すばる03号 - 勁草学舎

第3号
発行
すばる
写真は勁草学舎で栽培
日本適応指導教育研究所
している野菜たちです。
勁草学舎
今年もこんなに立派に
親子マンボウの会
実をつけました!
去る 5 月 21 日に、勁草学舎の姉妹校である苅草学院において教員の「全体研修会」が催され、
そこで苅草理事長から以下のような方針が示されました。研修会には勁草学舎のスタッフも皆
参加しました(勁草学舎入口にポスターが掲示しております)。そこで示された“教師観”、
“教
育観”は、本質において勁草学舎も志を同じくするものであり、それゆえにぜひ「昴」誌上で
それをみなさんにご紹介させていただきたいと思いましたので、今回ここに、そのままのかた
ちで、掲載させていただくことにいたしました。
平成 18 年教師研修に向けて
1
学習塾の使命とは
学習塾の生命線はなんと言っても「教務力」
がどれだけ優れているかにつきます。この教務力は、
商売に例えれば「商品」にあたり、それを買ってくださる顧客、即ち「生徒・保護者」のご要望
にあったものを提供しなければなりません。例えば、教科指導について言えば、「1 から 2」、「2 か
ら 3」、「3 から 4」というように、成績の向上を親が望むならばそのような指導をするべきであるし、
開成にどうしても合格したいと言う生徒にはそれに合った指導をするべきなのです。それが学習塾
の使命です。
2
プロの教師とは
「プロの教師」の技とは、難しい問題、つまらない勉強を、いかに分かり易く、楽しく教え、
学力を伸ばすかというところにあります。たとえ教師がいくら真面目に教えたとしても、つまらな
い授業をしていたのでは生徒はついていきません。そうなれば、生徒は苅草学院にくる価値を認め
ず、結局は退塾してしまいます。ですから、我々は常に塾のプロの教師として、生徒に「魅力と感
動」を与えるような価値のある授業を常に行わなければならないのです。そのためには教師は、時
、「学者」、「芸者」、「易者」、「役者」の五役を演じる必要があるのです。
には「医者」
3
学習塾の教務力とは
親は、我々よりも、はるかに的確な情報を持ち、チラシ広告や宣伝に迷わされることなく、それ
ぞれの学習塾を評価しています。特に「教務力」については詳細に分析し、どの塾がわが子に合う
良い塾なのかを「血眼」になって探しているのです。元気に伸びている「勝ち組」の塾は「高い
教務力」を持ち、顧客のために本気で頑張っている塾ばかりです。
私は、この地域の特性を考えて、人間教育をもできる教師であれば更にすばらしい教育が出来る
と思うのです。
それでは高い教務力とは、具体的にどのような要件を満たしていることが必要なのでしょうか。
以下に、その要件を挙げてみます。
(1)学力を確実に伸ばし、自信のない子には、しっかりと基礎学力を身につけさせ、希望の学校
に必ず合格させる。
(2)教材・テキスト・テスト等が満足すべきものかどうかを自ら検討した結果、自信と責任を持
って使用する。
(3)人間教育にも力を入れ、一般常識や挨拶、礼儀作法、躾教育も実践する。
(4)子供たちや保護者のモチベーションを向上させる努力――電話、面談等で――を怠らない。
(5)子供たちへの「カウンセリング」が的確に行われるように研究会を随時実施し、専門の機関
との連携を密に行う。
(6)受験校に関する知識と情報を集め、適宜教師研修を行う。
(7)保護者に対して、生徒の学習状況を常にきめ細かく連絡・報告し、また、各種のアドバイス
等を適切に行い、彼らを安心させる。
(8)年間計画・行事(イベント)
・スケジュールの事前通知を徹底するとともに、その内容が魅力
的なものになるように創意工夫する。
(9)保護者会などを通じて、学院と家庭とのコミュニケーション・絆がしっかりしており、どの
ようなイベントを行っても、「集客力・出席率」が 60%を越えている。
上記の 9 項の要件を満たすことが、まずは高い教務力を構成するといえますが、それだけで十分
というわけではありません。というのは、教務力の柱は何と言っても指導する教師の「人間性」で
あり、また、その教師がプロとして恥じない「学力」と「指導力」をどれだけもっているかにか
かっているからです。
4
生徒にとって『最大の環境』は教師である
「子供たちの学力を伸ばすのは素質や遺伝子や能力ではなく環境が第一である。
」というのが現代教
育学の定説です。環境とは物理的な条件では決してありません。一番大切な環境は「人間環境」で
