情報化施工によるトンネル工事 未固結地山における近接施工について

情報化施工によるトンネル工事
未固結地山における近接施工について
横山
1,2,3金沢河川国道事務所
一星1・中波
工務第二課
政志2・丸山
(〒920-8648
準3
石川県金沢市西念4丁目23番5号)
金沢東環 卯辰トンネル(Ⅱ期線)工事(以下、本工事と称す)は、一般国道159号(通称山側
環状)四車線化工事のうち、供用中のⅠ期線トンネル(現在37,000台/日)との純離隔が15~25
mの近接位置に計画された延長1 200mのⅡ期線道路トンネル工事である。
本報告書は、未固結地山におけるⅡ期線トンネル近接施工時の問題点および問題解決のため
に必要とされた解析計画、Ⅰ期線トンネル計測監視計画ならびに得られた情報を活用した施工
技術について述べるものである。
キーワード: 近接施工、未固結地山、FEM 解析、動態観測、情報化施工
1. 工事概要
工 事 名:金沢東環 卯辰トンネル(Ⅱ期線)工事
路 線 名:一般国道159号 金沢東部環状道路
工事場所:石川県金沢市東長江町~同市鈴見台地先
工
期:平成21年3月11日
~平成23年9月30日(31ヶ月)
L=1 198.8m
工事内容:トンネル掘削工
覆工・インバート工 L=1 198.8m
坑内付帯工
1式
坑 門 工
2基
地盤改良工
1式
地形概要:津幡、森本丘陵と称する標高200m以下の低
平な山地丘陵性山地南端に位置し、金沢市
写真-1 供用環状道路との離隔状況(起点側)
街を北西に流下する金腐川と浅野川に挟ま
れた丘頂標高141mの卯辰山に位置する。最
大土被り85m、3つの沢横断がある。
地質概要:坑口部…固結度の低い砂層(Uc<5,Fc<10)
中間部…一軸圧縮強度 2 000kN/m2 以下
砂岩、泥岩、泥岩礫岩互層
均等係数Uc=1.5~2.9%
細粒分含有率Fc=0.2~6.9%
自然含水比 13%
Ⅰ期線との離隔:トンネル中心離隔<3D(全線)
コンクリート壁面純離隔15~25m
特殊条件:終点側坑口部は、地すべり地帯に指定される
区域に位置し、土質条件は旧崩積土で構成
される。
写真-2 坑口部全景(終点側)
2. Ⅰ期線トンネル施工から得られた情報
解析値
引張: 2.66
当該地質は、前述工事概要に示すとおり脆弱な砂層を
主体とする未固結地山がトンネル全体を占めている。ま
た、低土被り区間が多く、都市 NATM 施工区分に分類
最大圧縮: 6.01
⇒Ⅱ期線側
される。トンネル地上部には、卯辰山公園への周回道路
最大引張: 2.81
やユースホステル等の施設が位置している。
Ⅰ期線トンネル施工時の情報から、起点側坑口より約
500m 地点(非常駐車帯区間)において、切羽からの突発
湧水を起因とする天端大崩落や乾燥流砂による天端崩落
等のトラブルが2回発生した経緯がある。
単位:N/mm2
また、Ⅰ期線トンネルは大断面トンネル工事であるこ
図-2 覆工内側の応力解析結果図(Ⅰ期線No.78+80)
と、およびトンネル全区間に渡り注入式フォアポーリン
グ工(発泡ウレタン系溶液)を補助工法として併用した
機械掘削工法であったことから、経済的な面からも国内
4. Ⅰ期線トンネル動態観測計画
で有数の大型工事であった事が伺える。
Ⅱ期線トンネル掘削によって発生すると考えられる影
響がⅠ期線トンネルまで及んでいないこと、または影響
3. Ⅰ期線トンネル施工時情報からの解析結果
を及ぼさないよう未然に防止策を講じる時期を見逃さな
いことが供用幹線トンネル内を走行する車両の安全性確
Ⅰ期線トンネル施工時に得られた土質定数、土質分布
