多摩川ホールディングス フルレポート [PDF:2.3MB]

SR Research Report
2014/1/9
多摩川ホールディングス(6838)
当レポートは、掲載企業のご依頼により弊社が作成したものです。投資家用の各企業の『取扱説明書』を提供
することを目的としています。正確で客観性・中立性を重視した分析を行うべく、弊社ではあらゆる努力を尽
くしています。中立的でない見解の場合は、その見解の出所を常に明示します。例えば、経営側により示され
た見解は常に企業の見解として、弊社による見解は弊社見解として提示されます。弊社の目的は情報を提供す
ることであり、何かについて説得したり影響を与えたりする意図は持ち合わせておりません。ご意見等がござ
[email protected] [email protected]末経由でも
受け付けております。
多摩川ホールディングス(6838)
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2014/1/9
目次
直近更新内容............................................................................................ 4
ハイライト ........................................................................................... 4
業績動向 .............................................................................................. 4
事業内容 ................................................................................................. 9
事業 .................................................................................................... 9
市場とバリューチェーン......................................................................... 21
経営戦略 ............................................................................................ 30
過去の業績 ......................................................................................... 31
損益計算書 ......................................................................................... 32
貸借対照表 ......................................................................................... 35
キャッシュフロー計算書......................................................................... 37
その他情報 ............................................................................................ 39
沿革 .................................................................................................. 39
ニュース&トピックス ........................................................................... 40
その他 ............................................................................................... 40
大株主 ............................................................................................... 41
企業概要 ............................................................................................ 42
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損益計算書
( 百万円)
売上高 0 9 年3 月期
連結
4,299
1 0 年3 月期
連結
2,803
1 1 年3 月期
連結
2,640
1 2 年3 月期
連結
3,106
前年比
7.1%
-34.8%
-5.8%
売上総利益
951
392
326
28.9%
22.1%
-58.8%
14.0%
-68
-1.6%
前年比
売上総利益率
営業利益
前年比
営業利益率
経常利益
前年比
経常利益率
当期純利益
前年比
利益率
一株当たりデータ
期末発行済株式数(千株)
EPS
EPS (潜在株式調整後)
DPS
BPS
貸借対照表 ( 百万円)
現金・預金・有価証券
流動資産合計
有形固定資産
投資その他の資産計
無形固定資産
資産合計
買掛金
短期有利子負債
流動負債合計
長期有利子負債
固定負債合計
負債合計
純資産合計
有利子負債(短期及び長期)
キャッ シ ュ フロー計算書 ( 百万円)
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
財務指標
総資産利益率(ROA)
自己資本純利益率(ROE)
純資産比率
1 3 年3 月期
連結
3,672
1 4 年3 月期
会予
4,504
17.7%
18.2%
22.7%
590
1,049
-16.8%
12.3%
81.1%
19.0%
77.8%
28.6%
-227
-286
-30
373
493
-8.1%
-10.8%
-1.0%
10.2%
32.0%
10.9%
-128
-224
-284
-24
375
488
-3.0%
-8.0%
-10.8%
-0.8%
10.2%
30.2%
10.8%
-408
-570
-351
-37
340
449
-9.5%
-20.3%
-13.3%
-1.2%
9.3%
32.1%
10.0%
5,461
-77.6
279
6,774
-105.3
177
6,774
-53.5
122
6,774
-5.6
116
10,753
47.2
44.3
163
820
2,245
451
267
47
3,010
511
507
1,226
216
318
1,544
1,466
724
665
1,918
295
89
39
2,341
443
433
1,026
67
153
1,179
1,162
500
493
1,530
205
30
1,766
430
203
884
83
967
799
203
56
1,293
133
18
1,445
364
30
598
85
683
761
30
390
2,114
564
27
1
2,709
386
40
708
151
251
959
1,751
192
259
-17
-194
-1
12
-82
68
93
-299
-332
77
-168
36
-454
783
-13.6%
-23.2%
48.7%
-21.3%
-43.4%
49.6%
-17.1%
-35.8%
45.3%
-2.3%
-4.7%
52.7%
16.4%
27.1%
64.6%
38.9
-
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
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直近更新内容
ハイライト
本レポートをもって、株式会社シェアードリサーチは株式会社多摩川ホールディングスのカ
バレッジを開始する。
業績動向
四半期業績動向
1 3 年3 月期
四半期業績推移
1 4 年3 月期
( 百万円)
売上高
1Q
738
2Q
852
3Q
950
4Q
1,131
1Q
914
2Q
906
1 4 年3 月期
3Q
-
4Q
-
-
-
前年比
49.0%
40.7%
-4.4%
11.8%
23.9%
6.3%
売上総利益
168
235
334
312
253
293
前年比
68.7%
71.7%
92.2%
73.6%
51.0%
24.7%
売上総利益率
22.7%
27.6%
35.1%
27.6%
27.7%
32.4%
-
-
149
160
175
191
164
167
-
-
販管費
前年比
22.7%
9.5%
13.1%
-2.5%
17.8%
10.2%
4.5%
20.2%
18.8%
18.5%
16.9%
17.9%
18.5%
-
-
19
75
158
121
89
126
-
-
2.6%
8.8%
16.7%
581.8%
10.7%
371.9%
9.8%
68.0%
13.9%
-
-
10
73
158
134
95
124
-
-
1.4%
8.6%
16.6%
563.1%
11.8%
847.7%
10.4%
69.1%
13.7%
-
-
当期純利益
9
83
156
92
90
101
-
-
前年比
-
-
-
415.9%
939.0%
22.0%
1.2%
9.7%
16.5%
8.1%
9.8%
11.1%
売上高販管費比率
営業利益
前年比
営業利益率
経常利益
前年比
経常利益率
当期純利益率
( 達成率) 通期会予
40.4%
4,504
43.6%
493
32.0%
10.9%
44.9%
488
30.2%
10.8%
42.5%
449
32.1%
-
-
10.0%
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
2014 年 3 月期第 2 四半期実績
第2四半期連結累計期間における売上高は、太陽光システム販売事業の売上高増加により、
1,820 百万円(前年同期比 14.5%増)となった。売上高の増加に伴い、売上総利益は 547
百万円(同 35.7%増)となった。一方、人件費の増加を抑えたことで、販売管理費は 332
百万円(同 7.3%増)に留めた。売上高販管費比率は 18.2%と前年同期比で 1.2 ポイント低
下した。
その結果、損益面は大幅に改善し、営業利益 215 百万円(前年同期比 129.2%増)
、経常利
益 218 百万円(同 163.0%増)、四半期純利益 190 百万円(同 108.7%増)となった。
セグメントの業績は、以下の通りである。
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電子・通信用機器事業
移動体通信事業者による基地局設備投資は継続されつつも、防衛関連設備および公共無線関
連設備の公共投資は、緩やかに推移し、売上高は 1,382 百万円(前年同期比 2.5%減)とな
った。
「高付加価値製品の販売促進」や「原価低減活動」により、営業利益は 187 百万円(前
同期比 26.8%増)となった。
同社によれば、移動体通信インフラにおいては、スマートフォン普及に伴うトラフィック増
加対策や不感知対策における設備投資が継続していること、補正予算などによる公共事業分
野の需要が増加傾向にあることから、無線市場は堅調に推移して行くことが予測されるとい
う。
