PDF 2.8mb - 都市未来総合研究所

2010
12
December
トピックス1
都市再生特別措置法の活用状況
2
トピックス2
東京都心5区におけるオフィス成約賃料の動向
6
マンスリーウォッチャー
大都市部における住宅着工の動向
8
都市再生特別措置法の活用状況
平成14年6月1日に施行された「都市再生特別措置法」の10年間の時限立法措置の期限である
平成24年3月31日まで、残すところ1年4ヶ月となり、期限到来前の延長決定と制度拡充が検討さ
れています。本稿では、都市再生緊急整備地域と民間都市再生事業計画として認定された開発計画
について、都市再生本部が10月24日現在WEB上で開示する資料をもとにご紹介します。
都市再生緊急整備地域
都市再生緊急整備地域
現在17都道府県の65地域、総面積で6,612ha
が都市再生緊急整備地域
(以下、整備地域)
と
して、指定されています
[図表1-1]
。
整備地域の中では、都市計画において都市
再生特別地区
(以下、特別地区)
を決定するこ
とができ、また、「民間の開発計画を国土交
通大臣が民間都市再生事業計画として認定」
(以下、認定)
することができます。特別地区
では容積率の上乗せ等を受け、認定事業は無
利子融資他様々な公的支援を受けることがで
きます。
[図表1-1]
の3頁の都道府県名「東京都」
、都市
名「千代田区・中央区」
、地域名「東京駅・有楽
町駅周辺地域」欄の下から二つ目の「銀座四丁
目12地区
(
(仮称)
銀座四丁目12地区建設事業)
」
には、特別地区を示す○と認定事業を示す●
の両方がついています。これは
「銀座四丁目12
地区」が特別地区に指定され、そこで行われる
「
(仮称)
銀座四丁目12地区建設事業」が民間都
市再生事業計画として認定されたことを表し
ています。特別地区は都市計画であり言わば
「容器」で、認定事業が具体的な開発事業です。
なお、都市名表記「千代田区・中央区」
は「東京
駅・有楽町駅周辺地域」が千代田区と中央区
にまたがる地域であることを表しています。
「東京駅・有楽町駅周辺地域」
には特別地区
が12と認定事業が6あり、また、大阪市の「大
阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺地域」
には特別
地区が11、認定事業が3あり、どちらの整備地
域においても都市再生特別措置法の制度を活
用した開発が盛んに行われています。
一方、札幌市、仙台市、さいたま市等にあ
る34の整備地域では特別地区、認定事業のい
ずれもありません。この34整備地域の中には、
開発の具体化が現在進行中で、間もなく特別
地区の決定または開発計画の認定がなされる
整備地域もあるかと思われますが、かつては
開発の機運があり整備地域として指定された
ものの、不況や地域ポテンシャル沈下等の事
情により開発計画が停滞している整備地域も
あると思われます。
全国65の整備地域内での特別地域の決定状
況、開発計画の認定状況を見比べると、東京
都区部の整備地域での開発が圧倒的に多く、
大阪市の整備地域がこれに次ぎ、半数以上の
整備地域の開発は遅れまたは停滞しているこ
とが分かります。
[図表1-1]
都市再生緊急整備地域とその緊急整備地域内の都市再生特別地区及び認定民間都市再生事業計画
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December, 2010 ─────────────────────────────── みずほ信託銀行 不動産トピックス
みずほ信託銀行 不動産トピックス ─────────────────────────────── December, 2010
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資料:都市再生本部
認定民間都市再生事業計画
認定民間都市再生事業計画
現在9都道府県において、民間の開発計画
37件が認定されています
[図表1-3]
。東京圏は
24件、大阪圏は9件、名古屋圏は2件で、3大都
市圏合計で35件を占めており、東京圏の多さ
が突出しています
[図表1-2]
。
認定事業の開発のタイプを見ると、工場等
跡地の開発が最も多い12件で、全体の32%を
占めています。開発する施設の主たる用途(注)
は、事務所が最も多い15件で41%を占めてい
ます。東京圏は公有地取得が最も多く、次い
で工場等の跡地の開発、複数の街区の一体的
開発、区画整理・市街地再開発となっていま
す。これに対して大阪圏は、工場等の跡地の
開発は5件ありますが、公有地取得、複数の
街区の一体的開発、区画整理・市街地再開発
の3タイプは1件もありません。
開発する施設の主たる用途は東京圏では事
務所、次に住宅が多く、商業施設は2件だけ
です。大阪圏では逆に商業施設が最も多く、
事務所は1件だけで、住宅はありません。
東京圏と大阪圏では、認定事業において、
開発のタイプも開発する施設の用途も大きく
異なっています。
(以上、都市未来総合研究所 三輪 一雄)
[図表1-2]
認定民間都市再生事業計画のタイプ別・用途別件数
開発タイプ別
複数の街区
公共施設
社屋跡地 工場等跡地
区画整理・
公有地取得
建替・再建
地下街建設
の一体的
再整備
開発
開発
市街再開発
開発
7
2
1
1
6
4
0
3
圏域
合計
東京圏
24
大阪圏
9
0
1
3
0
5
0
0
0
名古屋圏
2
0
0
0
0
1
1
0
他
2
0
0
0
0
0
0
合計
37
7
3
4
1
12
構成比
100%
19%
8%
11%
