ノロウイルスの検出法 - 国立感染症研究所

(別添)
ノロウイルスの検出法
目次
Ⅰ
ノロウイルスの RT-PCR 法
1
1. 必要な器具と試薬
2. 操作上の注意
3. 食品の処理
4. ふん便材料の処理
5. QIAamp Viral RNA Mini キットによるRNAの抽出
6. DNase 処理
7. RT 反応
8. 1st
PCR
9. Nested
PCR 法
10. PCR 結果の判定
Ⅱ
ハイブリダイゼーション
A.
11
マイクロプレートハイブリダイゼーション法
1. 必要な器具と試薬
2. ゲルからのDNA抽出法(MinElute Gel Extraction KitによるPCR産物の精製)
3. ハイブリダイゼーション
B.
ドットハイブリダイゼーションによるノロウイルス遺伝子確認検査
1. 必要な器具と試薬
2. 操作法
3. 判定
Ⅲ
リアルタイム PCR 法によるノロウイルスの定量的検出法
19
1. 必要な器具と試薬
2. 反応プレートの準備
Ⅳ
文献
25
Ⅰ
ノロウイルスのRT−PCR法
1. 必要な器具と試薬
1)
器具
サーマルサイクラー、超遠心器、冷却遠心器(5,000rpm)、マイクロ冷却遠心器
(15,000rpm)、ホモジナイザーあるいはストマッカー、Vortex、電気泳動装置、UV
照射写真撮影装置、ヘラ、ハサミ、メス、ピンセット、濾紙、マイクロピペット(2、
20、200、1000μl)、チューブ(0.2ml、0.5ml、1.5ml)、遠心管(15ml、50ml)、
1ml 注射器、18G 注射針
2)
試薬
ショ糖、ポリエチレングリコール 6,000、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム
(KCl)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、エタノール、Distilled
water (Deionized, Sterile, autoclaved, DNase free、RNase free) (和光純薬工業
Cat No. 318-90105,
(以下「Distilled water」という。))、ノロウイルス検出用プ
ライマー(以下、
「NV プライマー」という。詳細については後述。)、エコーウイ
ルス 9 型 Hill 株プライマー(詳細については後述。)
、エチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム(EDTA・2Na)、電気泳動用アガロース ME(岩井科学、250g 入り
Cat.No.50013R)、エチジュウムブロマイド
Random primer hexamer:Amersham Pharmacia、Cat.No. 27-2166-01
Super Script Ⅱ RNase H Reverse Transcriptase:Invitrogen, Cat.No. 18064-014
100mM DTT : Super Script Ⅱに添付
QIA Viral RNA Mini Kit:QIAGEN、Cat.No. 52904
DNase I:TaKaRa、Code No. 2215A
Ribonuclease Inhibitor:TaKaRa、Code No. 2310A
Takara EX Taq:TaKaRa、Code No. RR001A
50 倍濃度 TAE buffer : Tris
242g、氷酢酸 57.1ml、0.5M
EDTA(pH8.0)100ml
を蒸留水で 1,000ml とする。
2. 操作上の注意
1)
患者のふん便を取り扱う時には安全キャビネット内で行い、感染防止に最大の
1
注意を払うこと。
PCR を行う際には手袋をし、チューブの蓋を開ける時にはその前に軽く遠心
2)
した後、オープナーを用いること。
RT-PCR 反応液の調製をする部屋と PCR 産物の電気泳動の部屋を分けること
3)
とし、それができない時には、それぞれの操作を別のクリーンベンチ内で行うこ
と。その際クリーンベンチのファンを止めること。コンタミ防止と RNase の混入
防止に細心の注意を払うこと。
3. 食品の処理
貝の中腸腺を用いる方法(超遠心法)
1)
本項ではノロウイルスによる食中毒の原因食品として最も重要視されている貝
類の処理方法について記す。他の食品においても基本的にはこの方法に準じて行え
る。超遠心器のローターとの関係もあるが、貝の中腸腺が1gあるいはそれ以上の時
は1個または2個を1検体とし、貝1ロットに付き3検体から10検体(中腸腺として合
計12gから24g程度を目途とする。
)の検査を行う。シジミ、アサリ等のように中腸
腺が1g以下の貝では中腸線1gから1.5gを1検体として、3検体から5検体の検査を行
う。
(1)
殻付き貝類はヘラ、メス等で貝柱を切り、殻を開く。
(2)
貝の外套膜を取り、次いで中腸腺の周りに付いている脂質部分をメス、ハサミ
等で可能な限り取り除き、中腸腺を取り出す。中腸腺を摘出する際にはできる限
り周りの白い組織(脂肪)を取り除くこと。特にリアルタイムPCRを行うときには
完全に取り除くこと。
(3)
ホモジナイザーまたはストマッカー用のサンプリングバッグに中腸腺をいれ、
次いで7∼10倍量のPBS(-)を加え粉砕する。貝類の乳剤は15%以上の濃度にしな
いこと。15%以上にするとRNAの回収率が悪くなる。
(4)
粉砕した試料を遠心管に移す。
↓10,000rpm. 20分間冷却遠心し、上清を新しい試験管に採る。
(5)
超遠心用遠心管に30%ショ糖溶液を遠心管量の10%程度入れ、それに(4)の遠心
上清を静かに重層させる(ショ糖溶液層を壊さないように初めは特に注意して少
量ずつ入れる)
。
2
↓35,000rpm. 180分間あるいは40,000rpm. 120分間冷却遠心する。
(6)
アスピレーター、注射器等で液層を吸引し、沈渣のみとする。
(7)
遠心管の管壁をPBS(-)で軽く1回洗い、管壁の周りの水分を滅菌した濾紙で吸い
取る。
沈渣に200μlのDDW(超純水を高圧滅菌後、0.22μmフィルターで濾過したも
(8)
の。)を加え、浮遊させる。これをウイルスRNAの抽出に用いる。
(浮遊液に不純物が多いときには10,000rpm. 20分間の遠心を行い、その上清を
RNA抽出に用いる。
)
(注)超遠心器を使えない時には以下の操作を行う。
ポリエチレングリコールによる濃縮方法
(1)
前項1) (4)の遠心上清にポリエチレングリコール 6,000を8%、NaClを
2.1g/100mlになるように加え、軽く撹拌し、4℃の冷蔵庫に一晩置く、または室温
で2時間撹拌する。
↓5,000∼12,000rpm. 20分間、冷却遠心する。
(2)
上清をアスピレーター、注射器等で吸引し、沈渣のみとし、管壁の周りの水分
を滅菌した濾紙で吸い取る。さらにPBS(-)で管壁を軽く2回洗い、その後濾紙で水
分を完全に取る。
(3) 沈渣を200μlのDDWに浮遊させる。これをウイルスRNAの抽出に用いる。浮
遊液に不純物が多い場合には10,000rpm.20 分間の冷却遠心を行い、その上清を
RNA抽出に用いる。
貝の中腸腺の内容液を用いる方法
2)
大型の貝(平貝、ウチムラサキ貝等)からウイルスを検出する場合は、中腸腺の
内容液を用いることができる。カキ、アサリ、シジミ等の小型の貝類ではウイル
ス回収率が必ずしもよくないので、本法は適さない。
(1)
前項 1)(2)において、中腸腺を内容液が漏れないように取り出し、大きめの遠心
管に入れ、ガラス棒等で中腸腺を潰した後、一度凍結融解する(-40℃以下で凍
結させ、融解するときには 50℃程度のお湯ですばやく融解する)
。
(2)
10,000rpm で 20 分間冷却遠心し、上層の液層を新しいチューブに採る。
3
(3)
得られた液を RNA 抽出に用いる。ただし、QIAamp Viral RNA Mini キットに
よる RNA の抽出では 560μl までしかサンプルを添加できないので、それ以上の
量の時には 2 つに分けて行うか、PBS(-)で 6 倍希釈した後、前項のポリエチ
レングリコールあるいは超遠心器による濃縮を行い、200μl の Distilled water に
再浮遊させ、それを RNA 抽出に用いる。
4. ふん便材料の処理
5.