太陽光システム販売事業
「再生可能エネルギー特別措置法」施行以来、太陽光発電システム販売の受注が増加し、営
業の効率化に向けた改善活動を行ったことにより、売上高 414 百万円(前年同期比 320.9%
増)
、営業利益は 47 百万円(前年同期は営業損失 22 百万円)となった。
太陽光発電所事業
当第2四半期連結累計期間において、山口県下関市において建設を進めてきたメガソーラー
発電所が完成したことにより売電が開始され、当該発電所における売電収入が 2013 年 7 月
からの 3 ヵ月間が計上された。売電収入に対し、6ヵ月分の固定費が発生したことに加え、
その他の他太陽光発電所案件の初期費用等が先行したことにより、売上高 23 百万円、営業損
失は 13 百万円となった。同社によれば、下関市メガソーラー発電所については計画通り順調
に売電しており、売上総利益も 50%を超える水準にあることから、2014 年 3 月期下期以降
の収益貢献が見込まれる。
過去の四半期実績と通期実績は、過去の業績を参照
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2014 年 3 月期の見通し
( 百万円)
売上高
売上原価
売上総利益
1 3 年3 月期
1 4 年3 月期
上期実績 下期実績 通期実績 上期実績 下期会予 通期会予
1,590
2,081
3,672
1,820
2,684
4,504
1,187
1,436
2,623
1,274
403
646
1,049
547
25.3%
31.0%
28.6%
販売費及び一般管理費
売上総利益率
309
366
675
332
売上高販管費比率
19.4%
17.6%
18.4%
18.2%
営業利益
営業利益率
経常利益
経常利益率
30.0%
94
280
373
215
278
493
5.9%
13.4%
10.2%
11.8%
10.4%
10.9%
83
291
375
219
269
488
5.2%
14.0%
10.2%
12.0%
10.0%
10.8%
当期純利益
91
248
340
191
258
449
純利益率
5.7%
11.9%
9.3%
10.5%
9.6%
10.0%
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
1 4 年3 月期予想( セグメント別)
( 百万円)
売上高
電子・通信用機器
太陽光エネルギー
バイオマスエネルギー供給
営業利益
電子・通信用機器
太陽光エネルギー
バイオマスエネルギー供給
1 3 年3 月期 1 4 年3 月期
通期実績
通期会予
3,671
4,504
3,155
2,800
441
1,704
74
373
493
374
226
41
266
-30
-
前年比
22.7%
-11.3%
286.4%
32.2%
-39.6%
548.8%
-
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
事業環境については、再生可能エネルギーの固定価格買取制度は 2013 年 4 月より買取価格
が改定されたが、制度は継続されており、太陽光発電関連の事業を積極的に展開できる状況
にある。
2014 年 3 月期通期会社予想は、太陽光エネルギー事業の拡大により、売上高 4,504 百万円
(前年同期比 22.7%増)
、営業利益 493 百万円(同 32.2%増)
、経常利益 488 百万円(同
30.4%増)
、当期純利益 449 百万円(32.3%増)としている。
各事業セグメントに関しての見通しは、以下の通りである。
電子・通信用機器
(売上高:2,800 百万円(前年同期比 11.3%減)、営業利益:226 百万円(同 39.6%減)
)
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電子・通信用機器事業部門における移動体通信向け製品の売上高構成は、2013 年 3 月期で
60%を超えた。同社によれば、移動体通信事業者各社はスマートフォンやタブレット端末の
普及を要因とした通信トラフィックの大幅な増加に対応するため、2013 年 3 月期に LTE 関
連設備の投資を大きく増やした。同社では 2014 年 3 月期は LTE 関連の設備投資が踊り場を
迎えると想定し、売上の減少を見込んでいる。
売上高の減少に加え、将来の事業拡大に向け、設備投資及び研究開発費を増額する予定であ
ることから営業減益となる見通しである。
同社では、2013 年 3 月期に電子・通信機器事業の営業黒字を達成し、今後の成長に向けた投
資を進める方針である。公共・防衛関連需要の拡大、ミリ波通信技術に対する研究のために、
研究開発費および設備投資を増額する予定である。
太陽光エネルギー事業
(売上高:1,704 百万円(前年同期比 286.3%増)
、営業利益:266 百万円(同 548.8%増)
)
固定価格買取制度により、太陽高エネルギー販売事業において、モジュールの販売増加が見
込まれる。また、太陽光発電所事業では下関発電所などの稼働が、収益に貢献する見込みで
ある。
太陽光システム販売においては、同社では、受注が好調に進んでいることから、2014 年 3
月期に九州を中心に 10MW(前年同期比 460%増)の販売を見込んでいる。
太陽光発電所事業においては、第 2 四半期に下関発電所(山口県下関市、発電出力:1.5Mw)
する予定である。こうしたメガソーラー発電所が順次稼働し、立ち上げ当初から黒字が見込
まれる。
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中長期展望
同社は、2013 年 4 月に 2018 年 3 月期までの中期経営計画を発表している。当該中期経営
計画における目標値は売上高 10,000 百万円、営業利益率 20%、ROE20%である。
中期計画において、2018 年 3 月期の売上高構成比は電子・通信用機器 47.0%、太陽光エネ
ルギー(販売)24.4%、太陽光エネルギー発電所 27.9%と予想している。
電子・通信用機器事業では、現多摩川電子社長就任(2011 年 6 月)以降、不採算案件の受注
を止める方針とし、収益改善に成功した。今後は、研究開発により、新製品を開発・投入す
ることで売上の拡大を図るとともに、収益性の高い自社製品の売上構成比率を高めていく方
針である。同社によれば、移動体通信基地局関連部品の需要拡大に加え、防衛、災害対策、
環境分析装置関連に対して、以下のように高周波無線技術を応用した新分野の需要が期待で
きるとのことである。
 移動体通信基地局関連部品に関しては、2016年前後から移動体通信事業者が高速通信サ
ービスLTE-Advancedを展開すると想定し、基地局設備の更新需要による売上の拡大が見
込まれる。また、同社によれば、2020年開催予定の東京オリンピックに向けて、高速デ
ータ通信を可能とする小型携帯基地局(スモールセル)のインフラ需要が期待できるとい
う。
 防災・防衛関連に関しては、震災や領土問題に起因し、ハイビジョン画像による沿岸監視
の需要が増しており、同社では沿岸監視に関連する製品としてミリ波伝送装置、信号処理
装置の開発・提案を強化していく方針である。
 自社製品では、花粉、黄砂、PM2.5や放射能汚染等、環境分析装置の需要増大に向けて自
社製品の開発・提案を強化していく。
太陽光エネルギー事業では、中期計画において、2018 年 3 月期に、システム販売で連結売上
高の 24.4%、
メガソーラー発電所で連結売上高の 27.9%を見込んでいる。
SR 社の推測では、
太陽光エネルギー事業においては、中期計画策定時以降の開発案件の増加などにより、当事
業の想定は変化しており、投資資金を確保する手段も多様化することが考えられることから、
同社はより具体的な計画を策定しているものと考える。
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事業内容
事業
同社の事業セグメントは、連結子会社株式会社多摩川電子(以下、多摩川電子社)創業(1968
年)以来の事業である電子・通信用機器事業、2012 年 3 月期に事業を開始した太陽光エネル
ギー事業からなる。
同社は、2014 年 3 月期第 2 四半期より、太陽光エネルギー事業を太陽光システム販売事業
と太陽光発電所事業に区分している。
事業別セグメント
(百万円)
売上高
0 9 年3 月期
実績
3,248
1 0 年3 月期
実績
2,709
1 1 年3 月期
実績
2,390
(前年比)
-14.2%
-16.6%
(構成比)
75.6%
96.6%
電子・通信用機器事業
バイオマスエネルギー供給事業
-
(前年比)
-
(構成比)
太陽光エネルギー事業
-
(前年比)
(構成比)
計
電子・通信用機器事業
(前年比)
-11.8%
0.7%
31.2%
90.5%
77.5%
85.9%
250
681
75
-
-
172.3%
-89.0%
-
9.5%
21.9%
2.0%
-
-
19
441
-
2215.0%
0.6%
12.0%
-
-
-
2,803
2,640
3,106
3,672
-34.8%
-5.8%
17.7%
18.2%
-162
-292
-236
63
-
-
-
-
497.4%
-
-
100.4%
-47
-48
-
(構成比)
バイオマスエネルギー供給事業
-
1 3 年3 月期
実績
3,156
4,299
7.1%
(前年比)
営業利益
-
1 2 年3 月期
実績
2,406
-
-
375
-30
(前年比)
-
-
-
1.3%
-37.2%
(構成比)
-
-
-
-
-
-24
42
太陽光エネルギー事業
-
-
-
(前年比)
-
-
-
-
-
(構成比)
-
-
-
-
11.2%
計
-212
-290
-283
-9
387
その他
144
63
-6
-16
-11
調整額
-
-
3
-4
-2
連結
-68
-227
-286
-30
373
-
-
-
-
-
(前年比)
出所:同社資料よりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
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電子・通信用機器事業
(2013 年 3 月期売上高構成比率:85.9%、同営業利益構成比率:100.4%*)
*営業損失の事業セグメントを含むことにより、営業利益構成比率が 100%を超えていること
に留意。
連結子会社多摩川電子社創業(1968 年)以来の事業で、高周波無線技術を応用し、移動体通
信の基地局、放送、防災・消防無線などに使われる増幅器、減衰器、フィルタ、分配器、合
成器など無線機器に不可欠な高周波回路素子製品を生産、販売している。高周波回路素子製
品とは、送受信される信号の分配・合成や、必要な周波数の取捨選択、信号の強弱を適正レ
ベルに調整するなどして、その通信環境に適した機能を維持するための部品群である。
高周波回路素子
出所:同社資料
同社によれば、高周波無線は、広帯域の電波を利用するため、伝送スピードが速く、データ
通信や動画通信に適するという特徴がある。通信・放送機器の中でデジタル技術の占める割
合が近年増加しているが、フロントエンド部分の高周波信号を直接送受信する部品は、デジ
タル技術では処理できないアナログ高周波技術により構成されており、同社はアナログ高周
波の分野を専門としている。デジタル技術は、同社を含め多くの事業者が活用できるが、ア
ナログ高周波技術を応用した製品を手掛ける事業者は数少ないことから、同社は希少な存在
として、
高い市場シェアを有している。移動体通信基地局関連部品のシェアは約 15%である。
移動体通信基地局:移動体通信のネットワークは、無線基地局という大型のアンテナつきの無線通信装
置が光ファイバーなどの有線ケーブルで接続されて構築されている。携帯電話の電波が届く距離は限ら
