
、
,
y...~
.
e
••
3
8
.
1
留
1.
0
∞
3
0
.
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7
.
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.
0
2
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.
1
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5
.
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1
1
.
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7
.
3
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.
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5
3
4
0
7
8
6
1
7
1
2
5
1
t
調
.
1
3
. 抵抗性品種の標識となる形質仁つひて.
T
a
k
a
h
a
s
h
i(
1
9
5
5
)は東亜諸地域に栽培されているオオムギ品種と,西域仁栽培されているオオ
ムギ品種には,それぞれ固有の形質があるとし,前者を東亜型,後者を西域型としたそして,筆
9
4
9
)によって,ウドンコ病l
こ対して抵抗性あるいはかなりの抵抗性と判
者ら(西門,高橋, 日浦 1
9
5
1
)
. それぞれ
定された品種の 90%は,小穂非脱落性仁関して,西域型であった(高橋,山本 1
-78ー
、
の地域の固有形質は,互仁関係があるから,小稿非脱落性以外の固有形質どウドンコ病に対する
抵抗性どの聞にも,当然深い関係が予想される.それで,簡単仁区別できるオオムギの形質,すな
a
c
e
s1
,IVおよび IXに対する抵抗性どの関係を調べて見
わち,条性,皮課性および底刺型と r
た 結果は第 6表の通りである. 高橋,山本 (1950) 仁よれば楳性は東亜固有の形質どはいえな
オオムギ品種の形質とウドンコ溺ζ対する伝統怯との関係
第 6表
課
i
唱 内崎
長毛底刺
短毛底刺
4
.
9
4
7
.
6 21
.4
4
.
8
1
6
.
2 1
4
.
2
3
0
.
6 4
3
.
3
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------ 角
qu'Anv'inud 0
1i''FEnuuno。,“
2
.
5
2
6
.
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.
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.
2
3
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.
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6
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.
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.
6
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.
3
5
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.
1
4
2
.
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.
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.
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9
.
3
.
7 8
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.
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.
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1
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.
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.
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.
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.
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.
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.
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5
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.
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2
.
4
8
8
.
9
6
.
7
3
3
.
3 6
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3
.
8
2
.
6 8
3
.
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1
8
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.
7 7
5
.
3 1
7
.
0
4
.
2
5
.
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.
6
3
.
5 11
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2
8
2
1
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5
3
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.
4
3
.
3 2
3
.
3 7
6
0
0
9
.
0 21
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1
2
.
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3
.
3
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1
.
1
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8
.
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9
.
2
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3
.
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.
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3
.
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2
.
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1
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官
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.
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1
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3
1
3
.
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金
5
.
3
官
短毛底刺
6
.
4
3
.
5
3
2
.
8
噌E
課
長毛底刺
3
.
0
2
6
.
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8
.
3
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4
.
9 2
官唱
皮
•••••
6
.
6
4
4
.
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4
2
.
0
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'ooFb 唱
An,u 泊笹
守
条
2
2
.
2
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5
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.
3
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.
1
6
9
.
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2
.
2
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.
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.
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.
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.
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-----AunudaDEDT且の必
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域。
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00AUeonuRM噌A
内品内3内aqa内。
西
2
6
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1
6
.
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1
.
0
1
7
.
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8
.
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2
7
.
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.
3
0
.
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晶
境 界 域 1)
9
.
9
1
9
.
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2
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.
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8
.
3
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.
5 9
2
.
9
1
5
.
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3
.
1
3
.
3
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.
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.
9
供試
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自WAudnwMAUnvAud
.釦・ 向次“自民uphun‘“
3
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1 qu
唱
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皮
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唱
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1
6
.
7 5
.
5
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7
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.
2
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9
4
.
5
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6
.
7
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.
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.
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2
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7
.
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。
。
。
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1
.
3
6
.
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0
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.
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晶
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東 域り
1
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.
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.
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.
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.
7 2
1
1
1
6
2
3
8
2
9
2予
賀
町 1授の区予?と問機
いということであるが, 同氏ら(1951)が調査した稼性品種の中, 93%が小穂非脱落性に関して
東亜型であった.それで,ここでは楳性も東亜型の形質として取扱うことにする.
a
c
e1仁ついて見る
条,皮i
己主び短毛底刺を持った品種は 6条,楳および畏毛底刺
ま
ず
, r
ι2
を持った品種より抵抗性である確率が高~'.ことに東城の品種では,
6条,楳,および長毛底刺を
持った品種は,それぞれ 90%以上が感受性であり, 2条種は 1∞%が抵抗性であった.それゆえ,
r
a
c
e
Iに対する抵抗性品種を選択する場合は,上記の形質を有効仁利用できる.
-79ー
r
a
c
eIV仁対しても. r
a
c
e1の場合ほど顕著ではないが,大体同様の傾向が見られた. r
a
c
eIX
仁対しては一定の傾向は認められない.
考
察
1.幼菌検定方法について.
