北区小中一貫教育検討委員会報告書

平成 19 年度北区教育未来館事業
北区小中一貫教育検討委員会報告書
―北区における小中一貫教育のあり方について―
平成 20 年3月
北区小中一貫教育検討委員会
は
じ
め
に
北区小中一貫教育検討委員会委員長
千葉大学
教授
天
笠
茂
北区教育委員会においては、「北区学校ファミリー構想」や「北区教育ビジ
ョン 2005」及び「北区教育ビジョン 2005 推進計画」を策定するとともに、様々
な施策に取り組んでいます。
平成 18 年度に設置された北区教育未来館評議会・北区学校ファミリー検討部
会では、これからの北区学校ファミリーについての検討がなされました。その
検討結果を踏まえ、北区における小中一貫教育のあり方について検討するため、
北区小中一貫教育検討委員会が設置されました。
義務教育の見直しを求める声が高まる中で、義務教育の制度の弾力化を図る
観点から、6・3制の小・中学校の区分についての柔軟な扱いや小中一貫教育
の導入の可能性について議論がなされるようになってきました。また、小中一
貫教育をめぐって各地で様々な動きが展開されています。
このような中、平成 19 年7月から平成 20 年3月まで4回にわたり、北区学
校ファミリーを基盤とした、北区の特色を生かした小中一貫教育について検討
を重ねました。
その検討結果を本報告書にまとめました。本報告が北区における学校・地域
の小中一貫教育の取り組みに資することを願ってやみません。
目
次
はじめに
第1章
教育をとりまく環境の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1
教育をとりまく環境が大きく変わる中での取り組み
2
学校教育における現状
3
北区における取り組み
(1)「北区教育ビジョン 2005」及び「北区教育ビジョン 2005 推進計画」
(2)「北区学校ファミリー構想」
第2章
1
北区学校ファミリーの取り組みと小中一貫教育・・・・・・・・・7
これまでの北区学校ファミリーの取り組み
(1)北区学校ファミリーの取り組みの事例
(2)北区学校ファミリーの取り組みの成果
2
第3章
今後に向けた課題
北区における小中一貫教育の基本的な考え方・・・・・・・・・・12
1
北区における小中一貫教育の基本的な方向について
―北区学校ファミリーを基盤とした小中一貫教育-
2
小中一貫教育の具体的な取り組みに向けて
3
小中一貫教育モデル事業の展開
(1)(仮称)小中一貫教育モデル事業実施委員会の設置
(2)モデル校での実践
【資 料 編】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
1 北区小中一貫教育検討委員会設置要綱
2 北区小中一貫教育検討委員会委員名簿
3 北区小中一貫教育検討委員会開催経過
第1章
1
教育をとりまく環境の変化
教育をとりまく環境が大きく変わる中での取り組み
昭和 22 年に教育基本法が制定されてから約 60 年、教育をとりまく環境は大
きく変わった。社会全体では、情報化、国際化、少子高齢化、核家族化が進み、
価値観の多様化や規範意識の低下などがみられる。
このような中で、家庭については教育力の低下、地域社会については教育力
の低下や地域の安全・安心の確保の必要性、学校についてはいじめなどの問題
行動が指摘されている。また、子どもについては、基本的な生活習慣の乱れ、
学ぶ意欲の低下や学力低下傾向、体力の低下、社会性・規範意識の欠如などが指
摘されている。
こうした状況を踏まえ、国や地方自治体においては、様々な教育改革の取り
組みがなされている。また、平成 18 年に教育の根本的な理念や原則を定める教
育基本法が改正され、
「人格の完成」や「個人の尊重」など、これまでの教育基
本法に掲げられていた普遍的な理念は継承しつつ、新しい時代の教育の理念が
明示された。また、教育基本法の教育の実施に関する基本の中で、義務教育の
目的や義務教育の実施についての国と地方公共団体の責務などとともに、学校
教育は体系的・組織的に行われるべきことなどが新たに規定された。
同法の改正を受けて、学校教育法などの関係法令が改正されるとともに、新