れているため、サービスエリア全域にわたって、多数の基地局を配置することで、蜂の巣状のネットワ
ークを作っている。2013 年現在、55 万局の基地局が全国に設置されている(出所:MCAInc 推定)。
同事業の売上の約 61%が移動体通信の基地局に使われる部品、約 16%が防衛関連の部品、
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約 21%が公共・防災・地上波デジタル放送等の用途に使われるカスタム部品(注文主の意向
や要求に合わせて、設計した部品)である。移動体通信基地局に使われる主な部品は、アン
テナが送受信する様々な電波の中から、必要な周波数の電波を取り出す高周波フィルタや分
配・合成器、減衰器等である。
売上の約 70%は大手電機メーカーや通信・放送事業者に対する部品の供給で、約 30%は自
社製品として販売している。粗利率はカスタム部品供給売上より自社製品の方が高いという。
1990 年代に日本で携帯電話が急速に普及する中で、移動体通信事業者は積極的に基地局の建
設を進めた。移動体通信基地局に高周波無線技術を応用した部品が不可欠であったことから、
同事業の売上は拡大した。同社は 2005 年までは移動体通信基地局関連部品で約 30%の市場
シェアを有していた。その後、海外の競合企業が日本市場に参入し、価格競争が激化したこ
とで、同社製品の市場シェア、売上、収益性は低下し、同事業は業績低迷を続けた。
不採算受注の中止などにより、2012 年 3 月期より業績が改善基調にある。今後は、研究開発
を進め、自社製品の開発と積極的な提案を進めることで、売上の拡大と収益性の向上を図る
方針である。
韓国 Ace 社との提携
同社は、2013 年 5 月に、韓国 Ace Technologies Corp.(以下、Ace 社)と日本国内におけ
る、高周波デバイス、アンテナ、及びその周辺機器の販売に関して業務提携したと発表した。
同社によれば、Ace 社は韓国における高周波デバイス、及びアンテナの大手メーカーであり、
その製品は韓国のみならず、欧米の無線通信インフラ市場で広く採用されているという。ま
た、Ace 社は中国広東省に子会社群を保有し、短納期で価格競合力のある製品を市場に供給
できる体制を構築しているという。
SR 社では、同社の品質管理に関するノウハウおよび国内における営業網と Ace 社の製造ノウ
ハウを結び付けることで、日本市場において、製造コストの引き下げと価格競争力向上によ
り、市場シェアの拡大が期待できると考えている。同社は Ace 社の生産設備を活用すること
で、製造コストを従来比で 30%削減できる目途が立っているとしている。2014 年 3 月期第
4 四半期以降に Ace 社との提携が本格化する見込みであり、価格競争力を活かした売上拡大
と利益率の改善が期待できるという。
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太陽光エネルギー事業
(2013 年 3 月期売上高構成比率:12.0%、同営業利益構成比率:11.2%)
同社の太陽光発電事業は、システム販売とメガソーラー発電所事業から成る。2013 年 3 月期
は、太陽光エネルギー事業の売上は、太陽光システムの販売のみであった。
同社は、2014 年 3 月期第 2 四半期より、太陽光エネルギー事業を太陽光システム販売事業
と太陽光発電所事業に区分している。
太陽光システム販売事業
同社では 2011 年 7 月に GPPV SOLAR PTE.LTD.(以下、GPPV 社)と太陽光モジュールの
独占販売契約を締結し、GPPV 社製の太陽光システム販売を開始した。
多摩川ホールディングス社の太陽光システム設置例
出所:同社資料
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GPPV 社の製品に関して、同社は、2011 年に多摩川電子社の電子・通信用機器製造で培った
品質管理手法をベースに、GPPV 社の製造ラインを検査し再構築した。具体的にはモジュール
検査用の EL テスターを GPPV 社のラインに組み込み、全品検査し、画像を同社と GPPV 社で
共有することにより、品質水準を高めた。
EL テスター:太陽電池セル・モジュールに EL(エレクトロルミネッセンス)発光を起こし、そのデー
タをカメラで撮像・計測して欠陥検査を行う手法。
同社によれば、太陽光モジュールの製造工程で、セルに微細なひび割れが発生すると、数年
後にはひび割れが進行し、発電効率が低下するという。同社は、GPPV 社の製造方法を改め、
長期間発電量が低下しない品質を実現したという。
太陽光システムの販売に関して、同社は販売代理店を通して、太陽光モジュールやパワーコ
ンディショナを顧客に販売している。また、契約者に対し、電力会社との折衝、金融機関に
対する借入申し込みの補助なども必要に応じて行う。
営業活動に関しては、連結子会社の株式会社多摩川ソーラーシステムズ(多摩川ソーラーシ
ステムズ社)が中心に行っている。多摩川ソーラーシステムズ社は 2013 年 2 月に設立、同
社単体で行っていた太陽光エネルギー販売事業を移管する予定である。2013 年 12 月現在、
6 名の体制で、九州地方を中心に営業活動を行っている。
販売先は企業が中心で、金融機関などからの紹介および同社ホームページを確認しての依頼
が多い。固定価格買取制度に基づき、10KW 以上の太陽光発電設備により発電された電力は、
20 年間定額で電力会社が買い取ることから、顧客は安定的な収益を見込むことが出来る。さ
らに太陽光発電設備はグリーン投資減税制度を利用すれば取得価額の全額を即時償却出来る
ことから、企業からの引き合いが多いとのことである。また、同社は、2012 年 12 月に長崎
県五島市黒蔵において自治体と連携し、システム販売の実績から周辺地域の自治体からの引
き合いが増加しているという。
固定価格買取制度:再生可能エネルギーの普及促進のために、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス
によって発電者が発電した電気を、電力会社に、一定の期間・価格で買い取ることを義務づける制度。
電力会社による買取価格・期間については、毎年度見直される。2013 年度の太陽光発電設備での発電
による電力の買取価格は 1KW 当たり 37.8 円(税込)であり、買取期間は 20 年である。固定価格買取
制度の適用を受けるためには、経済産業大臣からの設備認定を受ける必要がある。
同社から顧客への販売価格は、1KW 当たりの太陽光発電設備で約 30 万円である。発電量に
1KW 当たりの単価を乗じた金額が、
同社の売上となり、
粗利率は 15%から 25%程度である。
2013 年 3 月期は 36 件、約 1,700KW の太陽光システムを販売した。
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同事業において、固定価格買取制度の買取価格引き下げがリスク要因である。同社では、太
陽光発電設備に関して、発電容量を拡張しても、初期投資費用が大きく増加しないことに着
目し、固定価格買取制度における売電価格が 30.0 円に引き下げられたとしても、顧客が
11.5%の投資利回りを得ることが出来ると想定している。
具体的には、同社では、1KW 当たり 37.8 円の条件で、1 年間の売電収入を 40 百万円と推定
している。2013 年 12 月現在の 1MW の太陽光発電設備における初期投資費用約 300 百万円
を基に、投資利回りを 13.3%と想定している。それに対し、1.2MW の初期投資費用は約 330
百万円であることから、買取価格が 30.0 円に引き下げられても、1 年間の売電収入は 38 百
万円、11.5%の投資利回りが確保可能であるという。
太陽光発電所事業
太陽光エネルギー事業では、太陽光システム販売の他に、2014 年 3 月期より、メガソーラー
発電所の運営を行っている。
メガソーラーとは
メガソーラーとは、出力 1MW 以上の大規模な太陽光発電である。2012 年 7 月から再生可能
エネルギーの固定価格買取制度が始まったことによって、事業の収益化に対する確度が高ま
り、様々な業種が参入している。また、自治体が民間企業と提携し、遊休地を利用してメガ
ソーラー事業を展開するという動きもある。
設置場所、日射量等の要因によって発電量は異なるが、1MW のメガソーラーで概ね年間
1,000MKWh 以上の発電量が見込まれる。4 人家族の一般家庭が消費する電力量が年間約
5.5MWh なので、1MW のメガソーラーで約 300 世帯分がまかなえる計算となる。
建設には広大な土地が必要とされ、1MW のメガソーラー設置には 15,000 ㎡程度の敷地が必
要である(東京ドームは約 47,000 ㎡)
。
メガソーラー事業において、固定価格買取制度を活用するためには、再生可能エネルギーの
固定価格買取制度に基づく発電設備等の設備認定を申請し、事前に経済産業大臣の設備認定
を受ける必要がある。設備認定とは、発電所設備が法令で定める条件に適合するか、国で確
認するものである。太陽光発電設備で発電された電力の買取価格は、当該設備の発電開始時
点ではなく、設備認定された時点を基準に決められる。
発電設備、設置等に関する許認可を除き、メガソーラー発電所の事業者が、再生可能エネル
ギーの全量買取制度の対象となるために必要な許認可はない。メガソーラーの運営には電気
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主任技術者の選任が必要であるが、発電事業者に対し特別に電気事業に関する事業経験、専
門知識等は要求されない。
多摩川ホールディングスの太陽光発電所事業
同社ではメガソーラー事業参入に際し、2012 年 6 月に準備室を新設、同年 9 月に株式会社
GP エナジー株式会社を設立した。第 1 号案件として、山口県下関市に下関発電所の建設を開
始、同発電所は 2013 年 6 月に稼働を開始した。
メガソーラー発電所事業では、同社が出資し、太陽光発電所ごとに専門会社を設立のうえで、
土地を取得または賃借し、発電量が 1MW を超える太陽光発電所を建設、運営を行う。太陽
光発電所ごとに専門会社を設立する理由は、太陽光発電所事業を行う専門会社単位で、金融
機関からの資金調達(プロジェクトファイナンス(ある特定の事業からあがる予想収益をも
とに行われる借入れ))を行うことも想定しているためである。2013 年 7 月までに、株式会
社 GP エナジー1 から株式会社 GP エナジー6 まで、太陽光発電所の運営会社として 6 子会社
を設立した。
同社によれば、メガソーラーの太陽光発電所に必要な設備投資は、太陽光モジュール、設置
架台、電気設備、工事代金などで、投資額総額は 1MW 当たり 260 百万円から 300 百万円で
ある。
同社はメガソーラー発電所で発電した電力を電力会社などに売却することで収入を得る。発
電量に電力会社などの買取価格を乗じた金額が同社の売上となる。電力会社による買取価格
は、固定価格買取制度に基づき、2012 年度に設備認定を受けた設備であれば 1KW 当たり
42.0 円(税込)
、2013 年度に設備認定を受けたものは 37.8 円(税込)である。買取期間は
20 年間一定である。
メガソーラー発電所で想定される収益に関して、SR 社の理解では、1MW の発電出力の太陽
光発電設備の年間発電量は 1,000 から 1,400MWh である。2012 年度に設備認定を受けた設
備であれば、42.0 円(税込)の買取価格が適用され、1.0 ギガワットの発電量であれば、年
間 40 百万円程度の収入が見込まれる。ただし、発電量は天候等によって変化し、また、太陽
光発電モジュールの劣化により、年間 0.25%から 0.75%程度低下する。
メガ―ソーラー運営の主な費用は、減価償却費、土地賃借料、メンテナンス料、保険であり、