す。生徒にとっては教師です。同様に、子供たちにとっては親であり、身近な大人です。私達周り
の大人が手本・模範を示す、真の環境作りが大切なのです。ですから、我々教師は「教育は感化す
ること」
「教育は変化成長させること」という目的を見失うことなく、良い環境因子となるように切
磋琢磨して、子供たちの前に立ちたいものです。
5
苅草学院の究極の教育目標とは
社会に通用する人間や社会に貢献し活躍する人材の育成、これが苅草学院の目標です。マイナス
をプラスに変えることが出来る、そんな子供たちを育てたい。子供たちの夢を達成する。それが我々
苅草学院職員全員の夢です。これこそ親心に通じる愛情だと思うのです。成績を上げることは勿論
ですが、究極的には子供たちの未来・将来における成功が目標なのです。成功する方法も、幸せに
なる方法も、学校では習いません。なぜなら、答えがひとつでないからです。我々は、子供たちが
自らその「方程式」を解いていく力を養う教育をしていきたいと考えています。そのために、一人
一人の教師に自らの夢を燃やしてもらいたいのです。
6
教師としての資質とは
一人一人の子供たちは、それがどんな子どもであれ、間違いなくやる気を持っているものです。
しかし、そのやる気は土の中にある、小さなか弱い種子です。放っておいたのでは育ちません。周
りの人間が、水を与え、光を与え、適温にしなければなりません。水・日光・温度の役割を果たす
のが、実は教師であり、もっと言えば、この行為こそが教師の最大の『志事』なのです。
《カ=関心・キ=興味・ク=苦心・ケ=研究心・コ=好奇心》は子どもが持っている《カ行の特性》、
即ち、やる気の因子です。しかし、それは本当に小さな芽ですから、心を込めて育てなければなり
ません。やる気の芽は愛情の眼でしか見つけることは出来ません。
「希望を語る」こと
ですから、子供たちの前に立って教えることが出来る資格は「夢を語る」
が出来るかどうかなのです。
教科の指導だけであるならば、21 世紀の今日、すばらしい教育機器もあります。しかし、子供た
ちの心、心理をしっかり掌握して教育(知育・徳育)をすることは、誰にでも出来るというわけに
はいきません。もし、それが可能であるならば、子供たちの学力はもっと伸びているはずだと思う
のです。だからこそ、我々苅草学院の教師はプロの塾教師としての誇りと責任をもって、子供たち
に夢と希望を語り続けたいと思っています。
7
教師として自己変革を遂げるために
あなたはどのタイプかな?(自己評価だけでなく、周囲からどう見られているか、ということも
勘案します)⇒「現在」の自分の振り返りが、
「新しい」自分の出発点になります。
自燃人・・・・・・主体的に自ら燃え、周りに火をつけていく人
可燃人・・・・・・周りに燃える人がいると、自分も火がついて燃える人
不燃人・・・・・・周りに燃えている人がいても、自分は燃えない人
消燃人・・・・・・頑張って燃えている人に冷水を浴びせ、その火を消そうとする人
⇒意欲に水をかける「不燃人」「消燃人」を厳しくただしていくことが出来ているか。
日本適応指導教育研究所・勁草学舎理事長
苅草国光
最近の事件報道に思う
~生徒から問いかけを受けて~
先日ある生徒から話しかけられました。
「井澤さん、最近のマスメディアの報道のあり方に違和感を
感じませんか?」と。私は「もちろん感じるよ、TVを観ながらいつも一人で怒りまくってる。とこ
ろであなたはどういうことに違和感を感じたの?」と聞き返しました。彼は自分が感じたことを話し
てくれたのですが、内容的に「うん、うん、全くその通りだ」というものだったので、
「あのさ、それ
を文章にしてくれないかな、聞き流すにはもったいない内容だと思うので」と頼むと快く引き受けて
くれました。
『今日わが国において、
「少年犯罪」という語句が、新聞記事かTVのニュースを賑わせていますが、
その中でも、子供が実の親を殺害するという事件が非常によく目に付きます(少年犯罪に限ったこと
ではないが)
。
事件を世間に広めるのが、メディア=媒体、いわゆるマスメディアなのですが、このマスメディア
というものが、このような事件について伝えるべきことを、一部しか報道していない気がします。こ
のような事件についてのニュースをTVで見てみると、近隣の方々へのインタビューが必ず出ます。
「○○君はおとなしい子だったよー」、「小さい頃はうちの息子ともよく遊んでた子ですねー」、「真面
