PDF版 講義要旨 - 高校生のための金曜特別講座 - 東京大学

2014 年度夏学期「高校生のための金曜特別講座」講義要旨
第 1 回 2014 年 4 月 11 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
この講義では、1920 年代後半から 40 年代にかけてのドイツに
人間について科学で考える
おけるディズニー・アニメの受容の歴史を、社会的・政治的なコン
酒井 邦嘉
テクストに照らしながら、映像や写真とともにたどっていきます。
( 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 )
人間を他の動物と分ける 3 つの要素は、言葉の使用・道具の使用・
そのうえで、ミッキーマウスをめぐる当時の言説において何が問題
火の使用だと言われますが、実はどれも不十分な答です。これらの
になっていたのかを、思想史的な観点から考察したいと思います。
要素はすべて、言語の本能が人間の脳に備わっていることに関係し
キーワード:メディア、映像、身体、テクノロジー
ています。文を理解している時の脳の活動の様子を実際に測ること
<参考図書>
で、文法に関係する場所が明らかになりました。また、その場所に
ヴァルター・ベンヤミン著、浅井健二郎訳「複製技術時代の芸術作
損傷が起こると、確かに文法の障害が現れます。人間だけが持つ言
品」『ベンヤミン・コレクション1』所収(ちくま学芸文庫)
語のしくみは、科学的に調べられるのです。
カルステン・ラクヴァ著、柴田陽弘/真岩啓子訳
『ミッキー・マウス:ディズニーとドイツ』(現代思潮新社)
人間の言語は、「再帰的計算」という特徴を備えています。その
例を挙げると、「ジャックが建てた家にあった、麦芽を食べた、ネ
細馬宏道 著『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか : アニメーションの表
ズミを殺した、ネコをくわえた犬……」というように、言葉を繰り
現史』(新潮選書)
返し積み上げて階層を作っていく様子がそうです。実は、再帰的計
算による階層性は、自然言語である音声言語や手話にはもちろんの
第 3 回 2014 年 4 月 25 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
こと、数学的な能力や芸術作品にまで反映されているのです。そう
多細胞生物の出現とカンブリア爆発
した人間だけが持つ不思議な能力について考えてみましょう。
小宮 剛
キーワード:言語、心、脳、芸術
地球は高等生物が存在する唯一の天体です。その高等生物の出現
<参考図書>
につながる多細胞動物の出現と急激な多様化(カンブリア爆発)は
( 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 )
『芸術を創る脳-美・言語・人間性をめぐる対話』
(東京大学出版会)
生命・地球進化史においてもっとも重要なイベントです。また、生
『脳を創る読書-なぜ
「紙の本」
が人にとって必要なのか』
(実業之日本社)
命の誕生は地球誕生後すぐ起きているのに対して、多細胞動物の出
『脳の言語地図』(明治書院)
現は 40 億年も経た後の一度だけのイベントとされています。その
『科学者という仕事-独創性はどのように生まれるか』
(中公新書)
ような重大かつ謎の多いイベントでありながら、その原因は未だ分
『言語の脳科学-脳はどのようにことばを生みだすか』
(中公新書)
かっていません。授業では最近の古環境解読の研究をふまえ、多細
胞動物出現とカンブリア爆発がどのような環境で起きたのかを説明
第 2 回 2014 年 4 月 18 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
します。従来は酸素の増加が原因とされましたが、最近の研究では
ミッキーマウスのユートピア的身体
多細胞動物の誕生は比較的酸素の少ない海洋で起き、その後、海洋
――ドイツにおけるディズニー受容 1927-1945
中の生命必須元素濃度の変化とともに、急激に多様化したことが分
竹峰 義和
かってきました。そのような進化は多細胞動物出現時に必要な遺伝
( 大学院総合文化研究科 言語情報科学専攻 )
ウォルト・ディズニー・カンパニーが 1928 年に製作した『蒸気
子は出そろっていたことを示唆します。
船ウィリー』は、
映像と音響を完璧に同期させた初のアニメーション・
キーワード:生命進化、地球環境と生命の共進化、カンブリア爆発
トーキー映画として大評判を呼び、主人公のミッキーマウスはたち
まち世界的な人気を獲得しました。ドイツでも 1930 年にこの短篇
第 4 回 2014 年 5 月 9 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
アニメが公開されるやいなやミッキー旋風が巻き起こったのですが、
<< 終わりなきパリ >>―― ジャコメッティ とパリ
その一方、このネズミのキャラクターは、同時代の人々のあいだに
小林 康夫
さまざまな議論を引き起こしました。たとえば、ナチスの排外主義
今回の対象はパリという都市です。世界各地の都市は、それぞれ