収入の約 50%が売上総利益となる。自己資金のみで建設した場合の内部収益率は約 9%と試
算される。
多摩川ホールディングス社の太陽光発電所
2013 年 12 月現在、下関発電所が稼働中である。その他に、長崎県南島原市でメガソーラー
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施設を建設中である。
下関発電所
出所:同社資料
多摩川ホールディングスの太陽光発電所施設
メガソーラー発電所
所在地
山口県
下関発電所
下関市
長崎県
五島列島発電所
五島市
長崎市
長崎市南島原発電所
南島原市
計
発電出力
面積
完成予定
総投資額
1.5MW
24,081㎡
2013年6月
402百万円
収入
(SR社推定)
備考
土地は5年間賃借後に取得する契約。5年
70百万円
間合計で賃借料は20百万円、賃借後の取
得価額は130百万円。
6.0MW
100,000㎡
1.0MW
12,000㎡
2016年3月期
第1四半期
-
280百万円
-
45百万円
土地は20年間の賃借契約
2013年9月に九州電力との系統連系によ
2013年9月
り約49kwで稼働。2015年3月期第2四半
期に約1.0MWへ拡張予定。
8.5MW
395百万円
出資:同社資料よりSR社作成
太陽光発電所事業の資金調達
2013 年 12 月現在、同社は資金を確保できれば運営が可能なメガソーラー発電所の開発見込
み案件が増加しているという。ただし、投資可能な資金と人的リソースの制約により、当該
案件をどのように展開するかが今後の検討課題になっている。
同社は 2008 年 3 月期以降、5 期連続の純損失を継続した。その結果、メガソーラー事業を
開始するにあたり、負債による資金調達が困難であった。下関発電所建設のために 2013 年 1
月に第三者割当増資および新株予約権の発行により、総額 901 百万円の資金調達を行った。
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SR Research Report
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同社では、多数の開発案件を抱えながら投資資金が限られることから、メガソーラー事業に
おいて、様々な運営方法を試みている。
2014 年 3 月期以降の 1 から 2 期間は、
2013 年 1 月に調達した資金を最大限活用するため、
セールアンドリースバックなどの仕組みを利用しながら、新規のメガソーラー建設に必要な
資金を捻出し、メガソーラー運営の実績を積み重ねることで、その後の負債の活用、または
新たな資金調達を検討し、事業を拡大することになると、SR 社では推測する。
また、同社はプロジェクトファイナンスの活用、匿名組合出資などの仕組みを活用すること
も考えており、2013 年 6 月には適格機関投資家の認定を受けている。さらに、資金回収を早
める仕組みとして、太陽光発電の分譲販売も検討しているという。
新電力への販売
同社によれば、新電力(PPS:Power Producer and Supplier)は、固定価格買取制度の買
取価格より、高い価格で再生可能エネルギー発電設備から発電された電気(以下、
「再生可能
エネルギーの電気」とする。)を買取るため、同社では新電力に電気を販売する方針である。
新電力(PPS):工場の余剰電力を活用したり自家発電したりして、電気を安価に供給する電力業界への
新規参入事業者。2000 年の規制緩和で、大口向けの電力小売りが自由化されたことで登場した。
電力会社による再生可能エネルギーの電気の買取りの仕組みは、以下の通りである。

電力会社は、再生可能エネルギーの電気を固定価格買取制度による買取価格で発電事業
者から買い取る。

電力会社は、発電事業者から買取った再生可能エネルギーの電気を、電気の使用者に販
売し、収入を得る。また、再生可能エネルギーの電気の買取りに要した費用を、電気の
使用者から徴収する(再生エネルギー賦課金)。

電力会社は、再生可能エネルギー賦課金を費用負担調整機関(電力会社の費用負担を調
整する機関)に納付する。

費用負担調整機関は、再生エネルギー賦課金を、再生可能エネルギーの電気の買取り量
に応じて電力会社に配分する。
費用負担調整機構が電力会社に配分する金額は、電力会社が再生可能エネルギーの電気を買
取った金額から、回避可能原価を差し引いた金額である。よって、電力会社にとって、回避
可能原価が、再生可能エネルギーの電気を販売する場合の実質的な費用となる。
回避可能原価:電力会社が再生可能エネルギーの電気を買い取ることで、予定していた発電を辞め、支
出を免れることが出来た費用のこと。
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回避可能原価は、各電力会社の電気料金の算出方法を基に決められており、電力会社によっ
て異なる。2013 年度は、最高額の東京電力で 9.98 円、最低額の北陸電力で 4.37 円とばら
つきがある。新電力の回避可能原価は、営業地域の電力会社の回避可能原価を加重平均して
決められる。最高額でも東京電力並みの 9.98 円となる。
一方、日本卸電力取引所(卸電力の取引所)の電力スポット価格は、2013 年 12 月現在、1KWh
あたり 16 円程度で推移している。SR 社の認識では、新電力は、電力スポット価格と回避可
能原価の差分を利用し、再生可能エネルギーの電気を発電事業者から固定価格で買取り、当
該電気を卸電力取引市場で売却することで、収益を得ることができる。
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SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)

電子・通信用機器事業の競争力回復:同社によれば、OEMを通じた高付加価値製品の販
売、通信機器の強化、防衛および防災関連の政府需要が実を結び、同社の高周波機器に
おける競争力は回復傾向にあるという。SR社では、政府需要に関しては、日本のサプラ
イヤーが好まれることから、同社は海外の競合企業と比較し、優位な立場にあるみてい
る。また、研究開発の再開や自社ブランドの販売により、収益力が強化されるものと予
想している。

適正規模と技術で太陽光エネルギー事業が成功:同社は太陽光エネルギー事業をゼロか
ら立ち上げ、ソーラーパネルの設置やプロジェクトの資金調達においての経験を積んで
いる。2013年12月時点で、同社は数百メガワット規模のプロジェクトに絞るとしている。
政府による固定価格買取制度は大きな後押しとなり、資金調達できれば、太陽光エネル
ギー事業は収益向上に大きく貢献することが見込まれる。

投資家からの信頼を欲する経営陣: SR社は、投資家にとって、同社は投資先として疑念
があることは把握している。投資家や取引先との連携で、同社は企業イメージの再建を
望んでいる。SR社では、投資家は同社による情報の開示姿勢を高く評価するであろうと
考えている。
弱み(Weaknesses)

信用: 同社には過去の失敗がある。桝澤代表取締役が、日本企業の役員としては珍しく、
ジェイ・ブリッジ元代表取締役としての任期中に生じた問題で、民事裁判の被告人とな
った事実について、投資家、取引先共に困惑する可能性がある。この問題について同氏
は巻き込まれた被害者であると断言しており、信用を取り戻し、経営者としての手腕を
示したいとしている。

脆弱なバランスシート: SR社では、同社は2008年から2012年までの損失でバランスシ
ートが悪化し、経営難であったと理解している。その結果、2012年に同社が太陽光エネ
ルギー事業の開始を決定した際、銀行から融資を受けることができなかった。同社によ
ると、収益が改善した2013年から、いくつかの金融機関(大手銀行ではなく、ほとんど
がリース企業)からの融資が再開したとしている。とはいえ、信用限度額はまだ低く、
同社は一度に少数のプロジェクトしか実施できない。金融機関の信用を回復するには時
間がかかるだろう。

ソーラー事業での人員不足: 2013年12月時点、太陽光発電エネルギー事業は社員6名の
体制である。プロジェクトの複雑さを鑑みると、起業家精神に満ち、モチベーションが
高く、資金調達から電気工学まで幅広い知識を持った人財が必要であるが、適切な人財
を迅速に獲得しようとすることが、成長の妨げとなる可能性がある。再生可能エネルギ
ーの買取価格が年々減少する傾向にあり、限られた機会を考えると、人員不足は懸念材
料となろう。
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グループ会社
2013 年 3 月末時点で、同社は、持株会社多摩川ホールディングスと連結子会社 5 社で構成
される。
・株式会社多摩川電子(100%)
:電子・通信用機器事業。2013 年 3 月期売上高 3,156 百万
円、経常利益 350 百万円、当期純利益 318 百万円
・株式会社多摩川ソーラーシステムズ(100%):太陽光エネルギー販売事業
・株式会社 GP エナジー(100%)
:太陽光発電所事業
・株式会社 GP エナジー2(100%)
:太陽光発電所事業
・株式会社 GP エナジー3(100%)
:太陽光発電所事業
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市場とバリューチェーン
マーケット概略
無線通信インフラ
近年、スマートフォンやタブレット端末などが急速に普及している。スマートフォンのデー
タトラフィック(送受信データ量)は従来型携帯電話(フィーチャーフォン)の 10-20 倍と
いわれ、大容量コンテンツの利用が加速し、通信量がますます増大しつつある。急増するト
ラフィックへの対策が喫緊の課題とされており、データ通信の高速化・大容量化に向けたネ
ットワーク環境の整備が急ピッチで進められている。
トラフィック対策の一つとして、2013 年時点で通信事業者各社は LTE、WiMAX 等の高速移
動通信サービスを積極的に展開している。また、プラチナバンドと呼ばれる電波周波数帯が
携帯電話用に新たに割り当てられる等、トラフィック増加に対応した周波数再編も進められ
ている。その他、急増するトラフィックを Wi-Fi 等を通じて固定網に逃がすデータオフロー
ド対策の整備も全国的に進んでいる。
ただし、総務省「無線 LAN ビジネス研究会報告書(2012 年 7 月)
」によれば、データトラフ
ィック(移動通信トラフィック)は 2015 年度末までに 2010 年度比で 20.8 倍(年平均増加
率 1.84 倍)から最大で 39.1 倍(同 2.08 倍)になると予想されている。そのため、ネット
ワーク環境整備がこうしたトラフィックの激増に追いつけていけるかどうかは、未だに不透
明である。
実際の移動体通信事業者の投資動向について触れると、LTE 関連投資でいえば、例えば、株
式会社 NTT ドコモ(東証 1 部 9437、以下 NTT ドコモ社)は、2012 年度末で基地局数約
24,400 局であったが、2013 年度末の基地局数は約 50,000 局(人口カバー率約 98%)ま
で増やす予定である。加えて、新たに 700MHz 帯の電波を使用する LTE サービスを 2015 年
1 月より開始するとしており、それ以前に工事の増加が見込まれる。その他、以前は設備投資
を抑制気味であったソフトバンク株式会社(東証 1 部 9984、以下「ソフトバンク社」
)も設
備投資を活発化させている。
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モバイル系キャリアの動向
(出所:各種資料より SR 社作成)
SR 社の認識では、移動体通信事業者各社は 2015 年以降に LTE の次世代技術である
LTE-Advanced の商用化を進めていく。それに付随した投資が活発化するものと推測される。
