授業マテリアル - SOI

ヒューマンインターフェース
最終回「事故の博物館」
東京商船大学 非常勤講師
慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科
斉藤 賢爾
ks91@sfc.wide.ad.jp
July 19, 2002
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課題レビュー
事故の博物館
おさらいとまとめ
最終課題の確認
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1
■ 課題レビュー ■
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2
■ 課題 7. 事故の博物館 ■
• 21 世紀になってから起こった事故を 1 つ選んでください。
• その事故から学べることを、ヒューマンインタフェースの観点から書いてください。
– インタフェースは事故の一因と考えられるでしょうか。
– どのようなインタフェースだったらその事故は防げたでしょうか。
• 〆切: 2002/7/17 23:59 JST
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3
■ 提出状況と傾向 ■
• 58 人中 4 人提出 (7/18 現在)
• 傾向
機器のインタフェースを考えてくれたレポート
システムの運用上のルールを考えてくれたレポート
2件
3件
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■ 所感 ■
• 21 世紀になっても、事故の内容は変わらないという感想を持ちました
• 人類は進歩していないということでしょうか
– 事故と進歩には大きなつながりがあります
– この授業の後の方で説明します
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■ 今週の表彰台 ■
• 今日は以下の人々の作品をレビューします:
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丸山
大倉
田口
飯島
武さん
幸彦さん
康夫さん
弘晃さん
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■ 丸山 武さんの作品 (1) ■
• 日航機同士のニアミス (2001 年 1 月 31 日)
• 事故調査報告書骨子より
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訓練中の管制官が 907 便と 958 便を取り違えた
教官役の管制官は適切な訓練監督者としての教育を受けていなかった
航空機衝突防止装置の指示と逆の操作をすることの危険性の認識が不十分
シートベルト不着用の乗客が多かった
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■ 丸山 武さんの作品 (2) ■
• 管制システムを改善することにより事故の回避を図る
– 管制システムが最適な経路を自動的に割り出す
– 他の航空機等と交差するポイントを事前に画面に表示する
– 回避方法を画面に提案、管制官は最良の方法を選択する
⇒ 最終的な判断を人間に任せるのは多分、大切なことですが、その場合、人間が処理でき
る事象列の速度が重要になってきます
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■ 大倉 幸彦さんの作品 (1) ■
• 明石市の歩道橋事故 (2001 年 7 月 1 日)
• 次のようなインタフェース上の問題があった
– 混雑の状態が主催者、警察、警備会社および見物客に正確に伝わらなかった
– 誘導や指示の情報が見物客に伝わらなかった
– 主催者、警察、警備会社の間の意志疎通が欠けていた
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■ 大倉 幸彦さんの作品 (2) ■
• 混雑の危険性を全員に伝えるインタフェース
– 歩道橋上の人数とその流入/流出の経過および限界値を分かりやすく掲示
– 監視カメラの映像を大きなディスプレイに表示
• 誘導・指示を確実に伝えるメディア (ラジオや巨大ディスプレイ) の使用
• 歩道橋の前に長くて細い進入路を設け、限界を超える人数が入らないようにする
⇒ これが一番効くのではないでしょうか
⇒ 鶴岡八幡宮への初詣の人の流れの制御が参考になると思います
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■ 田口 康夫さんの作品 (1) ■
• ロシア旅客機が貨物機と空中衝突 (2002 年 7 月 6 日)
• 管制上の数々の問題
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当時管制官が 1 人しかおらず、指示ミスをしたと指摘されている
管制施設の警報装置が作動していないなど、施設維持の問題があった
管制空域の問題もあり、ドイツ空域でありながらスイスで管制
自動衝突防止装置の指示 (上昇) と管制官の指示 (下降) が矛盾
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■ 田口 康夫さんの作品 (2) ■
• ルールの明確化
– 自動衝突防止装置と管制官の指示が矛盾した場合、どちらを優先するか
• コミュニケーションの改善
– 現在は航空機同士のコミュニケーションが欠如している
⇒ 当事者が判断するのがよさそうということは色々な場面で言えそうです
⇒ 当事者が判断するための仕組みが必要です (当事者のメンバシップ等)
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■ 飯島 弘晃さんの作品 (1) ■
• JR 新大久保駅での転落死亡事故 (2001 年 1 月 26 日)
• 線路に落ちた人を助けようした人も含めて 3 人が死亡
• 列車非常停止ボタンについて
– 一般に存在が認識されていなかった
– 設置場所も増やす必要がある
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■ 飯島 弘晃さんの作品 (2) ■
• 列車の停車が間に合わない場合は . . .