的イデオロギーに染まったジャーナリストからは、ミッキーの「ア
まったく異なった独特な歴史に基づいた独特の空間構成をもってい
メリカ性」や「黒人性」を糾弾する声があがったほか、
「退行」や「サディ
ます。都市はひとつの「生命体」のようにたえず自分を組み替えて
ズム」などの心理学的な観点から大衆への悪影響を懸念する意見も
自己組織していきます。そのような都市をどう読むか、それがひと
出ました。しかし、他方で、人間と動物、有機物と無機物、自然と
つの課題です。「19世紀の首都」とも言われたパリがどのように
テクノロジーなど、本来であれば相容れないはずのもののあいだの
構築されていったのか、その軸を追いながら、「都市を読む」方法
境界を軽やかに乗り越え、両者を自由にミックスさせるようなミッ
を学びます。
キーの越境的でハイブリッドな特徴のうちに、人類が目指すべきユー
またちょうど駒場キャンパスの 駒場博物館 で開催されている
トピア的なヴィジョンを認めるような主張もあらわれたのです。
( 大学院総合文化研究科 超域文化研究専攻 )
「〈終りなきパリ〉、そしてポエジー」という展覧会にちなんで、
1
1960年代にスイス出身の画家/彫刻家アルベルト・ジャコメッ
す.本講義では,GFP 研究の黎明期とその後の展開をお話しすると
ティがパリ描いたスケッチをもとにしたリトグラフの作品も鑑賞し
共に,バイオイメージングの将来について考えてみたいと思います.
ながら、パリという都市の空間の特質に迫ります。同時に、ジャコ
キーワード:蛍光物質
メッティという20世紀を代表するアーティストの仕事の意味につ
いても考えたいと思います。都市空間が〈詩〉として現れてくるそ
第 7 回 2014 年 6 月 6 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
の現場についても触れることになるでしょう。講義のあとに、展覧
エスノグラフィーで現代中国を学ぶ
会場でのミュージアム・ツアーも行う予定です。
阿古 智子
( 大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻)
本講座で学ぶ「エスノグラフィー」(ethnography)は、参加観
第 5 回 2014 年 5 月 23 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
察を主とするフィールドワークを通じて、研究者(自己)が研究対
超新星ニュートリノで探る大質量星の最後の姿
象となる人々や集団(他者)と出会い、自己を模索する作業を繰り
-超新星爆発
返すことによって構築されます。つまり、研究者と研究の対象の関
川越 至桜
係性とそれに関わるコンテクストを常に意識しながら、研究のテー
( 東京大学 生産技術研究所 )
太陽の質量の 10 倍以上もある重い星は、その進化の過程の最後
マとなる事象や問題にアプローチする手法です。統計資料や質問紙
に「超新星爆発」を起こす。爆発の際には大量のエネルギーが放出
など量的データを利用する調査とは異なり、研究者自身が調査の
されるが、その約 99% が「超新星ニュートリノ」として放出される。
ツールであり、研究者が自分の感覚を頼りに観察を重ねます。
1987 年、大マゼラン銀河でおきた超新星爆発からの超新星ニュー
このように研究者自身の感覚や価値観が大きく影響するエスノグ
トリノが地球上で捕らえたことでニュートリノ天文学が花開し、超
ラフィーは、「科学的な」手法ではないという批判があります。た
新星爆発の研究は飛躍的に進歩した。しかし、爆発メカニズムにつ
しかに、予め変数や仮説を設定し、計算式に従ってデータを処理す
いては未だに多くの謎が残されている。この謎に対し、超新星ニュー
るような方法であれば、誰がやっても同じ回答を導くことができ、
トリノから迫ることができるのではないかと考えられている。
データ処理に関する恣意性を排除できます。しかし、調査を進める
そこで、ニュートリノ振動という現象に着目し、複数の爆発モデル
にしたがって見出される視野や変数にぴったりとは当てはまらない
に対して、超新星ニュートリノの地球上での観測予測計算を行った。
要素を分析に含めることができず、重要な問題を見逃してしまう可
その結果、爆発モデルの違いにより、超新星ニュートリノの観測数
能性があります。エスノグラフィーは研究者が事象全体を包括的に
の時間発展が大きく異なることが分かってきた。
とらえることができ、量的研究とは異なる意義を有しています。
今回は、超新星爆発、そして、超新星爆発の謎を解く手がかりを持
さあこれから、私が中国の学校、農村や出稼ぎ労働者のコミュニ
つとされる超新星ニュートリノについて紹介する。
ティ、工場で得たエスノグラフィーの経験を、皆さんにご紹介しな
キーワード:超新星爆発、ニュートリノ、宇宙物理、数値シミュレーション
がら、エスノグラフィーを学んでいきましょう。
<参考文献・サイト>
キーワード:中国、社会調査、質的研究、参与観察
<参考図書>
『ニュートン別冊 宇宙誕生からの時空を一望する 宇宙図 ( 新改訂
鴨川 明子 編著『アジアを学ぶ 海外調査研究の手法』
(勁草書房)
第 2 版 )』(ニュートンプレス)
