平成21年度報告 - 島根大学研究機構戦略的研究推進センター

提出日
島根大学プロジェクト研究推進
平成22年2月15日
機構
平成21年度
『萌芽研究部門』
① プ ロ ジ ェ ク ト 石見銀山を中心とする地質資源の総合資源化および山陰・島根ジオパークに関する研究
名
② プロジェクトリーダ 赤坂正秀
所属
総合理工学部
ー
電子メール akasaka@riko.shimane-u.ac.jp
③ プロジェクトの概要(プロジェクトの最終年度における到達目標を簡潔に記入してください。)
年度報告書
・石見銀山を中心とした島根県の地質遺産の地球科学的研究を進め,公表すると共に普及する。また,石見銀山における精錬法
とその地球科学的背景、他地域に対する銀山精錬法の意義の研究を完成させる。
・「山陰・島根ジオサイト100選」の事業を成功させる。
・研究によって解明された各地質体の地球科学的意義を踏まえ,自治体による「ジオパーククラスター」の形成を大学として学術面
で支援し,世界ジオパークネットワーク登録を目指して日本ジオパークに申請する。
・本プロジェクトに関係した自治体・業界・博物館・県民との恒常的連携を確立し,島根大学の存在意義を継続的に認識してもらう状
況を作る。
④ プロジェクトのメンバー及び役割
氏名
所属(職)
本年度の役割分担
(プロジェクトリーダ
ー)
赤坂正秀(59)
総合理工・教授
研究責任者。石見銀山の鉱床学的研究。ジオパークの検討。
飯泉滋(67)
総合理工・名誉教授
鉱床胚胎母岩の地球化学的分析。たたら鉄資源の研究。
入月俊明(46)
総合理工・准教授
島根県における化石の地球科学的意義の解明。
大平寛人(46)
総合理工・助教
石見銀山および関連金属・非金属鉱床の生成年代の研究。
片山裕之(69)
総合理工・名誉教授
石見銀山の金属精錬方法の変遷と環境への影響の研究。
亀井淳志(39)
総合理工・准教授
金属鉱床と火成活動・火山活動の関係の解明.
小室裕明(58)
総合理工・教授
島根県における火山性陥没構造と石見銀山生成の関係。
酒井哲弥(40)
総合理工・准教授
来待石・福光石の堆積学的資源評価。
澤田順弘(65)
総合理工・教授
島根のおける火成岩の利用可能性と資源量の研究。
陶山容子(60)
総合理工・教授
花崗岩起源チタン鉄鉱,粘土鉱物の活用の研究。
高須 晃(57)
総合理工・教授
ジオパーク構想における各地質資源の位置づけの研究
林 広樹(37)
総合理工・准教授
琴ヶ浜鳴き砂,石見銀山周辺珪砂鉱床の成因.
バリーロザー(59)
総合理工・講師
堆積岩母岩の化学組成からみた地質資源の成因の解明,
⑤(1)本年度の研究計画目標の達成状況及び自己評価
(本年度当初の計画書に書かれた内容に沿って,計画と達成目標を箇条書きにしてください。また,その達成目標の項目ごとにその達成
状況を記入し,以下の基準に従って自己評価して下さい。A:目標以上に成果をあげた B:ほぼ目標通りの達成度で予定した成果をあげて
いる C:計画より遅れ気味であるが年度末には目標達成が可能である D:年度末までに目標達成は不可能である。自己評価が B 以外の
場合には,その理由についても記載して下さい。2~3月に行う計画のため未執行の場合には評価を空欄にして下さい。)
計画と達成目標
達成状況と自己評価
ジオパーク構想における各地質資源の位置づけの
研究と、ジオパーク実現に向けた取り組み。「山陰・
島根ジオサイト地質100選」の選定と公表。
(自己評価)A
・隠岐で隠岐ジオパーク推進連絡協議会が設立され,日本ジオ
パークネットワークの準会員にも登録.アドバイザーとして地球
資源環境学科学科長,および高須が協議会に入った.山陰中
央でも掲載.
