ニュースレターno.11 - 静岡大学

Shizuoka University
静岡大学キャンパスミュージアム
静岡大学キャンパスミュージアム
ニュースレター
Newsletter No.11
富士山展 展示風景
富士山展 ミュージアムトーク
企画展 富士山展──富士山の過去と現在と未来
目 次
●特別展「静岡大学のあゆみと教育・研究の現在」
生涯学習教育研究センター 金子 淳 ‥‥2
●企画展「富士山展──富士山の過去と現在と未来」
●公開講座「静大キャンパス探訪」
理学部 和田秀樹 ‥‥3
生涯学習教育研究センター 金子 淳 ‥‥4
●バリ・ガムラン演奏団ナーダ・ブラーマ・チャルヤの活動2009
教育学部 小西潤子 ‥‥5
●静岡キャンパス生物調査
教育学部 新妻廣美 ‥‥6
●シリーズ・キャンパスの自然「構内の爬虫類と両生類」
●2009年度キャンパスミュージアム活動報告
農学部 加藤英明 ‥‥7
ワーキンググループ ‥‥8
March 2010
Shizuoka University
◆報告◆
特別展「静岡大学のあゆみと教育・研究の現在」
静岡大学生涯学習教育研究センター 金子 淳
静岡大学創立 60 周年を記念し、大学会館 2 階にお
(1)静岡大学のあゆみ
いて「静岡大学のあゆみと教育・研究の現在」と題
附属図書館の協力のもと、写真や模型などで静大
した特別展を実施した。
の歴史をたどった。
今回の会場となった大学会館は、本学教職員や学生
①前史(開学以前)
の交流・福利厚生を目的として 1993 年に設置された
②静岡大学の成立(1950 年代)
施設であるが、有効に活用されているとはいいがた
③大学「大衆化」時代の静岡大学(1960 年代)
い状況にあり、特に旧食堂(その後学生自習室)は
④静岡大学の統合・再編(1970 ∼ 1980 年代)
ほとんど使われていない。そこで、創立 60 周年にあ
⑤静岡大学の改革(1990 ∼ 2000 年代)
たる今年度 1 年間に限り、キャンパスミュージアムが
※第五福竜丸事件関連コーナー
この部屋を特別展・企画展の会場として使用し、大
(2)教育・研究最前線(10 月末まで展示)
学会館の効率的な活用方法を探ることとなった。
各学部等における教育・研究の現状をパネル等で
大学会館という会場の性質上、会期や開館時間の
展示した。
設定は難航したが、各方面との調整の結果、会期は
2009 年 6 月 12 日(金)∼ 2010 年 2 月 19 日(金)の平
(3)ガムラン∼青銅のオーケストラの響き∼(10 月
末まで展示)
日(月曜日∼金曜日)10:00 ∼ 16:00 となった。ただ
2007 年 度 に 大 阪 音 楽 大 学 博 物 館 よ り 寄 贈 さ れ、
し、大学行事などの都合により変則的な休館日とな
2008 年度に企画展を行ったガムランを展示した。
り、祝日、夏季一斉休業期間(8/13・14)、年末年始
(12/21 ∼ 1/10)、大学入学試験日(1/16・17)は休館
した。一方、土日であっても、集客が見込める日は
開館することとなり、オープンキャンパス(8/1・2)、
静大祭開催中及び翌週の土日(11/21・22・28・29)、
11/23(月・祝)、12/5(土)、12/12(土)は開館した。
同じ会場の約半分の面積を使って、11 月 13 日(金)
∼翌 2010 年 2 月 19 日(金)まで企画展「富士山展」
を行うことになったため、企画展の開催に合わせて
会期の途中で大幅な展示替えをすることになった。
展示内容は以下のとおりである。
静岡大学創立60周年記念
キャンパスミュージアム特別展
静岡大学のあゆみと
教育・研究の現在
■開催趣旨─────────────────
入場無料
静岡大学は、戦後の教育改革の理念の下、当初3学部
からなる国立大学として発足しました。その後、教育・研
究の両面で発展と充実を重ね、今では6学部と大学院、
会場:静岡大学静岡キャンパス大学会館2階
研究所、その他の諸施設を擁する全国でも有数の総合
大学に成長しました。
2009年6月12日(金)∼
2010年2月19日(金)のうち
原則として平日
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この特別展では、
これまでの静岡大学のあゆみを振り
返るとともに、現在の教育・研究の取り組みを紹介するこ
とにより、今後の新たな道を切り拓いていく足がかりに
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②静岡大学の成立
(1950年代)
③大学「大衆化」時代の静岡大学
(1960年代)
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⑤静岡大学の改革
(1990∼2000年代)
ガムラン∼青銅のオーケストラの響き
[10月末まで]
教育・研究最前線
[10月末まで]
■企画展予告────────────────