目で礼儀正しい子だったのにねー」、「びっくりですー、そんなことする子には見えなかったのにー」
と、こんな感じのインタビューを誰でも一度は見たことあると思います。でも、よく思い出してみて
ください。このような事件においての、こんな近隣住民インタビュー、ほぼ全部と言っても過言では
ないほど、
『子供の評判』ばかりで、
『親の評判』は、著名人等例外を除いて全く報道されないのです。
確かに結果としては、「子供=加害者」「親=被害者」となっていても、そこに至るまでの経緯を紐解
くと、必ずしも「子供=加害者」
「親=被害者」が成立するとは言えない場合も少なくはないはずです。
マスコミの報道によって、世間には、子供の情報は広まり、片や親の情報は出ず、これでは子供の
印象ばかりが強くなってしまい、「とにかく子供が悪かった」、という結論に世間の人々を至らせてし
まいがちだと思います。
何の理由もなく、実の親を殺す子供なんていないはずです。今の日本の報道スタイルを変えること
なんてまず不可能なことなので、とにかく、報道されていない部分もあるということを考えて、
「子供
が親を殺す」という事件から、いろいろ感じてほしいと思います。親も子も、です。
ある朝、パンをかじりながら新聞を読んで、ふと思ったことです。
考えてみてください。子供が親を殺すなんて、こんなに悲しいことはないでしょう』
(生徒S)
こういう訴えを受けると、私は黙ってはいられなくなります。
『子供が親を殺すなんて、こんなに悲しいことはないでしょう』とのS君の気持ちを大事にしなけ
れば、そのためには悲しいことになってしまった事件について、他人事として処理をしてしまっては
いけないのだと思い、早速母親たち数人に集まっていただき座談会を行いました(6 月 7 日)。
私たち大人は、若者たちからのさまざまな発言や訴えに対して、その都度きちんと受け止め、真摯
に反応しているでしょうか?
そういったやりとりが親子間で日頃活発に行われているならば、子供
が親を殺す、という悲しい事件など起こり得るはずはないと思うのです。
井澤「海洋学者のケース、習志野のケースなど、最近の事件報道についてS君から問いかけを受けま
した。彼は報道のありようについて自分が感じた事実をそのまま表現しています。こういう彼
の日頃の姿勢が、彼の精神活動や感性を磨いています。彼は、物事や人とちゃんと向き合おう
よ、だからこういう事件も流してしまわないで、皆も何かを感じようよ、と訴えているのです。
お母さん方はニュースを観てどう思われたのでしょうか?」
母A「TVや新聞から報道される通りに受け取るしかありません。家族とか本当のことは解りません
が、刺した方が悪い」
井澤「Aさんは、そのまま受け止めて、あー、そうなんだ、と何も考えず流されていくだけですか?」
母A「どんな気持ちで刺したのか、本当の気持ちは報道されないから」
井澤「どうしてこの子はこういうことをすることになったのだろうか、と掘り下げることはしない?」
母A「本人の気持ちはどうなのだろうとは思いますけれど‥」
母B「子供が怖い、という感情を経験したことが蘇ります。包丁を突きつけられた時のトラウマがあ
り、報道を観てオーバーラップします」
井澤「恐怖は消えませんか?」
母B「あの見たこともない子供の顔は忘れられない。恐怖は今もあります」
井澤「そのような蘇りがあるとして、これからも子供との争いがあれば出てきますか?」
母B「出てくるでしょう。でも今は、自分を強く持つ意識が働きます。取り込まれないようにする術
が少しずつ解ってきたのか、慌てなくなりました。子供自身も以前と変ってきたので、キレ方
も違ってきました。そこを親が解って対処していれば、最悪になることはないと信じます。親
のその時の判断がとても大事なのだと思います。真底からなのか、試されているのか‥」
井澤「いつも真底ではないの?」
母B「試されている場合もあります」
井澤「事件になるのと、そうではない差は?」
母B「平たく言えば、子供が発散する場がないとか、親側にキャッチする能力がないなど、状況がい
ろいろ重なって事件になるのだと思います。咄嗟に起こったことではないような気がします。
海洋学者の場合は、親にとってお荷物だったのでしょうね。家に閉じ込めておきたかった親の
気持ちが解ると、夫は言っていました」
井澤「ご主人はやはり親の立場なのですね」
母A「一歩間違えば、うちでもあるかもしれない、と思いました。子が親を‥」
井澤「え!