1)
ふん便の10%乳剤(PBS(-))を作製する。
2)
10%乳剤を激しく攪拌した後、10,000から12,000rpmで、20分間冷却遠心する。
3)
遠心上清の138μlをサンプルとして、次項5.の方法でRNAの抽出を行う。
QIAamp Viral RNA Mini キットによるRNAの抽出
RNA の抽出には多くの方法があり、また抽出キットも多数市販されている。それぞ
れが良いと判断した方法を用いて良い。ここでは QIAamp Viral RNA Mini キットを用
いる方法を紹介する。
QIAamp Viral RNA Mini キットは Carrier RNA が含まれており、RNA 抽出効率が高
いが、前項4.のようなサンプルの調製が必要となる。またこのキットには DNase 処
理が含まれていないので、各自が行わなければならない。
1)
使用前に行う試薬の調整
サンプルを室温(15∼20℃)に戻す。
Buffer AW1(Kit Cat.No.51104)に 96∼100%エタノールを 25ml 加える。Buffer
AW2(Kit Cat.No.51104)に 96∼100%エタノールを 30ml 加える。
Carrier RNA(凍結乾燥品)のチューブに Buffer AVL 1ml 添加し Crrier RNA を
完全に溶解させ、Buffer
AVL に全量を添加する。添加した Buffer AVL/Carrier
RNA は室温で 2 週間、2∼8℃で 6 ヶ月間安定である。Buffer AVL/Carrier RNA 中
に沈殿物がある場合には、加熱(80℃)により溶解する。ただし、加熱は 5 分間以
内とし、6 回以上の加熱は行わないこと。Buffer AVL/Carrier RNA は使用前に室温
に戻す。
2)
操作法
4
以下の操作は室温で行う。
(1)
1.5ml チューブに Buffer AVL/Carrier RNA 560μl を入れる。
(2)
10%ふん便乳剤遠心上清(10,000rpm, 10 分間)を 138μl(増量することも可能
である。詳細はキットの添付マニュアルを参照)とエコーウイルス 9 型 Hill 株を
2μl(10,000 個程度の粒子数)入れ、サンプルと Buffer を充分混合するため 15
秒間 Vortex にかけ、室温(15∼25℃)に 10 分間置く。チューブをスピンダウ
ンする。
エタノール(96∼100%)560μl をチューブに加え、15 秒間 Vortex をかけた
後、チューブをスピンダウンする。液が混濁した時には 9,000×g(10,000rpm)
で 5 分間遠心する(リアルタイム PCR を行うときにはこの遠心を行ったほうが
良い)。
(2)の液 630μl を QIAamp スピンカラム(2ml コレクションチューブに注入し、
(3)
蓋を閉め、6,000×g(8,100 rpm)で 1 分間遠心する。QIAamp スピンカラムを
新しい 2ml のチューブに移し、残りの(2)の液 630μl を入れ、同様に遠心し、全
ての液が無くなるまで行う(サンプル量が 138μl のときには、この操作が 2 回
で終わる)
。
(4)
QIAamp スピンカラムを開け、Buffer AW1
500μl を入れる。
(5)
蓋を閉め、6,000×g(8,100 rpm)で 1 分間遠心する。QIAamp スピンカラム
を新しい 2ml のチューブに移し、ろ液の入っているチューブは捨てる。
QIAamp スピンカラムに Buffer AW2
(6)
500μl を加え、20,000×g(14,000 rpm)
で 3 分間遠心する。Buffer AW2 とろ液等が接触した時には (7) を行う(このよ
うな事は通常起きない)。
QIAamp スピンカラムを新しい 2ml のチューブに移し、ろ液の入っているチュ
(7)
ーブは捨てる。フルスピードで 1 分間遠心する。
QIAamp スピンカラムを新しい蓋つき 1.5ml のチューブに移し、ろ液の入って
(8)
いるチューブは捨てる。QIAamp スピンカラムの蓋を開け、室温に戻した Buffer
AVE
60μl を加え、蓋を閉めて 1 分間置いた後、6,000×g(8,100 rpm)で 1
分間遠心する。
(10)
このろ液が抽出 RNA であり、
抽出 RNA は -80℃での保存が望ましいが、
-20℃
以下で 1 年間は安定である。
5
6.DNase 処理
食品、人のふん便中には様々な DNA が含まれており、しばしば PCR で非特異バン
ドが出現するので、それらを抑制するため、DNase 処理を行う。またそうすることで、
この時点までに DNA の混入が起きた時でも、それらを消化することができる。したが
って、キットに DNase 処理が含まれていない時にはこの操作を行うことが望ましい。
注意として DNase I を使用するマイクロピペットは専用のものを用い、可能であれば
オートクレイブができるものが良い。検査終了後、使用した DNase の含まれている液、
チューブは高圧滅菌にかける。
表1.に示したように DNase 処理混合液の調製を行う。
1)
表1.DNase 処理混合液
試
薬
抽出 RNA
5×First-Strand Buffer
Distilled
注 1)
water
DNase I (1U/μl)
15μl 系
30μl 系
12.0μl
24.0μl
1.5μl
3.0μl
0.5μl
1.0μl
1.0μl
2.0μl
注 1)
:使用する Reverse Transcriptase の buffer を用いる。
7.