LTE-Advanced
LTE-Advanced とは ITU(注)で承認された第 4 世代の移動通信規格で、世界規模で普及し
ている LTE をさらに高速化し、静止/低速移動時で最大 1Gbps、高速移動時で最大 100Mbps
を目指して開発中の通信技術である。
(注)国際電気通信連合(International Telecommunication Union)の略、無線通信と電気通信分野に
おいて各国間の標準化と規制を確立することを目的としている。主な業務は標準化、無線周波数帯の割
当て、国際電話を行うために各国間の接続を調整することである。
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通信技術の進化
(出所:各種資料をもとにSR社作成)
LTE-Advanced による通信速度の高速化は、現行 LTE に多様な技術要素を付加することで実
現される。特に、空間多重技術の MIMO(multiple-input and multiple-output)の高度化と帯
域拡張の実現手段となるキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)という 2 つの要
素が通信速度高速化に重要な役割を担う。
SR 社の理解では、NTT ドコモ社において、現行 LTE のネットワークは、主に 3G 通信基地
局の部品交換により構築したものである。それに対し、LTE-Advanced では新周波数帯の導
入が見込まれており、既存の基地局設備を変更する必要があるため、基地局当たりの通信工
事額は上昇すると考えられる。将来的に NTT ドコモ社を筆頭に、LTE-Advanced のネットワ
ーク構築のために移動体通信基地局工事の設備投資額は増加することが予想される。
総務省情報通信審議会(総務大臣の諮問機関)の答申によれば、LTE-Advanced は、既存の LTE で使わ
れている周波数とは異なる 3 から 4GHz 帯の周波数に導入される見込みである。
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太陽光発電市場
同社の業績に大きな影響を及ぼすであろう太陽光発電市場に関して、日本における太陽光発
電市場の予測、太陽光発電普及促進策、および固定価格買取制度に関して、以下に説明する。
日本における太陽光発電市場の予測
地球温暖化問題や近年の原油価格高騰などから、化石燃料に替わるクリーンエネルギーが注
目を集めている。また、原子力も注目される分野の一つだが、安全性の側面からはクリーン
エネルギーに劣る。その有望なエネルギー源の一つが太陽光発電(Photovoltaic Power
Generation:PV)である。太陽光発電は、太陽電池を利用し、太陽光を電力に変換する発
電方式であり、二酸化炭素を排出しない。
日本においても太陽光発電システムの導入に対する政策的な取組により、太陽電池の導入量
は年々増加している。NEDO のロードマップによれば、2020 年までに 2005 年の 20 倍(29
GW)、2030 年には 40 倍の(53GW)の導入目標が掲げられているが、2030 年の目標が
達成されれば、全電力の約 10%を太陽光発電で賄える計算となる。
NEDO は 、 新 エ ネ ル ギ ー ・ 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 ( New Energy and Industrial Technology
Development Organization)の略称。産学官の連携及び、国際ネットワークの活用で、エネルギー・
地球環境問題の解決と産業技術の競争力を目指す独立行政法人で日本最大の技術開発推進機関である。
なお、経済産業省によれば、2012 年度に太陽光発電が国内総発電量に占める割合はわずか
0.4%(2011 年度は 0.2%)であった。
また、年間の需要予測としては、富士経済研究所によれば、国内の太陽電池市場(モジュー
ル出荷ベース)は 2030 年に 2012 年比で 340%、金額ベースでも 152%の成長が予測され
ている。出力ベースでは長期的に年平均 13%程度の堅調な市場拡大となるが、原材料や製造
装置などの周辺装置では価格下落の基調が続くと予想され、金額ベースでは年平均 3%程度の
成長予測に留まる。
国内太陽光市場(モジュール出荷ベース)
2011年
出力合計
金額
2012年見込
2030年予測
2030年予測/2012年見込み
1,450MW
2,500MW
8,500MW
340%
住宅用
1,200MW
1,500MW
5,000MW
333%
産業用
250MW
1,000MW
3,500MW
350%
2,200億円
2,500億円
3,800億円
152%
出所:株式会社富士経済の予測をもとにSR社作成
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短期的な予測として、米 IHS 社によれば、固定価格買取制度により、2013 年に日本国内に
新規導入される太陽光の発電能力は 2012 年に比べて 2.2 倍の 530 万 KW に拡大し、設備販
売額や設置費用などを合計した市場規模が 198 億ドル(約1兆 9,100 億円)とドイツを抜い
て世界1位になる見通しである。
日本での太陽発電普及促進策
日本では再生可能エネルギーに対する普及促進策としては電力会社による自主的な買い取り、
RPS 法や各自治体による助成などが用いられてきた。これにより 2004 年までは太陽光発電
では世界一の累積導入量であったが、2005 年に新エネルギー財団による補助金が一度打ち切
られてからは、国内市場は縮小していた。
RPS 法は、2002 年 6 月に公布された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」
の略称。電気事業者に対して、一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付け
ることにより、新エネルギー等の利用を推進した。
このため 2009 年 1 月に経産省が緊急提言に沿って補助金を復活させた。また 2009 年 2 月
には環境省も再生可能エネルギーの導入に伴う費用や経済効果の試算を発表し、普及政策と
して固定価格買取制度の採用を提案、住宅における余剰電力買取制度が 2009 年 11 月から開
始された。
その後、再生可能エネルギー特別措置法案が 2011 年 8 月に成立、2012 年 7 月に施行され、
全量買取制度が導入された。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度
固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーを普及させるため、太陽光や風力など5種類
の電力の全量を基本的に電力会社が買い取る制度である。ドイツやスペインで太陽光発電が
普及したのは同様の制度が背景とされている。この買取価格が高いと普及が進みやすくなる。
2013 年 12 月現在、太陽光発電において、10KW 未満の余剰電力買取制度と 10KW 以上の
全量買取が採用されている(10KW 以上は余剰買取も選択可能)。
10KW 未満での太陽光発電では、余剰電力の買取制度が採用されており、太陽光発電した電
気から、自分の家で使った電気を引き算し、余った電気があればこれを売電できる。2009 年
の制度開始時の余剰電力の買い取り価格は 1KW 時あたり 48 円(税込)
、設置後 10 年間は同
じ価格で買い取って貰える。また、その後新規に設置された設備の買取価格は、年々引き下
げられる予定である。なお、2013 年 12 月現在の買取価格は 1KW 時あたり 38 円(税込)
である。
固定価格買取制度に関して、
「余剰電力の買取制」とは異なる買取方式として、
「全量買取制」
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がある。全量買取制は、自分で消費した電力とは無関係に、太陽光発電したすべての電力を
売電できるという方式である。日本では 2012 年 7 月 1 日から 10KW 以上の設備の全量買取
が始まり、10KW 未満では今までどおり余剰電力の買取制度が継続されている。
固定価格買取制度における買取価格及び買取期間は、経済産業大臣が毎年度、当該年度の開
始前に定めることとなっている。経済産業大臣は、買取価格及び買取期間を定めるときは、
中立的な第三者委員会(調達価格等算定委員会)が公開の場で審議を行い、その意見を尊重
することとなっている。また、普及促進のために施行後 3 年間は、調達価格を定めるに当た
り、供給者の利潤に特に配慮することとなっている(附則第7条)。
なお、電力買取りに要する費用は、賦課金として電力料金に上乗せすることとなるが、経済
産業大臣は、調達価格等を定めるに当たって、賦課金の負担が電気の使用者に対して過重な
ものとならないよう配慮しなければならないと定められている。
太陽光発電の場合、10KW 以上の産業用太陽光発電設備から電力の買取価格は 2012 年度、
1KW 時当たり 42.0 円(税込)だったが、2013 年度は 37.8 円(税込)となった。
調達価格等算定委員会案は、諸条件を勘案のうえ、法律に基づき施行後 3 年間は例外的に IRR
を 1 から 2%程度高く設定、設置者が 6%の IRR を確保できる基準を設定する。
2013年度調達価格及び調達期間についての調達価格等算定委員会案
太陽光発電(10kw以上)
買取価格
資本費
運転維持費
IRR
2012年度調達価格
2013年度調達価格
(税抜)
40.0円
36.0円
(税込)
42.0円
37.8円
システム単価
32.5万円/kW
28万円/kW
土地造成費
0.15万円/kW
0.15万円/kW
土地賃借料
年間150円/㎡
年間150円/㎡
修繕費・諸費
建設費の1.6%/年
建設費の1.6%/年
一般管理費
修繕費・諸費の14%/年
修繕費・諸費の14%/年
人件費
300万円/年
300万円/年
6.0%(税引き前)
6.0%(税引き前)
(出所:調達価格等算定委員会資料を基にSR社作成)
固定価格買取制度廃止のリスク
太陽光発電需要のリスクとして、スペインにおいて、固定価格買取制度が引き起こしたバブ
ルに関して触れておく必要があるだろう。
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スペインでは 2007 年に太陽光発電の普及促進策として買い取り価格を大幅に引き上げたこ
とで、太陽光バブルが発生した。その後は、買取価格引き下げ、買取上限の設定、買取期間
の短縮、補助金の停止、過去にさかのぼっての補助金の停止、などの政策変更を行ったこと
で、太陽光発電の導入件数が大幅に減少した。
2001 年に再生可能エネルギー促進を目的とした EU 指令が採択され、スペインは再生可能エ
ネルギーの大幅増に向けて 2004 年および 2007 年に新たな政令を公布した。2007 年の促
進策では固定価格買取制度の買取期間は 25 年、買取価格は投資収益率が 17%となるまでに
設定され、太陽光発電の年間導入量は 2006 年の 102MWから 2008 年に 2,708MWにまで
増加した。
この結果、太陽光発電の発電能力が政府目標を大幅に超過、これに伴う配電会社の赤字も巨
額に達し、2008 年 9 月に新たに太陽光の固定価格引き下げの政令を導入して沈静化を図らざ
るを得ない状況に陥った。2009 年にはスペインの太陽光発電市場はバブルがはじけ、太陽光
発電の年間導入量は 17MWまで一挙に縮小した。
日本の固定価格買取制度では、
期間 20 年、投資収益率は 6%程度と合理的に設定されており、
スペインのような行き過ぎた促進策とは異なるといえよう。法施行 3 年経過後の 2015 年に