母A「エッ?
あの子が?」
絶対そういうことがないとは言い切れないと思います」
母B「親だけ殺して自分は生き残るというのが以前は多かったように思いますが、最近は子供自身も
自殺してしまう」
母C「怖い。自分のところでもあり得ると思いました。自分が子供を殺す可能性もあり得るかと‥。
両方ともあり得る‥」
井澤「秋田の事件、親の気持ちが解るということ?」
母C「自分をコントロールできない状況では、私もそうなるかも」
井澤「パニック状態では、自分のことしかないということなの?」
母C「自分のことしかない。親の育ち方に問題があると思います。私はこういう最悪のことにならな
いようにと、今、自分を理解するようがんばっています」
井澤「子供は、自分のために居るのだということ?」
母C「ふとした時にそうなるかもしれない。自分は親からしてもらっていないのに、と思ってしまう」
井澤「親自身が親から愛情を貰えていないのに、どうして自分が親として子供を愛さなければならな
いの?ということになると、親としての立場が揺らぐかもしれませんね」
母D「本人の気持ちは解りませんが、自分のところでそういう悪循環を断ち切る、という思いもある
のかもしれません」
母C「自分の始末を本当にしたと。以前、焼却炉で自殺した人がいましたが、戦前に生きてきた人の
潔い処し方だと思いました。他人に迷惑をかけない生き方がすごいと思います。今は、親子の
密着が度を越していると思います。親子の間、家庭の中に社会の風がもっと入っていたらと思
います」
井澤「子供を産んだ以上、その子供が自分の力で生きていけるよう社会的に自立させることが親の責
任であるはずです」
母B「親も子もひっついている。そして行き着く結果が悲惨なことになる」
母E「殺人を犯しても感情的に動揺しないことが理解できません。殺人を犯したら、私ならガクガク
震えると思うのですが」
井澤「“情”の欠落ですよね。事件の後も淡々としている」
母E「不気味というより、どうして?と思います」
井澤「人間の精神活動は、
“知・情・意”ですが、これは人間にのみ発達する能力です。その“情”が
欠落しているということは、動物に近づいているということでしょうか。
“情”の発達の根幹は
“愛着”ですから、乳幼児期にしっかり親との愛着が形成されていれば、
“情”は相応に育って
いるはず。Cさんがおっしゃるように、親自身の愛着が不充分だったとしたら、子供との愛着
行動は難しいかもしれませんから、子供の“情”は育ちにくいでしょう。そうであれば、親と
子供の間に“心の絆”が構築されることは難しいかもしれませんね」
思春期は第二次反抗期であり、背後には自立心と独立心を確立しようとする心の自然な動きがあり
ます。この反抗は親、先生、社会の権威者などに向けられますが、もっとも槍玉にあげられやすいの
が親です。この頃になれば、子供のときは万能視していた親の限界もあざやかに見えてくるようにな
り、親の長所も短所も知りつくしてしまいます。また親離れの時であり、自立のために“心理的親殺
し”が必要な時でもあります。何らかの要因でその作業が失敗したのが事件なのだと私は思っていま
すが。
人間とは、親を憎み子をも憎みうる存在であるということを私たちは正視すべきです。自分の言動
を己の理性下に統制して生きるためには、自らの内面に目を向け、憎しみや攻撃性も人間の所産であ
るということを自覚しておくことが必要です。そしてどうすれば憎しみや攻撃のエネルギーを、建設
的方向へとふり向けることができるのか、それを探るのが思春期最大の課題の一つだと言えるでしょ
う。
いつまでも親が子供扱いすることは、子供の心を苛立たせ、歪める恐れが多分にあります。思春期
を迎えた子供に親ができることは、
“嘘をつかない”、
“誠意をもって子供と向き合う”ことくらいでは
ないでしょうか。
勁草学舎主任カウンセラー・親子マンボウの会代表
井澤真智子
勁草学舎スタッフより
「心理・知能の発達と発達障害講座」
(木曜コース:1 月 26 日~5 月 11 日 全 8 回)感想
心理・知能の発達と発達障害講座を終えて
