2013年度 全科目

時間(09:30~11:30)
数学 問題1【配点20%】
関数 y = 2cos(2αθ) + 4 sin(αθ) は、角度 θ と共に周期的に変化する。その変化の間
に、関数 y の極大値が現れる回数は α の値に依存する。例えば、角度 θ が 0 ≤ θ ≤ 2π (ラ
ジアン)の範囲で変化する時、 α = 1 では下図のように極大値は2カ所で現れる。 図 1.1 α = 1 での関数 y の様子
角度 θ が 0 ≤ θ ≤ 2π の範囲で変化する時、極大値が3回現れたとする。この条件を満
たす α の値の範囲を求めよ。但し、 α > 0 とする。 1
問題2【配点30%】
行列 A が次のように表されるとする。これに対して、各設問に答えなさい。
⎛
⎞
⎜⎜ k 1 −4 ⎟⎟
⎟
A = ⎜⎜⎜ 3 4 −6 ⎟⎟⎟
⎟
⎜⎜
⎝ 2 1 m ⎟⎠
(1)行列 A の3つの固有値は、1, 2, 3 である。この場合の行列 A の成分 k と m の値
を求めよ。 (2)上問(1)で求められた k と m の値を行列 A に代入したものを行列 B とする。非
対称行列 B の固有ベクトルを求めよ。
(3)上問(2)の固有ベクトルを用いて正則行列 P を作れば、非対称行列 B を対角化
して ⎛
⎞
⎜⎜ 1 0 0 ⎟⎟
P −1BP = ⎜⎜ 0 2 0 ⎟⎟⎟ ⎜⎜
⎟
⎜⎝ 0 0 3 ⎟⎟⎠
と表すことができる。右辺の対角項には固有値が並んでいる。行列 P を求めよ。 2
問題3【配点50%】
関数 f (x ) を有理関数(分子と分母を多項式で表現した関数)で近似する方法に Padè
近似がある。ここでは、この近似方法について理解を深めよう。 まずは、具体的な例を示す。関数 f (x ) を (
)
f (x ) ≡ log 1+ x (3.1) と定義するとき、 f (x ) の Maclaurin 級数( x = 0 を中心とする Taylor 級数)は 1
1
1
1
1
1
1
f (x ) ≅ x − x 2 + x 3 − x 4 + x 5 − x 6 + x 7 − x 8 + (3.2) 2
3
4
5
6
7
8
となり、その収束半径は 1 である。7 次項まで採用した Maclaurin 級数から始めて、
順次採用次数を増やしてゆき、最終的には 12 次項まで採用した Maclaurin 級数の様
子を図 3.1 に示す。採用次数を増やしても、 x >1 のとき有限項 Maclaurin 級数では
関数 f (x ) を表現できない事がわかる。収束半径を超えてなお良い近似を与える関数
が存在すれば便利である。それが、Padè 近似として存在する。 図 3.1 Maclaurin 展開した関数の様子
さて、関数 f (x ) に対する(1,1)次の Padè 近似を [1,1](x ) と表せば、 x
1
1+ x
2
であり、 [1,1](x ) の Maclaurin 級数は [1,1](x ) ≡
(3.3) 1
1
1
1
1
[1,1](x ) ≅ x − x 2 + x 3 − x 4 + x 5 − x 6 + 2
4
8
16
32
(3.4) となる。(3.2)式と(3.4)式を比べて、1+1=2 で 2 次項まで(2 次項を含む)が一致し
ている点に注目しよう。 関数 f (x ) に対する(2,2)次の Padè 近似を [2,2](x ) と表せば、 3
1
x + x2
2
[2,2](x ) ≡
1 2
1+ x + x
6
であり、 [2,2](x ) の Maclaurin 級数は (3.5) 1
1
1
7
11
[2,2](x ) ≅ x − x 2 + x 3 − x 4 + x 5 − x 6 + 2
3
4
36
72
(3.6) となる。(3.2)式と(3.6)式を比べて、2+2=4 で 4 次項まで(4 次項を含む)が一致し