保を図る上で最も重要である。
状況ならびに計測データをもとに、本工事着工前にⅡ期
また、事前解析結果で想定される発生事象をとらえる
線トンネル掘削に伴うⅠ期線トンネルへの影響について
ため、効果的な計測監視項目を選定することが重要であ
FEM解析による検証を行った。解析は、分布する地質
る。
の状況をもとにトンネル全線を4つにゾーンニングし、
本工事では、前述3で考えられる発生事象を未然に防
それぞれのゾーンにおける代表断面で解析を実施した。
止するための情報を得るため、各ゾーン代表断面および
(図-1)
その中間点に下記計測機器を設置する計画とした。
この結果、Ⅰ期線トンネルへの影響は必至であり、環
状道路トンネル内を走行する車両の安全確保に配慮した
○トータルステーション自動追尾システム(両坑口)
施工を行うためには、Ⅰ期線トンネルの動態観測計画お
○レーザー距離計([email protected])
[email protected]る必要
○覆工ひずみ計(解析断面×2,8 断面×4 箇所)
性が生じた。特に、起点側坑口部における FEM 解析の
○亀裂変位計(解析断面×2,8 箇所)
結果から、右側覆工壁面肩口(Ⅱ期線側)において引張応
○3軸変位計(解析断面,4 断面×2 箇所)
2
力度σt=2.66N/mm が発生し、右側SL付近においては
○電気式地中変位計(解析断面×2,9 箇所)
2
圧縮応力度σc=6.01N/mm が発生することが懸念された。
(図-2)
確認
代表
①大桑砂層
確認
非駐帯
確認
代表
代表
②天端:泥岩
鏡面:礫岩
確認
代表
③天端:泥岩~砂岩
鏡面:泥岩
図-1 解析断面ゾーンニング図
④卯辰砂層
5. Ⅰ期線トンネル計測内容と目的
各計測機器の設置目的は以下のとおりであり、それぞ
れの監視目的を達成するため高精度の計測機器を配備し
た。また、Ⅰ期線トンネル坑内には終日多くの車両が走
SL
行しているため、常時監視できるよう自動計測システム
⇒Ⅱ期線側
を構築し、異常事態を観測した時点で即座に計測管理担
当者に連絡が届くよう自動通報装置を合わせて設備した。
図-4 計測機器配置図(レーザー距離計)
○トータルステーション自動追尾システム
計測項目
…供用トンネル天端およびSL付近の絶対沈下量
覆工ひずみ測定
を計測監視し、トンネルの変位挙動をリアルタ
亀裂変位測定
★
覆工継目変位測定
(3軸変位測定)
イムに把握することを目的とする。(図-3)
○レーザー距離計
備考
●
4台/断面
★
1台/断面
▲
2台/断面
地中ひずみ測定
▲
▲
SL
…供用トンネル内空幅の変位挙動を常時とらえ、
⇒Ⅱ期線側
覆工ひずみや地中変位を測定していない箇所
の補完計測監視を目的とする。(図-4)
図-5 計測機器配置図(断面変位測定機器)
○覆工ひずみ計
…供用トンネル壁面の周面方向応力増減を監視し、
覆工コンクリートへの影響度合いを監視するこ
とを目的とする。(図-5 ●印)
6. 計測管理基準値
Ⅰ期線トンネル動態観測を実施し、Ⅱ期線トンネル掘
○亀裂変位計
削によって発生すると考えられる影響の程度、ならびに
…供用トンネル壁面のクラック幅の変位挙動を監視
供用幹線トンネル内走行車両の安全性を評価する上では、
し、Ⅰ期線への影響を把握することを目的とす
計測工によって得られる情報を即座にレベル分類し、必
る。(図-5 ★印)
要に応じて施工に反映させて対策する必要がある。計測
○3軸変位計
結果を定量的に評価するためには、あらかじめ管理基準
…供用トンネル覆工コンクリートブロック継ぎ目
