No.32 2004年 1月 15日発行 - 松山大学

32
No.
Contents
・巻頭言『地域は史料の宝庫』
経済学部教授
川東
弘 ・・・・・・・・・P2
川東 弘
・『発見、私の図書館利用法』
人文学部社会学科4年 藤原直子 ・・・・・P2
法学部法学科4年 向居和也
・私が薦めるこの一冊
経済学部助教授 松井名津 ・・・・・・・P3
経営学部講師 松本 純
・統計データで見る松山大学図書館 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P4
「高畠亀太郎日記」
(全6巻の一部)と資料類及び資料目録
No.
32
地域は史料の宝庫
経済学部教授 川東 弘
川東 弘
松山大学は80年の歴史のある経済・経営を中心とした文科系
の大学である。そのため、これまで数多くの資料が寄贈・寄託
されている。その中で、私が関係した資料についてお知らせし
たい。ひとつは高畠亀太郎文庫。もうひとつは岡田温・慎吾文
庫である。
高畠亀太郎は、宇和島出身の実業家、政治家である。若いこ
ろから、生糸商、実業青年会、町会議員として活躍し、製糸業
で大成し、愛媛県製糸業組合の組合長を長くつとめ、また、県
会議員、衆議院議員、宇和島市長を務めた。また、俳人でもあ
る。刻苦勉励努力の人という言葉があるが、亀太郎はまさにそ
の言葉を地で行ったような人物である。小学校しか出ていない
が、向学心は強く、自学自習、独学に務め、また、多方面で精
力的に活動し、地方では頂点に上り詰めた人物であった。その
亀太郎関係の史料が宇和島の旧家から発見され、遺族から研究
してくださいと松山大学に寄託され、松山大学では史料整理を
行い、目録を作成し、また、遺族の方々と研究会をもち、研究
を行った。そして、その成果が松山大学と愛媛新聞社から『高
畠亀太郎日記』
(全6巻)として刊行されている。さらに、近く、
亀太郎の伝記も出版の運びとなっている。大学は研究機関であ
り、このような地域の人物の活動の記録を掘り起こし、また、
地域の人と一緒に研究することは、立派な地域貢献活動と言え
ると思う。
亀太郎の史料とならんで、松山市の岡田家からやはり、膨大
な史料提供を受けた。岡田温は、愛媛の生んだ第一級の農村の
リーダー、優れた農政家である。長らく帝国農会の幹事として
活躍し、農会では大変著名な人物である。温は真に農民の立場
に立って働き、農民の父として慕われた。また、郷土の純粋な
青年達から推され、一時衆議院議員も務めた。温もまた、それ
こそ、精力的に献身的に働いた。愛媛県では、温泉郡農会技師、
愛媛県農会技師を務め、農事改良、煙害問題解決のために働き、
中央では帝国農会幹事として働いた。温ほど県内および全国に
講演・講話に走りまわった人はいないのではないかと思われる
ほど、エネルギッシュに活動した。また、多くの原稿も執筆し
た。その温関係の資料が遺族の慎吾氏(愛媛県農業試験場長等
歴任)から、自分は高齢でもう研究はできないので, 若い人に
父温の資料をつかって研究に役立ててほしいと、92年に松山大
学に寄贈を申し出られた。さらに、95年8月慎吾氏が亡くなら
れたあと、2002年7月に慎吾氏の奥様の環さんから、父温の
残りの資料並びに夫慎吾の資料も松山大学に寄贈したい、と申
し出られ、9月に温・慎吾関係の資料類の寄贈を受けた。この
時、本だけで3226冊, 資料類はダンボール箱で108箱程もあ
った。実に膨大な資料で分類すると、帝国農会関係、愛媛県農
会関係、各府県農会関係、農林省関係、愛媛県関係、帝国議会
関係、帝国大学農科大学関係、別子の煙害関係、米騒動関係、
敗戦後の農民組合関係、種々の農業雑誌、機関紙、新聞、パン
フレット、江戸から明治期の教科書、岡田家の家計簿、土地所
有、温の原稿、論文、温への手紙・ハガキ類、また、貴重な岡
田温の日記等があった。これらの資料は、いずれも貴重な価値
ある第一級の生資料であり、歴史的記録であった。これらの史
料を整理し、解読し、研究するには、それこそ膨大な時間とエ
ネルギーが必要であるが、研究してくださいとの要望には応え
なければならない。それが、地域の大学としての義務・責務で
あろう。そのために、今、学生とともに研究に取り組んでいる。
『発見、私の図書館利用法』
人文学部社会学科4年 藤原 直子
図書館は私にとって駆け込み寺的存在である。私だけでなく、
学生なら誰もが一度はお世話になっているのではないだろうか。
いや、いないはずがない。そして、ついいつもギリギリに駆け