・依頼論文として島根県と島根大学におけるジオパークの取り
組みを紹介。雑誌は定評あるもの。
・島根地質百選を完成させ、HPで公開、地質業協会学会紹介
など、普及に努めた。
(自己評価)B
いずれの課題でも成果が上がり、論文・学会発表で成果を発
表。年度内に重要な成果を論文とすべく取り組み中。
予定していた論文の準備が遅れたが、他の論文、隠岐の図幅
の公表で挽回した。
石見銀山の鉱床学的研究、金属鉱床と火成活動・
火山活動の関係の解明,鉱床胚胎母岩の地球化
学的分析、石見銀山および関連金属・非金属鉱床
の生成年代の研究、島根県における火山性陥没
構造と石見銀山生成の関係の研究、琴ヶ浜鳴き砂
および石見銀山周辺珪砂鉱床の成因の研究。
石見銀山を中心とした金属精錬方法の歴史的・鉱
業史的変遷および環境への影響に関する研究。
(自己評価)B
昨年度の成果の論文化(投稿原稿推敲中)と新たな研究課題
での研究の進行。
来待石・福光石の堆積学的資源評価。
(自己評価)B
・来待石の分布と資源量の推定の研究が進行中。
・福光石、天然ゼオライトの利用について、島根産業振興と協
議、およびフォーラム開催などの活動。
ゼオライト、花崗岩起源チタン鉄鉱,粘土鉱物を利
用した機能性物質開発の研究。
・研究成果を学会で発表し、一部は論文化してきた。島根にお
ける天然素材に付加価値をつける研究が引き続き進行中。
(2)プロジェクト全体の自己評価(プロジェクト全体としての達成目標から,今年度の研究成果がこれまでの経過・成果にもと
づいてどの段階にあるのかを明示して下さい。また,各グループ間での連携状況についても記入してください。)
●プロジェクト全体評価(自己評価) プロジェクト全体としての達成目標に対する今年度の研究成果の達成状況について
(自己評価) B
この数年にわたる本萌芽研究の努力により、島根におけるジオパークが隠岐で実現し、これに触発されて石見銀山地域、
浜田地域などでもジオパークに対する意欲が高まってきている。この間の地球科学的・冶金学的研究も、ジオパークとして
島根を活性化するために地域・県民から期待された成果を収めた。ゼオライト、福光石、珪砂など、島根の地質資源の活用
に関する取り組みも一定の成果を収めた。
●各グループ間の連携状況
相互に協力し合ってジオパーク実現、研究目標達成のために連携してきた。公表論文、報告、学会発表での発表者に示さ
れているように、相互の協力によって得られた成果が公表された。
⑥ 公表論文,学会発表など (当該研究に関連した本年度の公表論文,学会発表,特許申請の件数を一覧表に記入して下さ
い。発明等に関しては,差し支えない範囲で記載して下さい。)
公表論文・著書・報告
(論文掲載(総件数)15
1.林 広樹・赤坂正秀・高須
球」,Vol. 31, No.7,.
学会発表(総件数)18
特許出願(総件数)0
晃 (2009) 山陰・島根ジオパーク構想の最近の取り組みについて.月刊「地
2. 村田泰章・駒澤正夫・牧野雅彦・佐藤秀幸・名和一成・上嶋正人・岸本清行・大熊茂雄・志知龍一・小室裕明・西
村敬一・赤松純平, 2009.岡山地域重力図(ブーゲー異常)1:200,000.重力図27,産総研地質調査総合センター.
3.岡本泰子・小室裕明(2009)縦長型マグマだまりによるカルデラ形成のアナログ実験.地質雑,115:
635-642.
4. 沢田順弘・門脇和也・藤代祥子・今井雅浩・兵頭政幸(2009)大山・大根島:山陰地方中部の対照的な第四紀火
山.地質学雑誌、第 115 巻(補遺)51-70 ページ(査読有り)
5.沢田順弘・Ashraf Al-Jairani・山崎博史・長尾敬介(2008)隠岐島後,油井地域における郡層と重栖層の火山岩類の
岩石記載と全岩 K−Ar 年代.島根大学地球資源環境学研究報告,No.27, 1-9(査読無し)
6.小室裕明(2009)日本地方地質誌6中国地方第5章 5.4 山陰帯,5.4.4 中-後期古第三紀コ-ルドロ
ン,c.島根県桜江-広島県作木地域.日本地質学会編「日本地方地質誌6 中国地方」,576pp,朝倉書
店.
7.村田泰章ほか 11 名(小室 9 番目)(2009)岡山地域重力図(ブーゲー異常)
1:200,000.重力図 27,産総研地質調査総合センター.
8.山内靖喜・澤田順弘・高須 晃・小室裕明・村上 久・小林伸治・
田山良一(2010)西郷地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅),
産総研地質調査総合センター.(印刷中).