部において、ブロック間の相対変位量を監視す
値を定め、管理レベル毎の危険性およびレベルに応じた
対策工を事前に設定しておくことが重要である。
Ⅰ期線トンネルは外環状道路の一部を担う重要な高規
ることを目的とする。(図-5 ▲印)
格道路トンネルである。そのため、定期的にトンネル維
○電気式地中変位計
…Ⅱ期線トンネル掘削に伴い発生する先行ゆるみ
および切羽側方のゆるみ範囲を測定し、必要最
小限のゆるみ抑制対策工や支保強化提案や支保
強化の効果確認を目的とする。(図-5 =印)
持点検が実施されており、本工事着手前の平成 20 年度
にも定期点検が実施されている。
平成 20 年度点検結果から、当該トンネルの判定区分
は『損傷・変状があり、機能低下が見られ補修が必要で
あるが緊急補修を必要としない場合』とされている。
そこで、定期点検結果から評価された健全度に応じ、
本工事においては『設計要領 第三集 トンネル本体工
保全編(近接施工)NEXCO』に示される覆工コンクリ
ートへの許容値の目安ならびに FEM 解析によって得ら
SL
⇒Ⅱ期線側
れた数値をもとに管理基準値を定めた。(表-1)
ただし、計測管理基準値はあくまでも目安としての値
であり、現実の地山状態を必ずしも十分に反映すること
は困難である。そのため、実際に得られる計測結果と解
図-3 計測機器配置図(自動追尾システム)
析結果を対比しながら逆解析を繰り返し行い、施工実績
をもとに随時修正を図っていくこととした。
測 定 項 目
通常体制
注意体制
対策検討体制
厳重注意体制
許容値×50%以内
許容値×75%以内
許容値×100%以内
許容値以上
新たなひび割れ発生
ひび割れの進展
段差の発生
仕切壁の変形
側溝・舗装の曲り
段差の発生
圧ざによる浮き
ひび割れで囲まれた
領域の形成
はく落
目視観察
Ⅰ期線トンネル
Ⅱ期線トンネル
※1
1.8mm
2.6mm
3.5mm
3.5mm以上
1.5mm
2.3mm
3.0mm
3.0mm以上
覆工継目変位測定
1.5mm
2.3mm
3.0mm
3.0mm以上
亀裂変位測定
1.5mm
2.3mm
3.0mm
3.0mm以上
覆工ひずみ測定
(圧縮応力増分)
覆工ひずみ測定
(引張応力増分)
地中ひずみ測定
(L=6.0m地点)
1.8N/mm2
2.7N/mm2
3.6N/mm2
3.6N/mm2以上
0.4N/mm2
0.5N/mm2
0.7N/mm2
0.7N/mm2以上
3.0mm
4.5mm
6.0mm
6.0mm以上
天端沈下量
(-5mm)
(-8mm)
(-10mm)
(-10mm以上)
-23mm
-35mm
携帯メール利用
考
なし
なし
観測報告(1回/週)
施工者→監督者
観測報告(2回/日)
施工者→監督者
→河川国道事務所
・維持出張所
対策工(切羽前方)
グレードⅡ
YES
①-3 ②-4 ③-4 ④-2
NO
※3
切羽安定対策
が必要か
対策工(切羽前方)
グレードⅢ
YES
NO
※4
掘削範囲
YES
Ⅰ期線への
影響許容値超
脚部補強が
必要か
YES
NO
-46mm以上
中間地山への
影響許容値超
施工休止
対策工の検討
(場合によっては、
対策工実施)
施工中止
対策工の検討
(場合によっては、
対策工実施)
坑内計測は
許容値超
脚部補強
YES
NO
※4
早期閉合
NO
対策工(切羽前方)
グレードⅠ
※4
昼夜・休日にかからわず工事関係者に連絡
非常連絡
判定会の招集
→通行止め等の判断
①-4 ②-5 ③-5 ④-3
※2
中間地山への
影響大
はく落防止対策工