私は、「発達障害」を勉強するにあたり普通の人が聞いたときに持つであろう、「もう一生背負っ
ていくもの」というイメージをもっていました。しかし、今回この講座を受けて自分の認識が誤っ
たものであったことがわかりました。「障害」はすなわち「乱れ」であり、「未習であること」に近
いのではないかと感じました。未習なのであれば「教えればいい」ということになるのでしょう。
しかし、現時点ではその「教える」という作業でもなかなかうまくいっていないだろうというの
が個人的な思いです。自分のキャパの狭さが原因であることも理解しているつもりです。彼らが理
解できるように話をすることができないのが自分でもかなりもどかしく感じています。自分の常識
を常に打ち破り、発達障害と思われる生徒がわかるようなコミュニケーションを考え、勇気を持っ
て接することが今後の課題として浮き彫りになりました。
また、教育現場という点から発達障害を考えると、非常に難しい問題を孕んでいると感じました。
学校は、集団で行動することが多く、それに対応できない生徒に対してどのように先生が対応す
ればよいのかについて、ほとんど方策がなされていないようです。また、同じくクラスにいるほか
の生徒たちに、発達障害についてきちんと説明をして理解を求めるような方向性も一貫したもので
はなく、現場の先生の判断でなされているのかもしれません。であるとしたら、発達障害の生徒で
あろうとなかろうとこんなに不幸な学校の状況はないのかもしれません。学校は生徒一人一人が将
来社会の中で生きていく力を付けていくための場所なのに、まったくと言っていいほどその機能を
果たせなくなっているのかもしれません。
勁草のような生徒と個別で向き合う空間でも、試行錯誤を繰り返しているのが現状で、
「発達障害」
とひとくくりにすることは不可能だということがわかります。これからますます増えるであろう発
達障害と考えられる生徒に対して、一人一人の状況にあった教育サービスを提供することが勁草の
これからの進むべき道の一つなのかもしれないと強く感じました。
では、この問題を解決するにはどうしたらいいのでしょうか。レジュメにこのような一文があり
ました。
「自分の欲望に打ち勝ち、やるべきことに立ち向かう気持ちを育てることが、本当の意味での自
主性の育ちを援助することであり、その第一歩は、むしろ他者の指示に従って動くことから始まる。
」
これこそ教育現場に携わる人たちが、子供たちに対して一貫して持つべき姿勢なのではないかと
思います。そのためにも、揺るぐことのない強い信念と相手のことを真剣に考え、伝える姿勢が周
りの大人に必要だと感じています。学習面だけでなく、時間管理などの生活面においてもです。
強い信念と相手に対する真摯な姿勢を持つには、やはり自分のことをよく知り、理解しようとす
る姿勢がその前提になることは言うまでもないでしょう。
「自分のことを理解している範囲でしか他
人を理解することはできない」ということになるのです。前回の「交流分析」講座の時と同様に、
自分で自分をより深く知るきっかけになりました。
また、今回の講座で関心を強く持ったのは、リテラシーの問題です。リテラシーは単なる読み書
きの能力ではなく、文章をより深く正確に理解するために必要なものだという認識を今回の講座で
持つことができました。そして自閉症の判断基準となる「社会性の障害」
「コミュニケーションの障
害」
「想像力の障害」の3つの観点がリテラシーの獲得に大きなポイントになるかもしれないと感じ
ました。リテラシーには知識や経験も必要になると考えるともっと広い範囲での『関心力』のよう
なものが必要になるのではないかと思いました。他人が何を思い、何を感じているのか、自分の周
りの世界ではどのようなことが起きているのか、自分が生活している社会が将来どうなるのか、な
どを考える力が『関心力』というものかもしれません。
現在の社会において、大人の世界と子供の世界の境界線が非常に曖昧になってしまい、子供たち
がさまざまなことに関心を持つことができなくなっているように感じます。また、あまりにも簡単