込んでは、欲しい本が貸出中だったりして、さらに焦ってしま
うことの多いこと!試験前は特にそうだ。皆の為の図書が試験
期間中に貸出停止になるのは仕方がないとはいえ、分かってい
てもやっぱりちょっと恨めしい。この苦い思いをする度に、次
こそは早めにレポートを終わらせよう!と思うのだが、そうそ
う早めにやることなんてないのが現状だ。
また、図書館では、ちょっとした悔しさの他にもいろんなキ
モチを味わうことが出来る。本を読んで湧き起こる悲しみや喜
び、感動はもちろん、勉強に集中する時の緊張感。さらに、あ
の大きめの椅子に座ってまったりしているときの眠たくなるよ
うな心地よさ。私は2階の窓際がお気に入りで、お天気が良い
日は外を眺めながらぼけ∼っとするのがたまらなくいい。4年
次生になった今は講義もほとんどないので、県外にいる友達に
手紙を書くのによく利用させてもらっている。(いつもありがと
うございます。)まだ利用したことがない人は、是非一度図書館
でゆっくり過ごしてみてほしい。各階で雰囲気が違うので、き
っとどこかにお気に入りの場所が見つかるに違いない。
最後に忘れてはならないのが、1つ。それは、出入口のゲー
トでのちょっとしたドキドキ感だ。あの静かな空間の中で鳴り
響く「ピンコン」は、かなり恥ずかしいものがある。私も何度
かひっかかったことがあり、あのゲートを通る時は必ず「今日
も引っかかりませんように…」と強く念じてから、学生証を差
し込むようにしている。そうするようになってからは一度も鳴
っていないので、もうゲートと私は仲良しさんだ。うん、うん。
恐れることなど何もない。そう思うことにして、これからもい
ろんなキモチが生まれるのを楽しみに図書館に通おうと、今、
心に決めた次第である。
法学部法学科4年 向居 和也
私は図書館を週3,4回ほど利用していますが、その全てが勉
強や調べものをするためだけに利用しているわけではなく、た
だ新聞や雑誌を読んだりソファにどっかり座って暇を潰してい
るだけだったりすることも多いです。
私にとって松山大学の図書館は自然と落ち着ける場所の一つ
2
になっています。
私にとって一番実用的な図書館利用は教科書を借りることで
す。大学で講義を履修する上で教科書は大抵買うのが普通だと
思いますが、現実的に教科書を買ったけどもあまり使わなかっ
たり、使ったとしてもその後テストが終わってしまえば利用し
なくなるのが必定です。しかも私は法学部なので法律の授業を
ほとんど履修していますが、法律は生ものなので改正があれば
使い物にならなくなります。これではもったいないので、ひと
まず授業は図書館に教科書が置いてあれば指定された教科書を、
無ければ仮に民法ならば民法の本を借りてしのぎます。指定教
科書でなくても科目が同じならば内容も同じはずですから、問
題ないと思います。それに人によって使いやすさ等は異なりま
すから自分の使いやすい本を選べるメリットがあります。当然
返却期限になったら返してまたすぐ借りるを繰り返すわけです
が、デメリットもあります。まず図書館の本ですから書き込み
ができないこと、そして試験期間中は図書館では貸し出しを禁
止しているため家に持ち帰っての勉強はできません。そして、
最大の問題は教科書持込可の試験では圧倒的に不利なことです。
私の場合は逆にこれで自分を危機に追い込むことで授業も真面
目に出てノートをしっかりとるようになりました。どうしても
キツイのは教科書を買いましたが…。しかし、これらを除けば
コストパフォーマンスは最高だし、何より図書館に何度も行き
来するので自然と勉強するようになります。図書館は色んな人
が利用しますが、閉館まで勉強している人を見ると自分もやら
なきゃなという気持ちになります。
実際私がその生き証人です。1,2年のときは図書館をあまり
利用していなかったのですが、3年から頻繁に利用するように
なり利用回数・利用幅も広がっていきました。今は卒業論文用
の本と息抜きのために読むベストセラーなどの小説を借りるこ
とが多いです。また4年になって授業はほとんど無くても、自
然と図書館に足が向いているのが今の私です。図書館は絶対有
効活用すべきです。最初は広すぎて分かりづらいかもしれませ
んが、何度も足を運んで自分のベストプレイスにしたらいかが
でしょうか。ただし、マナーを守って静かにね。
私が薦めるこの一冊
経済学部助教授 松井名津
「彼女たち」の
連合赤軍
大塚 英志著
分類番号:367.21/O 41/1
配架場所:開架(3階)
人文社会基本図書コーナー
:同級生の男の子からのエール?