阿古 智子 著『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告―』
(新潮社)
『一家に 1 枚 宇宙図 2013』( 公財 ) 科学技術広報財団
http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu2013/
第 8 回 2014 年 6 月 13 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
第 6 回 2014 年 5 月 30 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
アメリカ文学名場面集
ノーベル賞に輝いた「蛍光タンパク質」のその後
吉国 浩哉
佐藤 守俊
音楽や映画、あるいは最近ではテレビドラマを通じて、皆さんは
( 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 )
( 大学院総合文化研究科 言語情報科学専攻)
「バイオイメージング」という先端技術があります.例えば,超
「アメリカ」の「文化」についてはよくご存じだと思います。しかし、
高速で走り回る生物の微妙な動きを確実に捉えたり,細胞の中や体
そのアメリカの「文学」と聞いてどんな人や本を思い浮かべるでしょ
の中でうごめく生体分子の挙動を見えるようにする技術のことで
うか。ヘミングウェイでしょうか、それとも『白鯨』や『トム・ソー
す.バイオイメージング技術の開発により,我々の生命に対する理
ヤー』でしょうか。『ハリー・ポッター』を書いたのは残念ながら
解が,以前には考えられなかったスピードで進むようになってきま
イギリス人ですが、村上春樹さんが翻訳する作品はアメリカ文学が
した.特に蛍光を使ったバイオイメージング技術は,下村脩博士の
多いです。
ノーベル化学賞受賞により,その重要性が広く知られるようになり
この講義ではアメリカ文学約 250 年の歴史のなかから、いくつ
ました.下村博士が発見した緑色蛍光タンパク質(GFP)は,実に
かの作品を講師の独断と偏見に基づいて選び出し、そのなかの「名
30 年の時間をかけてバイオイメージングに応用されはじめ,今や,
場面」を直に読んで味わいます(笑ったり、びっくりしたり、あき
生命科学研究や医学研究を支える基盤技術として確立されていま
れたりします)。しかし、そのことによってアメリカ文学の「本質」
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のようなものがわかるようになる、というよりはむしろ、デパ地下
リジー・コリンガム著、東郷 えりか訳『インド・カレー伝』
(河出書房新社)
の試食コーナー的にアメリカ文学のおいしさを手っ取り早くつまみ
辛島 昇 著『インド・カレー紀行』
(岩波ジュニア新書)
食いすることを目指しています。
第 11 回 2013 年 7 月 11 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
キーワード:アメリカ、文学、小説、自由
憲法思想黎明期の俊英たち
第 9 回 2014 年 6 月 20 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
―17 世紀ネーデルラントのきらめき
電気抵抗∞(無限大)から 0(ゼロ)へ:
静電気で創り出す超伝導
福岡 安都子 ( 大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻 )
上野 和紀
方をしてきたのだろう?こういった問題についてとことん調べて考え
「憲法」や「人権」はどこから始まったのだろう?どういう発展の仕
( 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 )
新しく作られる中央新幹線ではリニアモーターカーが使われるこ
る仕事があります。憲法史学とか、公法史学と呼ばれる研究領域です。
とになりました。リニアモーターの実用化に必要不可欠なのが、低
今日、憲法というと、幾つもの条文が集まった形をしていて、そこ
温で電気抵抗がゼロになる超伝導体です。ガラスのように電気を全
に信教の自由を初めとする人権が並べられていたり、国会や裁判所な
く流さない絶縁体から銅線のような良導体、さらにゼロ抵抗の超伝
どの仕組みが定められていたりします。この外側の形に注目すれば、
導体まで、物質の電気抵抗は大きく変化します。こうした新しい物
世界史でもお馴染みの、アメリカ合衆国憲法(1788)やフランス人
質開発研究は、日本が世界に誇る研究分野の一つです。
権宣言(1789)
、あるいはイギリス権利章典(1689)等々が、憲法
本講演では我々が研究している電場誘起超伝導という新現象とこ
の原点ではないかという気がします。けれども、そこに素朴な疑問が
の手法による新物質開発について紹介します。半導体トランジスタ
浮かびます。こうした文章を起草した人々は、いろいろな人権や国家
は静電気力 ( 電場 ) によって半導体の電気抵抗を制御するスイッチ
機構の在り方を、何も無いところから発明したのでしょうか?
