投資通信、196号PDFデータ - JapanDesk

中華民国
台湾投資通信
発行:中華民国 経済部 投資業務処 編集:野村総合研究所 台北支店
December 2011
■今月のトピックス
中間年を迎える愛台12建設━交通イン
フラ分野における主な公共投資
■飛躍する台湾産業
vol.
196
景気減退や供給過剰で
転換期を迎えた台湾電子産業
■台湾進出ガイド
亜東関係協会と交流協会が
■日本企業から見た台湾
∼台湾楽天市場
(股)
、総経理 江尻裕一氏インタビュー∼
オンリーワンの価値提供で台湾最大の
Eコマース企業を目指す楽天
■台湾マクロ経済指標
■インフォメーション
「台日航空協議」
修正文を交換
【 今 月 の ト ピ ッ ク ス 】
中間年を迎える愛台12建設
━交通インフラ分野における主な公共投資
「愛台12建設」
が示されてから約3年が経ち、
計画期間の折り返しを迎えようとしている。
計画に基づき、
多くの公共建設
計画が推進されており、
それに伴い様々なビジネスチャンスが生まれている。
計画が後半を迎えるにあたり、
設計や施工の
段階へと進む計画が多く、
これまで以上に多くの事業者にとってビジネスチャンスが訪れるものと考えられる。
本稿では、
「愛台12建設」
の計画内容を振り返るとともに、
特に交通インフラの分野における計画の進展状況を紹介したい。
中間年を迎える愛台12建設
約2,900億元(約7,800億円)が桃園航空城計画に投じられ
周知の通り、
「愛台12建設」は、2008年の総統選で馬英九
る計画となっている。
(表1参照)
氏が示した、台湾の経済発展を促進するための公共建設の
「愛台12建設」は2012年に中間年を迎える。これまでに、
方針である。
2009∼16年の間に総額約3兆9,000億元(約11
事業化調査が行なわれた計画、建設に向け行政院の承認を
兆円)の公共投資を行なう計画であり、そのうちの約1兆
受けた計画、
既に建設段階に進んでいる計画など、
それぞれ
2,000億元
(約3兆3,000億円)
が交通ネットワークの充実、
の計画の熟度は様々ではあるが着実に進行している。特に
交通インフラの分野においては、計画段階が終わりいよい
表1:愛台12建設の分野別投資額
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
建設項目
敏捷交通網
高雄港市再造
中部高科技産業新聚落
桃園航空城
智慧台灣
業創新走廊
都市及工業區更新
農村再生
海岸新生
緑色造林
防洪治水
下水道建設
合計
よ設計・施工段階へと進む計画が数多く存在している。
経費
(億元)
12,159
387
3,229
2,937
7,752
1,474
4,581
2,084
394
597
2,730
1,629
39,956
計画の進展とともに広がる商機
これまで交通インフラ関連の予算は主として開発計画の
策定や事業性の検討などに充てられており、それらは台湾
の工程顧問会社
(建設専門のコンサルタント会社)
にとって
の大きなビジネスとなっていた。今後はそれぞれの計画が
設計や建設の段階へと進むことにより、建設、重電機器、特
殊設備、
情報システムなど、
外国企業を含めた多くの企業にとっ
てのビジネスチャンスが広がっていくことが期待される。
本稿では今後の計画の進展が見込まれる交通インフラ
建設の具体事例として、1)桃園国際空港第3ターミナル、
1
【 今 月 の ト ピ ッ ク ス 】
中間年を迎える愛台12建設
━交通インフラ分野における主な公共投資
2)高雄LRT、3)台北民生汐止捷運(MRT)の3つの計画を
3)
台北民生汐止捷運
(MRT)
建設計画
簡単に紹介したい。
本計画は台北市西端の大稻_から民生西・東路を通り新北
市の汐止に至る17.5kmの区間を結ぶMRTを建設するもの
1)
桃園国際空港第3ターミナル建設計画
である。2011年11月末に行政院が計画を承認しており、今
桃園国際空港の拡張は桃園航空城計画の核となる計画で
後はより具体的な路線計画や施設計画を行なう総合計画の
あり、
「桃園国際空港綱要計画」として2011年4月に行政院
段階へと進んでいく。
本計画は一部区間が地下化されており、
の承認を得ている。これを受け、桃園国際空港会社では、拡
全体で777億元
(約2,000億円)
の経費を要するとされている。
張計画の第一段階として第3旅客ターミナルの建設計画を
第一期区間については、早ければ2015年までに着工し、
推進している。
先日、
10月28日に第3ターミナル計画の内容
2023年の開業を目指している。
