【女性の活躍を推進する社会システム】 - 産業競争力懇談会

【産業競争力懇談会 2013年度 研究会 中間活動報告】
【女性の活躍を推進する社会システム】
2013年11月1日
【中間活動報告】
【研究会発足の経緯】
安倍政権の成長戦略の中核として提起されている女性の活躍は、今後の日本の経済成長を
担う重要項目の一つである。現状の日本における女性の活躍状況に関しては、ダボス会議で
知られる世界経済フォーラムにおいて、世界男女平等ランキング(The Global Gender
GapReport 2012)が発表されている。そこでのランキングを見ると、上位にはスウェーデン
など北欧諸国が並んでいる。日本は 101 位(昨年 98 位)となっており、ドイツ(13 位)、イ
ギリス(18 位)、米国(22 位)などの欧米諸国と比べてもランキングの低さが突出して目立っ
ている。(参考記事:http://news.kyokasho.biz/archives/1984)
本研究会では、日本国内における女性の活躍推進の現状において、何が問題なのかを検討する
ために、まずは国内の制度等の調査および女性の活躍先進国の事例調査を行う。これを受け、女
性の活躍を推進するためには何が求められるか、それを実現する社会システムとはどのよう
なものなのかを考察し、日本における具体的対応策の検討を産官学が連携して行い提言すること
を目標とする。
【検討活動の状況】
現在、次ページ以降に示す報告書目次案をもとに、調査及び社会システムの具体化のため
にWGを結成して検討を開始した段階である。第1章では、現状把握のため日本における女性の
活躍に関する国の政策・制度と取組みや問題点の整理等の調査を進めている。併せて、第2
章では、女性の活躍先進国の政策・制度や現地企業の取組み等の実態調査を行い、日本とベ
ンチマークするとともに、関連分野の状況整理と課題の明確化を図る計画である。
第3章では、二つのテーマを取り上げ、調査・検討を実施する予定である。テーマ1では、
国内の女性の活躍推進の先進事例調査を実施し、女性が活躍しやすい社会に求められる要件
を導き出す。テーマ2では、ブレインストーミング等によって得られた意見・要望の分析結
果と先進事例調査で得られた事例を踏まえ、ユースケース(ありたい・あるべき働き方・活
躍像等)と女性が活躍しやすい社会を構築するためのシナリオを考察する。
以上を纏め、①制度・政策面から②産業として取り組む内容③官民共同で取り組むべき内
容について提言を実施する予定である。
【スケジュール案】
12/7 月
8月
9月
COCN
全体会議
(研究会)
WG
検討会議
10 月
11 月
12 月
13/1 月
中間報告
第1回
最終報告
第2回
第1回
各 WG 活動
各 WG ごとに検討活動推進
1
2月
第3回
第4回
第2回
第3回
「女性の活躍を推進する社会システム研究会」検討の基本方針と内容
【基本方針】
・日本国内の女性の活躍に関する実態(過去~現在の政策・制度面等)の調査
・女性の活躍先進国(スウェーデンを予定)の実態、事例調査・分析を現地調査
・より広い視点からの女性が活躍しやすい社会の将来イメージを明確化する
・女性が活躍しやすい将来像を具体化する方法の検討
・女性が活躍しやすい社会システムに対する提言の実施
【検討内容案】
章節
タイトル・内容(案)
第0章
はじめに
第1章
国内における女性の活躍の現状
1-1
社会・職場における女性の活躍の現状
1-2
女性の活躍に関する国の政策・制度等の取組み
1-3
女性の活躍を阻害する問題点の整理
第2章
女性の活躍先進国の実態
2-1
政治・企業等の意思決定過程における女性の関与
2-2
女性の社会進出・活躍が進展した背景・経緯
2-3
女性の活躍を推進する諸施策
2-4
我が国における課題解決のための示唆
第3章
女性が活躍しやすい社会のイメージとその具体化方法
3-1
先進事例から導き出せる社会のイメージ・将来像と満たすべき要件
3-2
女性が活躍しやすい社会のユースケース検討
3-3
女性が活躍しやすい社会実現のための提言
第4章
女性の活躍を推進する社会構築への提言(まとめ)
4-1
政策・制度面からの提言
4-2
企業(産業)として取り組む内容(提言)