補強対策工の施工
緊急連絡
→判定会招集の是非
→判定会の招集
→状況に応じた
通行止め等の判断
対策工(切羽前方)
グレードⅠ
YES
NO
-46mm
場合によっては、
対策工の検討
Ⅱ期線トンネル
Ⅰ期線覆工に
影響あり
はく落防止対策の施工
補強対策工の検討
対 策 工
備
YES
NO
Ⅰ期線トンネル
連絡体制
切羽前方
NO
内空変位測定
水平内空変位量
内空変位測定
絶対沈下測定量
内空変位測定
水平内空変位量
START
①-4 ②-5 ③-5 ④-3
YES
NO
(仮)閉合区間
YES
Ⅰ期線へ影響あり
収束せず
YES
NO
Ⅰ期線覆工への
影響は許容値超
NO
YES
Ⅰ期線防護対策
対策工(切羽前方)グレードⅠ
①-4 ②-5 ③-5 ④-3
Ⅰ期線防護検討
通常体制
注意体制
対策検討体制
厳重注意体制
A
B
C
D
管理基準値
(管理レベルⅠ)
管理基準値
(管理レベルⅡ)
管理基準値
(管理レベルⅢ)
A: 通 常 体 制 …定時計測
B: 注 意 体 制 … 計測頻度強化,現場点検,作業員へ注意強化
C: 対策検討体制 … 計測体制の強化,軽微な対策工の実施
D: 厳重注意体制 … 施工の停止,変状要因・傾向の解析,トンネル補強の検討
表-1 管理基準値および管理体制表
7. 情報化施工によるⅡ期線トンネル施工
動態観測により得られたすべての情報を即座に施工に
反映させ、Ⅰ期線トンネルへの影響を最小限にくいとめ
Ⅱ期線掘削
※1
※2
※3
※4
Ⅰ期線計測データに動きがあり、切羽位置で許容値を超えることが予想される場合
Ⅰ期線坑壁から6m内の地中変位データに動きがあり、切羽位置で許容値を超えること
が予想される場合
切羽(天端、鏡面)が安定せず崩落する場合
切羽到達時に管理基準値の1/2を越える、または切羽後方で管理基準値を超える場合
図-6 掘削補助工選定フロー図
掘削補助工選定フローとⅠ期線トンネル計測情報をリ
アルタイムに検証し、Ⅱ期線トンネル施工に伴い発生す
ると考えられるさまざまな事象に応じて即座に対応し、
走行車両の安全性を確保すべくⅡ期線トンネル施工を行
ってきた。その1例について以下に記述する。
るとともにⅠ期線トンネル内走行車両の安全確保に配慮
したⅡ期線トンネル施工を進める上では、計測管理レベ
ルに応じた対策工をあらかじめ設定しておくことが重要
である。
(1) 起点側坑口部での情報化施工実績
Ⅱ期線トンネル坑口より 50m 掘進が完了した時点に
おいて、Ⅰ期線トンネル計測断面(坑口より 30m 地
しかし、むやみに対策工または支保を増強することは、 点)の計測結果に異常値を観測した。
管理レベルは注意体制レベル(許容値×75%)まで達
掘削サイクルに影響を及ぼすばかりでなく不経済となる。
そこで、本工事においては、前述3でゾーンニングし
し、変位速度に収束傾向が認められなかった。
た各代表断面(図-1)において、ぞれぞれの区間に分布
そのため、掘削補助工選定フロー(図-6)にもとづき
すると考えられる地山条件、発生事象程度に応じた対策
仮インバート工施工へと作業切り替えを行ってⅡ期線ト
工を以下のフローで検討した。
ンネル補強工を実施し、Ⅰ期線トンネルに対する影響低
①本工事に分布する土質条件に見合う効果的な掘
減を図った。(写真-3,図-7)
削補助工のリストアップ
②リストアップされた掘削補助工のうち、安価な
工法から順に掘削補助工を採用した場合の影響
程度の解析検討
③②で解析された掘削補助工について、さらに数
種類の掘削補助工を組み合せて解析再検討
④解析結果をⅠ期線トンネルへの影響程度低減率