に情報が手に入ったり、子供たちにとって大人の社会があまりにも近くにあったりするので、子供
たちが「何かを知りたい」とか「なぜそうなるのか知りたい」という意欲があまり湧いてこないで
はないかと思います。
子供たちのリテラシーを広げるためには、率先して大人たちがより高度なリテラシーを獲得する
努力をするしかないのではないか感じています。大人たちができるだけ多くのことに関心を持った
り、読書をしたり、旅をしたりする姿勢を見せることで、自分たちの住んでいる世界は「とてつも
なく広大で、さまざまなものに満ち溢れる魅力的な世界」だと子供たちに伝えていくことが大切な
のではないかと感じました。
今回の講座で、自分が一人の大人としてどのように進んでいくことができるのかという一つのヒン
トを示していただいたように思います。ありがとうございました。
勁草学舎スタッフ
S.T
心理・精神発達障害講座を終了して
近年「小一プロブレム」と言われるようになり、小学校で集団授業に馴染まない子どもた
ちの増加が危惧されるようになりました。勁草学舎にも従来の対応では処し切れない子ど
もたちが何人か通ってくるようになり、
「発達障害」についての理解を深める必要に迫られ
本講座を設けました。現在「発達障害」の子どもたちは 2 割(読み書き困難 1 割・衝動性
や抑圧コントロール困難 1 割)と言われていますが、今後増加の一途を辿るのは明らかで
す。
「発達障害」とは、精神発達の道筋の乱れなのですから、発達過程における環境の問題
も大きく影響します。「発達障害」の理解は、「一般の子どもを育てる親・教師の対応」に
通じるものであり、今後も開催します。(井澤)
お母さん奮闘記
只今子育て奮闘中のお母さんから
体験談をお寄せいただきました
子どもの一人暮らしにあたって
来月から、子供が一人暮らしをすることになりました(なりましたというより、こう
しなければいけないという状況に子供を追い込んでしまったという方が正しいと思い
ます)。去年の夏、高認試験に受かってから、勁草に行ったり休んだりの日々でした。
なんとかしなければと思いながらも、なかなか踏ん切りがつかなくて現実的に考えられ
ませんでした。でもこのままでは、子供にとっても私にとってもなにも変わらない。悪
循環のくり返しではないかと思い始めました。やはりなにか始めなければ、変わること
などありえないと思いました。そう思ったら、次にやるべきことが見えてきたような気
がしました。部屋を決め、手続きをしたら、私一人でもここまで出来たんだと思いまし
た。その時、私は今までどれだけ人に頼って生きてきたのだろうと思い、なんだか自分
が恥ずかしくなりました。
これから、子供も一人での生活に、どれだけ不安な気持ちでいるか考えると辛いけれ
ど、これがいちばんよい選択だろうと思っています。子供の一人暮らしによって私自身
気づかされたことを考えながら、一生懸命成長しなくてはならないと、今感じています。
その子供にも、頑張れ~!と心から思っています。
(勁草学舎生徒母
T.Y)
『昴』では子育てやいろいろな活動に奮闘される
お母さん(もちろんお父さんも)の声を随時募集
しています。
書いていただくことでみなさんの経験が広く共
有され、またそれぞれよい振り返りにもなると思
いますので、ぜひご投稿ください。
心の教育相談会 in 埼玉
6 月 18 日に第一回「心の教育相談会」をさいたま市「プラザイースト」にて開催いたしました。会
の開催に向けて、会場探しや広報などに関して、埼玉在住の親子マンボウの会のお母さん方にご尽
力いただき、無事第 1 回を終えることができましたので、ここにご報告いたします。
ご協力、ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
子育ての“見本”のない現代、若いお母さ
んたちはさまざまな悩みを抱えながら子
育てに奮闘されています。
そんな時代だからこそ、正しい知識や先輩
からのアドバイス、お母さんどうしの協力
が不可欠です。
第1回の講演のテーマは、
