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活用事例
インタビュー
株式会社 WindStyle 様
建築分野でSTREAMが活躍、ビル風の予測から風力利用まで活用
は幅広く
風工学のコンサルティングを行うWindStyleでは、ビル風などのシミュレー
ションをSTREAMを使って行っている。CFDを活用すれば、従来の風洞実験
と比べて迅速に解析結果を得られる、顧客への説明をグラフィックで見せる
ことができるといったメリットがある。さらに、建築の分野では「ビル風=
風害」だけではないさまざまな使い道があるという。詳細について株式会社
WindStyleの松山哲雄氏に話を聞いた。
WindStyleは風工学に関するコンサルティングを行う企業だ。同社代表取締役社長
の松山哲雄氏は2003年に熊谷組から独立、今日に至るまで累計で約300件のコンサル
ティングを手掛けてきた。同社では建築物の風に関わる問題に対して、流体解析ソフ
株式会社WindStyle
設 立
2003年12月
事業内容
風工学分野の研究開
発、および関連技術
サービスの提供等
代表者
代表取締役社長
松山 哲雄
本 社
新潟県新潟市秋葉区
トウェアSTREAMや風洞実験によってシミュレーションを行った上で、顧客に合わせ
たアドバイスを行っている。
WindStyleへの依頼で現在とくに多いのは、マンションなどの高層建築物が建つ際の
ビル風の評価である。強風によって人が倒れたり洗濯物が飛ばされたりといったトラ
ブル、いわゆる風害をあらかじめ予測するためのものだ。高層建築物による風害に対
しては法律による規制がまだないこともあり認知度が低く、建設予定地の住民から建
築主(不動産会社)や設計・施工者に問い合わせが来た段階で、建築主がWindStyleに
依頼することが多いという。中でも10階建て以上の建築物の依頼が多いそうだ。
同社のように高層建築物が周辺地域に与える風の影響について専門に取り組んでいる
所はまだ少なく、大手ゼネコンが大型プロジェクトで行っている程度だという。しかし、
住環境への関心が高まる中、建設前に風の影響を検討するという機運は高まりつつある。
モデリングのため現地調査
ビ ル 風 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に 際 し て は、
CFDと風洞実験のどちらにおいても3次元モ
デルのデータが必要になる。建設予定の建物
を中心として通常半径300 ∼ 400m程度の範
囲で、地形や周辺の建物、樹木などを再現す
る。建設予定の建物については、たいてい依
頼者からCADデータを受け取るが、ほとんど
の場合が2次元図面であるため、3次元モデル
を書き起こす作業が必要だ。周辺の建物や地
形については丸1日ほどかけて現地調査をする。
中心近くの建物については屋根の形まで記録
株式会社WindStyle
代表取締役社長 松山 哲雄 氏
活用事例インタビュー
するという。市販されている航空測量の
の数値をもとに依頼者への報告書を作成
また精度を高めようとしてむやみに
データも合わせて使用する。こうして集
したり、場合によっては STREAMでアニ
メッシュを細かくするのではなく、結果
めたデータや写真、またGoogleストリー
メーションを作成して住民説明会で説明
を分析してどう設計に反映していくかが
トビューの写真なども参考にしながら、
を行ったりするという。
重要だという。「CFDの結果は平均値で
あり、誤差はどうしても出てくるものだ
3次 元CADのGoogle SketchUp上 に 必 要
なモデリングを行っていくという。
国産なので深く使いこなせる
と考えています。むしろ誤差特性をふま
えることで、さまざまな結果の使い道が
あります」(松山氏)ということだ。
続いて風洞実験においては、木や押出
松山氏が独立するときに、いくつかの
発泡ポリスチレンなどによる手作り、ま
CFDツールは検討したものの、やはり国
たは樹脂成形による3Dプリンタなどを利
産のツールのほうが深く使いこなせると
風洞実験とCFD、それぞれの長所
用して、実験用の300 ∼ 400分の1モデル