2)
混合液調製後、37℃に 30 分間置く。
3)
次いで 75℃に 5 分間置く。
4)
直ちに on ice(または 4℃)する。これが DNase 処理済み抽出 RNA である。
RT 反応
1)
(Super Script Ⅱ RT (Invitrogen) を用いる時)
表 2.の RT 反応調整液を作製する。
6
表 2.
RT 反応液調製液( Super Script Ⅱ RT を用いる時)
15μl 系
20μl 系
30μl 系
50μl 系
DNase 処理 RNA
7.5μl
10.0μl
15.0μl
30.0μl
5X SSII Buffer
2.25μl
3.0μl
4.5μl
7.0μl
10mM dNTPs
0.75μl
1.0μl
1.5μl
2.5μl
0.375μl
0.5μl
0.75μl
1.25μl
Ribonuclease Inhibitor
(33unit/μl)
0.5μl
0.67μl
1.0μl
1.67μl
100mM DTT
0.75μl
1.0μl
1.5μl
2.5μl
Super ScriptⅡ RT(200u/μl)
0.75μl
1.0μl
1.5μl
2.5μl
Distilled water
2.125μl
2.83μl
4.25μl
2.58μl
Random Primer(1.0μg)
注 2)
注 2)
:Random Primer の代わりに NV プライマー、ポリオ 2 プライマーを用いても良
い。
2)
反応は 42℃で 30 分から 2 時間行う(通常 1 時間)。
3)
次いで 99℃で 5 分間加熱し、on
8.
1st
1)
1st
ice(または 4℃)する。
PCR
PCR は、
ノロウイルスについては表 3. の
(G1 と G2 を別々に作製する)
、
エコーウイルス 9 型 Hill 株については表 4.の混合液を作製する。
表 3.
ノロウイルス
表 4.
1.Distilled water
2.10× Ex Taq
1.Distilled water
33.75μl
TM
buffer
エコーウイルス 9 型 Hill 株
Taq
TM
33.75μl
5.0μl
2.10× Ex
buffer
4.0μl
3.
dNTP(2.5mM)
1.0μl
4.
E9Hill-F プライマー(25μM)
1.0μl
5.
E9Hill-R プライマー(25μM)
5.0μl
3.
dNTP(2.5mM)
4.
NV プライマー F(25μM)
5.
NV プライマー R(25μM)
6.
cDNA(Templete)
5.0μl
6.
cDNA(Templete)
5.0μl
7.
EX Taq(5unit/μl)
0.25μl
7.
EX Taq(5unit/μl)
0.25μl
Total
注 3)
50.0μl
Total
注 3)
: プライマーの塩基配列は表 11.、図 3.を参照。
7
4.0μl
注 4)
1.0μl
1.0μl
50.0μl
1st
PCR に用いるプライマーは、食品のときには、G1 では COG1F/G1-SKR、
G2 では COG2F/G2-SKR および ALPF/G2AL-SKR(アルファトロン型を検出す
るプライマー、この 2 組のプライマーは混合して用いても良い)を、ふん便材料
の 時 に は G1 で は G1-SKF/G1-SKR 、 COG1F/ COG1R を 、 G2 で は
G2-SKF/G2-SKR、G2-SKF/G2AL-SKR、COG2F/COG2R、ALPF/COG2R を用
いることが望ましい。
ただし、このほかのプライマーを用いてもよい。ポリメラーゼ領域のプライ
マーは表 11.、図 2.を参照。
注 4)
:エコーウイルス 9 型 Hill 株プライマー
文献 1)
E9Hill-F
5’−GTT AAC TCC ACC CTA CAG AT−3’ ポジション 5192-5211
E9Hill-R
5’−TGA ACT CAC CAT ACT CAG TC−3’ ポジション5459-5440
PCR 産物は 268bp である。
2)
PCR 反応
増幅は 94℃, 3 分を 1 サイクル、 94℃, 1 分、 50℃, 1分、 72℃, 2 分を 40
サイクル、 72℃, 15 分を 1 サイクルで行う。増幅条件はプライマー、サーマル
サイクラーによって若干異なることもあるので、それぞれ最適な条件で行うと良
い。
3)
電気泳動
PCR 産物 8μl と 5× Loading buffer 2μl を混合し、1.5%アガロースゲルを用
いて泳動する。泳動 buffer は TAE を使用する。
4)
アガロースゲル染色
泳動後ゲルをエチジュウムブロマイド染色液(TAE 溶液 100ml にエチジュウム
ブロマイド 10mg/ml のものを 10μl 加えた溶液)に 20 分間入れておく。この時に
緩やかに揺すると良い。
5)
写真撮影、バンドの確認
染色したゲルは UV 照射で写真撮影し、バンドの確認を行う。食品では 1 st PCR
でバンドが見られなかった時には(多くの例では見られない)、次に Nested
8
PCR
を行う。
9.
Nested
PCR法
食品をサンプルとする時にはウイルス量が少ないので、1st
Nested PCRを行う。ただし、Nested
PCRで陰性の時には
PCRを行う時にはコンタミの危険性が高いので
細心の注意のもとに実施する。
なお、Nested PCRの陽性コントロールとして、プラスミドに組み込んだノロウイル
ス(NV)陽性コントロールを用いる。
【RNA抽出時のエコーウイルス9型Hill型およびPCR
用ノロウイルス陽性コントロールG1,G2の分与を希望する機関は、国立感染症研究所感
染症情報センター第六室
西尾
治室長あて電子メイル(nishio@nih.go.jp)で依頼す
ること。
】
1)
Nested
PCRの調製
表5.の混合液を作製する。
表5.