女であることは苦しい、とつくづく思う。この本を読むとさ
らにつくづくと嘆息する。私が「女であること」に気がつく前
に、連合赤軍の中では「女であること」「母であること」が抹殺
の理由となった。でも小学生の私には関係がなかった。「セック
スをする自分」と「考える自分」との間の懸隔に気がつきなが
らその間をつなぐ方策もないままほったらかしにしていた大学
時代、何となくフェミニズムが嫌いだった。何故かという理由
もわからないままに。結婚はしたが子供はほしくなかった。は
やりの消費生活をおっていたわけではなく(時給650円、手取
り13万円。金なし暇なしの身にバブルは遠かった)、子供が怖
かったからだ。いま、子供を持って臆面もなく「母」をしている。
個人的な話を長々と書いたのには訳がある。大塚氏は連合赤
軍以来つまり戦後の消費社会以来の「女性性・母性」を、その
時代を生きてきた女性の日々の生活において考えているからだ。
女としての生きにくさを声にすることが出来ず、その声を左翼
運動に見だした連合赤軍の女性。けれどもその中で女性性とく
に母性は消滅されるべき存在だった。左翼運動から脱落した女
性を巡る問題は、やがてフェミニズムとして開花する。フェミ
ニズムは女性の可能性を拡大し、消費社会の爛熟は物質的にも
活動的にも女性の行動範囲を拡大した。しかし「母」はいなか
った。少女漫画は女の子の体と心の問題を描くために独自の表
現形式を築き上げながら、母性をうまく描ききれずに終わる。
そして今、出産本のブームがきている。かつて「母」を忌避あ
るいは拒否してきた女の子は、何故どうして母になれたのかと
いう問いを自覚的に問うことなしに「神秘体験」を下に母であ
ることを無邪気に肯定する。以上のようなこの本の内容と、私
の履歴は微妙に重なり合うからだ。それは偶然ではない。なぜ
なら大塚氏は同年代(60年代前半生まれ)の同級生の女の子の
ために、寡黙な彼女たちのために、何故かおしゃべりな僕が書
くのだというからだ。
そして宛先である同年代の彼女たちの一人である私は女であ
り母であることの難しさにため息をついてしまうのだ。いった
ん自ら拒否してしまった母としての役割を無自覚にしか引き受
けられない(自覚したら大変だ、自分の行き方を否定すること
になりかねない)ことに。再び言葉のない時代がきているのか
も知れない。かつて(70年代)自分の中にある居心地の悪さの
表現を左翼思想に見出した連合赤軍の女性たちが、言葉を見い
だす以前に置かれていた状況が再びきているのかも知れない。
母であることに何ともいえない居心地の悪さ、気味の悪さを覚
えながら言葉にならない時代が。その思いに答える表現が出て
くるのかどうか。それは私にはわからない。けれど一つだけお
しゃべりになった「彼」に答えたい。私の思いは今までのよう
な論理の言葉では表現されることはないだろうと。なぜなら黒
でもなく白でもなく、受け入れたのでもなく拒否したのでもな
い、その粟井の中に私はいるからだ。
経営学部講師 松本 純
ジャパニーズ・ドリーマーズ
−自己イノベーションのすすめ−
米倉誠一郎著
分類番号:335.13/Y 266/2
配架場所:開架
(4階)
指定図書コーナー
本書の著者である米倉誠一郎氏は、今の日本で最も元気のあ
る学者の、そして周囲の人間に活力を与えてくれる学者の一人
であると思う。氏は本書以外にも、『経営革命の構造』(岩波新
書)、『勇気の出る経営学』(ちくま新書)などの書物を近年相次
いで上梓されている。本書を含む三冊に共通して氏が訴えかけ
ているメッセージは、変革期にある日本経済を決して楽観視し
てはいけないということ、そして、それに対して「自分たちで
もやれるんだ」という意識を持ちつつ「自己イノベーション」
を起こすこと、簡単に言えば、勇気を持って行動せよ!という
ことである。「行動する学者」である米倉氏は、新聞やテレビの
枠を飛び出して、今では東京の新名所、六本木ヒルズに併設さ
れた教育機関、アーク都市塾の塾長に就任し、21世紀を考える
日本人に向けて直接元気を与えるようになった。そういった意
味で、最近では、氏自身が「経営革命」の理論的な担い手にな
3
No.