– 転落そのものを防ぐ必要がある
∗ ホーム側にドアを付ける
∗ ホームの端にセンサーを付け、電車が停車していない時にそこを通ると警告
⇒ 一人一人が注意する仕組みも考え、その仕組みが働かなかった際に最終的な防御機構が
働くようなことも考える必要があるでしょう
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■ 考えて欲しいこと ■
• インタフェース (表現) が適切でないことにより、目標の取り違え、思い込み、うっか
りミス等が生じることがあります
– 改善が必要です
• 事故の原因となっているインタフェースを改善したとします
– そのことが、新たな種類の事故を呼ぶことにはならないでしょうか
– 先人の教えに耳を傾けましょう
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■ 事故の博物館 ■
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■ 事故とは何か ■
• 技術と事故は対になって現れる
「列車の発明は脱線の発明であり、船の発明は難破の発明である。沈む船は、浮く船よ
りも技術についてはるかに多くのことを語る」
– Paul Virilio (仏 都市計画者、哲学者)
• 事故により、新しい技術の価値と危険性を測ることができる
– その技術は、どのような事故を可能にするのだろうか
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■ 技術の発展と事故 ■
• Virilio 曰く
– 技術の発展は、事故を分析し、それを乗り越えることにより生じる
– その技術に特有な事故について警告することこそ、技術の発展につながる
– 過去の技術では事故は局所的であり、情報技術では事故はグローバルである
∗ 技術の速度と時間圧 (事故の影響が及ぶ範囲と、事故回避のために残された時間)
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■ 事故の博物館とは ■
• Virilio 曰く
– 事故の博物館が必要である
∗ 事故を曝すことにより、自分自身を事故に曝さないようにする
– 事故の博物館は既に存在する。それは TV である
– TV はすべての事故が起こる現場であり、それこそが TV の唯一の技である
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■ おさらいとまとめ ■
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■ インタフェースの基礎用語 ■
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可視性
フィードバック
アフォーダンス
制約
対応づけ
メンタルモデル
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■ 可視性 ■
意味
例
関係する部分を目に見えるようにすること、状態が分かること
関連エラー
事故の例
状況の認識の誤り
• 管制塔におけるレーダー表示
• コンピュータ画面におけるカーソル
• 旅客機の便名を取り違えてしまう
• 意図しない箇所に入力してしまう
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■ フィードバック ■
意味
例
ある行為の結果を直ちに明らかに示すこと
関連エラー
事故の例
思い込み
• プッシュホンの音
• メールへの返答
• 受話器を耳に当てずにダイアルし、間違えてしまう
• 合意していないのに進めてしまう (会議の日取り等)
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■ アフォーダンス ■
意味
例
関連エラー
事故の例
オブジェクトの属性やデザインが、そのオブジェクトをどう取り扱っ
たらよいか、どう取り扱えるかについてのメッセージを利用者に発
していること
• 車のドア (手をかける方向が明らか)
• スクロールバーのデザイン (スクロールする方向が明らか)
操作不能 (どう操作したらよいか分からない)
• ドアが開けられない
• ソフトウェアの操作方法が分からない
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■ 制約 ■
意味
例
関連エラー
事故の例
ユーザがある行為を行なうことを不可能にすることで、自然に正し
い行為に導くような仕組み
• シートベルトを締めないとエンジンがかからない車
• コンピュータの電源断はソフトウェアによってしか行なえない
うっかりミス
• シートベルトの締め忘れ
• 急な電源断によるファイル破壊
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■ 対応づけ ■
意味
例
操作と動作が自然に対応づけられていること
• スイッチの配列と電灯の配列が対応している
• 操作の対象となるアイコンと動作の対象となるファイルが対応
している
関連エラー
事故の例
うっかりミス
• パーティションで区切られた会議室から退室する時、誤って使
われている方の灯りを消してしまう
• コマンドによって誤ったファイルを消去してしまう
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■ メンタルモデル ■
意味
例
ユーザが心の中に持っている、システムの動作に関するモデル
関連エラー
事故の例
思い込み
• FAX はコピーを行なっているという認識
• マウスは相対座標を示すデバイスだという認識
• FAX は物体を転送するものだと思い込み、何度も送信し直し
てしまう
• マウスは絶対座標を示すものだと思い込み、机の縁まで動かし
て固まる
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■ まとめ ■
• 新しい技術 (メディア) をデザインする際は
– それが可能にする事故に思いをはせよう
– 人間をよく知ろう
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■ 研究者募集! ■
• ヴィデオコミュニケーションについて、一緒に考えてみませんか?
– ヴィデオカメラと通信のテクノロジーを用い、遠隔地にいる相手と対話して、相互
に「知」を伝え合うことについて、人類の経験はまだまだ少なく、改善の余地が大
いにあります
– どんな風に改善できるかを考えて、SOI の授業で実験していきます
∗ あなたのアイデアを活かすチャンスです!
– お問い合わせは soi-wysiwis@media-art-online.org まで
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■ 最終課題の確認 ■
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■ 最終課題 (課題 8.) ヒューマンインターフェース ■
• 今世紀、ロボットが人間の生活に浸透していくと言われています。
• 以下のコミュニケーションの形態を踏まえた上で、この授業で学んだことを駆使して、
ロボットに関わるヒューマンインタフェースについて自由に論じてください。
– 人と人との間のコミュニケーションにロボットが果たす役割
– 人とロボットの間のコミュニケーション
– 自分とのコミュニケーションにロボットが果たす役割
• 〆切: 2002/7/31 23:59 JST
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■ 全課題の最終提出期限 ■
• 次の期限までに提出されたレポートを成績評価の対象とします。
• 〆切: 2002/7/31 23:59 JST
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■ 短い間でしたがありがとうございました ■
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