Nested
PCRの混合液
1. Distilled water
2. 10× Ex
Taq
TM
36.75μl
buffer
3. dNTP(2.5mM)
5.0μl
4.0μl
注 5)
4. NV プライマー F(25μM)
1.0μl
5. NV プライマー R (25μM)
1.0μl
6. 1st PCR産物
2.0μl
7. EX Taq
0.25μl
Total
50.0μl
注5)
: ノロウイルスのプライマーは1st PCRに用いたものの内側に設定されたプライ
マーあるいはセミNested PCRで行う。
Nested PCRに用いるプライマーは、G1の1st PCRでCOG1F/G1-SKRを用い
た と き に は G1-SKF/G1-SKR お よ び COG1F/COG1R を 、 G2 の 1st PCR で
COG2F/G2-SKRを用いたときにはG2-SKF/G2-SKRおよびCOG2F/COG2Rを、
ALPF/G2AL-SKRを用いたときにはG2-SKF/G2AL-SKRおよびALPF/COG2R
9
を用いるのが望ましい。他のプライマーを用いたときにはそれに対応するプラ
イマーを用いること。
2)
PCR反応、電気泳動
増幅は1st
Nested
PCR と同様の条件で行うが、サイクル数は 35 とする。
PCR 産物の電気泳動、UV 照射で写真撮影、バンドの確認は1st PCR と同
様に行う。
(前項 8. 2)∼ 5) を参照)
10.
PCR結果の判定
1)
RNA抽出のコントロールとして入れたエコーウイルス9型Hill株(粒子数約
10,000個)のPCRで目的とするバンドが認められること。
(=RNAの抽出に問題
はない。
)
2)
検査材料の代わりにDDWを入れた陰性コントロールでバンドが見られない。
(=遺伝子の混入がない。
)
3)
陽性コントロール(1st PCRではエコーウイルス9型Hill株、Nested PCRではNV
陽性コントロール)で目的とするバンドが見られる。
(=PCRがうまく行われた。
)
4)
PCRでの増幅産物は目的とする大きさであること。
(=標的の部分が増幅され
ている。
)
以上の条件が満たされたときにPCRの判定を行う。なお、上記条件が満たされないと
きには再試験を行う。
PCR陽性と判定されたときには、確認試験としてハイブリダイゼーションあるいは遺
伝子配列を調べる。ハイブリダイゼーションで陽性、あるいは遺伝子配列で既知のノロ
ウイルスと類似の配列が認められた時に陽性とする。
10
Ⅱ
ハイブリダイゼーション
A.
マイクロプレートハイブリダイゼーション法
ここではPCR産物の確認試験としてのマイクロプレートハイブリダイゼーション法
について記す。この方法はマイクロプレート上でハイブリダイゼーションを行うもので、
文献2)
洗いが簡単であり、反応は酵素抗体法と同一である
。 42℃でハイブリブリダイゼ
ーションを行うと、80%以上の相同性のときに陽性となる。ハイブリダイゼーションの
文献3)
温度を上げるとさらにその感度は高まる
。
1. 必要な器具と試薬
1)
器具
恒温器、ヒートブロック、電気泳動装置、UV 照射写真撮影装置、マイクロプレ
ートリーダー、UV 防御メガネ、サーマルサイクラー、マイクロ冷却遠心器
(15,000rpm) 、 ウ ォ ー タ ー バ ス 、 メ ス 、 フ ナ ゲ ル チ ィ ッ プ ( フ ナ コ シ 、
CaT.No.DR-50)、マイクロピペット(2、20、200、1000μl)、マイクロプレー
ト(NUNC-IMMUNO
2)
PLATE
Cat.No.442404)
試薬
MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN、Cat.No.28604)
、ホルムアミド、Tween20、
サケ精子 DNA、マイクロプレートシール、ペーパータオル、ストレプトアビジ
ン標識ペルオキシダーゼ(BIOSOURCE, Cat.No. SNN1004)
、 リン酸水素二ナ
ト リ ウ ム 、
ク エ ン 酸 、
30% 過 酸 化 水 素 、 硫 酸 、
T3,3,5,5’-Tetramethylbenzidine(TMB)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ウシ血
清アルブミン(BSA)(SIGMA、Cat.No. A-2153)、3M 酢酸ナトリウム(pH5.0)、100%
イソプロパノール、PBS-T(PBS(-)+0.05%Tween20)
2.ゲルからのDNA抽出法(MinElute Gel Extraction KitによるPCR産物の精製)
ゲルからの DNA の抽出には多くの方法があり、また抽出キットも多数市販されてい
る。それぞれが良いと判断した方法を用いて良い。ここでは、MinElute Gel Extraction
Kit を用い、マイクロ遠心機を利用する方法を示す。
このプロトコールは、TAE buffer または TBE buffer の標準的なアガロースゲル、
11
あるいは低温融解アガロースゲルから、70bp から 4kb の DNA フラグメントを高い最
終濃度で抽出、精製することができる。1 個のスピンカラムにつき、最大 400mg のア
ガロース処理が可能である。Buffer QG は pH7.5 以下の時、黄色になる。すべての遠
心操作は、一般的な卓上遠心機で≧10,000×g(∼13,000rpm)で行う。
1)
使用前に行う試薬の調整
(1)
使用前に Buffer PE にエタノール(96∼100%)を添加する(添加容量は試薬
ボトルのラベルを参照)。
(2)
2)
(1)
3M の酢酸ナトリウム溶液(pH5.0)が必要な場合がある。
操作法
清潔で刃の鋭いメスあるいはフナコシのフナゲルチィップでアガロースゲルか
ら DNA フラグメントの部分を切り取る。余分なゲルを取り除いて、ゲルスライス
のサイズを最小とする。
(2)
1.5ml のチューブにゲルスライスを入れ、重さを測る。サンプルゲル(100mg=
100μl とする)に対して 3 倍容量の Buffer QG を添加する。
(3)
50℃で 10 分間(ゲルが完全に溶解するまで)インキュベートする。ゲルの溶解
を助けるため、インキュベーション中、2∼3 分に 1 度チューブを Vortex にかけて
溶液を混合する。2%以上のゲルを用いる場合は、インキュベーション時間を長くす
る。
(4)
ゲルスライスが完全に溶解後、溶液の色が黄色であることを確認する(アガロー
ス溶解前の Buffer QG の色とほぼ同じ)。なお、溶液の色がオレンジ色あるいは紫
色の場合は、3M 酢酸ナトリウム(pH5.0)を 10μl ずつ添加混合し、溶液の色が黄
色になるようにする。
(DNA のメンブレンへの吸着は、pH7.5 以下においてのみ効