しい教育基本法で明確になった教育の目標をそれぞれの学校でよりよく実現し
ていくため、各学校が編成する教育課程の基となる学習指導要領の改訂がされ
る。
また、平成 17 年 10 月にまとめられた中央教育審議会の答申「新しい時代の義
務教育を創造する」の「新しい義務教育の姿」では、「学ぶ意欲や生活習慣の未確
立、後を絶たない問題行動など義務教育をめぐる状況には深刻なものがある。
学力低下への懸念、塾通いなど、特に公立学校に対する不満は少なくない。そ
れらは時代や社会の変化に起因するものもあるが、学校教育、教育行政が十分
対応できなかったことも否めない。学校の教育力、すなわち学校力を強化し、
教師力を強化し、それを通じて、子どもたちの人間力を豊かに育てることが改
革の目標である。」としている。そして、「新しい義務教育の実現に向けて、義
務教育の構造改革に取り組むことが求められる。義務教育の質を保証する構造
に改革すべきである。」としている。
1
都市部においては、一般的に公立小学校の卒業生のかなりの割合の児童が私
立中学校などへ進学していることや、学習塾へ通う児童・生徒が多いことなどか
ら、公立学校の役割・あり方が問われている。
これらをどう受け止め、北区はどのように教育を進めていくのかが問われて
いる。
2
2
学校教育における現状
教育をとりまく環境が急激に変化する中で、学校教育において様々な課題が
生じている。児童・生徒の学習意欲の低下、家庭での学習習慣の未定着、学年
進行とともに増加する不登校などの問題に直面しており、次のような指摘など
を踏まえ、自治体によって様々な取り組みがなされている。
①中一ギャップなどについて
小学校6年生から中学校1年生になる時期を境に、暴力行為、不登校、いじ
めといった問題行動の件数が増加している、中学校から授業についていけない
子どもの割合が高くなるといわれている。
これらを踏まえ、小学生と中学生の授業交流・合同行事の実施、小学校におけ
る中学校の教員による授業の実施などによって、徐々に中学校に慣れさせ、児
童の不安感を軽減するという一定の効果をあげている取り組みがなされている。
②学力について
子どもの学力の現状については、平成 15 年に実施された国際的な学力調査の
結果から、全体としては国際的にみて上位にはあるものの、成績中位層が減り、
低位層が増加していることや、読解力、記述式問題に課題があることなど低下
傾向が見られた。
学力の向上を目指す観点から、小・中学校の教師がTT(ティームティーチ
ング)を組むなど、多様な学習形態、指導形態、指導方法の開発が小・中学校
の接近を促し、その連携や一貫教育のあり方を探る取り組みがなされている。
③発達の早期化について
思春期を迎え、身長が大きく伸びる時期が戦後と現在では、男女ともに2年
程度早期化しているという指摘がされている。
これらを踏まえ、教科担任制など、中学校における教育手法を前倒しして、小
学校高学年から導入する取り組みがなされている。
3
④価値観の多様化について
各家庭の価値観の多様化などによって、子どもの価値観の多様化が進んでい
ることがあげられている。保護者が学校に期待する教育内容は以前にも増して
幅広いものとなり、子どもの生活体験の有無、興味・関心、規範意識なども一人
一人様々である。
これらを踏まえ、就学前の幼稚園・保育園と小学校、小学校と中学校の連携を
強化し、それぞれの前段階の教育機関などから入学する子どもの学習状況や指
導上参考となる事項などの情報を教育活動に生かしている。
4
3
北区における取り組み
(1)「北区教育ビジョン 2005」及び「北区教育ビジョン 2005 推進計画」
北区教育委員会では、北区の地域性を生かした教育の創造と実践のために、
平成 10 年(1998 年)5月に北区教育ビジョンを策定し、北区教育ビジョン推進
指定校を設けるなど、その推進を図ってきた。しかし、その後、国や東京都に
おける教育改革は急速に進み、教育をとりまく環境は大きく変化した。こうし
た状況を踏まえ、時代の進展を見据えつつ、急激な社会の変化に速やかに対応
するとともに、教育先進都市・北区にふさわしい 21 世紀の生涯学習社会の構築