3%
32%
主たる用途別
住宅
事務所
商業施設
その他
8
13
2
1
0
1
7
1
0
0
1
1
0
1
1
0
0
1
1
5
4
1
8
15
11
3
14%
11%
3%
22%
41%
30%
8%
(注)主たる用途:複数の用途がある場合は最大の床面積の用途
資料:国土交通省の資料により都市未来総合研究所作成
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[図表1-3]
認定民間都市再生事業計画の一覧
資料:都市再生本部資料に概要及び用途を都市未来総合研究所が加筆
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東京都心5区におけるオフィス成約賃料の動向
(注1)
東京都心5区(以下、都心5区)
のオフィス市場は、長く低迷が続いていましたが、景気の持ち
直しが持続していることなどを背景として、稼働率の下落には歯止めがかかりつつあるようです。
一方、賃料水準については、オフィスの統合や機能集約による新規需要に伴う成約賃料は依然
低下傾向が続いており、都心部の新築オフィスビルにおいても従前より低い水準で契約するケー
スが見られます。このような状況を反映して募集賃料についても低下傾向が続いています。
(注2)
本稿では、都市未来総合研究所の「Office Market Research」
から、都心5区におけるオ
フィスビル成約賃料の動向をご紹介します。
成約賃料が募集賃料に先行し
ている可能性
成約賃料が募集賃料に先行し
成約賃料が募集賃料に先行している可能性
ている可能性
成約賃料が募集賃料に先行し
ている可能性
都心5区における成約賃料は、2008年1期を
ピークとして、それ以降、下落が続いていま
す。
[図表2-1]
に、都心5区の募集賃料、成約賃
料、成約物件数の指数
(2001年4期=100)
ならび
(注3)
に稼働率のそれぞれの推移を示しました 。
成約賃料と募集賃料の推移を見ると、成約
賃料の前回のボトムは2004年4期、募集賃料
は2005年3期でした。直近のピークは、成約
賃料が2008年1期、募集賃料が2008年4期と
なっており、成約賃料が募集賃料に対して3
期先行しています。
募集賃料については、オーナーサイドが、
成約賃料や稼働率の変動を参考にしながら設
定するケースが多いことが、ひとつの要因と
考えられます。もうひとつの要因として、グ
レードの高い物件の空室が少なくなると、そ
れよりもグレードの低い物件の成約が相対的
に増加するため、オフィス全体の需要が旺盛
な時期にもかかわらず、平均の成約賃料がピ
ークアウトするという構造が挙げられるかも
しれません。
成約物件数と稼働率、
成約賃料の動き
成約物件数と稼働率、成約賃料の動き
成約賃料の動き
成約物件数と稼働率、
成約物件数と稼働率、
成約賃料の動き
成約物件数は、2003年の大量供給の影響に
より2003年2期から2004年1期にかけて大き
く増加しました。その後、減少した成約物件
数は、2005年1期から2006年1期にかけて増
加、2006年2期以降は概ね減少傾向にありま
す。一方、成約賃料は2006年2期から2008年
1期にかけて上昇しています。稼働率が上昇
し、貸室供給が減少する中で、テナントの需
要が旺盛に推移したことから、成約賃料が上
昇したと考えられます。2008年2期以降は、
景気の落ち込みにより、オフィス需要が減退
したことから、稼働率、成約賃料が下落した
と考えられます。
[図表2-1]東京都心5区における成約賃料、募集賃料、成約物件数の指数(2001年$期=100)
ならびに稼働率の推移
140
指数(2001年$期=100)
(%)
100
130
99
120
98
110
97
100
96
90
95
80
94
70
93
60
92
50
91
40
90
0102
03
04
05
06
07
08
09
10
$ [email protected] # $ ! @# $ ! @# $ ! @ #$ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $! @ # $! @(期)
稼働率(右軸)
成約賃料(左軸:指数)
募集賃料(左軸:指数)
成約物件数(左軸:指数)
資料:都市未来総合研究所「Office Market Reserch」
、三鬼商事(株)
「東京(都心5区)の最新オフィスビル市況」より
都市未来総合研究所が作成
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規模が大きいほど賃料の変動幅も大きい
規模が大きいほど賃料の変動幅も大きい
規模が大きいほど賃料の変動幅も大きい
規模が大きいほど賃料の変動幅も大きい
貸室のフロア規模別(注4)で成約賃料を比較
すると、大規模ビルは17,500∼30,000円/坪、
大型ビルは14,000∼22,500円/坪、そして中小
型ビルは12,500∼17,500円/坪でそれぞれ変動
しています
[図表2-2]
。
変動の幅を規模別に比較するために、2001
年4期の成約賃料
(後方4期移動平均)
を100と
して指数化をおこないました
[図表2-3]
。
成約賃料の変動幅は、それぞれ最大で、大
規模52.6ポイント、大型50.5ポイント、中小
型36.6ポイントとなっており、規模の大きさ
(賃料水準)
にしたがって変動が大きくなって
いることがうかがえます。
(以上、都市未来総合研究所 大重 直人)
[図表2-2]
東京都心5区における規模別の成約賃料推移
(後方4期移動平均)