率的に行われるので、pH 指示薬により pH7.5 以下で黄色、それより高い pH では
オレンジまたは紫色を呈する Buffer QG は、DNA 結合に最適な pH を決定するのに
大変便利である。)
(5)
ゲルと同容量のイソプロパノールをサンプル溶液に添加し、例えば、100mg のア
ガロースゲルスライスには、100μl のイソプロパノールを添加する。チューブを
10 回上下混合する。
12
(6)
ラックにセットした 2ml コレクションチューブに MinElute カラムを乗せる。
(7)
サンプルを MinElute カラムに添加し、DNA をカラムに結合して、1 分間遠心す
る。最大の回収率を得るために、サンプル液は残さず全てカラムに添加する。カラ
ムへ 1 度に添加可能な最大容量は 800μl である。800μl よりサンプル量が多い場
合には、数回に分けて添加、遠心操作を行う。
フロースルー液は捨て、MinElute カラムを同じコレクションチューブに再度の乗
(8)
せる。
500μl の Buffer QG をスピンカラムに添加し、1 分間遠心する。
(9)
(10) フロースルー液は捨て、Min Elute カラムを同じコレクションチューブに再度乗
せる。
(11)
洗浄のため、750μl の Buffer PE を MinElute カラムに添加し、1 分間遠心する。
(12)
フロースルー液を捨てた後、MinElute カラムをさらに 1 分間≧10,000×g(∼
13,000rpm)で遠心する。
(13)
新しい 1.5ml のマイクロ遠心チューブに MinElute カラムを乗せる。
(14)
DNA の溶出を行うために、10μl の Buffer EB(10mM Tris−Cl、pH8.5)あるい
は DDW をメンブレン表面の中央に添加し、1 分間カラムを放置後、1 分間遠心す
る。
遠心によって得られた溶液が、抽出 DNA である。
3. ハイブリダイゼーション
抽出 DNA を 0.5ml のチューブに取り、1.5M NaCl
1)
buffer
注 6)
で、電気泳動
時のバンドの濃さに応じ適宜希釈する
(DNA 量は 200ng/ml 程度の濃度とする)
。
なお通常の PCR でバンドがしっかりとみられた増幅 DNA(PCR 産物 8μl を泳
動)は 5 倍から 20 倍希釈して用いる。
↓98℃、5 分間加熱処理、直ちに on ice する。
注 7)
マイクロトレイに固定化液
2)
を 90μl 入れ、それに加熱処理した DNA を 10
μl ずつ1検体当たり 3 ウェルに入れる(プローブが 2 種類の時、通常プローブ
の数+1)
。
注 6)
:3 倍濃度 1.5M
EDTA、pH7.0
NaCl
buffer:4.5M
NaCl、30mM リン酸二ナトリウム、30mM
(使用時には最終濃度 1.5M NaCl buffer として用いる。)
13
注 7)
:固定化液:3 倍濃度 1.5M
NaCl
図 1.
buffer
3.0ml、DDW
トレイのレイアウト
1
試
6.0ml
薬
2
3
4
5
6
7
N G
C 1
G
2
検 検 検
体 体 体
A
○
○
○
○
○
○
○
Control
B
○
○
○
○
○
○
○
RING1-Tp(a),(b) プローブ
C
○
○
○
○
○
○
○
RING2-Plate プローブ
D
○
○
○
○
○
○
○
↓プレートにシールし、37 ℃恒温漕に重しをして沈めて 2 時間以上置く。
PBS-T でプレートを 3 回洗浄する。
3)
表 6.に示したようにプローブの調製を行い、98 ℃、5 分間加熱処理、直ちに
4)
on ice する。
表 6.
プローブの調製(1 検体当たり)
プローブ
100pmol/μl プローブ
(プローブ コントロールは TE)
100μg/ml サケ精子 DNA
RING2-Plate
コントロール
ビオチン標識プローブ
ビオチン標識プローブ
TE
1μl
RING1-Tp(a) プローブ
RING1-Tp(b) プローブ
各 0.5μl
RING2-Plate プローブ
1μl
5μl
5μl
5μl
3.3μl
3.3μl
3.3μl
0.7μl
0.7μl
0.7μl
注
8)
3 倍濃度 1.5M NaCl buffer
DDW
RING1-Tp(a),(b)
注 8)
:サケ DNA は DNA 量 10mg/ml のものを T10E1 緩衝液で 100μg/ml に希釈し
たもの
5)
表 7.に示したようにハイブリダイゼーション液を調整し、4)のプローブ・サケ
精子 DNA 混合液に合わせる。
14
表 7.ハイブリダイゼーション液(1 検体当たり)
3 倍濃度 1.5M NaCl buffer
30μl
ホルムアミド
50μl
10% Tween20
1μl
DDW
9μl
注 9)
注 9)
:ハイブリダイゼーション液は使用前に冷やしておく。
5)の混合液を各ウェルに 100μl ずつ入れる。
6)
↓
プレートにシールをし、45 ℃恒温漕に重しをして沈め、6 時間以上あるい
は 1 夜置く。
シールのプレート側を内側にして巻き込むように剥がす(プレート内の DNA を
7)
撒き散らさないように包み込む)
。45 ℃に温めておいた PBS-T で 3 回洗浄する。
プレート洗浄時にはプレートをペーパータオル等で包み、その後叩き水分を完全
に除くと同時に DNA を周りに撒き散らさないように細心の注意を払う。使用した
ペーパータオル、洗浄液等は 1000ppm の次亜塩素酸ソーダに漬ける。
ストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ(1%BSA+PBS-T で適宜希釈したも
のを全てのウェルに 100μl 入れる。ストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ入
れた容器は使用後廃棄するか高圧滅菌し、酵素を不活化する。
↓室温1時間置く(軽く振とうするとよい)
。
8)
プレートを PBS-T で 5 回洗浄する。
9)
全てのウェルに発色液
注 10)
を 100μl 入れる。
注 10)
:TMB 1mg、 DMSO 1ml、phosphate-citrate buffer 9ml (0.2M リン酸水素二ナ
トリウム 25.7ml、 0.1M クエン酸 24.3ml、 DDW 50ml、 pH5.0)を作製し、
30%過酸化水素水 2μl を使用直前に入れる。
↓室温 15 分間(プレートは遮光しておく)
。
10)
停止液(4N 硫酸)を 50μl 入れる。
11)
450nm で吸光度を測定する。
12)
判定:
コントロールに比べ OD 値が 2 倍以上、かつ 0.2 以上の差が認められた
時に陽性とする。
15
B.