4-3
官民共同で取り組むべき内容(提言)
4-4
全体まとめ
2
【プロジェクトメンバー】
○リーダ:(株)日立製作所
栗原 和浩(社会イノベーション・プロジェクト本部
○事務局長:(株)日立製作所
内田
牧男(ヘルスケア事業戦略本部
執行役常務
本部長)
ヘルスケアプロジェクト本部 本部長)
○オブザーバ
・東京大学
坂田
一郎(工学系研究科技術経営戦略学専攻
・(株)東芝
土井
美和子(研究開発センター
教授)
首席技監)
○研究会メンバ(下線はリーダ)
【第 1 章、第 2 章(調査 G)】
・(株)日立総合計画研究所
田村
松本 洋人(研究第三部
部長)、
城野 敬子(研究第二部
主管研究員)、
林
工(研究第三部
林
寛之(研究第三部
豊一郎(研究企画室
室長)、
主任研究員)、
副主任研究員)、
竹内 乃布依(研究第三部)
【第 3 章(WG)】
・早稲田大学
澤谷
由里子(研究戦略センター
・(独立行政法人)産業技術総合研究所
・鹿島建設(株) 天野 玲子(知的財産部
山本
麻衣(海外土木支店
・沖電気工業(株)
辻
管理部
教授)
佐藤
縁(バイオメディカル研究部門
部長)
総務グループ))
弘美(研究開発センター
企画室)
・三菱電機(株)
古川 香織(人事部 CP-Plan 推進センター)
・清水建設(株)
村田 明子(技術研究所
・(株)IHI 正木
みゆき(技術開発本部
・第一三共(株)
吉田
・住友商事(株)
本山 ふじか(人事厚生部
・JSR(株)
安藤
・大日本印刷(株)
・(株)日立製作所
丸山
管理部 技術企画 G)
主査)
部長付)
主査)
恭子(事業開発センターMI 室
ソーシャルイノベーション研究所兼務)
幸伸(デザイン本部ユーザエクスペリエンス研究部
柴田 吉隆(デザイン本部ユーザエクスペリエンス研究部
坂田 桂(デザイン本部ユーザエクスペリエンス研究部
日野水
高度空間技術センター都市環境計画グループ)
美加(人事部労政グループ
科容子(人材開発部
古後
上級主任研究員)
主任デザイナー)、
デザイナー)、
聡子(デザイン本部ユーザエクスペリエンス研究部
デザイナー)
3
主任デザイナー)、
○事務局他
・(株)日立製作所
吉田
輝(ヘルスケア事業戦略本部
熊坂 綾子(ヘルスケア事業戦略本部
神宮 純緒(人財統括本部
ヘルスケアプロジェクト本部
ダイバーシティ推進センタ
藤倉 進(社会イノベーション・プロジェクト本部
総務部
主任)
雅晴(実行委員長)
・大江田
憲治(研究会担当実行委員)
・寺田
透(企画小委員会(研究会担当))
・中塚
隆雄(事務局長)
企画部
部長代理)、
○COCN
・住川
ヘルスケアプロジェクト本部 企画部 部長代理)、
4
技師)、
【補足資料】第 1 章(調査)
活動経過報告
第 1 章の調査では、
日本の女性の活躍を推進する諸施策の変遷と現状を分析するとともに、
現在の課題を整理した。その上で、これらの課題解決に向けた示唆を得るために、女性の活
躍を推進してきた先進国の取り組みを調査し第 2 章とする予定である。
[日本の女性の活躍推進施策の変遷]
・ 日本では、1972 年の「勤労婦人福祉法」が女性の活躍推進に関する最初の法制度。
・ 転機は 1985 年の「男女雇用機会均等法」
。女性の職業選択拡大に貢献した一方、男性の
長時間労働を基準にした職場環境や男女間の役割分担に関する意識が問題視。
・ 2007 年の「男女雇用機会均等法」改正、2009 年の「育児・介護休業法」改正によって、
女性のみならず社会の構成員として男性も対象とした施策が整備。
表 1:日本の主な女性の活躍推進施策の変遷
1985
男女雇用機会均等法
1986
女子保護規定緩和
1986
年金第 3 号被保険者制度
1987
1990
1991
配偶者特別控除
1995
育児・介護休業法
1999
労働者派遣法改正
育児休業法
男女雇用機会均等法改正
2009
育児・介護休業法改正
・ 仕事と育児・介護の両立を支援する政策。
・ 全ての就労者向け(これ以前のものは女性
に限られていた)
。
・ 育児休業に加え、介護休業の取得が法的に
可能に。
・ 一部の除外業種を除く全ての職種で派遣
が可能に。
・ 男女双方に対する差別の禁止(男性に対す