について事業者に対して説明が行なわれた。
そのなかで、
こ
の計画は旅客ターミナルとそれに付随する駐機場やバスター
紙面の都合上すべての計画を説明することが出来ないが、
ミナル、
商業施設などを一体的に整備するものであり、
その
各地で交通インフラの整備が進められている。
また、
ここで
予算は600億元(約1,600億円)以上との説明がなされた。
ま
紹介したような新規の建設計画の他、既存施設の更新事業
た、
本計画は2018年の供用開始を目指すこと、
2012年1月に
も進められている。
例えば、
既存鉄道の立体化は各地で計画
も第3ターミナルのマスタープランを策定する事業者の公
されている。
最近では、
交通部と嘉義市が合同でプロジェク
募を始める予定であるとの説明もあり、
第3ターミナルの建
ト推進オフィスを設置し、嘉義市内の鉄道高架化計画(約
設計画の全体像とその工期の概略が示された※1。
10kmの区間の高架化と操車場の移設;投資額200億元(約
540億円)
超)
を推進する体制を構築している。
2)
高雄LRT
(Light Rail Transit)
建設計画
高雄LRT計画は当初、高雄LRT環状線計画として民間企
計画の熟度の見極めがポイント
業が建設から運営までを担うBOT方式での開発が検討され
本稿で紹介したように
「愛台12建設」
も中間に差し掛かり、
ていた。
しかしながら、
民間企業の参加意欲が必ずしも高く
各地で交通インフラの建設計画が示されている。しかしな
なく、これまでに2度入札が不調に終わっていたことから、
がら、
各計画の熟度は実に様々であり、
ただ地方政府の思い
BOT方式を改め、公共工事として建設を行なう方針が高雄
が示されただけの計画もあれば、本稿で紹介したような実
市政府から示されている。公共工事へと変更したことにあ
際に建設に向けた動きが見えている計画もある。
わせて、これまで環状線と水岸線として別々に計画されて
国内で計画されている多くの交通インフラ建設の計画を
いた路線を併合し路線計画を変更している。路線変更後の
網羅的に把握するだけでなく、それぞれの計画がどのよう
高雄LRT計画の区間延長は22.1kmであり、その投資額は
なステータスにあるのかを見極め、より熟度の高い計画に
165億元
(約440億円)
とされている。
高雄市政府の説明では
ついて情報を収集することが確実に商機を掴むためのポイ
早ければ2012年10月にも建設工事の入札を行ない、第1期
ントとなるだろう。
(小長井 教宏:[email protected])
区間を2014年までに開業させたいとしている。
ただ、通常このような計画変更がある場合には上位機関
への説明と承認が必要であり、市政府の説明通りに計画が
※1説明会の資料は以下のURLより取得可能
進捗するかについては今後の動向を慎重に見極める必要が
http://www.taoyuanairport.com/chinese/Publi
あるものと考える。
sh.jsp?cnid=822&pid=1239
2
中華民国台湾投資通信
December 2011 vol.196
飛躍する台湾産業
景気減退や供給過剰で
転換期を迎えた台湾電子産業
好調な経済を維持してきた台湾でも、最近景気が踊り場に来ている。ユーロ圏の債務問題、中国の景気の減速など、マク
ロ経済的な影響があることは否定できない。しかし、個別業種を見ていくと、マクロ経済的な理由の他にも、様々な理由が
ある。
台湾が強みとしている電子産業に関して、
幾つかの業種をピックアップして、
その動向を分析してみたい。
表1:OEM/ODM大手の業績比較
OEM / ODM業界
今全世界のノートPC の90%以上は台湾メーカによって、
10億NTD
鴻海
廣達
仁寶
緯創
英業達
主として中国の工場で製造されている。大手企業は、鴻海
(FOXCONN)、廣達(Quanta)、仁寶(Compal)、緯創
(Wistron)、英業達(Inventec)などである。
首位の鴻海は、
ノートPC専業というわけではないが、鴻海と、其の他メー
2011年Q1-Q3
売上
営業利益率
2,378
2.00%
821
1.30%
520
2.19%
463
1.64%
270
-0.66%
2010年Q1-Q3
売上
営業利益率
3.00%
2,045
1.67%
832
2.78%
670
2.29%
454
1.18%
280
カで、大きく明暗を分けてしまっている。鴻海以外の、従来
太陽電池業界
のWindows ノートPC事業に傾注しているODMメーカは、
従来、太陽電池市場は、欧州が牽引していた。ドイツ、ス