を目指すため、「北区教育ビジョン 2005」及び「北区教育ビジョン 2005 推進計
画」を策定した。
「北区教育ビジョン 2005」では、子どもも大人も個に応じて主体的に学ぶ意
欲を持ち、自分らしさを見出していける生涯学習社会の形成を図るとともに、
生涯にわたり学び合い、育ち合う社会、共に支え合い、共に結び合う連携社会、
そして一人一人が地域社会や国際社会に寄与する貢献社会の実現を目指してい
る。そして、「北区教育ビジョン 2005 推進計画」に掲げる各事業を確実に推進
することにより、教育ビジョンが目指す「生涯にわたり学び合い、育ち合う社
会」「共に支え合い、共に結び合う連携社会」「一人一人が地域社会や国際社会
に寄与する貢献社会」の実現に努めている。
5
(2)「北区学校ファミリー構想」
北区教育委員会では、北区独自の教育システムである「北区学校ファミリー
構想」を平成 15 年6月に策定し、様々な取り組みを進めている。
「北区学校ファミリー構想」は、次のような状況を踏まえて策定された。
〔「北区学校ファミリー構想」(平成 15 年7月)から抜粋〕
教育課題として、子どもたちの学習意欲や学力の低下が懸念されていること、
生活習慣の変化により直接体験・生活経験が少なくなり、人とかかわる力が低
下していることなどがあげられ、さらに体力の低下、中学生・高校生では読書
時間の減少なども指摘されている。より広い観点からは、地域社会の連帯感の
希薄化や就労状況の変化、核家族化などから、子育て自体に困難さを生じてい
ることも大きな課題である。
このような状況に対し、区立小・中学校にはこれまで以上に力強い、柔軟な
教育力の発揮が求められるが、学校の小規模化の中では、これまでのように個々
の学校が単独で新しい様々な課題に対応するには限界がある。そのため、地域
の学校として同校種間の連携や異校種間の連携・接続、地域の教育資源の活用
方法などに工夫・改善を加えた、北区の新しい教育を推進していく必要が生じ
ている。
「北区学校ファミリー」は、通学区域の重なる小学校と中学校からつくられ
る近隣複数校のネットワークづくりを進め、1校だけではできないことを複数
校が協力して実践し、質の高い教育の実現を目指す仕組みである。異校種を含
めた近隣・複数の学校の総合力を強化しようという取り組みであり、子どもた
ちの学びをよりよくするという観点から、自らを開き、他校や地域の人・施設
と結び、学校のもつ総合的な力を高めるものである。
構想策定後、できることからという視点で取り組みに着手し、現在では地域
との連携を深めるとともに、各サブファミリー(※)において一定の連携活動
が行われ、多くのサブファミリーにおいて小学校と中学校における学びの連続
性や指導法の工夫にも重点化を図るなどの取り組みに発展している。
※北区学校ファミリーとは、通学区域の重なる小学校と中学校からつくられ
る近隣複数校のネットワークで、中学校と幾つかの小学校などからなる組
み合わせを「サブファミリー」と呼んでいる。
6
第2章
1
北区学校ファミリーの取り組みと小中一貫教育
これまでの北区学校ファミリーの取り組み
北区では、国際的な視野をもち、社会の変化に主体的に対応し、創造的な知
性を備え、心身ともに健やかな児童・生徒の育成を目指している。
しかしながら、教育をとりまく環境が急激に変化する中で、北区の学校教育
においても他の自治体と同様の課題が生じており、児童・生徒の学習意欲の低
下、家庭での学習習慣の未定着、学年進行とともに増加する不登校などの問題
に直面している。
北区学校ファミリーにおける異校種間連携の取り組みは、現在小中一貫教育
の必要性として指摘されている課題を解決する手法として先取りする形で進め
てきた。
7
(1)北区学校ファミリーの取り組みの事例
北区学校ファミリーの取り組みの事例は、次のとおりである。(「北区教育未
来館評議会・北区学校ファミリー検討部会報告書」
(平成 19 年3月)から抜粋)
○浮間中・浮間小・西浮間小 -中学校の体験授業-
中学校の7教科を浮間小、西浮間小の6年生に希望教科を選択させ、体験学
習を行った。中学進学を控え、中学校生活に不安の多い6年生が、中学校の先