32,500
(円/坪)
30,000
27,500
大規模
大型
中小型
25,000
22,500
20,000
17,500
15,000
12,500
10,000
7,500
5,000
01 02
03
04
05
06
07
08
09
10
$ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @
(期)
資料:都市未来総合研究所「Office Market Research」
[図表2-3]
東京都心5区における規模別の成約賃料の推移
(2001年$期数値を100とする指数)
140
130
大規模
大型
中小型
120
110
100
大型:50.5ポイント
中小型:36.6ポイント
大規模:52.6ポイント
90
80
70
01 02
03
04
05
06
07
08
09
10
$ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @ # $ ! @
(期)
資料:都市未来総合研究所「Office Market Research」
(注1)都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
(注2)このデータは都市未来総合研究所が、実際に成約した賃貸事例(新築及び既存ビル)
を収集・集
計したものです。また、各期に発生した成約事例を集計したものであり、同一物件を継続して
調査したものではありません。なお、この成約賃料には共益費を含んでいません。
(注3)[図表2-1]
[
、図表2-2]
[
、図表2-3]
のグラフは、後方4期移動平均値に基づき作成しています。
なお、成約賃料、成約件数のデータについては
(注2)
と同様の留意点があります。
※1期
(1月∼3月)
、2期
(4月∼6月)
、3期
(7月∼9月)
、4期
(10月∼12月)
(注4)基準階1フロア当たりの床面積により、ビルの規模を任意に区分しており、
「大規模」
は200坪以上、
「大型」
は100坪以上200坪未満、
「中小型」
は100坪未満としています。
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7
Monthly Watcher
大都市部における住宅着工の動向
国内の大都市部(文章下の※参照)
における直近年度半期(2010年度上期)
の住宅着工戸
数は合計で12.5万戸でした。2006年度以降の上期における推移をみると、景気低迷による
需要の減退や供給側の在庫調整などを背景に、着工戸数は2008年度上期から2009年度上
期にかけて大きく減少し、2010年度上期にかけてもおおむね横ばい傾向で推移していま
す。2010年度上期は、年度通期の直近ピークであった2006年度の上期と比較して約4割減
の水準にあります
[図表3-1]
。
着工の内訳を建て方別・利用関係別にみると
(2006年度以降の上期)
、1戸建が持家、分
譲住宅ともに2万戸前後と横ばいで推移しているのに対し、共同建の分譲住宅(分譲マン
ション等)
および共同建の貸家、長屋建の貸家(賃貸マンション・アパート)がともに、
2006年度上期から2010年度上期にかけてほぼ半減しており
(それぞれ約6万戸から約3万戸、
約10万戸から約5万戸)
、大都市部における着工減少の要因となっています
[図表3-2]
。
(以上、都市未来総合研究所 清水 卓)
※大都市部:東京23区および、2010年3月末時点の世帯数が40万世帯以上の政令市
(札幌市、仙台市、さいたま市、
千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市)
。
[図表3-1]
大都市部の新設住宅着工戸数の推移
50
(万戸)
年度(通期)のピーク
40
30
下 期(10−3月)
20
上期比較で
約4割減の水準
10
0
上 期(4−9月)
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
資料:国土交通省「建築着工統計」より都市未来総合研究所作成
[図表3-2]
建て方別・利用関係別新設住宅着工戸数の推移
(大都市部、年度上期)
12
(万戸)
10
共同建・貸家、長屋建・貸家
(賃貸マンション・アパート)
8
共同建・分譲住宅
(分譲マンション等)
6
4
1戸建・持家
2
1戸建・分譲住宅
0
2006年度上期
2007年度上期
2008年度上期
2009年度上期
2010年度上期
(注)グラフ記載分以外の区分は、着工戸数が僅少であるため記載していない。
資料:国土交通省「建築着工統計」より都市未来総合研究所作成
不動産トピックス 2010.
12
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8〒103-0027
January,
2009
────────────────────────────────
April,
2007
──────────────────────────────────
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8
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July,
2009 ──────────────────────────────────
みずほ信託銀行 不動産
トピックス
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