9.Fumiaki Miyaji, Takashi Murakami and Yoko Suyama (2009) Formation of linde F zeolite by KOH
treatment of coal fly ash. J. Ceramic Society of Japan, 117[5] 619-622 (2009).
他6件
学会発表
1.赤坂正秀・高須晃・林広樹 (2009) 山陰・島根ジオパーク実現に向けた島根大学のとりくみ.日本地球惑星科学連
合、S-25、幕張メッセ
2.入月俊明・林 広樹・瀬戸浩二・田中裕一郎・松山和馬・岩谷北斗・後藤隆嗣,中国山地の海成中新統からの微化
石群集ーレヴューと新知見ー.日本地質学会第116年学術大会,2009年9月6日.岡山理科大学.
3.酒井哲弥・古川絢子, 2009, 島根県東部中新統古浦層に記録された環境の変化:海水はある日突然古浦堆積盆
にやってきた? 日本地質学会第116年学術大会(岡山理科大学)
4.高須佳奈・高須晃・赤坂正秀・林 広樹 (2009) 島根地質百選選定委員会の活動.全地連「技術e-フォーラム2
009」松江
5.丸山美智子・酒井哲弥, 2009, 島根県出雲市北部に分布する中新統牛切層の重力流堆積物の高分解能単層解析
日本地質学会第116年学術大会(岡山理科大学)
6.土田公一、陶山 容子 (2009) 繊維状 TiO2 上でのメチレンブルーの光触媒分解.日本セラミックス協会
2009 年年会、東京理科大(野田キャンパス)、2009.3.16-18
7.藤木豊、陶山 容子(2009)繊維状 TiO2 の微構造が光吸収に及ぼす影響.日本セラミックス協会 2009
年年会、東京理科大(野田キャンパス)、2009.3.16-18
他11件
普及パンフレット
萌芽研究グループ (2009)「山陰・島根ジオパーク―2008 から 2009 年の取り組み―」高浜印刷、4 ページ.
公開講座
島根半島での日本海の形成は“洪水”とともに始まった?島根半島の地層が記録する日本海の成り立ち 島根大学ミ
ュージアム市民講座(6月27日)
⑦外部資金獲得状況(当該プロジェクトに関連した外部資金について一覧の各項目に総件数,金額を記入し
て下さい。)
■外部資金獲得状況一覧
件数
1
(1)科研費
(配分額は間接経費を含む)
(2)科研費以外の外部資金
金額(千円)
配分額
295
受託研究
0
0
共同研究
0
0
寄附金・助成金
0
0
合計
1
295
【一覧内訳】
(1)科研費(科目ごとに,テーマ,研究者,金額をそれぞれ列挙してください。)
科学研究費補助金
基盤研究(C)(一般)(平成 20~22)「地学的、技術的、経済的および社会的視点から見た、17~19世紀における石見銀山の
銀生産が環境に及ぼした影響に関する研究」(片山裕之)295000円
(2)その他外部資金(一覧の項目別に,テーマ,研究者,金額を列挙してください。)
⑧その他特筆すべき成果(受賞,シンポジウムの開催,産学連携・地域連携に関する各種見本市,展示会への出展等も含む)
(1)隠岐ジオパークの実現を支援し,日本ジオパーク委員会への申請を行った。「山陰・島
根ジオパーク」実現に向けた大きな一歩である。
(2) (1)に関連して,島根県がジオパークの取り組みに向けた情報収集と対応の検討を
始め,
8月10日に開催された県のジオパーク学習会に赤坂・高須教授が参加し,
講演とアドバイスを行った。県としての取り組みを一歩進む状況になりつつあり,当プ
ロジェクトの成果のひとつと評価できる。
(3)石見銀山のジオパーク化に向けた取り組みの協議を 5 月から開始し、その取り組みの
一環として 10 月 3 日に、石見銀山世界遺産センターにて講演会(赤坂が講師)を開催す
るなど、とりくみをつよめている。
(4)浜田市の教育委員会および関係者と浜田市黄長石霞石玄武岩などの地質資源のジオパ
ークに関する懇談を行い、島根大学の取り組みに対する期待が高まっている。
(5)隠岐の日本ジオパークの実現に貢献したが、さらに、世界ジオパークの実現のため
に、隠岐においてジオパークガイド養成講座の講師を行っている。具体的には、3
月23日に林準教授がこの間の研究成果をガイドに教育するために講義を行う。
⑨ 本年度の主要な研究成果(図,表,ポンチ絵などを多用して,2ページ以内にわかりやすくまとめてください)
1.