生から優しく分かりやすい授業を受け、緊張の中にも楽しい授業を体験し、不
安が少なくなり、中学校生活への希望や夢を抱くことができた。
また、他校の小学生と一緒に授業を受けたことにより、級友についての不安
も和らいだ。
中学校教諭は、小学校教諭と事前の打ち合わせや、小学生に興味をもっても
らう授業を実施するため、授業内容の工夫や教材づくりを行うなど、指導技術
の向上に役立った。小学校教諭にとっては専科である中学校教諭との授業研究
で指導技術が高まり、お互いの刺激になった。
○十条中・王子第二小・荒川小・十条台小
-中学校教員による3小学校への体育技術指導-
中学校教員の高度な体育技術指導を、児童が小学校陸上記録会の練習時に受
けることにより、技術の向上や記録の更新が図られた。各小学校の6年児童が
北運動場と同じような環境の十条中学校校庭に行き、指導を受けた。また、各
小学校の卒業生が、小学校の早朝練習に出向き、得意な種目の指導を行った。
その結果、記録会では広い会場に戸惑うことなく落ち着いて実力を発揮するこ
とができた。
○飛鳥中・滝野川小・西ヶ原小 -小学校における中学生の算数出前授業-
中学3年生が小学校の算数授業に参加し、アシスタントティーチャーとして
小学校の教員とともに授業をした。
児童は自分たちの先輩である身近な中学生に、算数を個別指導してもらうこ
とで学習の理解が深まった。苦手な算数に対する学習意欲も高まった。また、
中学3年生と接することで中学校生活や数学に対する不安感を取り除くことが
できた。
教える中学生にとっても、数学に対する理解が深まり、教えることにより自
信がもてるようになった。教えることの難しさ、大切さも実感し、授業を受ける
態度に真剣みがでてきた。先輩としての自覚も大いに育った。
8
(2)北区学校ファミリーの取り組みの成果
(1)の北区学校ファミリーの取り組みの事例のように、北区学校ファミリ
ーの具体的活動【①情報交換、②授業交流、③教員研修の合同実施、④共同の
カリキュラム(単元の指導計画)の開発、⑤学校運営面での連携・協力、⑥学校
行事での交流、⑦関係諸機関、地域の人との交流をもとにした教育活動の推進、
⑧その他の連携・交流】を通じて、次の効果をあげている。
①教育課程の面
・ 共同のカリキュラム(単元の指導計画)開発・実践、共同開催の行事など
・ 地域情報の共有、地域に根ざした教育活動開発
②学校運営の面
・ 学校間の情報交換・連絡会などを通した組織的な連携
・ 小学校教員が中学校で、中学校教員が小学校で授業を行ったり、小学校教員
と中学校教員によるTT(ティームティーチング)を実施したりするなど、
指導体制の工夫
・ 教育ボランティアなど、地域の人材を生かした教育の実施
③子どもの学びの面
・ 基礎的、基本的な事項の確実な定着
・ 児童・生徒の交流による相互理解
・ 小学生の中学校生活に対する不安の解消
④教員の資質向上の面
・ 子どもや地域の実態に応じた教員研修の実施
・ 授業交流や合同研修会による異校種の学習内容、指導法についての共通理解
・ 小中9年間の発達段階を意識した適切な子どもへの指導・支援のあり方の共
通理解
⑤健全育成の面
・ 児童・生徒の交流による互いに接する態度の育成など、子どもの育ち
・ 広い地域での見取り、情報収集力が高まり、関係機関との連携による質の高
い対応
・ 保護者や地域との信頼関係の深まり
9
2
今後に向けた課題
教育をとりまく環境の変化や教育基本法の改正、学習指導要領の改訂などを
受け止め、北区はどのように教育を進めていくのか、これまでの取り組みをこ
れからどうするのか、義務教育を見直し、どういうものにしていくのか、9年
間の義務教育をどう果たしていくのかが問われている。
これまで北区学校ファミリーの活動として様々な取り組みを行い、子どもの
変容、小中学校の教員の意識の変容など、一定の成果をあげてきたが、次のよ
うな問題点・課題がある。
①学校種間の連携・接続のあり方について
児童・生徒の学習意欲の低下、家庭での学習習慣の未定着、学年進行ととも
に増加する不登校などの問題は、社会の変化などに起因するものもあるが、小
学校と中学校の文化の違い、小学校と中学校の教職員が9年間を見通して児