市場の中心がノートPCから、タブレットPCにシフトして
ペイン、イタリアの3カ国の2010年の太陽電池導入量は合
いく中で、事業停滞を余儀なくされている。鴻海はApple
計すると、
日本の導入量の10倍を越えていた。
現在、
太陽電
や Amazon などの米系大手からの注文が増えているため、
池産業は、欧州の債務問題というマクロ経済の直撃を受け
うまく市場の変化を乗りこなしている。しかし、以下の表
ている。
しかし、
実の所、
事情はもう少し複雑である。
に示すように、
廣達, 仁寶, 緯創, 英業達など2番手ODM メー
太陽電池は、元々、シャープや京セラなど、日系企業が得
カの売上は伸び悩んでいる。世界最大手のノートPC メー
意としていた分野であった。しかし、最近は、生産技術が標
カであるHP が、
ノートPC事業を売却することを検討して
準化され、製造装置を購入すれば、製造することは比較的
いる、
という発表が2011年の8月にあった。
この時は、
ODM
容易なものとなってきた。この結果、台湾企業だけでなく、
メーカだけでなく、台湾政府にも緊張が走った。幸い、3ヵ
中国企業もこぞってこの市場に参入することとなった。
また、
月後に撤回されたが、
顧客であるブランドメーカの中でも、
エネルギー問題を抱える中国政府は、
中国資本の太陽電池メー
ノートPC事業の収益性は下がってきていることを如実に
カに対して多額の補助金を投入した。
示している。
太陽電池は、発電装置としては、原子力発電や、火力発電
一方で、iPad, Kindle Fire などのオーダーをさらって
と比べて出力当たりのコストが高い。それでも、環境意識
いった鴻海は、
景気減速下でも、
10%以上の売上増加をして
の高い欧州諸国は、太陽電池の普及を促すため、導入に対
おり、一人勝ちの状態が続いている。しかし、鴻海以外の
して補助金を付けたり、太陽電池で発電された電力の買い
OEM, ODM メーカが分け前にあずかれる程、
規模が大き
上げ制度を設けたりしていた。
い市場という訳でもなく、
2番手以降のメーカは、
ノートPC
つまるところ、太陽電池市場は、昨年まで、サプライ側と
に変わる新しい事業を模索していかなければならない状
デマンド側の双方に補助金が付けられた市場であった。
当然、
況に置かれている。
まともなマーケットメカニズムが機能するはずも無く、欧
州の債務問題を受けて、欧州諸国が導入に関する補助制度
を絞ると、
途端に急激な供給過剰になり、
台湾メーカは勿論、
3
景気減退や供給過剰で
転換期を迎えた台湾電子産業
コストが安いはずの中国メーカまで大赤字に落ち込んでし
び悩み、
LED業界の期待ほどには普及率は高まらなかった。
まっている。
台湾の太陽電池産業の不況はかなり深刻で、
従
また、
2010年後半から、
中国の地方政府が、
LEDの製造装置
業員のリストラを含むかなり大掛かりな構造調整に入って
購入の半分を負担する、
といった補助金政策を出した。
これ
いる。
しかし、
欧州の債務問題がすぐに解決する見通しも無
により、
多数の企業が中国で製造装置を購入した結果、
供給
いため、
当分の間苦しい状況が続くものと考えられている。
過剰に拍車を掛けた。幸い、LEDは太陽電池と違って、製造
装置を購入しても、簡単に製造を開始できるような代物で
表2:太陽電池大手の業績比較
2011年Q1-Q3
100万NTD
売上
営業利益率
茂迪
24,610
-1.87%
晶
14,854
-2.54%
昇陽科
10,804
-4.93%
新日光
17,690
-5.99%
益通
7,047
-36.15%
2010年Q1-Q3
売上
営業利益率
13.61%
26,225
17.02%
20,346
13.84%
6,991
14.73%
13,409
0.75%
13,512
はない。
装置を購入した中国現地企業は、
歩留まりが上がら
ず悪戦苦闘している。
最近、
中国の地方政府もLED製造装置
への補助金を打ち止めしているようだが、すでにかなりの
量の製造装置が設置されてしまっているので、供給過剰に
よる価格下落圧力は、2012年の前半くらいまで及ぶと見ら
れている
表3:LEDチップ大手の業績比較
LED業界
2010年はLED産業にとって「奇跡の年」だったが、2011
年は「普通の年」で終わりそうだ。太陽電池同様、LEDも各
国政府の補助金の影響がある市場である。
しかし、
幸いなこ
とに、補助金が無かったとしても、LEDの導入に経済合理
2011年Q1-Q3
100万NTD
売上
営業利益率
晶元光電 17,707
5.91%
隆達電子
6,859