ている。 結局、Padè 近似の特徴は、低次のベキ項を f (x ) の Maclaurin 級数に一致させる点
にある。図 3.2 に [1,1](x ) および [2,2](x ) の様子を示す。 図 3.2 Padè 近似した関数の様子
有限項 Maclaurin 級数はその収束半径を超えると適用できないのに対して、図 3.2
からは全域において Padè 近似が良い近似を与える事がわかる。これが Padè 近似の
特長である。 ここからは、関数 f (x ) を Maclaurin 展開可能な一般的関数として、Padè 近似の詳
しい内容に移ろう。 関数 f (x ) の Maclaurin 展開は f (k ) (0 ) k
f (x ) = ∑
x k!
k=0
であり、係数部を f (k ) (0 )
ak ≡
k!
とおいて、
∞
(3.7) (3.8) 4
∞
f (x ) = ∑ ai x i (3.9) i=0
と記す。
L,M を正の整数とするとき、関数 [L,M ](x ) を有理関数 ∞
[L,M ](x ) ≡
p0 + p1x ++ pLx L
1+q1x ++q M x
M
≡
∑p x
j=0
∞
∑q x
j=0
j
j
(3.10) j
j
で定義する。分子が L 次、分母が M 次の多項式である。分子、分母の級数範囲を 0
から ∞ と表示したので、 p j ≡ 0 (L +1 ≤ j ) (3.11) (M +1 ≤ j ) qj ≡ 0
(3.12) と約束している。また、(3.10)の分母で 0 次項を 1 としているので、 q 0 ≡ 1 (3.13) である。 具体例のように、(3.10)を Maclaurin 展開した関数の (L + M ) 次までの項が、(3.9)
の (L + M ) 次までの項に一致するとき、関数 [L,M ](x ) を (L,M ) 次の Padè 近似という。
したがって、関数 f (x ) と関数 [L,M ](x ) の差としては、(L + M ) 次よりも高次の関数が
残り、 f (x ) −[L,M ](x ) = bL+M +1x L+M +1 +bL+M +2x L+M +2 + (3.14) となる。右辺の級数をO(x L+M +1 ) と表示して、 f (x ) −[L,M ](x ) =O(x L+M +1 ) (3.15) と書く。ここで、記号O(x L+M +1 ) は、残差が (L + M +1) 次項から始まることを意味す
る。(3.9),(3.10)を(3.15)に代入すると
∞
∞
∑a x
i=0
i
i
−
∑p x
j=0
∞
∑q x
j=0
j
j
=O(x L+M +1 ) j
となる。これを変形して、
⎞ ∞
⎛∞
⎞⎛ ∞
⎜⎜ a x i ⎟⎟⎜⎜ q x j ⎟⎟ − p x j =O(x L+M +1 ) ⎜⎜⎝∑ i ⎟⎟⎠⎜⎜⎝∑ j ⎟⎟⎠ ∑ j
i=0
j=0
i=0
(3.17) j=0
となる。(3.17)の級数の積を組み替えれば、次のように書き換えられる。
∞ ⎛ j
∞
⎞
⎜⎜ a q ⎟⎟x j − p x j =O(x L+M +1 ) ∑⎜⎜⎝∑ i j−i ⎟⎟⎠ ∑ j
j=0
(3.16) j
(3.18) j=0
上式より、連立方程式 j
∑a q
i=0
i j−i
− p j = 0,
(0 ≤ j ≤ L + M ) が得られ,これを解けば、 p j と q j が定まる。 5
(3.19) 具体的な例として、(3.3)で示した Padè 近似を得る過程を示しておく。これは、 (3.20) L = 1, M = 1 の場合であって、(3.10)より、Padè 近似の形は p + p1x
(3.21) [1,1](x ) ≡ 0
1+q1x
である。(3.2)より、(3.9)の係数部 ai は、 1