「富士山展──富士山の過去と現在と未来」
会期:2009.11.13
[金]
─2010.2.19
[金]
※国立科学博物館との共催事業
【会場案内】
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JR静岡駅北口より、
しずてつジャスト
ラインバス19番乗り場から「静大行
き」または「大谷行き」に乗車し、
「片
山」または「静大前」バス停下車(所要
時 間 約 2 5 分 、1時 間に5∼7本 運
行)。
※駐車場はありません。
会場風景
2
チラシ
食堂 B
A
B
学務部
D
図書館
P
L
会場
(大学会館)
事務局
守衛所
正門
問い合わせ:
〒422-8529 静岡市駿河区大谷836 静岡大学学術情報部研究協力・情報チーム
(共同施設担当)
TEL:054-238-4264 e-mail:[email protected]://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/sum/
C
A
C
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バス停︵静大前︶
静岡大学キャンパスミュージアム
主催:
遺伝子
実験施設
バス停(片山)
総合研究棟
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理学部
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①前史
(開学以前)
④静岡大学の統合・再編(1970∼1980年代)
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静岡大学のあゆみ
人文
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■展示の構成────────────────
共通教育棟
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…開館日
していきたいと思います。
東名
高速
道路
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この大きな制度改革の中で、静岡大学はますます社会
放射科学
研究施設
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国一斉に国立大学法人化という大きな変革がもたらさ
した。
の信頼に応え、国際性あふれる発展をしていくことが求
※祝日、夏季一斉休業期間(8/13・14)、施設点検日
(8/28)、年末年始(12/21∼
1/10)
及び大学入学試験日
(1/16・17)
を除く。
(11/21・22・28・29)、
※オープンキャンパス
(8/1・2)、静大祭開催中及び翌週の土日
11/23(月・祝)
、
12/5
(土)
及び12/12
(土)
は開館。
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学も例外ではありません。2004年(平成16)には、全
められています。
10:00∼16:00
■開館日カレンダー
しかし今日、社会は大きな変革の時代にあります。大
れ、同時に、厳しい競争環境にさらされることにもなりま
March 2010
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◆報告◆
企画展「富士山展──富士山の過去と現在と未来」
静岡大学理学部 和田 秀樹
静岡大学創立 60 周年を記念した企画展「富士山展」
富士山全域調査を終え、今回初公開した。
を、静岡キャンパスにある大学会館 2 階で、平成 21
大学祭の期間、この発明をされたアジア航測(株)
年 11 月 13 日から平成 22 年 2 月 19 日にかけて行った。
千葉達技師長によるミュージアムトーク、一週間後の
この企画は、国立科学博物館が 3 年ほど前から実施し
土曜日には、国立科学博物館の佐野貴司博士と防災科
始めた出張展示であるコラボミュージアムと静岡大
学研究所の鵜川元雄博士の講演会を各 1 回開催し、熱
学が共同で行うものである。国立科学博物館からは、
心な来聴者からは好評を得た。国交省富士砂防事務
横山一己博士と本学の卒業生である佐野貴司博士が
所とアジア航測(株)の協力による赤色立体地図は、
担当した。
見る人の興味に応じて今後様々な方面で新たな活用
富士山は、日本一の高さと秀麗な姿が先立ち清閑な
が期待されるところである。富士山の世界文化遺産
シンボルとして取り上げられ、世界的に知名度は十分
登録を目指す運動に協賛する様々な団体の方もお見
に高いが、火山としての性格や活動の歴史はそれほど
えになり、今後のコラボミュージアムに期待が広がっ
知られている訳ではなく、古代から富士山を見てき