32
っていると言っても過言ではないだろう。
そんな米倉氏が、経営革命を生き抜いてきたロールモデルを、
独自の軽妙な筆致で紹介する書物が、本書『ジャパニーズ・ド
リーマーズ』である。ここには、2003年9月23日に本学で講
演をされた、「地方を揺り動かす台風娘」セーラ・マリ・カミン
グス氏も登場する。他に、「エリートコースを飛び出て」インタ
ーネット・ショッピングモール『楽天市場』を立ち上げた三木
谷浩史氏、中学校にも満足に行けぬ病床でインターネットに出
会い、15歳で起業された家本賢太郎氏などが、まるで身近な存
在の人々であるかのように紹介されている。本書を一読するこ
とによって、失敗をおそれてはいけない!、また、自分たちで
もできるかもしれない!という意識を持つようになることは、
間違いない。勇気がもらえる本書は、とりわけ学生諸君にお薦
めの一冊である!
−−−統計データで見る松山大学図書館−−−
図書館利用状況推移表
入館者数
※貸出冊数は研究室分を除く
閲 覧 冊 数
貸出冊数
開 架
閉 架
小 計
1999年度
217,672
47,807
82,681
11,458
94,139
2000年度
220,574
49,377
73,299
12,132
85,484
2001年度
222,166
55,394
82,063
12,035
94,098
2002年度
230,233
58,482
74,087
12,488
86,575
2003年度
162,738
40,848
7,479
『相互協力』利用件数推移表
本学からの申込み件数
文献複写 相互貸借 所蔵調査
338
175
25
1999年度
〔43〕
363
2000年度
〔41〕
268
2001年度
〔23〕
493
2002年度
〔92〕
427
2003年度
〔51〕
〔23〕
140
2
177
3
230
4
218
7
〔15〕
〔13〕
〔40〕
〔34〕
他館からの受付け件数
文献複写 相互貸借 所蔵調査
242
2
10
〔15〕
451
〔35〕
499
〔51〕
829
〔90〕
531
〔56〕
〔0〕
合計
792
39
9
1,004
52
12
1,011
52
27
1,635
34
13
1,230
〔8〕
〔9〕
〔12〕
〔14〕
※
〔 〕内は謝絶の件数
1999年9月よりNACSIS-ILLを開始した。
「編集後記」
本来は、11月1日発行予定の本号でしたが、編集責任者の図書館
事務部情報サービス課長川口 隆氏が、去る9月2日急逝されたこと
により発行が遅れました。このことをお詫びするとともに、故川口
隆氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
今回はこのような次第で、毎回8ページの編集で発行しておりま
したものを4ページでの発行となりました。この点につきましても
ご了解をお願いいたします。
さて、本号の巻頭言は「地域は資料の宝庫」として、大学の地域
貢献活動を松山大学図書館へ寄贈・寄託された資料から、研究機関
である大学が「地域の人物の活動の記録を掘り起こし、また、地域
の人と一緒に研究することは立派な地域貢献活動と言えると思う」
と、川東先生からのメッセージをお届けしています。
大学の地域貢献活動は、様々な姿、形が皆さんの目には映ってい
ることと思いますが、日々の大学の活動の全てが地域と密接につな
松山大学図書館報 No.32
がり、係わり合い、評価されていると言っても過言ではありません。
その中で、研究機関である大学の持つ役割の一つとして今回のよ
うな貢献の形が伝えられることは、大きな成果だと思います。
次に、図書館の「有効利用法」を人文学部、法学部に在籍する2
名からそれぞれの利用法を紹介してもらっています。本当に、図書
館に対する「おもい」が伝わってきます。こんな気持ちを誰もが持
ってくれたら・・・。私たちももっと心を込めた応対を心がけたいと思
います。
また、『私が薦めるこの一冊』は、松井先生がご自分の体験と本書
からのメッセージを重ね合わせた紹介を、松本純先生は本書からの
メッセージとして勇気がもらえる本との紹介がされています。
平成16年の初春を迎え、松山大学図書館は図書館システムの新た
な導入を控え、利用者サービスの一層の向上と親しみやすく利用し
やすい図書館を目指して行きます。
2004年1月15日発行
編集・発行 松山大学図書館
〒790−8578 松山市文京町4番地2 TEL(089)925−7111(代)
ホームページアドレス http://www.matsuyama-u.ac.jp
E-mail:mu-libs@gc.matsuyama-u.ac.jp
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