ドットハイブリダイゼーションによるノロウイルス遺伝子確認検査
この方法はメンブレンに DNA を吸着させて行う方法である。他のウイルスでは一般
的にこの方法が用いられている。
1. 必要な器具と試薬
1) 器具
恒温水槽、ハイブリダイゼーションインキュベーター、トランスイルミネーター、
ヒートシーラー、ポジティブチャージナイロンメンブレン:Nylon menbranes,
positively charged ベーリンガー Cat.No.1209272、ハイブリダイゼーションバッ
グ:ニッポンジーン,Cat.No.533−19171、タッパー:井内 Code.No. 45-068-022)
2) 試薬
塩化ナトリウム(NaCl)、濃塩酸、DDW、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、マレ
イン酸、塩化マグネシウム(MgCl2)
20×SSC:NaCl
100g を 900ml の DDW に溶解(68℃)し、濃塩酸で pH7.2 に調整
後、DDW で,1000ml とする。
10% SDS:SDS 100g を 900ml の DDW に溶解(68℃)し、濃塩酸で pH7.2 に調
整後、蒸留水を加え全量を 1000ml とする。
N-Lauroylsarcosine:SIGMA, Cat.No. L−5777
ホルムアミド:Wako, Cat.No. 068−00426
Blocking reagent:ベーリンガー Cat.No. 1096176
NBT/BCIP:ベーリンガー Cat.No. 1681451
Buffer 1:0.1M マレイン酸;0.15M NaCl(pH7.5,20℃)pH の調整は pH6.5 くら
いまで固形 NaOH(8.5g)で、それ以降は 1N NaOH を加えて調整する。
洗浄 Buffer:Buffer 1 に 0.3%となるように Tween 20 を加える。
ブロッキング溶液:Buffer 1 で Blocking reagent を 1%とする。
検出溶液:100mM Tris-HCl;100mM NaCl(pH9.5,20℃)10ml に 2.5M MgCl2 を
200μl 加える(最終濃度 50mM MgCl2)
Streptavidin Alkaline Phosphatase:Promega, Cat.No. V5591
ビオチン標識プローブ:プローブにビオチンを標識したもの。
16
2. 操作法
1)
アガロースゲル電気泳動で NV 陽性バンドが認められた部分から DNA を抽出後、
100℃で 5 分間熱変成し、1μl をナイロンメンブレンにスポットし風乾する(上
記ゲルから DNA 抽出を参照)。
2) トランスイルミネータ上でスポットした面を下にして 3 分間 UV 照射する。それ
をハイブリダイゼーションする。
3)
2
溶液量は、約 20cm のメンブレンで計算してあるので、メンブレンの面積によ
って以後適宜調整する。
4)
ハイブリダイゼーション液(表 8.)5ml にビオチン標識プローブを 50μl
(200ng/ml) 加えプローブ溶液を調整し、沸騰水中で 5 分間(98℃、5 分間)加熱しプ
ローブ溶液を調整する。
適量のプローブ溶液(2∼5ml)をメンブレンの入っているバックに加え、バッグ
中から気泡を追い出した後ヒートシーラーでシールする。
5)
42℃の恒温水槽中で 6 時間∼一夜ハイブリダイゼーションする。
表 8. ハイブリダイゼーション溶液
最終濃度
50ml 作るのに必要な量
20×SSC
5×
12.5ml
10% Blocking reagent
2%
10ml
10% N−Lauroylsarcosine
0.1%
0.5ml
10% SDS
0.02%
0.1ml
ホルムアミド
50%
25ml
DDW
6)
2ml
バッグからメンブレンを取り出し、タッパーに移し 0.1% SDS を含む 2×SSC(表
9.参照)20ml で 5 分間、室温で 2 回洗浄する。その後、0.1% SDS を含む 0.1×SSC
(表 9.参照)20ml で 15 分間、42℃で 2 回洗浄する。
使用したプローブ溶液は、数回使用できるので、捨てずに取っておく。使用前に
は、沸騰水中で 5∼10 分間熱変成する。 0.1% SDS を含む 0.1×SSC は、あらかじ
17
めハイブリダイゼーション温度と同じ温度に温めておく。
表 9. 洗浄液の組成
2×SSC,0.1% SDS
0.1×SSC,0.1% SDS
20×SSC
50ml
2.5ml
10% SDS
5ml
5ml
DDW
445ml
492.5ml
Total
500ml
500ml
メンブレンを洗浄 20ml の Buffer 1 に 10% Tween 20 を 600μl 加えた Buffer で
7)
1 分間洗浄する。
8)
ブロッキング溶液 20ml で 30 分間、室温でインキュベートする。
9)
ブロッキング溶液 200ml で Streptavidin Alkaline Phosphatase を 5000 倍希釈し
た溶液 20ml にメンブレンを浸漬し、30 分間室温でインキュベートする。
10)
洗浄 Buffer 25ml で 15 分間室温 2 回洗浄する。
11)
検出溶液 20ml で 2 分間、平衡化のためインキュベートする。
12)
検出溶液 5ml に NBT/BCIP stock 溶液 100μl を加え、発色基質溶液を調整す
る。加える stock 溶液は 50μl でも行える。
13) 検出溶液で平衡化したメンブレンをハイブリダイゼーションバッグに移し、発
色気質溶液を 3∼5ml 加え、気泡を追い出した後ヒートシーラーでシールする。
発色するまで、静置する。発色中は、振とうしたり攪拌したりしない
14)
発色が確認できたら、メンブレンを TE Buffer 30∼50ml で 5 分間洗浄して、
反応を停止させる
3. 判定
スポットが紫色に染色されたものを陽性とする。判定は必ずゲルの陰性コントロー
ルと比較して行う。
18
Ⅲ
リアルタイムPCR法によるノロウイルスの定量的検出法
リアルタイム PCR は RT-PCR 法の1st PCR よりも検出感度が良く、PCR における
増幅産物に蛍光プローブが高い特異性で反応することから、DNA の増殖と定量そして
ハイブリダイゼーションが同時に行われ、電気泳動、確認試験も行う必要がなく、短
時間で結果が得られるという利点がある。一方、機器、試薬が高価であるという欠点
も有する。
ここでは、ABI PRISM 7000(Applied Biosystems) を使った方法を示す。なお、
文献 4)
Kageyama ら
の G2 用のプライマー(図 3 参照)およびプローブではアルファトロ
ン型を検出できないので、少し配列を変えたものを用いている。
1.
必要な器具と試薬
1)
器具
ABI PRISM 7000、マイクロピペット、Micro Amp Optical 96-Well Reaction Plate
(ABI Cat.No. N801-0560) 、 Micro Amp Optical Cap, 8caps/strip (ABI Cat.No.