固定価格買取制度の買取価格が引き下げられたとしても、スペインほどの大きな需要減退に
はならないと考えられる。
参考に、ドイツの太陽光発電市場に関して触れると、2000 年から再生可能エネルギー法が施
行され、太陽光発電による電力を固定価格で 20 年間にわたって全量買い取る制度が導入され
た。その結果、太陽光発電設備は大きく伸び、設備容量は 2005 年に世界のトップに上った。
その後も大量の設備が設置され続け、2012 年末時点の累積導入量は約 32GW、世界の累積
導入量の 31%に達した(出所:欧州太陽光発電産業協会)。特に 2010 年から 2012 年の 3
年間は年間設置量が 7GW を超える水準であった。
しかし、太陽光発電促進のための電力買取により電気料金が高騰し、国民負担が大きくなっ
てきたことから、2012 年 6 月に買取価格が大幅に見直された。ドイツ連邦環境省は買取価格
の引き下げにより 2013 年の新規導入量が 2.5 から 3.5GWに減少する見通しであるとして
いる。
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メガソーラー発電所
2012 年 7 月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、様々な企業がメガ―ソーラー
事業に参入した。経済産業省の資料によれば、固定価格買取制度導入前の 2012 年 6 月末ま
での太陽光発電(非住宅)の導入量は約 90 万 KW であったが、2013 年 6 月末現在、約 290
万 KW が導入されている。
2013 年 12 月現在、中期的に同社のメガソーラー事業に影響を与える可能性がある送電容量
の限界、設備認定に対する厳格化に関して、以下に説明する。
送電容量の限界
経済産業省によれば、2012 年 12 月現在、設備認定済みの 1MW 以上の太陽光発電設備は約
218 万 KW で、そのうち北海道における設備は 25.9%を占めた。2位の鹿児島県 11.8%と
比較して、2 倍以上の太陽光発電の建設が計画されていることになる。北海道は地価の安さや
大規模施設の建設適地が多く、大規模太陽光発電設備の建設が集中している。
その一方で、北海道では電力の系統規模(送電網に接続できる容量)は小さく、メガソーラ
ーは40万から60万 KW 程度の受入量が限界であるという。同省は、2013 年 4 月、
「北海
道における大規模太陽光発電の接続についての対応」を公表、その対応策の一つとして「30
日ルール」を改正した。
「30 日ルール」とは、電力会社が、500KW 以上の太陽光・風力発電事業者に対して、接続
後、出力(発電)の抑制を依頼できるが、年 30 日を超えて依頼する場合、電力会社は、当該
事業者に、抑制された発電量分を金銭で補償するという省令規定である。
今回の対応策では、当該ルールに「例外規定」を追加し、接続量の限界に至った地域に限り、
電力会社が 30 日を超えて出力抑制する場合でも、太陽光発電事業者に対する金銭補償が不要
となった。北海道電力の場合、500KW 以上の太陽光発電の接続量が 70 万 KW に到達した場
合、
「例外規定」を発動する。
SR 社では、全国的にメガソーラーの建設が続くことで、北海道以外でも、発電容量が送電容
量の限界に近づく場合には、同様の対応が取られると予想する。その場合には、メガソーラ
ー発電事業者は、想定収益を確保できなくなる可能性があると考える。
設備認定に対する厳格化
再生可能エネルギーの固定価格買取制度における電力の買取価格は、設備認定取得が行われ
た時点における価格が継続して適用される。
固定価格買取制度における買取価格及び買取期間は、経済産業大臣が毎年度、当該年度の開
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始前に定めることになっている。買取価格は、供給者の利潤に配慮して決められるが、太陽
光発電設備の価格下落により、段階的に引き下げられていく方向にある。
そのため、SR 社の認識では、メガソーラーの事業者の中には、買取価格が高めなときに、早
めに設備認定を受けて有利な条件を確保し、実際には建設せずに、発電設備を含めた建設費
の値下がりを待つ事業者が存在する。経済産業省によれば、
「制度導入初年度の調達価格(40
円/KWh(税抜))を確保した上で、建設を意図的に遅らせているケースもあるとの指摘があ
る」という。
2013 年 10 月に発表された「再生可能エネルギー発電設備の導入状況」によると、固定価格
買取制度導入後の 2012 年 7 月以降、2013 年 6 月末まで太陽光発電(非住宅)の認定を受
けた設備の発電能力は約 1,976 万 KW に達した。しかし、2013 年 6 月末までに運転を開始
した設備は 200 万 KW に過ぎず、設備認定の 10%程度であった。
経済産業省は 2013 年 8 月、非住宅太陽光発電設備であって、着工の遅れている案件につい
て、発電設備の発注の有無や発電事業者の決定の有無等について、実態の把握を行うことを
発表した。
SR 社の予想では、同様の調査が行われることが想定され、事業者が設備認定だけ確保し、事
業開始に向けての行動を取らない場合には、当該設備認定が取り消されることも考えられる。
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経営戦略
同社は、電子・通信機器事業と太陽光エネルギー事業で、異なる経営戦略を描いている。電
子・通信機器事業においては、既存事業を強化により、売上拡大と収益性向上を図る。一方
で、太陽光エネルギー事業では、積極的な投資により、事業を拡大することを目指している。
2013 年 12 月現在、同社は資金を確保できれば運営が可能なメガソーラー発電所の開発見込
み案件が増加しているという。ただし、投資可能な資金と人的リソースの制約により、当該
案件をどのように展開するかが今後の検討課題になっている。
SR 社の理解では、メガソーラー発電所の運営は初期投資を必要とするが、収益は安定的であ
り、継続的にキャッシュフローを獲得できる。一方で、太陽光発電システム販売事業は大き
な設備投資を必要としないが、特定顧客に対して継続的に取引が発生するものではない。よ
って、太陽光発電システムの需要変動により、業績が変動する可能性がある。
同社は太陽光エネルギー事業では、開発対象案件に対し、太陽光システム販売、メガソーラ
ー発電所の運営、メガソーラーの分譲販売を展開していく予定である。SR 社は、同社が安定
的かつ継続性の高いメガソーラー発電所の運営を、積極的に進めたいと考えているが、金融
機関からの借り入れ可能額やキャッシュフローなど、同社が設備投資に活用できる資金、お
よび人的リソースの配分を勘案のうえ、事業を進める必要があり、収益の最大化を図る方法
を策定していくことになると予想する。
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過去の業績
2013 年 3 月期決算実績
売上高は、3,671 百万円(同 18.2%増)となった。損益面については、営業利益 373 百万
円(前年同期は 29 百万円の営業損失)、経常利益 374 百万円(前年同期は 23 百万円の経常
損失)純利益 339 百万円(前年同期は 37 百万円の純損失)となった。
セグメントの業績は、以下の通りである。
電子・通信用機器事業
移動体通信事業者による基地局設備の投資回復、防衛関連設備および公共無線関連設備の公
共投資再開に伴い、売上高は 3,155 百万円(前期比 31.1%増)、営業利益は 374 百万円(前期
比 497.4%増)となった。
太陽光エネルギー事業
2012 年 7 月の「再生可能エネルギー特別措置法」施行以来、太陽光発電システム販売の受注
が増加し、営業の効率化に向けた改善活動を行ったことで、売上高は 486 百万円(前期は売
上高 19 百万円)
、営業利益は 41 百万円(前期は営業損失 24 百万円)となった。
バイオマスエネルギー供給事業
売上高は 74 百万円(前期比 89.0%減)、営業損失は 30 百万円(前期は営業損失 47 百万円)と
なった。連結子会社であったバイオエナジー・リソーシス株式会社の破産申立てにより、本
事業から撤退した。
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損益計算書
損益計算書
( 百万円)
売上高
前年比
売上原価
売上総利益
売上総利益率
販売費及び一般管理費
売上高販管費比率
営業利益
前年比
営業利益率
営業外収益
営業外費用
経常利益
前年比
0 9 年3 月期
連結
4,299
1 0 年3 月期
連結
2,803
1 1 年3 月期
連結
2,640
1 2 年3 月期
連結
3,106
1 3 年3 月期
連結
3,672
7.1%
-34.8%
-5.8%
17.7%
18.2%
3,348
951
22.1%
1,020
23.7%
-68
2,412
392
14.0%
619
22.1%
-227
2,314
326
12.3%
612
23.2%
-286
2,516
590
19.0%
619
19.9%
-30
2,623
1,049
28.6%
675
18.4%
373
-
-
-
-
-
-1.6%
45
105
-128
-8.1%
16
14
-224
-10.8%
18
16
-284
-1.0%
14
8
-24
10.2%
19
17
375
-
-
-
-
-
-3.0%
52
341
-7
1.6%
-408
-8.0%
0
346
-1
0.1%
-570
-10.8%
45
109
3
-0.8%
-351
-0.8%
7
6
-20.9%
-37
10.2%
1
0
36
9.6%
340
-
-
-
-
-
利益率(マージン)
-9.5%
-20.3%
-13.3%
-1.2%
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
9.3%
経常利益率
特別利益
特別損失
法人税等
税率
当期純利益
前年比
2009 年 3 月期
売上高は、4,299 百万円(前年同期比 7.1%増)
、営業損失 68 百万円(前年同期は営業利益
118 百万円)
。
電子・通信用機器事業部門において、800MHz 帯周波数再編対応に伴う携帯電話基地局に対
する設備投資が一段落したことから、売上高が前年同期比 14.2%減少し、営業損失 162 百万
円となった(2008 年 3 月期営業利益は 90 百万円)
。レーザー機器事業部門は、売上高が前
年同期比 356.0%増となったものの、営業損失 49 百万円(2008 年 3 月期営業利益 28 百万
円)となった。
経常損失 127 百万円(前年同期は経常利益 108 百万円)となった。当期純利益については、
ハードディスク製造関連装置を手掛ける子会社の整理に伴う減損損失等 239 百万円によって、
当期純損失 408 百万円(前年同期は当期純損失 408 百万円)となった。
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2010 年 3 月期
売上高は、2,803 百万円(前年同期比 34.8%減)、営業損失 226 百万円(前年同期は営業損
失 68 百万円)となった。
電子・通信用機器事業部門は、携帯電話基地局についての設備投資が一段落したこと、防衛
関連設備及び防災無線システム関連の公共投資削減に伴い、売上高は前年同期比 16.6%減、
営業損失 292 百万円となった。レーザー機器事業部門は、2009 年5月に事業撤退を決定、
売上高は 90 百万円、営業利益 2 百万円であった。
経常損失 224 百万円(前年同期は経常損失 127 百万円)となった。当期純利益については、
投資有価証券評価損 199 百万円、固定資産減損損失 135 百万円を計上したことに伴い、当期