オオムギのウドツコ病が実際に圃場で発生するのは,出穂前後であるから,品種の抵抗性の検定
L 出穂前後の植物について行うのが理想的と思われる.しかし. Tapke(
1
9
5
1,1
9
5
3
)が実験
的仁明らかにしてやるよう仁,成植物の抵抗性は,それが育ってきた環境によって,強く影響される.
筆者の観察でも,多湿,窒素過多,日照不足なEの条件下で育っと,ひ Eく感染する品種でも,
乾燥あるいは窒素不足の条件下で育った成植物はほとんど感染しない.このほか,幼苗から出穂期
までの長。成育期間には,ひろし1ろの条件が働くから,成植物における観察結果,とくに圃場におけ
る結果は,年により,また場所仁よって異なってくる.それゆえ,各地の農事試験場の報告を基礎と
して編集された「稲,麦の特性表 J(農林省 1
9
5
5
)を見ると,本当の抵抗性品種は,いつも抵抗
性強となってやるが,高度の感受性品種が抵抗性強となってやる場合も少くない.さら仁成績物の
検定で都合の悪いことは,圃場ではもち論のこと,温室内でも,長。成育期間中仁は,Eうしても
a
c
eについての実験がむずかしいこ
自然感染による発病があり,それが急速に増殖するため,特定の r
とである.これ仁反し幼菌検定の場合は,かなり広ひ巾の条件下で正確な結果が得られる. し
か
i
d
d(
1
9
3
7
)および平田
も,幼苗における結果と成植物仁おけるそれとは驚くほどよく一致する. T
(
19
4
7
)仁よれば, 幼苗で抵抗性の品種が成植物で感受性となることはない. 筆者も 2
3
2
5品種に
つひて温室内と圃場とにおいて感染程度を観察したが,幼苗で抵抗性を示した品種が. r
a
c
eが同
onecker(
1
9
3
4
)が述べている
じである限仏間場で感受性となった例は 1つもなかった.ただ, H
よう仁,一般に,圃場では,温室内より,やや抵抗性となることは事実である.このことは,幼苗で
中程度の抵抗性を示す品種におやて,とくに顕著であった.
以上を要約すると幼苗で抵抗性を示す品種は成植物仁おいても抵抗性と見て間違いなし¥
2
.東亜型および西域型のオオムギ品種と抵抗性との関係.
T
a
k
a
h
a
s
h
i(
1
9
5
5
)は野生オオムギや多くの栽培オオムギに含まれている,ひろいろの形質の遺伝
をしらぺ,それらの対立遺伝子の地理的分布を明らかにし,その結果,栽培オオムギを東亜型と西
域型に大別した.東亜型と西域型のオオムギ品種には,いくつかの固有形質があるが,その中いちば
1
9
4
9,1
9
5
1,1
9
5
5
)の研究結果を引用して見ょ
ん重要と思われる小穂脱落性仁つやての高橋ら (
, W型および we型〉がある.そして, 日本中南
う.小穂非脱落性遺伝子型には 3つの型 (E型
部,南朝鮮および中国本土の品種は, 9
5-1
∞%が E型〈東亜型〉であるの仁反し,印度以西の
西南アジア,ヨーロッバおよび北アジアでは 70-80%がW型〈西域型〉で,あとが E型および we
型である.この結果は第 4表に示した r
a
c
e1仁対する抵抗性品種の分布状況とよく一致してい
る.しかも,高橋らの研究と筆者の研究は,供試した品種がほとんど同じであるから筆者の東域の
品種は高橋のいう東直型であり,西域の品種は西域型と言える.それゆえ,第 4表の結果を次のよ
うに言。換えることができる.東亜型の品種は r
a
c
e1仁対しては感受性であるが, r
a
c
eIX仁対し
ては中程度の抵抗性を示すものが多~'.これに反して,西域型の品種は race 1仁対しては抵抗性
a
c
eIX仁対しては感受性のものが多し¥
を示すものが多やが r
っき仁, 2条,皮および短毛底刺を持った品種は,そうでない品種より r
a
c
e1仁対して抵抗性であ
-80ー
ることの確率が高いことを述べた.この関係は,現在のところ, 日本のウドシコ病菌に対して,抵抗
性品種を選ぶ場合,極めて効果的に利用できる.しかし,これはこれらの形質が,たまたま西域型
の固有形質であるためであって,条性,皮穂性および底刺型とウド γコ病仁対する抵抗性との聞に遺
9
5
7
)
. それであるから, 交雑仁よる品種改良が進
伝的連鎖関係があるわけではない〈日浦,部回 1
むに従って, 2条,皮および短毛底刺を持った品種中に抵抗性品種が多く見出されるという関係は
見られなくなるであろう.
3
.栽培品種と p
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sとの関係.