1.88%
新世紀光電 3,728
10.61%
圓光電
3,358
-2.99%
2010年Q1-Q3
売上
営業利益率
29.10%
16,198
20.34%
6,377
21.02%
1,993
33.89%
3,522
性が認められるところまで性能が向上している。
日本では、
エコポイント制度があったせいかもしれないが、
2011年に
構造調整が業績回復の鍵
白熱電球の販売個数をLED電球が上回った。消費電力、白
台湾の場合、製造業の景気が悪くなると、雇用の調整、給
熱電球に必要な電球交換のコストなどまで考えると、LED
与の調整などを通じ、
その影響が製造業以外の業種にも、
速
電球のコストパフォーマンスは、
白熱電球を上回っている。
やかに広がってしまう。逆に、製造業の景気が良くなると、
エネルギー効率が悪い白熱電球は、
各国政府が製造・使用を
急速に社会全体が活況を呈し出す。
補助金カットという形で、
禁止する動きを見せているため、
追い風も吹いている。
ユーロ圏の公債問題の直撃を受けている太陽電池業界は苦
しかし、2010年にLED産業に奇跡をもたらしたのは、電
戦を強いられている。
しかし、
それ以外の業界の成長減速は、
球ではなく、
液晶テレビのバックライトだった。
サムスン電
マクロ経済の影響より、個別業界の事情による影響の方が
子がLED TV と銘打ったLEDバックライトテレビのマー
大きい。
台湾企業の意思決定は早く、
構造調整も速やかに進
ケティングを行い、
これが大ヒットしたため、
テレビ各社が
めることができると期待される。マクロ経済の問題がこれ
追随した。このため、バックライト用LEDの供給が追いつ
以上大きくならない限り、
台湾企業は、
不況の淵から再び這
かずLED各社に大きな利益をもたらした。
2011年にかけて、
い上がって来ることが出来るだろう。
LEDバックライトテレビの市場シェアは更に拡大すると
(廣戸健一郎:[email protected][email protected]況の影
響を受けて、
高価なLEDバックライトテレビの普及率は伸
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December 2011 vol.196
台湾進出ガイド
亜東関係協会と交流協会が
「台日航空協議」
修正文を交換
台湾・亜東関係協会の彭栄次・会長と日本・財団法人交流協会の大橋光夫・会長は、
11月10日に台日双方を代表し、
「台
日航空協議」
修正文の文書交換手続きを行った。
両協会は今後、
以下の内容を実現するため、
必要な関係当局の同意が
得られるよう、
相互に協力することについて合意した。
一、
双方は定期便運航を指定する航空会社の数を制限しない。
二、
東京以外の日本の各空港における
「オープンスカイ
(航空自由化)
」
については、
双方は東京以外の各空港から台湾
の各空港を往復する場合、
航空路線の便数を制限しない。
また、
いかなる空港へも以遠できる第5航空権を享受す
ることができる。
三、東京の航空路線の適宜増便については、
台湾の航空会社が東京成田空港において週2便を増便、
貨物便は週4便
を増便することができる。
双方の航空会社は、
羽田空港の夜間航空便を利用し、
台湾の松山空港以外の空港への運
航について週7便運航でき、
旅客・貨物便を問わない。
四、2013年に東京成田空港の滑走路の発着枠が年間27万回に達する場合、東京から台湾の各空港間を往復する航空
便の数を自由化し、
制限を設けない。
五、
チャーター便の制限を撤廃し、
不定期による旅客、
貨物チャーター便の運航については、
運航する航空会社の数お
よび便数を制限しない。
今回の「台日航空協定」修正文の交換後、双方はさらなる航空自由化へ向けた取り組みを進めるとともに、
「台日双
方の交流と協力の強化に関する覚書」
及び「台日絆イニシアティブ」の中の協力項目「双方の観光交流を促進」を推進
していく。
これらの取り組みにより、
相互観光のいっそうの発展、
経済・貿易の往来の活発化が進むことが期待される。
出所:台北駐日経済文化代表処及び国土交通省ウェブサイト
5
日本企業から見た台湾
オンリーワンの価値提供で台湾最大の
Eコマース企業を目指す楽天
2008年2月にセブンイレブンを展開する台湾最大の流通企業・
統一超商との合弁で「台湾楽天市場」を設立、同年5月に海外初
の楽天市場をオープンさせた。日本の店舗開拓、開店・運営支
援のスキームを導入し、3年で2,000店舗まで拡大。ランキング
やポイント制度など日本のノウハウを活かしつつ、サービス
の付加価値化を進め、