山陰・島根ジオパークに関する研究
(1)隠岐の日本ジオパーク実現の取り組み
本萌芽研究期間中に大学案として提唱した「山陰・島根ジオパーク構想」、2007 年度から 2009 年度にわたる
「島根地質100選」(本プロジェクトメンバーを中心とした島根大学総合理工学部地球資源環境学科と中国地質
調査協会島根支部を中心とした選定委員会による)、各種シンポジウム(2007 年 12 月「山陰・島根ジオパークシ
ンポジウム」、2008 年 5 月「山陰・島根ジオサイト地質百選シンポジウム」、2008 年 8 月「山陰・島根ジオパーク
学習会」、2008 年 11 月「地域資源活用シンポジウム」、2009 年 1 月「世界ジオパーク学集会」)と、隠岐における
風待ち海道倶楽部を中心とした住民による5年間のジオパークに向けた取り組みが効果的にかみ合い、2009 年
6 月 15 日に隠岐ジオパーク推進協議会が設立され、日本ジオパーク委員会に登録申請を行った。同時に、同
萌芽研究メンバーがオブザーバー参加してきた日本ジオパーク連絡協議会が発展した日本ジオパークネットワ
ークに、山陰・島根ジオパークが準会員として参加することとなった。隠岐の日本ジオパーク登録成功は、本萌
芽プロジェクトが当初から研究を重ね、その成果として取り組んできた「住民主導のボトムアップによる活動を、
大学として地質資源の科学的価値の解明と普及によってバックアップする」という理念と取り組みが正しかったこ
とを証明する。2010 年 3 月には、世界ジオパーク登録を目指す活動の一環である「ジオパークガイド養成講座」
の講師を本萌芽研究のメンバーが担当する。
(2)石見銀山のジオパーク実現の取り組み
隠岐のジオパーク化の取り組みとともに、世界遺産である石見銀山を世界ジオパークとして登録することは、産
業遺産としての価値と、地質資源としての価値の両面から石見銀山の価値を世界に認めさせることになり、将来
的にどうしても必要なことである。今年度は、4 月から大田市および石見銀山世界遺産センターのスタッフの方々
と今後の方針を研究し、2009 年 10 月に石見銀山の自然科学的価値に関する公開講座を開催した(講演者:赤
坂)。40-50名の参加があった.センターによれば,「石見銀山の科学的価値を知りたいと言う方が多く,今回
の講演には期待が大きかった。成功だった」との評価であった。「なぜ石見銀山のジオパークが実現しなかった
のか?いつジオパークになるのか?」と言う質問が出て,ジオパーク実現に向けた期待の大きさを感じた。
(3)浜田市の黄長石-霞石玄武岩の調査とジオパーク化に向けた取り組み
4月24日:浜田市で黄長石―霞石玄武岩で地域振興を行っている島根県地学会会長桑田龍三氏の案内で玄
武岩の産状と活用の状況を視察(赤坂)。大屋俊弘県議、高原好人浜田市議会議員、浜田市教育委員会主事と
懇談および意見交換。大学の取り組みと、継続的な研究結果の普及などに対する期待が表明された。
2. 「山陰・島根ジオサイト地質100選」の取り組み
2007 年の「山陰・島根ジオパークシンポジウム」を契機のひとつとして、島根大学総合理工学部地球資源環境学
科と中国地質調査協会島根支部が協議し、「山陰・島根ジオパークの実現」も目標にした取り組みとして、「山陰・
島根ジオサイト地質100選」の取り組みを行ってきた。2008 年 8 月に一般公募を締め切り(52 名応募 97 件 71
箇所の推薦)、2009 年 5 月 1 日に 100 箇所の選定を完了し、ウェブページによってリストが公開された。ウェブ
ページの説明は、萌芽研究メンバーを中心とした大学教員による査読を行う編集委員会体制を構築し、わかりや
すさと学術的正確さを両立させた。このウェブサイト、およびウェブサイトを印刷したパンフレットは、隠岐における
ジオツーリズム、各種研究会・団体による見学会、大学の授業、一般の方に活用されている。
3.学術的研究成果
石見銀山に関係した学術的成果としては、①石見銀山福石鉱床を胚胎する仙山の火成活動とマグマの
特徴を解明、②山陰地域の花崗岩類とモリブデン鉱化作用の関係の解明、③石見銀山の前段階の鉱化作
用である石見黒鉱鉱床(山陰・島根地質 100 選のジオサイトのひとつ)の銀鉱化作用の解明、などで成