純損失 570 百万円(前年同期は当期純損失 408 百万円)となった。
2011 年 3 月期
売上高は、2,639 百万円(前期比 5.9%減)、営業損失 286 百万円(前期は営業損失 226 百
万円)。
電子・通信用機器事業は、携帯電話基地局の設備投資の遅延、防衛関連設備および公共無線
関連設備の公共投資削減に伴い、売上高は 2,389 百万円(前期比 11.8%減)となった。バイ
オマスエネルギー供給事業は、売上高は 250 百万円となった。
経常損失 284 百万円(前期は経常損失 224 百万円)となった。減損損失 95 百万円を計上し
たことに伴い、当期純損失 351 百万円(前期は当期純損失 570 百万円)となった。
2012 年 3 月期
売上高は、3,106 百万円(前期比 17.7%増)、営業損失 29 百万円(前期は営業損失 286 百
万円)となった。
電子・通信用機器事業において、携帯電話基地局の設備投資回復によって、売上高は 0.7%増
となった。原価低減および経費削減によって、利益率が改善した。バイオマスエネルギー供
給事業は、2011 年 3 月期比で売上高が 172.3%増となったが、コストの増加により営業損
失額はほぼ前年度期並みとなった。
経常損失 23 百万円(前期は経常損失 284 百万円)、減損損失 3 百万円および有価証券売却
損 3 百万円を計上したことに伴い、当期純損失 37 百万円(前期は当期純損失 351 百万円)
となった。
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過去の会社予想と実績の差異
期初会社予想と実績
( 百万円)
売上高(期初予想)
売上高(実績)
期初会予と実績の格差
営業利益(期初予想)
営業利益(実績)
期初会予と実績の格差
経常利益(期初予想)
経常利益(実績)
期初会予と実績の格差
当期利益(期初予想)
当期利益(実績)
期初会予と実績の格差
0 9 年3 月期
連結
3,870
4,299
11.1%
129
-68
-153.0%
71
-128
-279.9%
63
-408
-747.9%
1 0 年3 月期
連結
3,389
2,803
-17.3%
139
-227
-263.3%
133
-224
-268.7%
133
-570
-528.8%
1 1 年3 月期
連結
3,110
2,640
-15.1%
191
-286
-249.9%
179
-284
-258.8%
179
-351
-296.3%
1 2 年3 月期
連結
2,980
3,106
4.2%
22
-30
-234.9%
18
-24
-233.0%
13
-37
-384.6%
1 3 年3 月期
連結
3,378
3,672
8.7%
69
373
441.1%
65
375
476.5%
60
340
466.3%
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
過去の会社予想と実績の差異をみる限り、2009 年 3 月期から 2012 年 3 月期までは、黒字
の会社予想に対し、実績は損失を継続した。
毎期初に黒字の会社予想を立てたが、実際には実効性の高い収益改善策が実行されなかった
ことで、実績が会社予想を下回る結果が続いたものと、SR 社は推測する。
2013 年 3 月期には、電子・通信用機器事業の業績回復に加え、太陽光エネルギー事業の貢献
により、期初会社予想を大幅に上回る実績を達成した。
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SR Research Report
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貸借対照表
貸借対照表 ( 百万円)
資産
現金・預金
売掛金
たな卸資産
その他
流動資産合計
建物
工具、器具及び備品
建設仮勘定
その他の固定資産
減価償却累計額
有形固定資産合計
投資有価証券
その他
投資その他の資産合計
ソフトウエア
その他
無形固定資産合計
固定資産合計
資産合計
0 9 年3 月期
連結
1 0 年3 月期
連結
1 1 年3 月期
連結
1 2 年3 月期
連結
1 3 年3 月期
連結
820
1,033
345
47
2,245
162
88
200
1,151
451
251
16
267
25
22
47
765
3,010
665
915
275
63
1,918
132
36
127
997
295
69
20
89
25
14
39
423
2,341
493
663
328
45
1,530
94
5
106
959
205
23
7
30
235
1,766
56
864
299
74
1,293
80
1
52
899
133
8
9
18
150
1,445
390
1,345
328
52
2,114
87
58
346
74
884
564
14
13
27
1
1
593
2,709
負債
買掛金
511
443
430
364
未払金
108
39
31
48
短期有利子負債
507
433
203
30
その他
99
111
220
156
流動負債合計
1,226
1,026
884
598
長期有利子負債
216
67
その他
101
86
83
85
固定負債合計
318
153
83
85
有利子負債(短期及び長期)
724
500
203
30
負債合計
1,544
1,179
967
683
純資産
資本金
1,029
1,102
1,102
1,102
資本剰余金
1,024
1,096
1,096
1,096
利益剰余金
-619
-983
-1,335
-1,372
少数株主持分
純資産合計
1,466
1,162
799
761
運転資金
867
747
562
800
有利子負債合計
724
500
203
30
ネット・デット
-96
-165
-290
-26
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
386
108
40
173
708
151
100
251
192
959
1,387
1,381
-991
1,751
1,287
192
-198
資産
資産のうち、大きなものは売掛金で、2013 年 3 月期は総資産の 50%を占めた。売上債権回
転期間は 2009 年 3 月期から 2012 年 3 月期まで、3 か月前後で推移したが、2013 年 3 月
期に 4 ヵ月を超える水準となった。これは、電子通信機器事業及び太陽光エネルギー事業の
売上高の増加によるものである。
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業績低迷により、減損損失を継続的に認識したため、有形固定資産は 2009 年 3 月期の 451
百万円から 2012 年 3 月期には 133 百万円にまで減少した。2013 年 3 月期には下関メガソ
ーラー発電所の建設仮勘定が計上されていること、電子・通信用機器事業において 97 百万円
の設備投資を行ったことで、有形固定資産は 564 百万円に増加した。
負債
負債の中心は買掛金であり、2013 年 3 月期は負債合計の 40%を買掛金が占めた。買掛金回
転期間は 2009 年 3 月期の 1.3 ヵ月から 2011 年 3 月期には 2.0 ヵ月まで長期化した。
現金・
預金、有利子負債も減少していることから、資金繰りに窮して、支払期間を延長していたと
SR 社は推測する。2012 年 3 月期以降は短期化し、2013 年 3 月期は 1.3 ヵ月となった。
有利子負債は 2008 年 3 月期 844 百万円から 2012 年 3 月期 30 百万円まで減少した。業績
低迷により借入れが困難であったことから、長短借入金の返済、社債の償還が続き、借換え
が行われなかったと SR 社は推測する。2013 年 3 月期に長期借入金 71 百万円、社債 80 百
万円により、有利子負債は 5 期ぶりに増加に転じた。前向きな有利子負債削減努力の結果で
はなく、借換えが困難であったことを理由に有利子負債依存度は低く、有利子負債から現金・
預金を差し引いたネット・デットは、2013 年 3 月期はマイナス(現金・預金残高が有利子負
債を上回る)の状態であった。
純資産
業績不振により、
純損失を継続したことで、
純資産は 2008 年 3 月期の 2,055 百万円から 2012
年 3 月期の 761 百万円まで減少した。利益剰余金は、2012 年 3 月期には-1,372 百万円にま
で減少した。
2013 年 3 月期に純利益が黒字化したことで、利益剰余金は 5 期ぶりに増加した。資本金お
よび資本剰余金は、2013 年 1 月に第三者割当増資(2,136 千株)および新株予約権(権利
行使による増加する潜在株式数 4,843 千株に対し、2013 年 3 月期中に、権利行使により
1,843 千株が増加)を発行し、増加した。
2013 年 3 月期の自己資本比率は 63.4%と財務体質は健全に見える。ただし、有利子負債に
よる資金調達が困難であったこと、業績の低迷により運転資本が減少したこと、2013 年 1
月の資金調達の結果である。実際は、2013 年 3 月期に 5 期ぶりの営業黒字、6 期ぶりの純利
益の黒字を達成し、業績改善途上にある。
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キャッシュフロー計算書
キャッ シュ フロー計算書
0 9 年3 月期
1 0 年3 月期 1 1 年3 月期 1 2 年3 月期
( 百万円)
連結
連結
連結
連結
営業活動によるキャッシュフロー (1)
259
-1
68
-332
投資活動によるキャッシュフロー(2)
-17
12
93
77
FC F (1 + 2 )
242
11
162
-255
財務活動によるキャッ シュ フロー
-194
-82
-299
-168
減価償却費及びのれん償却費 (A)
217
76
20
14
設備投資 (B)
-82
-22
-7
-12
運転資金増減 (C)
122
-120
-186
238
単純FC F (NI+ A+ B- C )
-394
-397
-152
-272
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
1 3 年3 月期
連結
36
-454
-418
783
22
-444
488
-570
営業キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローの主な構成要素は、当期純利益、減価償却費、のれん償却
額、および運転資本の増減である。
2009 年 3 月期から 2011 年 3 月期まで営業キャッシュフローが純損失に減価償却費および
のれん償却額を加えた値を上回っている主な理由は、減損損失、投資有価証券評価損、およ
び運転資本減少による。
2012 年 3 月期は純損失の改善にも関わらず、営業活動に伴うキャッシュフローが減少した理
由は、売上債権の増加による。2013 年 3 月期の営業活動によるキャッシュフローは、当期純
利益の黒字化にも関わらず、太陽光発電システム事業の売上拡大に伴う売上債権増加により、
36 百万円であった。
投資キャッシュフロー
2012 年 3 月期までは投資抑制により、設備投資は 100 百万円を下回り、投資活動によるキ
ャッシュフローは 2009 年 3 月期に 17 百万円のマイナスであったが、2010 年 3 月期から
2012 年 3 月期はプラスで推移した。
同社は、2013 年 3 月期に設備投資を活発化し、有形固定資産および無形固定資産の増加額は
455 百万円となった。内訳は、電子・通信用機器で 97 百万円の増加、太陽光エネルギー事業
で 352 百万円の増加で、特に太陽光エネルギー事業において、下関メガソーラー発電所の建
設に伴う設備投資が増加した。