ング素子です。我々は、このトランジスタを応用することで、電気
そうではありません。ルーツ(roots= 根)はさらにその先に、
抵抗∞の絶縁性の母物質の表面に抵抗 0 の超伝導を静電的に誘起
歴史の奥深くへと、まさに根っこのように伸びているのです。この
することに成功しました。この電場誘起超伝導は今までの材料開発
根っこをたどるのが憲法史学・公法史学です。人権とは何か。何で
の常識を覆す革新的なものです。講演では超伝導という物理現象の
天賦人権と言ったりするのか。そもそも、人権に対置される国家権
面白さと、この研究が持つ将来性について紹介できればと思います。
力とは一体何か。問題が根本的になるほど、深い歴史理解が不可欠
キーワード:トランジスタ、半導体、超伝導、極低温
になります。
この憲法史の長い流れの中で、17 世紀のネーデルラント(オラ
第 10 回 2014 年 7 月 4 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
ンダ)が非常に重要な役割を果たしたことは、日本ではほとんど知
食文化からみるインド近代史
られていません。しかし実は、平戸・長崎に来ていた人たちの祖国
井坂 理穂 ( 大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻 )
は、その時代のヨーロッパでまさに最先端の議論空間を成立させて
私たちが何を食べているのか、何をどのように食べるべきである
いました。 世界史資料集を開いてみましょう。グロティウスは「国
/ 食べるべきでないと考えているのかは、個人による好みや考え方
際法の父」として、スピノザは「大陸合理主義哲学」の代表者の一
の違いのほかに、私たちを取り囲む社会で広く共有されている規範
人として、大体同じページに、しかし、一見あまり相互に関係無さ
や認識からも影響を受けています。こうした食をめぐる規範や認識
そうに見える文脈で触れられています。しかし、憲法史的視点で見
のなかには、一見、昔から守られてきた「伝統」のように思われる
てみると、彼らは非常に近いところで、自由な国家を目指して言わ
ものもありますが、その多くはそれぞれの時代の政治・経済・社会
ば共闘しているのです。それから「社会契約論」で教科書に出てく
的変化を受けて、繰り返しつくりなおされてきたものです。
るホッブズ。もちろんイギリス人ですが、国家や人間に関するホッ
この講義では、イギリス植民地期のインドに焦点をあて、この時
ブズの斬新な考え方は、知識に貪欲なオランダ人の間で、リアルタ
代に食をめぐる規範や認識が、いわゆる「西洋の衝撃」や「近代化」
イムで大きな反響を生んでいました。
の流れのなかでどのように変化したのかをみていきます。西洋のよ
この講義では、17 世紀ネーデルラントで活躍した憲法史上重要
うに肉食文化を広めたほうがよいのか、カーストの異なる人々と一
な思想家たちについて、歴史教科書が教えない「思想や出来事の繋
緒に食事をしてもよいのか、自分たちの守るべき食文化、食の伝統
がり」を、皆さんたちと見ていきたいと思います。
とは何であるのか、などの問いをめぐり、当時のインド人エリート
キーワード:公法学、歴史、オランダ、国家と宗教
たちは活発な議論を展開していました。それらの具体例をみながら、
<参考図書>
食文化における植民地支配の影響、食とナショナリズム、食とアイ
世界史の教科書や資料集で、16 ~ 17 世紀のネーデルラント(オ
デンティティの関係について考えていきます。
ランダ)についての部分、またグロティウスやスピノザ、ホッブズ、
キーワード:インド、近現代、食文化、植民地支配
デカルトに関わる部分を読み、大きな流れを頭に入れておくと良い
<参考文献>
と思います。もっと突っ込んで勉強したい人は、日本語で読める通
3
史として森田安一編『スイス・ベネルクス史』(山川出版社)のほ
性や身体をもって生きていたはずの男たちの不在でもあった。しか
か、スピノザのプロジェクトの鋭い分析として上野修著『スピノザ