童・生徒を育てるという視点の欠如など、学校種間の連携・接続のあり方につ
いても課題がある。
②小学校・中学校の9年間を見通した教育内容・方法を継続的・恒常的に実施
できる体制について
○ 教職員の体制、学校間の距離という物理的な制約などのため、年間に1,
2単元のカリキュラム(単元の指導計画)開発・実践、年に数回の交流授業、
交流行事、教員研修など、可能な範囲での限定的な取り組みにとどまって
いる。そのため、学校教育における基礎・基本の確実な定着、中1ギャッ
プなど様々な問題・課題を顕著に改善するまでには至っていない。現在の
制度の中で質的なものをどこまで改善できるかという問題点がある。
○ 北区として義務教育9年間の教育の質をどう保証するのかが問われてお
り、学校教育における様々な問題・課題を解決する手法として、小学校・
中学校の9年間を見通した教育内容・方法を検討し、必要な教育活動を継
続的・恒常的に実施できる体制を検討する必要がある。
10
これまでの北区学校ファミリー、小中連携の取り組みを踏まえ、児童・生徒の
心身の発達段階における学力形成の特質や生活指導の上での課題が顕在化する
時期などを考慮し、義務教育全体の中で学習内容や指導方法のあり方を見直し
し、各学年間や小学校・中学校間の円滑な接続が図れる体制を検討し、継続的
に個に応じた教育を進める教育システムを構築する必要がある。
11
第3章
1
北区における小中一貫教育の基本的な考え方
北区における小中一貫教育の基本的な方向について
―北区学校ファミリーを基盤とした小中一貫教育-
北区における小中一貫教育は、次に掲げる基本的な考え方に基づいて進める
べきである。
今後の北区における義務教育において、様々な課題を解決する手法として、
育てたい児童・生徒像などの教育目標、指導内容、指導方法などが義務教育9
年間を貫いて設定・実施される、小中一貫教育を推進する。
これまでの北区学校ファミリーの取り組みを踏まえ、小学校と中学校の校舎
が離れている学校を前提とし、サブファミリーを構成する中学校と複数の小学
校を一つの単位とする、サブファミリーを基本とした小中一貫教育を進める。
学校と学校(小学校と小学校、小学校と中学校)、学校と地域との連携・協力を
さらに深めることにより、学校のもつ教育力を高め、9年間を一つのまとまり
としてとらえた「小中一貫教育」の視点に立って、義務教育9年間を見通した
一貫教育を進め、地域と一体となって魅力ある学校づくりを推進する。
12
①小中一貫したカリキュラムの作成
地域の子どもの実態を踏まえ、小学校・中学校9年間での教育目標、指導の
重点、学年別授業日数及び授業時数の配当、学校行事などの教育課程を編成す
る。
小学校、中学校の各指導内容を9年間のまとまりとしてとらえ、内容の系統
性、児童・生徒の発達段階に応じた各段階における重点、つまずきやすいポイ
ントを明確にして、カリキュラム(指導計画・評価規準)を作成し、指導を行う。
また、学級担任制・教科担任制など、小学校・中学校間の指導法の移行を円滑に
するとともに、9年間を通した各学年間についても円滑な接続を進める。
②小中一貫した指導
各サブファミリーでそれぞれの特色を生かしながら、育てたい児童・生徒像、
具体的な指導目標を定め実施する。小学校・中学校で共通した教育目標、学習
指導、生活指導を計画的かつ継続的に行うことにより、義務教育9年間を通し
てより効果的に指導を行う。
③児童・生徒の学びの深まり
これまでの北区学校ファミリーの取り組みをさらに発展させ、小学校・中学
校間の授業や行事などの計画的・継続的な交流を図り、児童・生徒の互いの学
びを深めていく。
④教職員の意識改革・指導力の向上
小学校・中学校間の教員の継続的な連携・交流を進め、互いの教育内容の共
通理解や教職員の意識改革を図るとともに、指導力(授業力、生活指導、学級
経営など)の向上を図る。
⑤学校運営・組織体制の整備
小中一貫教育を推進するに当たっては、学校経営の充実の視点を重視すると
ともに、どういう仕組みでどのように組織的に展開したら、最大の効果があげ
られるかという基本的な視点に立って、学校、校務分掌、組織体制を整備する。