で評価し、掘削補助工採用順序のランク付け
以上の解析検討フローによって掘削補助工メニュー採
用順序のランク付けを行い、Ⅰ期線トンネルで実施する
計測データと関連付けを行った掘削補助工選定フローを
作成した。(図-6)
写真-3 仮インバート工実施状況
引張→
覆工応力 S-1
1.0
S-1-1
0.5
S-1-2
0.0
S-1-3
S-1-4
応力(N/mm2)
-0.5
UCL 0.7N/mm2
-1.0
LCL -3.6N/mm2
-1.5
-2.0
左
←圧縮
-2.5
-3.0
右
S-1-3
-3.5
S-1-2
S-1-1
S-1-4
-4.0
7/26
8/15
9/4
9/24
10/14
11/3
11/23
SL
12/13
月日
停電・計器調整
絶対沈下量 F6
2.0
F6-1
F6-2
F6-3
LCL -3.0mm
変位量(mm)
1.0
0.0
左
右
F6-1
-1.0
SL
-2.0
F6-2
-3.0
7/26
8/15
9/4
9/24
10/14
11/3
11/23
F6-3
12/13
月日
停電・計器調整
水平変位量 H1
4.0
H1
伸び→
3.0
UCL 3.5mm
2.0
LCL -3.5mm
変位量(mm)
1.0
0.0
左
右
←縮み
-1.0
H1
-2.0
SL
-3.0
-4.0
7/26
8/15
9/4
9/24
10/14
11/3
11/23
12/13
月日
地中変位量 E-1
E-1-1
2.0m
E-1-2
4.0m
E-1-3
6.0m
E-1-4
8.0m
E-1-5
10.0m
E-1-6
12.0m
上限管理値:6.0mm
6.0
5.0
変位量(mm)
伸び→
4.0
3.0
2.0
1.0
←縮み
0.0
-1.0
-2.0
Ⅰ期線側
-3.0
写真-4 Ⅰ期線覆工コンクリートはく落対策実施状況
Ⅱ期線側
-4.0
-5.0
-6.0
下限管理値:-6.0mm
SL
11/23
E-1-1
11/3
12/13
E-1-6
10/14
月日
E-1-5
9/24
E-1-4
9/4
E-1-3
8/15
E-1-2
7/26
S-7-1
上限管理値0.7N/mm2
S-7-2
0.4N/mm
2.0
D-1-2-X
1.0
0.0
左
右
S-7-3
S-7-4
S-7+5-1
-1.0
S-7+5-2
UCL 0.7N/mm2
-2.0
←圧縮
D-1-2-Y
D-1-2-Z
0.0
応力(N/mm2)
D-1-1-X
D-1-1-Y
D-1-1-Z
1.0
引張→
上限管理値:3.0mm
3.0
変位量(mm)
←縮み
伸び→
覆工応力 S-7
2.0
覆工継目変位量 D-1
LCL -3.6N/mm2
-3.0
下限管理値3.6N/mm2
左
-4.0
-1.0
-3.1N/mm
D-1-1
D-1-2
-2.0
7/26
8/25
9/24
10/24
11/23
12/23
1/22
2/21
3/23
4/22
5/22
6/21
7/21
S-7-4
下限管理値:-3.0mm
-3.0
7/26
8/15
9/4
9/24
月日
10/14
11/3
11/23
右
S-7+5-2
S-7-2
S-7+5-1
SL
S-7-1
S-7-3
-5.0
SL
12/23 切羽-5D
12/13
月日
水平変位量 H19
亀裂変位量 K-1
4.0
上限管理値:3.0mm
3.0
UCL 3.5mm
0.0
左
-1.0
右
K-1
SL
-2.0
伸び→
0.0
9/4
9/24
10/14
11/3
11/23
左