し歴史叙述におけるこうした偏りは、ここ数十年の探究の中で徐々
――「無神論者」は宗教を肯定できるか』シリーズ・哲学のエッセ
に変化してきている。それは、性差や家族、世代差など日常性の中
ンス(NHK 出版)、グロティウスやスピノザが活躍した時代背景に
での人間の関係が変化し、その変化の意味を理解したいという欲求
ついて福岡安都子著『国家・教会・自由――スピノザとホッブズの
が高まってきただけでなく、歴史学研究の認識や方法それ自体が変
旧約テクストを巡る対抗』(東京大学出版会)の第二章「オランダ
化してきたからでもある。わたしたちはどこからきてどこへ行くの
17 世紀における国家・教会・自由」を読んでみて下さい。
か。過去に問いかけることは現在をよりよく理解することでもある。
キーワード:家族、共同体、国家、フランス法
第 12 回 2014 年 7 月 18 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
<参考図書>
文化遺産の 3 次元デジタルアーカイブと展示
長谷川 まゆ帆著『女と男と子どもの近代』世界史リブレット 89(山川
大石 岳史
出版社)
( 東京大学生産技術研究所 先進モビリティ研究センター )
本講義では、世界各地の文化財を対象とした 3 次元デジタル化、
解析、表示方法について紹介する。3 次元デジタル化では、レーザ
レンジセンサと呼ばれる計測システムを用いたデジタル化手法と、
最新の情報等につきましては、講座 HP もご覧ください。
国内外の大仏像、アンコール遺跡、ローマの建造物・彫像といった
http://high-school.c.u-tokyo.ac.jp
貴重な文化遺産をデジタル化した例を示す。得られた 3 次元モデ
問い合わせ先
ルからはこれまでの写真や図面といった資料に代わって様々な情報
東京大学教養学部「高校生のための金曜特別講座」事務局
を得ることができる。そこで 3 次元モデルを解析する手法や、建
電話 : 03-5465-8820 E-mail: [email protected]
[email protected]や歴史的背景を解
明した例などを紹介する。失われた文化財を仮想復元展示する手法
としては、現実世界に CG モデルなどの仮想物体を重ねて表示して
見せる複合現実感(Mixed Reality: MR)技術が近年用いられている。
遺跡現地でゴーグルやタブレットを通して見ると往時の様子を体験
することができる。講義内では、このような技術を使って飛鳥京や
平城京、ローマの神殿などを復元展示した例も併せて紹介する。
キーワード:コンピュータビジョン、バーチャルリアリティ、複合
現実感技術、デジタルアーカイブ
<参考文献>
池内 克史、
大石 岳史 編著『3次元デジタルアーカイブ』
(東京大学出版会)
.
第 13 回 2014 年 9 月 5 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
幻の蝶ブータンシボリアゲハの自然史
矢後 勝也 ( 東京大学総合研究博物館 )
誠に申し訳ありません。要旨は現在、準備中です。
第 14 回 2014 年 9 月 26 日 ( 金 ) 17:30 - 19:00
女と男と子どもの生きる近代
―日常性の歴史学に魅せられて―
長谷川 まゆ帆 ( 大学院総合文化研究科
地域文化研究専攻 )
本講義では、ここ数十年の間の歴史学研究の諸成果をもとに、フ
ランス近世期を対象に女と男と子どもの関係性の変化を概観してい
く。過去の時代の女や男そして子どもたちはいったいどのように生
きていたのだろうか。彼ら ( 彼女 ) たちの社会にはどんな約束事や秩
序があり、なぜ、いかにしてそれらは現在のように変化してきたのか。
こうした問いかけに数十年前までの歴史学はほとんど何も答えるこ
とができなかった。歴史叙述における女や子どもの不在は、同時に
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