考えたことからSTREAMを選んだという。
で使い分け
を作成する。そして測定したい箇所にセ
「海外のツールだと場合によっては国内
ンサーを取り付けて、各点における風向
では対応できず開発元の国とやり取りす
風洞実験では時間による変化を迅速に
き、および風速のデータを風洞で測定する。
るため手間が掛かるということもあり得
計測することが可能だ。また実際の空気
ます。またテキストベースで解析の設定
で調べるのでデータの信頼度は高いとさ
ができ、専用ツールを使わなくてもカス
れる。なお風洞実験は、一度準備をすれ
タマイズできたのも好材料でした。その
ば10分間の変化を10秒に短縮して得ら
STREAMでの解析においてはCADデー
後VBScriptに対応したことよって、さら
れ、1 ∼ 2時間で16風向のデータを取る
タをSTL形式に落とし込み、メッシュを
に使いやすくなりました」(松山氏)。
ことができる。
入力して解析を行う。中心部は50cm刻
STREAMでの解析作業においてとくに
欠点としてはモデル作りおよび風洞利
みに、周辺部は5m刻みにといった具合
重要なポイントとなるのは、最初のモデ
用に時間とコストが多く掛かることや、
で1000 ∼ 2000万程度のメッシュを切り、
ルの作り込みだという。これはかなり手
風洞を利用するため遠方に出向くことも
通常は6コアのマシンで解析する。条件
間のかかる作業だが、モデルデータが
あるので小回りが利きにくいなどがあげ
は最低でもマンションを建てる前と後の
変わると解析結果も大きく変わるという。
られる。通常1つの案件につき500万円以
状態で全方位(16風向)、合計32パター
そのため納期が短いときでも、この作業
上、期間は2か月程度かかるという。た
ンを計算する。
は削れないということだ。
だ風洞実験は共通のノウハウや歴史があ
CFDシミュレーションの手順
切って、境界条件はテキストファイルで
以上のシミュレーション結果を踏まえ、
風の流れが強い場合は木を植えたり、建
物の位置や形状を変更したりといった対
策を考える。そしてそれを再度CFDで検
討し、対策をアドバイスする。なお、風
環境の評価には村上評価という指標が
ある。これは、3段階の大きさの日最大
瞬間風速ごとに、発生頻度を年間におけ
る日数の割合で表し、それぞれの風速ご
とにランク分けするものだ。これらの数
値は、実際に住民の体感を調査した結果
に基づいて決められており、一定の数値
を越えると許容外と判断される。これら
常緑高木の設置による風速低減効果を確認したケース
防風対策の検討事例(都内某所)
活用事例インタビュー
り、実際の空気でシミュレーションを行
本の夏には冷房器具が欠かせないが、シ
対するハードルになっているのかもしれ
うので細かい流れも再現できる。データ
ミュレーションを使えば、多くの家庭で
ません」
(松山氏)
。同氏が初めてCFDを
はセンサーを設置したピンポイントでし
すべての時間帯とは言わなくてもクー
操作した15年前から、ハードおよびソフ
か得られないものの、精度が高く時間変
ラーをつけずに過ごせる時間帯を増やせ
トは進歩し、解析スピードは劇的に速く
化も測定することができる。
るようになるという。通風口を適切な位
なった。しかし、
それでも1台のコンピュー
置に設けて、必要な時間のみ自動開閉を
タでできることには限界がある。例えば、
一方、CFDは「依頼から1、2週間以内
行う、空気取り込み口に池を配置して冷
近い将来はその場で顧客を交えてリアル
で、迅速に何らかの結果を顧客に示せる
たい空気を取り込むなどといった対策を
タイムで検討するといったことも考えら
ツールだ」と松山氏は述べる。風洞実験
すれば、冷房器具の使用を極力減らすこ
れるが、その場合もクラスタは必須だろ
ほど制作時間が必要ではなく、実験場へ
とができる。このように空気の流れを設
うと松山氏は考えている。
「建築分野で
の移動も必要ない。また、風洞では難し
計段階であらかじめシミュレーションす
並列マシンを使うことができれば可能に
い空気の流れを可視化することも容易で
ることにより省エネ住宅を実現できる。
なる解析は多くあります。ですが、お金