る性差別にはじめて言及)
。
・ 妊娠等を理由とする不利益取り扱いを禁
止。
男性も子育てしやすい社会の実現に向けた
諸施策の実施:
・ 短時間勤務制度の義務化。
・ 所定外労働の免除の義務化。
・ 子の看護休暇の拡充。
・ 「パパ・ママ育休プラス」
(母がともに育児
休業を取得する場合には、休業を取れる期
間を延長する制度)
。
2011
出典:内閣府等より作成
5
女性の活躍状況
労働力人口の
女性割合
管理職の
女性割合
40.6%
7.9%
40.5%
8.9%
40.7%
41.1%
9.2%
10.1%
42.0%
11.9%
男女共同社会の実現
2000
2005
2007
ポイント
・ 「男女雇用機会均等法」の前身。
・ 育児休業制度がはじめて法的に取り上げ
られた。
・ 福祉法であり、男女の均等待遇を求めた平
等法ではない。
・ 雇用分野における男女の機会均等および
母性保護を目的に制定。
・ 福祉法から平等法へと法律の性格が変化。
・ 尚、男性への性差別に対する言及はない。
・ 女性の職業選択の幅が拡大。
・ 一方、女性が男性の労働基準にあわせるこ
とになり、子育て等の家庭生活への影響が
懸念。
・ 控除利用を考慮したパート労働者に対す
る賃金の相場形成に影響。
・ 低所得配偶者(妻)世帯への課税控除。
仕事と家庭の両立支援
施策
勤労婦人福祉法
女性の社会進出支援
年
1972
[現状の課題]
・ 内閣府による「平成 25 年版男女共同参画白書」によれば、日本における女性の活躍推進
をめぐる課題は①女性が結婚・出産・育児等による一時的離職を経た場合に原職への復
帰が容易でないこと、②職場等における意思決定を行う立場への登用が男性に比べて女
性は少ないこと、③企業による取り組み推進においても環境整備に課題がみられること
である。
表 2:日本における女性の活躍推進をめぐる課題
課題
女性の就業継続
背景・現状
・育児、介護、家事といった役割が女性に偏っている現状においては、女性が就業を継続する
ことは容易ではない。
・労働市場における流動性が低い現状においては、一旦退職すると、育児等が一段落して再び
仕事に就く際に、雇用が不安定な非正規雇用者となることが多い。
意思決定過程への
女性の参画
・出産・子育て等をきっかけとして仕事を離れてしまえば、管理職への登用の前提となるキャ
リア・スキル形成等の点で、男性との差が大きくなる。
・結果、①仕事を一旦離れることでキャリア・スキル形成が中断する場合、②育児や介護等の
役割を担いながら時短勤務等で仕事を続けているために長時間職場にとどまっている従業員
に比べて評価されにくい場合、①②いずれの場合も、女性が管理職・役員といった立場で意
思決定過程に参画していく環境が整備されにくい。
企業による取り組み
・女性の活躍を推進するための制度や職場環境の整備のために、一時的には様々なコストが必
要となることも多い。
・女性の活躍推進に取り組むことが企業の活動や職場にプラスの効果をもたらすことをステー
クホルダーに対して示していく必要がある。
出典:内閣府等より作成
[現状の改善]
・ 内閣府は、
「平成 25 年版男女共同参画白書」にて上表の課題を掲げるとともに、現状を
改善するための方向性として対策案を提示している。
・
「女性の経済活動への復帰のしやすさの向上」、
「自分らしい生き方の選択を可能とする環
境づくり」、「男女の働き方に影響を与えている社会制度の見直し」など、女性の活躍推
進においては官民双方の参画が重要である。
①女性のライフステージの変化に
対応した施策展開
(例:学び直し支援、
女性による起業支援)
女性の就業継続
④女性の活躍推進や
仕事と子育て両立支援に
取り組む企業に対する政策的支援
(例:役員・管理職への女性登用に
積極的な企業支援)
②自分らしい生き方の選択のしやすさ向上
(例:理工系を目指す女子中高生支援、
社会人キャリア形成支援)
意思決定過程への
女性の参画
⑤公的部門による女性の活躍推進
(民間における取り組みの先導)
③長時間労働の抑制及び働き方の見直し
(例:ワークライフバランス普及、
時間あたり生産性向上)
企業による取り組み
⑥男女の働き方に影響を与えている
社会制度の改善
図 1:女性の活躍推進に関する現状改善案