4323032)〔操作方法は Micro Amp Optical Cap を使用した場合を記すが、Optical
Adhesive Covers(ABI Cat.No. 4311971)、Optical Cover Compression pads (ABI
Cat.No. 4312639)、Adhesive Seal Applicators(ABI Cat.No. 4333183)を用いても良
い〕
2)
試薬
Micro Amp Base(ABI Cat.No. N801-0531)、Taq Man Universal PCR Master
Mix(ABI Cat.No. 4304437)、Taq Man プローブ、プライマー
Distilled
薬工業
2.
water ((Deionized, Sterile, autoclaved, DNase free、RNase free)
和光純
Cat.No. 318-90105、
(以下「Distilled water」という。)
)
反応プレートの準備
ふん便および食品からの RNA 抽出、cDNA の合成は前項 I の RT-PCR 法と全く同一
の方法で行う。
表 10.に示した反応液を調整する。なお、リアルタイム PCR では G1 と G2 を別々
に行う。反応液量は食品の時には 50µl が望ましい。ふん便材料の時には反応液量 35µ
lあるいは 25μl で行ってもよい。
19
表 10. 反応液の調整
試
薬
G1
Distilled water
Taq Man Universal Master MIX
100pmol/μl プライマー
4pmol/μl Taq Man プローブ
G2
13.88μl
16.54μl
25.0μl
25.0μl
COG1F
0.2μl
COG2F
0.2μl
COG1R
0.2μl
ALPF
0.2μl
COG2R
0.2μl
RING1−TP(a)
注 11)
RING2AL−TP
4.29μl
RING1−TP(b)
注 13)
2.86μl
注 12)
1.43μl
計
45.0μl
45.0μl
注 11)
: RING1 ‐ TP(a) : 5'-VIC あ る い は FAM-AGA TYG CGA TCY CCT GTC
CA-TMRA-3’
注 12)
: RING1 ‐ TP(b) : 5'-VIC あ る い は FAM-AGA TCG CGG TCT CCT GTC
CA-TMRA-3’
注 13)
: RING2AL-TP : 5'-FAM あ る い は VIC-TGG GAG GGS GAT CGC RAT
CT-TMRA-3’ または、RING2-TP:5'-FAM あるいは VIC-TGG GAG GGC GAT
CGC AAT CT-TMRA-3’
2)
プレート(Micro Amp Optical 96-Well Reaction Plate)のウェルに 45.0μl ずつ反
応液を入れる。コントロール DNA は 3 ウェル以上、サンプル、陰性コントロール
(NTC:No Template Control)は 2 ウェル使用する。
cDNA 5μl を 2 ウェルずつに加え、蓋(Micro Amp Optical Cap,8caps/strip)を軽
3)
く閉める。
コントロール DNA
4)
7
7
0
G1 と G2 を別々に(10 コピー/5μl)を 10 から 10 コ
ピーまで 10 倍階段希釈し、5μl を3ウェルずつに加え、蓋を軽く閉める。
5)
NTC として DDW 5μl を 2 ウェルずつに加え、蓋を軽く閉める。
6)
プレートを Micro Amp Base にセットし、蓋をしっかり閉める。
7)
ウェルの壁についている反応液を遠心して落とす。(遠心機が無い場合はプレー
トを軽く叩いたり、振り下ろしたりする。
8)
Instrument タブをクリックし、サーマルサイクラー条件を以下のように設定す
20
る。
50℃, 2 分、95℃, 10 分を 1 回、次いで 95℃, 15 秒、56℃, 1 分を 45 回、25℃で
保存。
ランを開始する。
9)
10)
ランが終了したら、データ解析をする。
11)
Threshold Line を設定する。Amplification 上に全てのデータを表示し、グラフ
上の緑色の線を増幅曲線の指数関数的増幅領域の中央に設定し、Analysis をクリ
ックする。緑色の線は、マウスでドラッグするか、Anaiysis Setting 内の Threshold
フィールドに数値を入力することで移動する。
12)
Standard Curve タブをクリックし、Standard Curve を表示する。右側の R2 が
0.990∼1 であればよい(1 に近いほどよい)。
13)
Report タブをクリックし、Report 画面を表示させ、下の画面のウェルをハイ
ライト選択し、解析データを表示させる。(コピー数は Plate 画面でも確認できる。)
2 つのウェルにおいて、実測値 10 コピー以上で陽性とする。
なお、リアルタイム用ノロウイルス G1,G2 コントロール DNA の分与を希望する機
関は、国立感染症研究所 感染症情報センター第六室 西尾 治室長あて、電子メイル
(nishio@nih.go.jp)
で依頼すること。
21
図 2.
ノロウイルス ORF1 部分のプライマーとプローブの位置
ORF 1
5
5'
4485
[4212]
MR3
36
4487
[4214]
[4232]
HEL
PRO
VPg
ORF 2
5374
POL
4565
[4292]
4801
[4528]
4812
[4539]
P2
470 bp
Yuri22F / R
373 bp
G2
164 bp
326 bp
233 bp
4743
4817
[4544]
177 bp
[4337]
123 bp
237 bp
Y1 / Y2
NIPH's
Probe
SR33
P3
330 bp
P1 / P3
4580
4890
[4617]
Y2
SR46,48,50,52 / SR33
P1 / P2
4954
[4681]
470 bp
36 / 35'
NV82,SM82 / NV81
3'
4888
[4615]
Yuri22R
NV81
SR46,48
50,52
MR3 / MR4
G1
4884
[4611]
[4604]
NV82,SM82
Y1
P1
7654 (A)
6950
4766
[4493]
4580
[4307]
Yuri22F
7588
Capsid
5358
4555
[4282]
ORF 3
6950
4836
[4563]
P1-A,B
P2-A,B
[4513]
position…G1, Norwalk/68/US (M87661:Last updated,26-MAR-1997 )
括弧内は G2, Lordsdale/93/UK (X86557:Last updated,15-NOV-1995 )
22
Ando's
Probe
4956
[4683]
MR4
35'
図 3.