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e1仁は感受性であるが,これらの品種が,ウドツコ病菌のすべての r
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sに
東軍の品種は, r
a
c
eIXに対してはかなりの抵抗
対して抵抗性を持ってゃないのではない.例えば,東Eの品種には r
oseman民の私信によると,粟麦はアメリカ
性を示す品種が多数あることはすで仁述べた.また, M
のr
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s3,9および 12に対して,屋根 44号,紅梅 10号,および高知早生課は r
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2仁対して,また珍好 1号は r
a
c
e9仁対して,それぞれ高度の抵抗性を示す.このように,東
び1
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s仁対しては抵抗性を示すものがあるが,これらの抵抗性遺伝子
亜型の品種でも,アメリカの r
払 r
a
c
e1に対しては感受性あるいはかなりの感受性である.言。換えれば,東亜型の品種仁よっ
a
c
e1であろう.それゆえ, r
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e 1はウドッコ病菌における東亜型であり,古
て選択されたものが r
くから日本にあったものと思われる.
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r(1934)によれば,中部および北ヨー口 ッパのオオムギ品種は,ヨーロ
ッパのウドンコ病菌に対して,すべて感受性であるが, 日本の紅梅および中野早生は,ある程度の抵
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も
, 日本の穂麦がドイツの r
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eに対して,
抗性であった. H
かなりの抵抗性であることを報告してやる. H
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r(
19
3
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)仁よれば,彼が供試した 6
∞品種の
中
, ドイツの 9つの r
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sに高度のあるやは,かなりの抵抗性を示した品種は,わずかに 4.%足らず
であった.これ仁反し, R
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k(1938)仁よれば,ヒツズークッジ z探検
隊仁よって牧集された多数の品種の中, 20.%がドイツの r
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sに対して高度の抵抗性であった.ま
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r(1956)は工チオピアのオオムギ品種中には,ドイ
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s仁対して高度の抵抗性を示す品種が多数あることを明らかにした.
ツの r
これらの報告を見ると,やはり,ヨーロッパの p
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sはヨーロ γパの品種によって選
択きれたものであり遠隔の地の品種中仁は抵抗性を示すものが多いことがわかる.
以上を要約すると, 日本のウドンコ病菌は東亜型のオオムギ品種によって,選択された r
a
c
e
sで
あるから,これらの races に対する抵抗性遺伝子は,西域型の品種中に含まれている確率が高~'.
要
嫡
1)世界各地から牧集された 2
3
2
5のオオムギ品種について, 日本のウド γコ病菌の p
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,IVおよび IXに対する抵抗性を検定した.
2)R
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Vおよび IXの3つの r
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s仁対する抵抗性によって,供試オオムギ品種を 18
の抵抗型に分けた.
3)東亜諸地域のオオムギ品種には抵抗型の種類が非常に少やが,西域の品種仁はいろいろ変っ
a
c
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s
た抵抗型の品種が多数発見された.そして,供試オオムギ品種の中で, 60の品種が 3つの r
に高度の抵抗性を示すことが明らかにされた.
4) 東域〈南日本,南朝鮮,中国本土〉の品種仁は,四c
e1仁対しては感受性であるが,
-81ー
raceI
Xに対しては中等の抵抗性を示すものが多かった.これに反し,西域(ロジア,西南アジア,
ヨーロッパ,北米,南米,オーストラリア〉の品種には, race1に対しては抵抗性であるが, race
IX1
こ対しては感受性のものが多かった.
,
5) 2条,皮および短毛底刺を持った品種〈西域型〉は 6条,課および長毛底刺を持った品
種(東亜型〉より, race1 仁対して抵抗性である確率が高~'. RaceIX仁対しては,このような
傾向は認められなかった.
6)ウドンコ病に対する抵抗性品種の選択方法として,幼苗検定方法の重要性を論議した.
7)それぞれの地域の p
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s は,その地方の品種仁よって選択されたものであるか
~,ある地方の physiologic r
ace仁対する抵抗性遺伝子は遠隔の地の品種中仁多く含まれている
ことを例証した.
献
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.オオムギの耐病性に関する研究.第 5報. 1
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.オオムギの耐病性に関すQ研究.第 1
2報,クドンコ病に対すQ主主抗性遺伝子
の連鎖.農学研究, 45:14-48.
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抗性の品種間差異.農学研究. 3
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.本邦大麦品種の分類と地理的分布に関する研究.第 7報,業
輸の毛茸について.農学研究. 3
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高橋隆平,山本二郎 1
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. 大麦品種の分類と地理的分布仁関する研究.第 8報,小穂脱落性について.
農学研究. 3
8:41-43.
高橋隆平,山本二郎 1
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.大麦品種の分類ど地理的分布仁関すあ研究.第 1
3報,皮裸性について.
農学研究. 3
9:32-36.
高橋隆平,山本二郎 1
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.大麦品種の分類ど地理的分布に関する研究.第 1
5報,小穂脱落型と裁培
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:81-90.
大麦の系統発生.農学研究. 3
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iMarchaI.Phytopath.27:51-68.
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