出典:内閣府等より作成
6
・ ①・②は、女性自身の人生上の選択や出産・育児後の復職に効果があり、主に「女性の
就業支援」に貢献する現状改善案であると考えられる。
・ ③は、多様な働き方が認められることによって、
「女性の就業支援」に効果があるだけで
なく、長時間職場にとどまっている従業員と比べて生産性等の観点からみた公正な評価
が行われるようになれば、意思決定に影響を与える役員・管理職への女性の登用が進む
ものと考えられる。さらに、生産性の向上が進展すれば、企業による取り組みにも弾み
が付くものと考えられる。
・ ④・⑤・⑥はいずれも行政によるものであり、公的部門における取り組みは社会に与え
る影響が大きく、女性の活躍推進をめぐる課題に対して幅広く効果を発揮するものと考
えられる。
[女性の活躍先進国の状況]
・ 女性の活躍先進国として、世界経済フォーラム発表による「男女平等ランキング」にお
いて北欧諸国(1 位アイスランド、2 位フィンランド、3 位ノルウェー、4 位スウェーデ
ン)が上位(日本は 101 位)。
・ 女性の活躍推進と密接に関連すると考えられている出産・育児に関連する指標では、合
計特殊出生率の推移において、ノルウェーでは 2.50(1970 年)から 1.85(2000 年)に大き
く低下した後の回復が 1.90(2010 年)と鈍いのに対し、スウェーデンでは 1.92(1970 年)
から 1.54(2000 年)と低下したものの、
1.90(2010 年)となり 1970 年の水準近くまで回復。
・ 意思決定過程への女性の参画に関連して、国会議員に占める女性割合で、スウェーデン
(45%)がノルウェー(39.6%)より高い。
・ また、産業競争力を考える上では、日本に類似の産業構造を有する国を参考とすること
が、当該国における政策等の取り組みをわが国に適用する際に有用性を発揮するものと
考えられる。この点において、輸出額の約 70%を鉱物性燃料(石油・ガス)が占める「資
源大国」のノルウェーではなく、製造業(約 40%)が主産業であるスウェーデンがわが国
の将来像を検討する上で適切とみる。
7
表 3:女性の活躍先進国の状況
指標
男女平等ランキング
合計特殊出生率
ワークライフバランス、
子育て環境充実度
国会議員に占める女性割合
スウェーデン
ノルウェー
日本(参考)
4 位(総合スコア:0.8159) 3 位(総合スコア:0.8403) 101 位
(総合スコア:0.6530)
注:人口小国ほどスコアが高くなりやすい「政治への関与」の差が順位に影響。
1 位アイスランド、2 位フィンランド。
1970 年:2.50
2000 年:1.85
2010 年:1.90
1970 年:1.92
2000 年:1.54
2010 年:1.90
1970 年:2.13
2000 年:1.36
2010 年:1.39
3位
2位
注:5 位アイスランド、6 位フィンランド
1970 年:9.3%
1980 年:23.9%
1990 年:35.8%
2000 年:36.4%
2010 年:39.6%
1970 年:14.0%
1980 年:27.8%
1990 年:38.4%
2000 年:42.7%
2010 年:45.0%
N/A
1970 年:1.6%
1980 年:2.2%
1990 年:2.3%
2000 年:7.3%
2010 年:11.3%
主要輸出品目割合
機械:16.8%
電気機器:11.3%
輸送用機器:10.1%
鉱物性燃料:69.9%
機械・輸送機器:7.9%
魚介類:5.4%
輸送用機器:14.5%
鉄鋼:5.5%
電子部品:5.2%
出典:内閣府、財務省、JETRO、WHO 等より作成
[今後の活動計画]
・ 上記の課題を踏まえ、今後の日本における女性の活躍推進に対する示唆を得るため、女
性の活躍先進国(候補:スウェーデン)の実態調査。
・ また、女性の活躍しやすい理想的な社会をイメージするにあたり、先進的事例調査およ
びユースケース(ありたい・あるべき働き方・活躍像)検討を行う。
以
8
上
産業競争力懇談会(COCN)
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事務局長
中塚隆雄