ノロウイルス ORF2 部分のプライマーとプローブの位置
ORF 1
ORF 2
5
5374
5'
HEL
VPg
PRO
POL
5291
5342
[5047]
7588
[5384]
[5100]
COG1F
COG2F
ALPF
[5046]
[5079]
G1-SKF
G1-F
G2-SKF
1
G2-F1
G2-SKR
G2AL-SKR
-SKR
381 bp
-SKR
330 bp
ALPF / G2AL-SKR
387 bp
G1-SKF / G1
COG2F / G2-SKR
G2-SKF / G2
COG1F / COG1R
COG2F / COG2R
RING1-TP
RING2-TP
RING2AL-TP
G2-SKF / G2AL-SKR
G1-R1
G2-R1
344 bp
98 bp
5382
5348
G1-3
G1-1
5405
5406
5415
5329
[5067]
[5048]
RING2-Plate
-SKR
G1-SKR
85 bp
ALPF / COG2R
(a)
(b)
5671
[5389]
COG1R
COG2R
G1-F2
G2-F3
COG1F / G1
[5074]
5379
G1-4
[5105]
5439
G1-2
5403
G2-3
[5245]
[5223]
[5247]
[5129]
G2-1
G2-2
position…G1, Norwalk/68/US (M87661:Last updated,26-MAR-1997 )
括弧内は G2, Lordsdale/93/UK (X86557:Last updated,15-NOV-1995 )
23
3'
7654
6950
id
5375
5357
(A)
Capsid
Caps
5358
[5003]
ORF 3
6950
:BML's
:Ishiko's
表 11.ノロウイルスのプライマーとプローブの塩基配列
Primer
36
35'
塩基配列 [5'‐3']
ATA AAA GTT GGC ATG AAC A
CTT GTT GGT TTG AGG CCA TA
sense
+
−
Probe
SR47d:P2B
SR61d:P2A
SR63d:P1A
SR65d:P1A
SR67d:P1B
SR69d:P1A
文献
5
5
A
MR3
MR4
CCG TCA GAG TGG GTA TGA A
AGT GGG TTT GAG GCC GTA
+
−
6
6
TCA TTT TGA TGC AGA TTA
CCA CTA TGA TGC AGA TTA
ACA ATC TCA TCA TCA CCA TA
+
+
−
7
7
7
ATG AAT GAG GAT GGA CCC AT
CAT CAT CCC CGT AGA AAG AG
+
−
8
8
GCT
ACA
GTR
TGG
TCA
GAT
CAG
STC
GAC
GAM
TAC
AGT
ACA
TCA
AGK
TCT
GAG
ATY
ACA
GCA
SGS
SAR
TCA
CAR
CAS
TGG
CCA
TCA
CAG
AGA
GA
GTG
TC
AG
GT
+
−
−
+
−
9
9
9
9
9
TGT
TGG
GTG
GTG
GTG
CAC
AAT
AAC
AAC
AAC
GAT
TCC
AGC
AGT
AGT
CTC
ATC
ATA
ATA
ATA
ATC
GCC
AAT
AAC
AAC
ATC
CAC
CAC
CAC
CAT
ACC
TGG
TGG
TGG
TGG
−
+
+
+
+
10
10
10
10
10
CTG
AAT
CCA
CNT
TTG
CCR
CCA
CCC
GAT
ACC
GGG
TGA
CCN
CCA
GAA
GAT
CAR
AGG
ATG
GCA
GCA
TTY
GGC
CCA
GCG
AAG
TRH
TAT
GTA
GTC
TTR
ATC
ATG
CCR
GAA
AAT
TAA
TAC
GCA
GCG
TTR
TTG
GA
GGA
A
A
TCG A
TAC AT
TAC AT
+
+
−
+
+
−
−
11
12
11
11
12
11
13
CGY
CTT
CAR
TTT
TCG
TGG
AGA
GAR
GAG
ACG
ATG
CGC
BCN
TCC
CCA
CGN
CAT
ATG
ATG
TCT
TTY
CAT
TTY
TAC
TCA
CAT
CAT
AGR
AAG
TTC
GA
+ 4
TYA C
− 4
TGG ATG AG + 4
TGG ATG CG + 13
ACA
− 4
A
NW82
SM82
NW81
[5'‐3']
GGG GAC AGG
GGG CCT AGT
GGA GAG TGC
GGT GAT AAG
GGT GAG AGA
GGT GAT AGG
TTT
CCT
CCA
CCA
CCT
CCT
GT
GT
CT
GT
GA
GT
sense
−
−
−
−
−
−
文献
10
10
10
10
10
10
A
A
YURI22F
YURI22R
塩基配列
ATG TCA
ATG TCG
ACA TCA
ACA TCA
ACA TCT
ACA TCG
RING1‐TP(a)
RING1‐TP(b)
RING2‐TP
RING2AL-TP
RING2‐Plate
AGA
AGA
TGG
TGG
TGG
TYG
TCG
GAG
GAG
GAG
CGA
CGG
GGC
GGS
GGC
TCY
TCT
GAT
GAT
GAT
CCT
CCT
CGC
CGC
CGC
GTC
GTC
AAT
RAT
AAT
CA
CA
CT
CT
CTB GCT CCC
+ 4
+ 4
+ 4
+ 13
+ 13
G1-1(Ishiko)
G1-2(Ishiko)
G1-3(Ishiko)
G1-4(Ishiko)
G2-1(Ishiko)
G2-2(Ishiko)
G2-3(Ishiko)
CCA
CAG
CCT
GCT
ATA
ATA
CGC
ACA
TTG
CAA
ACA
ATT
ATT
CGC
AAC
GTA
AGC
CCA
GAC
GAT
TCC
ATG
CCG
GCT
AGC
CCC
CCC
ATC
GAT
GAG
GAT
GCA
TGG
TGG
TAA
GGC
GTT
GGC
GAT
ATT
ATT
TGA
ACC
AAT
GCA
GGC
AGA
ATG
TGG
+
+
+
+
+
+
+
=
=
=
=
C,G
A,G
A,C
A,C
or
or
or
or
A
P1
P2
P3
Y1
Y2
A
SR33
SR46
SR48
SR50
SR52
IUB CODES
R = A or G
Y = C or T
K = G or T
M = A or C
S = G or C
W = A or T
N = aNy base
A
G1‐SKF
G1‐F2
G1‐SKR
G2‐SKF
G2‐F3
G2‐SKR
G2AL-SKR
A
COG1F
COG1R
COG2F
ALPF
COG2R
24
B
D
H
V
T
T
T
G
AGT
GCT
AGC
GCC
AA
AAT
TGC
G
T
A
A
A
14
14
14
14
14
14
14
Ⅳ
文献
1)
藤本嗣人、西尾
2)
Inoue S. et al. : J. Clin. Microbiol. 28:1469 (1990)
3)
西尾
4)
Kageyama K et al;: J. Clin. Microbiol. 41:1548 (2003)
5)
Moe
6)
Lew J.F. et al.:J. Virol. 68:3391(1994)
7)
林直志他:未発表
8)
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9)
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治
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他:日本臨床 60:1175(2002)
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11)
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12)
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13)
西尾
14)
石古博昭他:未発表
治他:未発表
(国立感染症研究所感染症情報センター第六室
25
西尾
治)
投稿中