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財務キャッシュフロー
2009 年 3 月期から 2012 年 3 月期まで、有利子負債の返済が続いたことで、財務キャッシ
ュフローはマイナスが続いた(貸借対照表の項参照)。
同社は、2013 年 1 月にメガソーラー発電所の建設資金として、第三者割当増資(2,136 千
株)および新株予約権(権利行使による増加する潜在株式数 4,843 千株に対し、2013 年 3
月期中に、権利行使により 1,843 千株が増加)を発行した。その結果、2013 年 3 月期の財
務キャッシュフローは、株式の発行による収入 554 百万円、新株予約権の発行による収入 47
百万円、長期借入れによる収入 170 百万円、社債の発行による収入 100 百万円により、783
百万円のプラスとなった。
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その他情報
沿革
1968 年に創業、高周波無線技術のトップ企業として、創業以来高周波無線技術に特化してき
た。2005 年以降、韓国企業の参入で競争が激化し業績が悪化した。幾度かの経営陣交代を経
て、2012 年に現在の体制となった。
同社を理解するうえで重要な出来事として、2007 年以降の経営の迷走がある。2007 年、同
社の経営改善のために、株主のジェイ・ブリッジ株式会社(現アジア・アライアンス・ホー
ルディングス社、東証 2 部 9318)が株式の一部(14.7%)を所有していた会社(ジェイ・
キャピタルマネジメント株式会社)の経営陣が、同社取締役に就任した。その後、当該取締
役が社長に就任し、買収の失敗、ファンドへの出資、経営判断の失敗、および競争激化によ
り、同社の業績は大きく悪化した。
上記の社長が 2009 年に辞任後、同社はアプライド・テクノロジーズ社および韓国多摩川電
子といった不採算子会社を整理したが、電子・通信機器事業は 2009 年 3 月期から 2011 年 3
月期まで、売上減少により営業損失を計上した。その中で、2010 年 2 月に同社は第三者割当
増資を実施し、144 百万円を集め、バイオマスエネルギー供給事業を開始した。しかし、同
事業は 2011 年 3 月期から 2013 年 3 月期第 2 四半期まで営業損失を継続し、2012 年 3 月
に法的整理された。
2011 年 6 月、小林正憲氏が電子・通信用機器事業の立て直しのために連結子会社多摩川電子
社取締役に就任、2012 年 4 月に社長に就任した。同氏就任後に、海外の企業との競争激化に
より不採算となっていた案件の受注中止などの業績改善策を実行し、電子・通信用機器事業
の業績は回復に向かい、2012 年 3 月期に営業黒字に転換した。
2012 年2月、福永節也氏(現連結子会社多摩川ソーラーシステムズ代表)が太陽光事業の太
陽光システム販売の新規参入のために、同社代表取締役に就任した。同氏就任後に、モジュ
ールメーカ GPPV(本社:中国)と独占販売契約を締結、2013年 3 月期に、同事業は開始初
年度から営業黒字でスタートした。
2012 年 4 月に同社大株主の意向により、同社立て直しのために桝沢徹氏が同社執行役員に就
任、同年 6 月に同社代表取締役に就任した。着実に同社の収益力を高め、成長軌道に乗せる
ために固定価格買取制度により価格が保証されている太陽光エネルギー事業のメガソーラー
発電所の運営に注力し、福永氏主導のもとで多摩川ソーラーシステムズ社および小林氏主導
のもとで多摩川電子社の業績安定化を図る方針である。
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ニュース&トピックス
その他
SR 社では、同社社長の桝澤氏に対する係争・訴訟に関するリスクが、同社の業務遂行に影響
を及ぼす可能性があると考えている。2013 年 12 月現在、桝澤氏はジェイ・ブリッジ社在籍
時の医療ファンド事業に関連した損害賠償の被告として係争の結果、勝訴が成立しており、
桝澤氏に対して提起されている訴訟はない。
また、同社は、インターネット上の書き込みによる風評被害を受けており、これに対し、民
事、刑事両面での責任追及を始めとした信頼回復措置を求めていく方針である。
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大株主
大株主上位1 0 名
議決権比率
ユービーエスエージーシンガポール
シービーエスジーバンクジュリアスベアシンガポールブランチ
ダイワキャピタルマーケッツシンガポールリミテッド
日本証券金融株式会社
14.51%
10.90%
7.35%
4.66%
島貫 宏昌
4.56%
イーエフジーバンクアーゲーホンコンアカウントクライアント
ミズホセキュリティーズアジアリミテッドクライアントアカウント
OCBC Securities Private Limited Client a/C
野村證券株式会社
久保田 定
出所:会社データよりSR社作成
3.58%
3.03%
3.03%
2.81%
2.64%
(2013 年 9 月末現在)
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企業概要
企業正式名称
株式会社多摩川ホールディングス
代表電話番号
本社所在地
〒105-0013
東京都港区浜松町1-6-15 浜松町プレイス 1 階
上場市場
03-6435-6933
設立年月日
JASDAQ
上場年月日
1970 年 5 月 7 日
HP
http://www.tmex.co.jp/index.html
IR コンタクト
1999 年 8 月 31 日
決算月
3月
IR ページ
http://www.tmex.co.jp/ir-info.html
IR 電話
IR メール
主な連結セグメント(売上構成比)
電子・通信用機器
太陽光エネルギー
バイオマスエネルギー供給
85.94
12.02
2.04
%
%
%
(2013 年 3 月現在)
役員
代表取締役会長
代表取締役社長
取締役
取締役
常勤監査役
監査役
監査役
福永
桝沢
小林
日下
上野
長濱
黒澤
節也
徹
正憲
成人
弘行
隆
洵吉
(2013 年 6 月現在)
発行株式数(自社株式を含む)
13,183,000
(2013 年 9 月現在)
資本金
1,580,171 千円
(2013 年 9 月現在)
主要子会社
株式会社多摩川電子
株式会社GPエナジー
株式会社多摩川ソーラーシステムズ
主要取引銀行
三井住友銀行
三菱東京 UFJ 銀行
りそな銀行
みずほ銀行
横浜銀行
従業員数(連結)
従業員数(単体)
平均年齢(単体)
平均給与(単体)
127 人
10 人
38.6 歳
6,742 千円
(2013 年 3 月現在)
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監査法人
海南監査法人
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会社概要
株式会社シェアードリサーチは今までにない画期的な形で日本企業の基本データや分析レポートのプラットフォーム提供を目指して
います。さらに、徹底した分析のもとに顧客企業のレポートを掲載し随時更新しています。
SR社の現在のレポートカバレッジは次の通りです。
あい ホールディングス株式会社
株式会社サニックス
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
株式会社アクセル
株式会社サンリオ
株式会社バルス
アクリーティブ株式会社
GCAサヴィアン株式会社
ピジョン株式会社
株式会社アパマンショップホールディングス
シップヘルスケアホールディングス株式会社
フィールズ株式会社
アンリツ株式会社
株式会社ジェイアイエヌ
株式会社フェローテック
イオンディライト株式会社
ジャパンベストレスキューシステム株式会社
フリービット株式会社
株式会社イエローハット
株式会社スリー・ディー・マトリックス
株式会社ベネフィット・ワン
株式会社伊藤園
株式会社ダイセキ
株式会社ベリテ
株式会社インテリジェント ウェイブ
株式会社髙島屋
株式会社ベルパーク
株式会社インフォマート
タキヒヨー株式会社
株式会社マックハウス
エレコム株式会社
株式会社多摩川ホールディングス
株式会社 三城ホールディングス
エン・ジャパン株式会社
株式会社チヨダ
株式会社ミライト・ホールディングス
株式会社オンワードホールディングス
株式会社デジタルガレージ
株式会社メディネット
株式会社カイオム・バイオサイエンス
株式会社TOKAIホールディングス
株式会社モブキャスト
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
株式会社ドリームインキュベータ
株式会社夢真ホールディングス
グランディハウス株式会社
株式会社ドン・キホーテ
株式会社ラウンドワン
株式会社クリーク・アンド・リバー社
内外トランスライン株式会社
リゾートトラスト株式会社
ケネディクス株式会社
ナノキャリア株式会社
レーザーテック株式会社
株式会社ゲームカード・ジョイコホールディングス
日進工具株式会社
株式会社ワイヤレスゲート
コムシスホールディングス株式会社
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社
株式会社ザッパラス
日本駐車場開発株式会社
サトーホールディングス株式会社
株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
※投資運用先銘柄に関するレポートをご所望の場合は、弊社にレポート作成を委託するよう
各企業に働きかけることをお勧めいたします。また、弊社に直接レポート作成をご依頼頂くことも可能です。
ディスクレーマー
本レポートは、情報提供のみを目的としております。投資に関する意見や判断を提供するものでも、投資の勧誘や推奨を意図したも
のでもありません。SR Inc.は、本レポートに記載されたデータの信憑性や解釈については、明示された場合と黙示の場合の両方に
つき、一切の保証を行わないものとします。SR Inc.は本レポートの使用により発生した損害について一切の責任を負いません。
本レポートの著作権、ならびに本レポートとその他Shared Researchレポートの派生品の作成および利用についての権利は、SR
Inc.に帰属します。本レポートは、個人目的の使用においては複製および修正が許されていますが、配布・転送その他の利用は本レ
ポートの著作権侵害に該当し、固く禁じられています。
SR Inc.の役員および従業員は、SR Inc.の調査レポートで対象としている企業の発行する有価証券に関して何らかの取引を行って
おり、または将来行う可能性があります。そのため、SR Inc.の役員および従業員は、該当企業に対し、本レポートの客観性に影響
を与えうる利害を有する可能性があることにご留意ください。
金融商品取引法に基づく表示
本レポートの対象となる企業への投資または同企業が発行する有価証券への投資についての判断につながる意見が本レポートに含ま
れている場合、その意見は、同企業からSR Inc.への対価の支払と引き換えに盛り込まれたものであるか、同企業とSR Inc.の間に
存在する当該対価の受け取りについての約束に基づいたものです。
連絡先
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株式会社シェアードリサーチ
Email: [email protected]
東京都文京区千駄木 3-31-12
電話番号
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(03) 5834-8787
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