⑥地域と一体となった学校づくり
これまでの北区学校ファミリーの取り組みを踏まえ、学校と地域との連携・
協力をさらに深め、地域と一体となった学校づくりを推進する。
13
2
小中一貫教育の具体的な取り組みに向けて
北区における小中一貫教育の具体的な取り組みとして、次に掲げる事項など
を検討し、実施する必要がある。
①9年間を通した一貫したカリキュラム(指導計画・評価規準)の作成
【義務教育9年間の発達段階に応じて重点化すべき学習のねらいを明確にし、
一貫したカリキュラム(指導計画・評価規準)を作成する。各学年における学習
内容の確実な定着を図る。】
学習指導要領の範囲内で、義務教育9年間の一貫したカリキュラム(指導計
画・評価規準)を作成する。作成に当たっては、児童・生徒の発達段階に応じると
ともに、児童・生徒の学力調査などの結果の分析を生かして、重点化すべき学習
のねらいを明確にする。このことにより、9年間を通して、各学年における学
習内容を確実に定着させる。
また、小学校と中学校に分かれて示されている学習指導要領について、9 年間
を一つながりのカリキュラム(指導計画・評価規準)としてとらえ直し、内容の系
統性を明確にする。このことにより、小学校と中学校とのより効果的な接続を
図る。
②9年間を見通した特色ある学習活動
【英語活動など、9年間を見通した特色ある学習活動を推進する。】
各教科での一貫したカリキュラム(指導計画・評価規準)による学習活動を充
実しながら、あわせて9年間を見通した特色ある学習活動として、次のような
活動を推進する。
○ 小学校 1 年生からの英語活動と中学校英語科との学習の連接を図り、国際
化に対応した児童・生徒のコミュニケーション能力を育成する。
○ 科学的な見方や考え方、言語力、様々な体験活動など、これからの時代を
生きる子どもたちに求められる力の育成を図る。
○ 区立小・中学校に整備した校内無線LANやPCなどのICT環境を活用
した分かりやすい授業や情報教育を進める。
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③学習の指導方法・指導体制の充実
【小中学校における少人数指導・習熟度別学習、小学校高学年における部分的
教科担任制による指導など、学習の指導方法・指導体制の充実を図る。】
児童・生徒に基礎・基本を確実に定着させるため、「少人数指導」(少人数の
学習グループを弾力的に編制して行う指導)、「習熟度別学習・課題別学習」(一
人一人の学習の理解の程度や習熟度、興味・関心に応じた、きめ細かな学習指
導)など、学習活動の充実を図る。
また、これまでサブファミリーで実施してきた、合同研修会・授業研究や乗
り入れ授業(小学校教員が中学校で、中学校教員が小学校で授業を実施する。)
の充実を図るとともに、自ら学び、考える力などの能力の伸長を図るため、小
学校高学年での部分的教科担任制による指導を推進する。
④小中学校の児童・生徒の連携・交流
【小学校・中学校間の児童・生徒の連携・交流を図り、児童・生徒の互いの学
びを深める。】
小学校と中学校の間で、互いに各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の
時間・小学校英語活動に参加する機会を設けることで、9年間を通して人間関係
を深める交流活動を行う。
⑤小中学校の教職員の連携・交流
【小学校・中学校間の教職員の連携・交流などを通じて、教育内容・指導方法
の共通理解、教職員の意識改革・指導力の向上を図る。】
小学校では学級担任制を基本とするが、中学校では教科担任制を基本とする
など、小学校と中学校ではそれぞれの制度や学校文化があり、児童・生徒に対す
る学習指導・生活指導、学校体制については違いがみられる。小学校・中学校が
合同で行う行事や授業を通して教職員が連携・交流を図り、互いのよさを学び、
小学校から中学校への円滑な移行を実現する。こうした取り組みの中で教職員
の意識改革・指導力の向上を図る。
なお、推進するにあたり、学校間を結んだコンピュータのネットワークを活
用して相談・連絡・調整するなど、小・中学校の校舎が離れていることによる教