台湾3大インターネットショッピングモー
ルの一角に成長した。今回は江尻裕一総経理(北京法人:楽酷
天有限公司の総経理と兼任)を訪ね、楽天市場の「世界化」の起
点に選ばれた台湾の事業環境への評価や事業の概況・展望に
ついてお話を伺った。
台湾楽天市場(股)総経理 江尻裕一氏
─台湾事業の概要について
ここ数年の変化ということですと、
消費者の間でポイ
現在(2011年11月時点)、台湾楽天市場の規模は約
ント制度に対する理解が進んだ点が挙げられます。
最初
2,000店舗、取り扱いアイテムが約150万、会員数は120
は「ポイントの分だけ値引きしてくれた方がいい」とい
万人
(6割が女性)
となっています。
PC向けサイトのほか、
う声が強かったのですが、今では「ポイント5倍(10倍)」
2010年からはスマートフォン向けサイトの運営も始め
といったキャンペーンをすると、
売上が伸びるようになっ
ています。取引額で見るとまだ全体の数%程度ですが、
ています。
当社はポイントを活用したマーケティングを
毎月50%のペースで伸びています。
得意としていますので、
台湾でポイントが響き始めたこ
流通総額で見ますと、当社は台湾のインターネット
とにより、
良い循環が生まれています。
ショッピングモールの中でYahoo!奇摩、PChomeに並
2,000億元規模とされる台湾の(BtoC)Eコマース市
ぶ主要ポジションの一角を占めており、
これまでの急速
場は毎年20%の成長を続けています(*総合小売市場
な成長速度を維持して、
来年にはトップに立つことを狙っ
≒実体店舗の成長率は過去十年間、5%前後で推移)。E
ています。
コマース市場の伸び代は大きく、
当分はこのペースでの
成長が続いていくでしょう。
─台湾の事業環境について
モノの貿易と違い、
サービスは各国の市場特性と結び
─製品別の流通構成について
ついたビジネスモデルがあり、
そのまま海外に持ってく
売れ筋は服やカバンなどのレディースファッションで、
るのは難しいのですが、台湾は整ったネットインフラ、
流通総額全体の4割ほどを占めます。これにグルメ、IT
物流インフラがあり、EC事業者の進出先としては優れ
製品、
メンズファッションなどが続きます。
日本と比べ、
た環境を持ちます。
例えば台湾楽天市場で取引される衣
台湾はメンズの販売比率が低いのですが、
男性の間でも
類の場合、約6割がコンビニ受け取りです。これは、当
「おしゃれ」
への意識が高まっていますので、
今後の伸び
社のパートナーであるセブンイレブンが5,000店近く
が期待されます。
のネットワークを持つからこそ可能であるわけです。
他のオンラインショッピングモールとの差別化とい
また、
出店者、
コンシューマー、
(配送などの)
協力会社と
うことで、当社が特に力を入れているのはグルメです。
も、とても質が高いと感じております。事業環境に対す
ここは、
台湾で一番強いと自負しております。
食品メーカー
る不満としては、
医薬品のほか、
(日本や中国では認めら
の多くは地方にあり、
かつ、
小規模であることが多く、
営
れている)酒類の販売ができない点ですね。規制緩和に
業には手間がかかりますが、初めてのEコマースに取り
期待しています。
組んでいただくため、
きめ細かいサポートを提供させて
6
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December 2011 vol.196
日本企業から見た台湾
いただいております。当社ではまず、店舗開発のチーム
ります。注文にきちんと対応しているか、店舗の稼働率
が営業を行い、
「全国の消費者にアプローチが可能」
とい
はどうか、という点をチェックして、例えば一週間に一
うメリットを伝え、開店支援チームが顧客のECスキル
度しかログインしていない店舗があれば、
改善を呼びか
向上と店舗の早期立ち上げをサポートし、開店後はEC
けるようにしています。
コンサルタントチームが売上増に向けた支援を行って
台湾楽天ならでは付加価値としては、
グルメ系ショッ
います。
各段階でやるべきことは違いますから、
別々のチー
プの充実ぶりや日本商材の専門店
(*2011年11月にワー
ムが支援する方が、効率がいいわけです。この仕組みは
ルドと提携し、
「STYLE VILLAGE」をオープン。20∼
日本からそのまま持ってきています。
30代前半の女性をターゲットとした日本ブランド限定
のオンラインアパレル専門店街)
の運営、
クロスボーダー
─どのような店舗が売上を伸ばしていますか
取引ができる点などが挙げられます。