『人間の心(精神)の発達と思春期の意味』
でした。
精神の「発達段階」を知っておくことで子ども
の成長についての見通しを立てることがで
きます。
「出産時に知っておけたら…」という声が寄
せられました。
会場となった“プラザイースト”です。
雨の中足をお運びいただき、ありがとうござ
いました。
組織関係図
日本適応指導教育研究所
勁草学舎
親子マンボウの会
日本適応指導教育研究所
勁草学舎
子どもの自立支援に向けた研究・研修を行う機関と
子どもたちの心のカウンセリングと学習指導を
して設立された勁草学舎併設の研究機関
通して、自立を促し支援する教育機関です。
・完全個別教科指導
・自立支援に向けた指導についての調査・研究
(小・中・高・高認・大学受験)
・講演会や講座等の開催、会報の発行
・少人数グループ授業
(目標・習熟度別クラス編成)
親子マンボウの会
・カウンセリング
子育てや子どもの心の問題で悩みを抱えられている
・ご相談、進路指導
親御さんとカウンセラーを中心に発足された親の会
・リラクセーション
です。
・ワークショップ
・デイケア
・親御さんのための講座、勉強会の開催
・箱庭療法
・グループカウンセリング
・各種体験
・子どもと大人が触れ合うイベントの開催
・その他必要に応じた適応指導
・勁草学舎での給食作り
関連・協力団体
学習塾
勁草学舎の姉妹校です。
《本部校》〒123-0853 東京都足立区本木 1-9-16
苅草学院
TEL 03(3849)1879
《HOPE21》 加賀教室
FAX 03(3849)1885
03(3854)0431
五反野教室
03(5681)7247
西新井教室 03(3856)7896
《高校部》代ゼミサテライン・高校生専門個別指導コース
教材・テキスト販売
育伸社
《本社》〒110-0016 東京都台東区台東 3-46-9
TEL 03(3831)9591
FAX 03(3834)8577
03(5845)8796
編集後記
●この会報は勁草学舎のホームページに掲載しておりますので、文章等投稿していただく際、ご希望があればお名前
をイニシャルで記入させていただきます。お申し出ください。
●発送を郵便からメール便に切り替えたため、転居、部屋番号不明などで返送されるケースが出てきました。未着、
お引越しの際にはご一報いただけると助かります。
●表紙にも写真を載せましたが、只今勁草学舎では、農業をされている親子マンボウの会の天津さんからいただいた
野菜の苗がすくすくと育ち、ナス、キュウリ、プチトマトが立派に実をつけはじめています。他にもオクラ(まだ
いまいち元気がありません)やトウモロコシ(S 君と一緒に種から育てています)なども植えていて、今後も成長
が楽しみです。東京の片隅で野菜たちがこんなにたわわに実をつけている景色はとても興味深く、道行く人もよく
立ち止まって見て行かれます。みなさんもぜひ一度ご覧になりに来てください(タイミングがよければ給食室でお
召し上がりになれるかもしれません!)。
(編集部)
昴
第3号
2006 年 7 月 1 日発行
発行人:苅草 国光
発行:日本適応指導教育研究所
〒110-0015 東京都台東区東上野 3-9-5 勁草学舎内
電話:03-3834-5596
FAX:03-3834-5063
この冊子は日本適応指導教育研究所の活動に賛同していただける方、
また子どもの問題で悩んでおられる方々に無料でお届けしています。
ご希望の方は上記にご連絡ください。
勁草学舎
〒110-0015
東京都台東区東上野 3-9-5
電話:03-3834-5576
FAX:03-3834-5063
URL:http://www.keisou.jp/
メールアドレス:keiso@ikushin.co.jp
親子マンボウの会
〒110-0015
東京都台東区東上野 3-9-5
電話:03-3834-5633
親子マンボウの会
勁草学舎内
FAX:03-3834-5063
代表 井澤真智子
※親子マンボウの会は 2008 年 11 月に活動を終了しました。
長い間ご支援いただきありがとうございました。