-1.0
-2.0
右
H19
-3.0
下限管理値:-3.0mm
-3.0
8/15
LCL -3.5mm
1.0
変位量 (mm)
1.0
2.0
←縮み
変位量(mm)
←縮み
伸び→
K-1 (mm)
2.0
7/26
H19
3.0
SL
-4.0
7/26
12/13
月日
8/25
9/24
10/24
11/23
12/23
1/22
2/21
3/23
4/22
5/22
6/21
7/21
月日
切羽からの離れ
7/26
140
8/15
9/4
9/24
10/14
11/3
11/23
亀裂変位量 K-7
12/13
50
上限管理値:3.0mm
120
40
20
下半
インバート
降雨量(mm)
20
0
10
K-7
変位量(mm)
伸び→
←縮み
30
降雨量(mm)
切羽位置(m)
80
60
3.0
上半
40
100
-20
-40
0
7/26
8/15
9/4
9/24
10/14
11/3
11/23
UCL 3.0mm
LCL -3.0mm
2.0
1.0
0.0
左
右
K-7
-1.0
-2.0
SL
下限管理値:-3.0mm
-3.0
12/13
7/26
8/25
9/24
10/24
11/23
12/23
1/22
2/21
3/23
4/22
5/22
6/21
7/21
3/23
4/22
5/22
6/21
7/21
月日
月日
切羽からの離れ
7/26
Ⅰ期線トンネル変状傾向増加
8/25
9/24
10/24
11/23
12/23
1/22
2/21
50
50
上半
40
30
下半
40
インバート
10
30
0
-10
20
降雨量(mm)
仮インバート採用・施工開始
切羽位置(m)
20
降雨量(mm)
-20
-30
10
-40
図-7 Ⅰ期線計測情報活用例(坑口より 30m 地点)
-50
0
7/26
8/25
9/24
10/24
11/23
12/23
1/22
2/21
3/23
4/22
5/22
6/21
7/21
月日
Ⅰ期線トンネル変状傾向増加
はく落対策工実施
(2) 中間部での情報化施工実績1
図-8 Ⅰ期線計測情報活用例(坑口より 390m 地点)
Ⅰ期線トンネル施工時の情報から、Ⅰ期線トンネル非
常駐車帯区間では天端大崩落を2回発生させた経緯があ
る区間である。Ⅰ期線トンネル計測断面(坑口より
390m 地点)における計測結果から、Ⅱ期線トンネル掘
削に着手する以前より変位挙動傾向が認められていた。
計測監視頻度を高めるとともに計測機器を追加配備し
てⅡ期線トンネル掘削を 250m 地点まで継続してきたが、
対象区間の計測結果に収束傾向が認められなかった。
そのため、Ⅱ期線トンネル掘削影響範囲に入る前段階
ではあったが、対策検討体制レベル(許容値×80%)に
達したため、掘削補助工選定フロー(図-6)にもとづき
Ⅰ期線覆工コンクリートはく落対策を施し、走行車両の
安全確保を図った。(写真-4,図-8)
(3) 中間部での情報化施工実績2
坑口より 950m 地点に到達するまで、Ⅱ期線トンネル
では未固結地山性状に伴う天端小崩落や側壁流砂現象、
突発湧水等のトラブルがたびたび発生した。(写真-5)
しかし、土被り条件やⅠ期線トンネルとの離隔条件も
変化し、FEM 解析結果からもトンネル掘削による影響
が小さくなると想定された区間に達した。
Ⅰ期線トンネル坑内計測の結果、Ⅱ期線トンネル掘削
による影響程度が小さく切羽状態もやや安定状態となっ
てきたため、当初設計時よりも支保を軽減し経済性の向
上を図った。(図-9)
Ⅱ期線トンネル変位傾向増大