果があった。隠岐の地質については、萌芽研究の複数のメンバーによる貢献で、論文ではないが論文と
同等、あるいはそれ以上の価値を持つ地質図幅が完成し、印刷中である。琴ヶ浜の鳴き砂の地球化学的
研究、あるいは山陰・島根ジオサイトに関係した地域の研究が進んだ。これらの研究成果は、萌芽研究
メンバーの共同研究による成果が多い。
4.島根の地質資源の有効利用に関する研究
①2009 年 10 月 2 日に島根大学で開催されたゼオライトに関する産学情報交換会で、演者の一人として
赤坂が県内の 2 箇所のゼオライトに関する研究成果を報告した。40-50 名の参加で、会は業界関係者か
らは好評であった。
②2009 年に、赤坂はしまね産業振興財団の依頼で、福光石鉱床の今後の活用に関する調査と検討を依頼
され、11 月 20 日に京都大学防災科学研究所 柳谷 俊 准教授、京都大学大学院工学研究科西山 哲
准教授に御同行いただいて調査を行い、福光石鉱床の保全と有効活用に関する検討を行った。今後の発
展が期待される。
⑩本研究を更に発展させた重点研究への構想
(テーマと本学の次期中期目標・計画(策定中)との関係,テーマの学術的・社会的位置づけ,外部資金の獲得見込みな
ど,図、表、ポンチ絵などを多用して,2ページ以内にわかりやすくまとめてください。)
島根大学がなすべきプロジェクト研究は,各分野の先端的研究成果を目指した科学研究費による研究と異なって地域活性化に貢
献するという使命を持つことと,島根大学の財政規模やこの地の経済状態および地域特性からして,他の大型大学や先端的研究
機関が行っている大型プロジェクトと同様のプロジェクトを計画・実施することは合理的ではなく,地域活性化という点でも効果は尐
ない。本プロジェクトは,島根大学におけるプロジェクト研究の本来の目的からしても,また,地の利を活かした地域活性化という点
から見ても,島根大学としてのプロジェクト研究として最も合理性のあるものである。
本研究プロジェクトの理念と主要な目標は,「石見銀山の世界遺産登録に象徴的に示されている島根県の本質的長所である豊
富な自然、資源、歴史ある文化を保護・保全しつつ、持続可能な産業振興を実現する」をフィロソフィとし,これまでの萌芽研究の成
果を引き継いで発展させるとともに,とりわけ注目をあび,実際に自治体・業界などと連携した動きが進んでいる「石見銀山を中心と
した島根県の地質資源を世界ジオパークネットワークに登録する」事業を更に推進するものである。個々の地球科学的研究成果,
および島根における地下資源に付加価値をつけた新たな利用も,上記のフィロソフィに位置づけられる。これまで総合理工学部の
メンバーで本プロジェクトを進めた結果,島根の地質資源の科学的価値の解明とその価値の普及が著しく進み,ジオパーク実現に
向けた機運と取り組みが強まってきている。島根大学としては,大学中期計画とアクションプランから,この動きを支援するプロジェ
クトを更に発展させる必要がある。そのために,本プロジェクトの理念と目標のもとに,本プロジェクトと社会科学系のプロジェクトを
融合し,重点研究部門として発展させる必要がある。
重点プロジェクトでは,
1.石見銀山を中心とした島根地域における地質資源の特性と,そこに生育する動植物との関係,および,そこで育まれた文化との
関連の解明のための学際的な研究を実施し,
2.その成果を学術誌に公表するとともに,小中高校における普及講演,大学名での本の発行など,多様な方法で徹底的な普及を
行い,
3.自治体・業界・各種博物館および資料館との恒常的連携体制を作り,複数の地域が日本ジオパークとして認定され,世界ジオ
パークネットワークに登録されるように大学として支援を行い,
4.既存の地質資源(来待石・福光石・粘土資源)の更なる利用を目指した研究推進,および潜在的地質資源の利用可能性の研究
を行い,地域産業活性化の支援を行う。
国も観光立国を謳い,観光による地域活性化を重点施策としてきているが,上記1-3の活動により島根の科学的,文化的価
値がこれまで以上に広く認知されれば島根を訪れる人も増え,大学として地域に貢献したものとして評価されるであろう。