職員の負担の軽減を図る。
15
⑥実効性のある小中一貫教育を実現するための学校運営・組織体制の整備
【実効性のある小中一貫教育を実現するため、学校経営の充実の視点を重視す
るとともに、学校運営・組織体制、人的配置を含めた指導体制の充実と学習
環境の整備を図る。】
小中一貫教育をどういう仕組みでどのように組織的に展開したら、最大限の
効果があげられるかという基本的な視点に立って、学校運営、教育課程、教職
員の兼務発令、管理など、組織・人的資源・物的資源・情報資源の様々な側面
から検討する必要がある。
小中一貫教育を通じて学習・生活指導の充実を図るため、人的な配置を含め
た指導体制などの整備を図る。
○ 小中一貫教育を円滑に進めるため、必要な人事配置や人員の確保に努める。
・ サブファミリー単位での人事発令(小中学校教員の兼務発令)
・ 小中一貫教育推進コーディネーター(サブファミリーの小中一貫教育に
係る研究推進及び連絡・調整を行う。)の指名
・ 退職した教員の区独自非常勤講師制度の検討 など
○ 小中一貫教育を推進する新たな学校間の連携体制(組織)、各校に共通し
た校務分掌・組織などの整備
○ 学校組織を一体的に運営していくために、小学校と中学校をまとめた組織
の長(サブファミリー長など)を置くことの検討
○ 離れた学校間をテレビ会議システムで結び、遠隔授業を実施するための機
器の設置など、学習環境の整備
⑦信頼される開かれた学校づくり、地域と一体となった学校づくり
【学校関係者評価などにより信頼される開かれた学校づくりを進めるとともに、
学校と地域との連携・協力をさらに深めることにより地域と一体となった学
校づくりを推進する。】
学校関係者評価などにより、保護者、地域住民から教育活動その他の学校運
営に対する理解と参画を得て、信頼される開かれた学校づくりを進める。
また、これまでの北区学校ファミリーの取り組みを踏まえ、学校と地域との
連携・協力をさらに深めることにより、地域や学校の教育力を高め、地域と一
体となった学校づくりを推進する。
16
3
小中一貫教育モデル事業の展開
(1)(仮称)小中一貫教育モデル事業実施委員会の設置
「(仮称)小中一貫教育モデル事業実施委員会」を設置するとともに、その下
に「学校運営部会」、「カリキュラム作成部会」などを設置し、具体的な検討・
検証を行い、小中一貫教育モデル事業を進める必要がある。
(2)モデル校での実践
王子桜中学校、王子小学校及び東十条小学校のサブファミリーにおいて小中
一貫教育モデル事業を行い、その際には、平成 21 年度に完成が予定されている
王子小学校・王子桜中学校の同一敷地内の併設型校舎における取り組みの利点
も検討する必要がある。そして、これらの実践を学校関係者評価、
(仮称)小中
一貫モデル事業実施委員会による評価など、検証を行い、区内全域への拡大を
図るべきである。
なお、サブファミリーに小規模の小学校が多い現状では、小中一貫教育を円
滑に進めるには難しい面もあり、区内全域への拡大を図るに当たっては、今後
の学校適正配置の進ちょく状況、学区域、地域性などを踏まえて進める必要が
ある。
17
(仮称)北区小中一貫教育モデル事業実施委員会
平成 20 年度以降の組織イメージ図(案)
(仮称)北区小中一貫教育モデル事業実施委員会
委員長(学識経験者)
副委員長(学識経験者)
委員(学校長、PTAなど)
学校運営部会
委員長
副委員長
委員
カリキュラム作成部会
委員長
副委員長
委員
国語科作業部会
アドバイザー(学識経験者)
委員
学校運営部会
社会科作業部会
委員長(学識経験者)
副委員長(学識経験者)
アドバイザー(学識経験者)
委員
算数・数学科作業部会
アドバイザー(学識経験者)
委員
理科作業部会
アドバイザー(学識経験者)
委員
英語活動・英語科作業部会
アドバイザー(学識経験者)
委員
※
アドバイザー(学識経験者)
委員
※上記以外の教科等(音楽、技術・家庭、美術・図画工作、保健体育、
総合的な学習等)の作業部会を設け、カリキュラムの作成を行う。
*カリキュラムの作成については、学習指導要領の改訂等を踏まえて進める。
*小中一貫教育モデル事業実施後、検証を行う。