a 0 = 0, a1 = 1, a 2 = − 2
となり、既知数と未知数は ⎪⎫⎪
p0 = unkown, q 0 = 1
⎪
p1 = unkown , q1 = unkown⎪⎬ ⎪⎪
⎪⎪
p2 = 0
, q2 = 0
⎪⎭
となる。(3.19)に(3.22),(3.23)を代入して、 ⎫
⎪
⎪
⎪
j = 0 : −p0 = 0
⎪
⎪
⎪
j = 1 : 1− p1 = 0 ⎪
⎬ ⎪
⎪
⎪
1
j = 2 : − +q1 = 0⎪
⎪
⎪
2
⎪
⎭
となり、これを解いて、 (3.22) (3.23) (3.24) 1
(3.25) 2
を得る。これを(3.21)に戻して、 x
[1,1](x ) ≡
(3.3)再記 1
1+ x
2
を得る。 Padè 近似の仕組みは低次側の多項式を Maclaurin 級数に一致させているだけであ
るにも拘らず、図 3.2 のように、遠くの点にまで良い近似が及ぶ事実には、有理関
数に秘められた不思議さと面白さの一端がうかがえる。 上記説明を理解して、以下の問いに答えよ。
p0 = 0, p1 = 1, q1 =
(1)(3.17)から(3.18)に変形する過程を詳しく示せ。 (2)(3.18)から(3.19)を得る過程を詳しく示せ。 (3) f (x ) = e −2x の Maclaurin 展開を示せ。 (4) f (x ) = e −2x の、(1,1)次および(2,2)次の Padè 近似を求めよ。 6
(5)近似関数の近似度をみるために、上問(3)(4)に関連する結果を下図のよう
にグラフに描いた。①から③までのグラフのうち、①は関数 f (x ) = e −2x そのものを表し
ている。残りの2つは、 (A) 4 次項までの Maclaurin 級数 (B) (1,1)次の Padè 近似 (C) (2,2)次の Padè 近似 のうちの2つである。②と③の曲線はそれぞれ、(A),(B),(C)のどれを表しているか示せ。
また、(A),(B),(C)のうち、下図に描かれていない曲線を図に描け。 図 3.3 関数の様子
7
問題3(5) グラフ用の答案用紙
受験番号
(5)近似関数の近似度をみるために、上問(3)(4)に関連する結果を下図のよう
にグラフに描いた。①から③までのグラフのうち、①は関数 f (x ) = e −2x そのものを表し
ている。残りの2つは、 (A) 4 次項までの Maclaurin 級数 (B) (1,1)次の Padè 近似 (C) (2,2)次の Padè 近似 のうちの2つである。②と③の曲線はそれぞれ、(A),(B),(C)のどれを表しているか示せ。
また、(A),(B),(C)のうち、下図に描かれていない曲線を図に描け。 図 3.3 関数の様子
8
時間(13:00 ~ 15:00)
力学
問題1【配点 50%】
図 1a のような天井走行クレーンを考えなさい。その水平方向移動台車下部に支点があり、そこから
長さ ℓ のワイヤで質量  の質点(錘)を吊り、釣り合い状態にあるとします。その状態から水平方向初
速度ゼロで台車を水平かつ図 1a 中右方向に運転させるとします。図 1b のように、クレーン台車は最初
加速度をゼロから一定の加速度変化率  で時間 0 の間増加させたのち、一定加速度での走行に移るとし
ます。
(このような運転方法をクッションスタートといいます。)ここで、重力加速度  は図 1a 中に示
す鉛直下向き方向に作用するとし、、 はそれぞれクレーン台車の水平方向加速度、時間を表します。
錘の振れ角を  とし、鉛直方向から反時計まわりの角度を正と定義します。この角度  は十分小さい範
囲にあると仮定できるとします。またワイヤの質量、伸び、空気抵抗は無視できるとし、ワイヤの長さ
および錘の質量は時間により変化しないものとします。台車の走行レールは十分に水平かつなめらかと
仮定します。