Eコマースは「少ないコストで楽をして売ろう」とい
楽天では、
全世界のIDとポイント制度の統一を目標に、
う発想では上手くいきません。
真面目に取り組むことが
各国のシステム統合を進めています。日台間では既に、
必要です。例えば、
当社の出店者に基隆にお店を持つ団
台湾楽天のIDがあれば日本の楽天市場でほぼ全てのも
子メーカーがあります。
ここの女性店主はとにかく真剣
のを買うことができるようになっています。逆に、日本
で、
一生懸命なんですね。
ECスキルが特に高いわけでも、
の楽天市場でも台湾製品のPRを行っており、カラスミ
ショップのデザインが目を引くほど洗練されたわけで
やマンゴー、ライチ、ウーロン茶を購入することができ
はありませんが、メディアにも取り上げられ、全国から
ます。一方、台湾と中国の間ではまだIDの統一が行われ
注文を集めています。製品の良さだけではなく、誠実な
ていません。中台間の取引、特に中国側には台湾製品に
注文・クレーム対応はもちろん、当社の講習にも積極的
対する大きなニーズがあると見ています。
将来諸規制が
に参加して、SNSを使ったプロモーションに取り組む
緩和され、銀聨カードが台湾のECサイトで使えるよう
など、手間をかけた店舗運営を行っているからこそ、幅
になれば、
我々にとっても大きな商機となるでしょう。
広い支持を得ているのだと思います。
─事業展望について
─統一超商との協力体制ついて
台湾でのビジネスはまだまだ基礎作りの段階です。
グ
非常に良い協力関係を築いております。
統一からのサ
ループのリソースを最大活用して、
2∼3年後を目処に、
オー
ポートは手厚く、デリバリー(セブンイレブンでの受け
クションやトラベルも含めた台湾最大の総合ショッピ
取りや宅配)やibonでの商品販売、新規店舗の共同開発
ングポータルサイトへと育てていきたいですね。
など、
提携場面は多岐に渡ります。
また、
康是美や博客来、
台湾無印良品、
台湾ダスキンといったグループ企業にも
━ありがとうございました。
ご出店いただき、
売上を伸ばしていただいております。
─競合との差別化、
強みについて
他社が出せない価値をいかに出していくか、
ここが出
発点となります。
当社のビジネスでは、
店舗のクオリティ
が命です。
台湾楽天市場の店舗数は競合よりも少ないで
すが、
出店料を頂き、
店舗向けのサポートをしっかりと行っ
ている分、
質の高い店舗が集まっています。
お客様
(消費
者)の対応は出店者が行うわけですから、真面目にやっ
ていただけないところには、
退店していただくこともあ
台湾楽天市場股 有限公司の基本データ
会社名
設 立
董事長
資本金
社員数
事業内容
台湾楽天市場股 有限公司
2008年2月
謝健南
5.54 億元
113名(内日本人4名)
インターネットショッピングモールの運営
注)
2011年12月時点のデータによる。
出所)
公開資料及びヒアリングよりNRI整理
December 2011 vol.196
中華民国台湾投資通信
台湾マクロ経済指標
国内総生産額
年
月
経済
実質GDP
(10億元) 成長率(%)
別
製造業
生産年増率
(%)
外国人投資
(千米ドル)
総金額
貿易動向
(百万米ドル)
日本
輸出
輸入
物価年増率 (%)
貿易収支 卸売物価
消費者
物價
為替レート
ドル
円
株 価
平均指数
1966=100
2005年
11,612
4.7
3.66
4,228,068
724,399
198,432
182,614
15,817
0.62
2.31
32.85
0.2795
6,092
2006年
12,243
5.44
4.50
13,969,247
1,591,093
224,017
202,698
21,319
5.63
0.60
32.60
0.2740
6,842
2007年
12,976
5.98
8.34
15,361,173
999,633
246,677
219,252
27,425
6.47
1.80
32.44
0.2896
8,510
2008年
13,071
0.73
-1.56
8,237,114
439,667
255,629
240,448
15,181
5.15
3.53
32.86
0.3636
7,024
2009年
12,821
-1.87
-7.97
4,797,891
238,961
203,675
174,371
29,304
-8.74
-0.87
32.03
0.3471
6,460
14,214
10.88
28.60
3,811,565
400,494
274,601
251,236
23,364
5.46