脚部補強工実施
写真-5 760m 地点右側壁流砂現象発生状況
水平変位量 H46
図-10 ⅠⅡ期線トンネル沈下測定経時変化図(1160m 地点)
支No.967基土平崩壊
5.0
伸び→
3.0
2.0
8. まとめ
+1.0mm
1.0
変位量 (mm)
H46
上限管理値
4.0
0.0
-1.0
←縮み
左
右
-2.0
下限管理値
-3.0
H46
-4.0
-5.0
5/22
SL
6/21
7/21
8/20
9/19
10/19
月日
11/18
12/18
1/17
2/16
11/18
12/18
1/17
2/16
10/28 -5D
切羽からの離れ
5/22
50
6/21
7/21
8/20
9/19
10/19
50
上半
40
30
下半
40
インバート
10
30
0
-10
20
降雨量 (mm)
切羽位置(m)
20
降雨量(mm)
-20
-30
10
-40
-50
0
5/22
6/21
7/21
8/20
9/19
10/19
11/18
12/18
1/17
2/16
月日
図-9 Ⅰ期線計測情報活用例(水平変位測定経時変化図)
(4) 終点側坑口部での情報化施工実績
終点側坑口部は地すべり地帯に指定される区域に位置
し、土質条件は旧崩積土で構成されるため、トンネル施
工に際しては特に細心の注意を図る必要があった。
上半掘削については貫通点まで順調に到達できたが、
坑口付け完了後下半掘削施工に着手したところ、左側
(Ⅰ期線側)側壁からの抜け出し事象が発生した。さら
に、下半基盤から自噴する湧水も発生し始めた。
下半側壁抜け出し発生以後、Ⅰ期線トンネル計測断面
の計測結果には特出すべき変状傾向は認められなかった
が、Ⅱ期線トンネル坑内で実施する内空変位測定結果に
急激な沈下傾向が確認された。
そのため、Ⅰ期線トンネルに影響を与える前に、Ⅱ期
線トンネル脚部補強工を切羽後方より実施した。
(写真-6,図-10)
本工事は、未固結地山条件下における直接影響領域に
分類される近接施工トンネル工事であり、Ⅰ期線トンネ
ル内を走行する車両の安全確保を図る上で細心の注意を
図った施工が求められていた。
そのため、Ⅰ期線トンネル施工時に得られた情報をも
とに、トンネル工事着手前に FEM 解析を実施し、変状
発生時の対策工メニューを地山性状毎にランク付けして
施工に望んだ。
また、Ⅱ期線トンネル施工時に得られた新たな地質分
布条件や土質定数等の情報をもとに解析の再評価、管理
基準値の見直しを行ってきた。また、Ⅰ期線トンネル坑
内で実施する計測結果と解析結果の整合性を確認し、Ⅱ
期線トンネル施工に即座に反映させるよう管理体制も整
備した。その結果、経済的かつ効果的なトンネル構築を
図る上で、情報化施工は非常に有効な手法であったとい
える。
9. 今後の課題
トンネル工事着工当初は、地上から実施した鉛直ボー
リング調査から得られる点の情報や、坑口から実施した
水平ボーリング調査から得られた線の情報をもとに地中
構造物全貌を想定した設計評価であることから、設計と
実施工にはまだまだ大きな差違が生じているのが現状で
ある。
そのため、掘削施工期間においてはさまざまなトラブ
ルが発生し、作業の安全を確保することすら困難な場合
も考えられる。
よって、今後は、トンネル前方探査情報化に対する技
術を促進し、トンネル工事期間中の安全確保について取
り組んでいくことが重要である。
謝辞:本論文のとりまとめに際し、ご協力いただいた
関係各位に感謝申し上げます。
写真-6 切羽後方脚部補強工実施状況(1160m 地点左側)