図 1a
ℓ



0

0
0
図 1b
以下の問に答えなさい。
(1)0 <  < 0 における  を  の関数として数式表現しなさい。
(2)0 <  における  を  の関数として数式表現しなさい。
(3)0 <  における  の周期的変化を生じさせないための 0 の条件を説明しなさい。
1

問題2【配点 50%】
鉛直でなめらかな壁と水平でなめらかな床に、図 2a のように質量  、長さ ℓ の一様で細い剛な棒を
床と角度  で立てかけます。重力加速度を  として以下の設問に答えなさい。

ℓ

ℓ


図 2b
図 2a
(1) 棒を床と角度  で静止させるために、棒の下端に水平方向の力  を作用させます。 の大きさ
を示しなさい。
力  を瞬時に解除すると、棒の下端は図左側に床をすべり、棒の上端は壁に沿って下降をはじめます。
しばらくすると棒は壁から離れると考えられますが、以下では、棒が壁から離れるまでの運動を考えま
す。
(2) 図 2b のように棒と床のなす角が  のときに、棒の重心の速度は水平方向に 1 、鉛直方向に 2 、
角速度は  とします。1 、2 を  、 を使って示しなさい。なお、それぞれの正方向の定義は、
水平方向は図左向き、鉛直方向は図下向き、回転方向は反時計回りとします。
(3) 棒の重心まわりの慣性モーメント(紙面に対して垂直な軸まわりの慣性モーメント)を示しな
さい。
(4) 棒の運動方程式と力学的エネルギーの関係式(位置エネルギーと運動エネルギーの関係式)を
示しなさい。
棒が床に着くまでに棒は壁から離れるとして、その瞬間の棒と床との角度を  とします。
(5)  を  の関数として示しなさい。
2
時間(13:00~15:00)
流体力学
問題 1 (配点 50%)
完全流体の仮定のもとで、複素ポテンシャル w( z ) が下記の(1.1)式で表される流れを考える。
2π
iz 

=
w
( z ) U 0  z + y0 e λ 


(1.1)
ここで、
z= x + iy
w( z )= φ + iψ
であり、x, y は2次元直交座標(図 1.1 参照)、 φ とψ はそれぞれ速度ポテンシャルと流線関数
である。
図 1.1
(1.1)式が表す流れは、図 1.1 に示すように、上空( y が十分に大きいところ)では一様な流れと
なっており、波型の地面より上方の流れを表している。図の太線で示した地面は、(1.1)式の ψ=0
を表している。この時、以下の問いに答えなさい。
(1) 流線関数ψ を求めた上で、ψ =0 となる地面の形状の式を示しなさい。
(2) 前問(1)の結果において y0 � λ であると仮定した場合、地面の形状は近似的に
=
y y0 ⋅ h( x) ( h( x) は x のみの関数)と表される。近似形状の式を示し、その形状のグ
ラフを書きなさい。
(3)
=
x 0,=
x
ψ > 0 の部分を考える。この時
λ
4
および x = −
λ
における流速の x, y 成分を求
4
めなさい。それぞれについて y 座標に対する分布の概略を図示しなさい。
(4) 流線の概略を示しなさい。
1
問題2 (配点 50%)
流体の粘性係数(粘度)を計測するには幾つかの方法があり、これに基づいてさまざまな粘度
計が提案されている。これらは、細管粘度計、落球粘度計、円筒型回転粘度計などである。この
うち細管粘度計は、円管内に生じるハーゲン・ポアズイユ流れの性質を利用するものである。細
管粘度計による粘度計測について、以下の問いに答えなさい。
(1)流れは定常で、細管(円管)断面の周方
r
向に流れが存在しない場合を考える。右
図のように、主流方向を x、円管の中心を
u
r0
x
原点として半径方向を r、それぞれの方向
の流速を u、vr とし、圧力を p 、流体の
密度と粘性係数(粘度)をそれぞれ ρ、μ
とするとき、円柱座標で記述された連続
の式と NS 方程式は、以下のように書ける。
∂u 1 ∂
(rvr ) =
0
+
∂x r ∂r
∂u
∂u
1 ∂p µ  ∂ 2u ∂ 2u 1 ∂u 
u + vr
=
−
+ 
+
+