0.96
30.37
0.3733
7,949
11月
19.94
323,131
63,360
24,373
23,960
414
2.43
1.53
30.85
0.3672
8,350
12月
19.01
480,028
28,125
23,832
22,225
1,607
2.24
1.25
30.37
0.3733
8,777
1月
17.28
346,487
11,222
25,352
23,468
1,884
1.64
1.11
29.30
0.3540
8,971
15.38
475,089
21,264
21,249
20,327
922
3.46
1.33
29.75
0.3634
8,742
3月
14.37
238,929
38,457
27,248
25,477
1,772
5.51
1.41
29.42
0.3549
8,575
4月
7.09
329,975
30,060
27,317
24,361
2,956
4.53
1.34
28.76
0.3507
8,860
7.72
338,336
25,482
27,875
26,651
1,224
3.31
1.66
28.77
0.3512
8,910
6月
3.52
539,386
27,080
25,172
23,795
1,378
3.94
1.93
28.80
0.3570
8,748
7月
3.73
351,868
39,076
28,117
24,774
3,343
4.00
1.32
28.89
0.3714
8,681
3.83
328,426
99,533
25,788
23,161
2,627
3.85
1.34
29.02
0.3787
7,763
9月
1.99
401,566
17,219
24,614
22,839
1,775
5.14
1.35
30.51
0.3973
7,385
10月
1.34
277,719
26,760
27,030
23,709
3,321
5.93
1.22
29.93
0.3794
7,345
2010年
2011年
2月
3,477
5月
3,622
8月
3,763
5.01
4.64
3.48
出所:中華民国経済部統計処
インフォメーション・コーナー
台湾国際ファスニング見本市
Taiwan International Fastener Show 2012
概 要
日
2010年に続き、2回目の開催となる台湾国際ファスニング見本市。台湾のねじ関連企業の約4割が集積する南部地区(台
南、
高雄)
の高雄市で開かれる。
今回はナット・ボルト・ねじ、
締結部品製造機器、
締結部品工具メーカーなど250社、
400ブー
スの出展が見込まれている。
高い輸出競争力を誇る台湾のファスニング業界の最新動向を知る絶好の機会となるだろう。
詳細は下記サイトまで:
http://www.fastenertaiwan.com.tw/ja_JP/index.html
時
■ 2012年3月13日
(火)
∼3月14日
(水)
展示テーマ
■ナット、
ボルト、
ネジ ■ ICT、
建設現場、
輸送工具、
自動車、
航空機向け締結工具 ■一般機械及び精密機械向け締結
工具 ■ファスニング製造設備 ■ファスニング工具 等
展示会場
■第一会場:高雄アリーナ(高雄市左營区博愛二路757號)
■第二会場:漢神アリーナ(高雄アリーナに隣接)
主 催
■主催:中華民国対外貿易発展協会、
台湾区螺絲工業同業公会
お問合せ及び
資料請求
中華民国対外貿易発展協会 Show Manager - Ms. Alanka Yang
■TEL:886-2-2725-5200 ■FAX:886-2-2723-4374 ■Email:[email protected]
■ジャパンデスク連絡窓口 ジャパンデスクは、日本企業の台湾進出を支援するため、台湾政府が設置しています。
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経済部
投資業務処
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TEL: 886-2-2389-2111 / FAX: 886-2-2382-0497
担当:林貝真 ext. 216(日本語可)
野村総合研究所
台北支店
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ジャパンデスク専用 E-mail:[email protected]
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