がかかりすぎてしまうと、たとえCFDの
あり、アニメーションを見ながら議論や
相談をすることができる。さらには、木
さらに高層建築物は上層部で強い風を
利用が有益な案件であっても社内を説得
を植えたり建物の設計変更といった条件
受けるために風害を引き起こしやすいが、
できないケースが多いのではないか」と
変更も簡単な上に、変更前後の空気の流
見方を変えれば風のエネルギーが豊富と
松山氏はいう。課金システムが変われば、
れの変化も簡単に比べることができる。
いうことだ。建物自体の形状や配置を工
今までは使えなかった分野でも活用でき
夫することによって、うまく風をいなし
るだろうということだ。
しかし、精度の面では風洞実験に劣る
たり、内部に取り込んだり、風力発電な
部分が多いと指摘する。精度を高めるた
ど積極的な風の利用も行えるかもしれな
建築分野におけるCFDシミュレー
めにはメッシュを細かくすればよいが、
い。
「メッシュを25cmにすれば、マンショ
ションの今後
数 cmのメッシュを切った場合にやっと
ンの周辺と同時に中の空気の流れまで同
風洞レベルに近づけるのではないかとい
時にシミュレーションができるようにな
「ビル風については、人が倒れたり洗濯
う。そうすると計算規模が大きくなりす
るかどうかということも確かめています。
物が飛ばされたりといったマイナスの面
ぎ、現状では不可能だという。究極的に
将来ハードやソフトの進化、並列化など
が注目されがちですが、風力として利活
は時間に応じた変化も解析できればいい
が進めば、STREAMが使われる範囲はさ
用するという発想の転換もできます。そ
が、CFDでは今のところ基本的に平均値
らに大きくなるでしょう」と松山氏はいう。
の利用にシミュレーションは非常に役に
立ちます」
(松山氏)
。さらに「こういっ
を出すものとして使用している。「あら
ゆる場面で風洞レベルに精度を近づける
課金システムが変われば需要の変
た問題は日本に限ったことではありませ
必要はなく、むしろCFDは速い、可視化
化も
ん。電力供給の安定しない国で冷房器具
が止まってしまうことがあっても快適に
できる、変化を抽出し分析しやすい、一
方、風洞実験はピンポイントではあるが
建築分野で大きな可能性を秘める
作業ができるように、換気のよい建物を
精度が高いというそれぞれの長所を利用
STREAMだが、一方で解析を幅広い分野
建てようというアイデアも発表されてい
すればよいでしょう」と松山氏はいう。
に応用するためには並列化による高速・
ます」
(松山氏)
。将来、国内外を問わず
大容量化が必須だと松山氏はいう。そこ
建築分野では幅広い応用が可能であると
でソフトウェアクレイドルに対しては課
松山氏は期待を寄せる。STREAMの進化
金システムの柔軟化も視野に入れてほし
とともに、WindStyleの活躍分野も大きく
CFDのこのような長所を生かせば、建
いということだ。
「かつて想像していたほ
広がることだろう。今後の展開が楽しみだ。
築分野においてもっと多くの有益な使い
どに建築分野でCFDが活用されていない
道があると松山氏は力説する。その用途
ように感じます。並列利用をすると追加
のひとつが、戸建て住宅への適用だ。日
の課金が発生するため、思い描く活用に
積極的な風力利用を提案したい
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STREAMが採用する直交構造格子は計算用格子作成が非常に簡便で、高速に演算が
できます。微小な曲面や斜面を忠実に再現しなくても全体の流れを検討できる対象
物において、最大のパフォーマンスを発揮します。また、離散化手法として多くの
熱流体解析で採用している有限体積法を用い、100万要素の解析でも約350MB程度
のメモリで計算が可能です。さらに、VBインターフェースやテーブル入力型の関数
登録など、お客様用にカスタマイズできる機能も充実しています。
● この記事に関するお問い合わせは下記まで。
株式会社ソフトウェアクレイドル
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