∂x
∂r
r ∂x r  ∂x 2 ∂r 2 r ∂r 
u
(2.1)
(2.2)
∂vr
∂v
1 ∂p µ  ∂ 2 vr ∂ 2 vr 1 ∂vr vr 
+ vr r =
−
+ 
+
+
− 
r ∂r r  ∂x 2 ∂r 2 r ∂r r 2 
∂x
∂r
(2.3)
このとき、次ページに示したポアズイユ流れの支配方程式の導出過程に倣い、円管壁面で
vr = 0 であることに留意して、ハーゲン・ポアズイユ流れの支配方程式を示しなさい。た
だし、導出過程を明確に記述すること。
(2)円管の半径を r0 とする。圧力勾配 dp/dx が既知であるとき、u を求めなさい。
ただし、境界条件として、
du
at r 0,=
u 0 =
at r r0
= 0=
dr
とする。
(3)単位時間あたりの流量 Q を求めなさい。その結果から、粘性係数 µ を求める式を導出しな
さい。
(4)細管粘度計による粘度計測法を参考にして、下図のような粘度計測装置を考えた。この装
置は、オーバーフロータンクおよびそのタンクに接続された長さ L の円管で構成されてい
る。円管の中心から水面までの距離 H、円管から t 秒間に流出する流体の体積を V とする
とき、この流体の粘性係数を近似的に求める式を示しなさい。ただし、 r0 0 L, H とし、
重力加速度を g とする。
オーバーフロータンク
H
円管
L
V
2
ポアズイユ流れの支配方程式の導出
y
2次元の連続の式と NS 方程式は、主流方向
に x、2 枚の平行平板の間隔の方向に y をとり、
それぞれの方向の流速を u, v とすると、
∂u ∂v
+
=
0
∂x ∂y
u
x
(2.4)
∂u
∂u
1 ∂p µ  ∂ 2u ∂ 2u 
u +v
=
−
+  2+ 2
∂x
∂y
ρρ
∂x
 ∂x ∂y 
(2.5)
∂v
∂v
1 ∂p µ  ∂ 2 v ∂ 2 v 
+v =
−
+  2+ 2
∂x
∂y
∂y
ρρ
 ∂x ∂y 
(2.6)
u
である。
ポアズイユ流れは、無限長の平行平板間の流れであるので、その流速は x に依存しないと
考えられる。すなわち、
( y ), v v( y ) である。このとき、連続の式を考えると、
=
u u=
∂u
=0
∂x
であるので、
∂v
=0
∂y
が得られる。これは、
v = const.
を意味するが、壁面で速度がゼロだから、結局、
v=0
である。
=
u u=
( y ), v 0 を NS 方程式に代入すると、NS 方程式は、
1 ∂p µ ∂ 2u
−
+
0=
∂x
∂y 2
ρρ
1 ∂p
0= −
ρ ∂y
(2.7)
(2.8)
となる。
これらより、圧力 p は x のみの関数、u は y のみの関数であることがわかり、結局、圧力
勾配 dp/dx が既知であれば、解くべき方程式は、
1 dp µ d 2u
0=
−
+
ρρ
dx
dy 2
ということとなる。
3
(2.9)
時間( 9:30 ~ 11:30 )
材料力学
問題1(配点50%)
図1.1のように、同一水平線上にある2本の片持ちはり AB, CD を、自由端 B, C におい
て、なめらかなピンを介して剛なブロックで連結する。はり AB, CD は、いずれも一様断
面で、長さは 、ヤング率は E、曲げの中性軸周りの断面二次モーメントは I である。図
1.1のように、点 BC 間の中央に、鉛直下向きに集中荷重 P を加えた時の、点 B, C の鉛直
下向き変位をとする。次の問に答えよ。なお、はりおよび剛ブロックの重量は無視する。
また、はり AB, CD に軸力は生じないものとする。
(1) P との関係を P = Kと表すとき、K を E, I およびを用いて表せ。
P
A
B

図1.1
D
C

剛ブロックをはさんで連結された2本の片持ちはり
つぎに、図1.2のように、一様断面の真直棒 AD(ヤング率 E, 断面積 A)を鉛直に立て、
断面 B および C のそれぞれの位置で、同一水平線上にある2本の片持ちはりに、なめらか
なピンを介して連結する。棒 AD の上端 A および下端 D に、鉛直下向きに軸荷重 P1 およ
び P2 をそれぞれ加える場合について、以下の問いに答えよ。ただし、棒およびはりの重量
は無視する。また棒 AD は、鉛直を保って変位する。はりは、いずれも長さは 、ヤング
率は E, 曲げの中性軸周りの断面二次モーメントは I である。また断面は二軸対称で、断面
係数は Z である。いずれのはりも、軸力は生じないものとする。
(2) 断面 B の二か所のピンにおいて、はりに作用する鉛直方向の力の合計を Q1、また
断面 C の二か所のピンにおいて、はりに作用する鉛直方向の力の合計を Q2 とする。
さらに、断面 B および C の鉛直下向き変位をそれぞれ1 および2 とする。Q1 と1
の関係および Q2 と2 の関係を求めよ。
(3) 棒 AD の AB 間、BC 間および CD 間に作用する軸力 TAB, TBC および TCD(引っ張り
を正)を、P1, P2, Q1, Q2 を用いて表せ。
(4) 問(2)、
(3)の結果を用いて、荷重 P1 と P2 が同時に作用したときの変位1 およ
び 2 を求めよ。
1
(5) P1 = P, P2 = 0 の場合について、4本の片持ちはりに生じる曲げ応力の中の最大値を
求めよ。
(6) P1 = P/2, P2 = P/2 の場合について、4本の片持ちはりに生じる曲げ応力の中の最大
値を求めよ。また棒 AD の AB, BC, CD 間の伸び量AB, BC, CD をそれぞれ求めよ。
(7) はりの断面が図1.3のような中空正方形断面のとき、中性軸周りの曲げに関する
断面係数 Z を求めよ。
P1
A
a
B
a
C
a
D