18
【資
料
編】
【1
北区小中一貫教育検討委員会設置要綱】
北区小中一貫教育検討委員会設置要綱
平成19年7月20日
19北教学第7136号
(目的)
第1条 東京都北区立小中学校における小中一貫教育のあり方について検討を図るため、北
区小中一貫教育検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第2条 委員会は、次の事項について検討する。
(1)北区における小中一貫教育のあり方
(2)その他教育委員会が必要と認める事項
第3条
委員会は、教育長が委嘱又は任命する別表に掲げる者をもって構成する。
(委員の任期)
第4条
委員の任期は、委嘱または任命の日から平成20年3月31日までとする。
(委員長及び副委員長)
第5条
委員会に委員長及び副委員長を置く。
2
委員長及び副委員長は、教育長の指名により決定するものとする。
3
委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。
4
副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるとき、または委員長が欠けたときは、
その職務を代理する。
(会議)
第6条
委員会は、委員長が招集する。
2
委員会は、委員の過半数の出席がなければ、会議を開くことができない。
3
委員会は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求め、意見を聴くことができ
る。
(部会)
第7条
2
委員会に部会を置くことができる。
部会の所掌事務、構成、その他運営に必要な事項は、委員長が定める。
(庶務)
第8条
委員会の庶務は、北区教育未来館において処理する。
(委任)
第9条
この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に必要な事項は、東京都北区教育委員
会事務局教育改革担当部長が別に定める。
付
則
1
この要綱は、平成19年7月20日から施行する。
2
この要綱は、平成20年3月31日限りで失効する。
19
【2
北区小中一貫教育検討委員会名簿】
(1)北区小中一貫教育検討委員会
役
職
委員長
氏
天笠
名
所
属
備
考
茂
千葉大学教育学部教授
学識経験者
副委員長 天井
勝海
日本大学商学部准教授
学識経験者
委
員 藤井
穂高
東京学芸大学教育学部准教授
学識経験者
委
員 山本
豊
東京福祉大学社会福祉学部教授
学識経験者
委
員 松浦
三郎
学習評価研究所長
民間教育機関
委
員 中野
忠久
王子小学校PTA会長
小学校PTA連合会代表
委
員 堀越
克己
神谷中学校PTA会長
中学校PTA連合会代表
委
員 福田
富美雄 王子小学校長
小学校長会代表
委
員 野田
修二
小学校長会代表
委
員 中尾
豊三郎 王子桜中学校長
中学校長会代表
委
員 小寺
正樹
中学校長会代表
委
員 越阪部和彦
教育改革担当部長
委
員 宮島
指導室長
滝野川第三小学校長
飛鳥中学校長
雄一
(2)事務局
氏
名
所
属
峯崎 優二
教育未来館長
畔柳 信之
教育未来館指導主事
石丸 孝子
教育未来館主査
藤巻 榮子
教育未来館教育指導員
千葉 則道
教育未来館教育指導員
20
【3 北区小中一貫教育検討委員会開催経過】
開催回
開
催
月
日
議
題
第 1 回 平成 19 年 7 月 20 日(金) 会議の趣旨、検討事項についてほか
第 2 回 平成 19 年9月 18 日(火) 北区における小中一貫教育のあり方
について
第 3 回 平成 19 年 11 月 19 日(月) 北区における小中一貫教育のあり方
について
第 4 回 平成 20 年1月 28 日(月) 報告書(案)について
21
北区小中一貫教育検討委員会報告書
平成20年3月発行
発 行 北区教育委員会事務局 北区教育未来館
東京都北区神谷2-42-4(〒115-0043)
電 話
03-3903-2900
刊行物登録番号
F A X 03-3902-2803
E-mail miraikan@city.kita.lg.jp
19-1-116