P2
図1.2
4本の片持ちはりと連結された鉛直に立てられた真直棒
b/2
b/2
b/4 b/4
b/4
中性軸
図1.3
b/4
はりの断面形状
2
b/2
b/2
問題2(配点50%)
(1) 図2.1に示すように、腕付きはり AC が水平に単純支持されており、腕の先端 E
に鉛直下向きに集中荷重 W が作用している。このとき、部材 ABC に関する、せ
ん断力図および曲げモーメント図を、以下の手順にしたがって求めよ。ただし、
部材 BC, DE の長さ b, d の間に、b > d という関係があるとする。
(1.1)A 点および C 点での鉛直上向きの支持反力を、それぞれ、RA, RC としたとき、腕
付きはり AC 全体に作用する力のつり合い、およびモーメントのつり合いから、
RA および RC を求めよ。
(1.2)腕付きはり AC を、図2.2に示すように、部材 ABC と BDE に分解して考える。
ここで、B 点に働く鉛直および水平方向の内力を、それぞれ、RB, QB、モーメン
トを MB とする(各々の正方向は図2.2に示すとおり)。部材 ABC に関する力の
つり合い、およびモーメントのつり合いより、RB, QB, MB を求めよ。
(1.3)A 点からの水平右方向の距離を x とする。また鉛直下方向に y 座標をとる。部材
ABC の距離 x における断面のせん断力 F(x)、および曲げモーメント M(x)を計算
し、図示せよ。せん断力 F(x)、および曲げモーメント M(x)の正の向きは、図2.
3に示す通りとする。
a
b
C
A
B
c
W
D
図2.1
d
両端単純支持された腕付きはり AC
a
A
E
x
b
QB
MB
C
F(x)
B
RA
RC
RB
RB
B
QB
y
x
MB
W
c
M(x)
E
D
d
図2.2
F(x)
M(x)
y
図2.3 F(x)および M(x)の正の向き
分解された部材 ABC と BDE
3
(2)
図2.1において、部材 AB, BC, DE の長さ a, b, d の間に、図2.4のように、b = 3a,
d = 2a という関係が成り立つとき、B 点でのたわみ角とたわみを、以下の手順に
したがって求めよ。ただし、部材 AB, BC の断面は一様であり、その曲げ剛性は、
ヤング率 E および断面二次モーメント I を用いて、EI と表せるとする。また、問
(1.3)で定義した座標 y により、以下のたわみ y1, y2 を測ることとする。
(2.1)AB 間におけるたわみを y1 とする。A 点から水平右方向の距離を x として、AB
間におけるたわみ角とたわみを、x の関数として表せ。ただし、たわみ y1 は垂直
下方向を正とする。
(2.2)BC 間におけるたわみを y2 とする。A 点から水平右方向の距離を x として、BC 間
におけるたわみ角とたわみを、x の関数として表せ。ただし、たわみ y2 は垂直下
方向を正とする。
(2.3)たわみ y1, y2 に関する A 点、C 点での境界条件、および B 点での接続条件を式で
表せ。
(2.4)問(2.3)の境界条件と接続条件をもとに、B 点でのたわみ角およびたわみを求
めよ。
a
3a
C
A
B
c
W
D
図2.4
E
2a
両端単純支持された腕付きはり AC
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