ている。
た日本人には、時代時代において見る目が大きく違っ
静岡−山梨両県でユネスコの世界文化遺産登録に
ているはずである。この企画展では、富士山研究の
向けての活動が盛んに行われているため、活動を推進
最新の成果を取り入れ、過去の噴火の歴史や活動様
する団体からもこの企画展に対しては広く関心を持
式の違い、時代の違う地域に住む人間の見た富士山
たれた。富士山展の赤色立体地図は、今後、愛知教
の姿を多面的に紹介した。また、近年生物の研究も
育大学、(財)ボーイスカウト日本連盟主催の第 15 回
研究手段の発展により対象がどんどん広がり、山頂
日本ジャンボリー、NPO 静岡自然史ネット、東海大
の永久凍土にすむ生物、清涼に見える富士山湧水に
学海洋博物館で再活用して展示会開催をすることが
すむ顕微鏡でやっと見えるものまで静岡大学の最新
決まっている。
研究を紹介した。
なお、地域連携恊働センターの土居英二特任教授に
今回の企画で最も斬新で科学的にも新展開が期待
は、この企画展開催にあたり協賛企業探しに奔走して
される特筆すべき新技術が、赤色立体地図である。
いただいた。この企画を推進するにあたり多くの方々
2009 年 3 月に、国土交通省富士砂防事務所が企画した
にご協力いただき感謝する次第である。
赤色立体地図(左)と航空写真(右)、富士山北鹿の桟敷山−大平山付近を比較
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Shizuoka University
◆報告◆
公開講座「静大キャンパス探訪」
静岡大学生涯学習教育研究センター 金子 淳
今年度、キャンパスミュージア
ムとして初めて、公開講座を企画
した。
「静大キャンパス探訪∼キャ
ンパス内の自然と歴史に触れよう
∼」と題し、3 回にわたる講座を
実施した。
静岡キャンパスは、広大な敷地
と起伏ある地形が特徴で、構内に
は豊かな自然や歴史・文化の痕跡
が残っている。この貴重な大学の
第1回(10/17)の講座風景
資源を最大限に利用して地域に広
く開放し、日常的な環境学習の場
として活用していくことが、
「キャ
ンパス丸ごと博物館」を標榜する
静岡大学キャンパスミュージアム
第3回(10/31)の講座風景
の使命の一つでもあるわけだが、
この公開講座もその一環として実
施された。
各回の内容は以下のとおりであ
静岡大学公開講座2009
静大キャンパス探訪
第2回(10/24)の講座風景
キャンパス内の自然と歴史に触れよう
る。
■第1回「キャンパス周辺の遺跡
を訪ねる」
・日時:2009 年 10 月 17 日(土)
静岡キャンパス内を教員引率のもとで散策し、
豊かな自然や歴史・文化の痕跡をたどります。
10:00 ∼ 12:00
第1回 2009.10.17
12:00
松坂屋
静岡駅
滝沢 誠
東静岡駅
グランシップ
第2回 2009.10.24
10:00
12:00
「静岡キャンパスの昆虫を探る」
滝沢 誠(考古学)
新妻廣美
東名高速道路
第3回 2009.10.31
10:00
静岡放送
12:00
小南陽亮
定員●20人
■第2回「静岡キャンパスの昆虫
を探る」
片山
片山
静大前
「植物から見る静岡キャンパスの自然」
・参加者:8 人
静岡キャンパス
JR静岡駅北口しずてつジャストラインバス19番乗り場から、
「静岡大
受講料●1,000円
時間約25分、1時間に5
は「静大前」バス停を経由しないため、
「片山」バス停で降りてください。
「片山」バス停は2ヶ所ありますのでご注意ください。
[email protected]
054-238-4312 〒422-8529 静岡市駿河区大谷836 静岡大学研究協力・情報チーム共同施設担当宛て
静岡大学キャンパスミュージアム 後援●静岡県教育委員会
主催●
・日時:2009 年 10 月 24 日(土)
10:00 ∼ 12:00
10:00
「キャンパス周辺の遺跡を訪ねる」
・講師:静岡大学人文学部教授
『静岡新聞』2009年10月18日付
チラシ
・講師:静岡大学教育学部技術
職員 新妻廣美(系統動物学)
・参加者:12 人
■第3回「植物から見る静岡キャンパスの自然」
たが、静岡新聞に 1 回目の講座の様子が掲載されたこ
とから、その後は増加に転じた。
・日時:2009 年 10 月 31 日(土)10:00 ∼ 12:00
講師を担当した教員の専門性からくる持ち味が十
・講師:静岡大学教育学部教授 小南陽亮(植物生
分に発揮され、講師の解説に熱心に聞き入っていた
態学)
・参加者:17 人
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広報上の問題から、当初は参加者数が少なめだっ
参加者の姿が印象的だった。
March 2010
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◆報告◆
バリ・ガムラン演奏団ナーダ・ブラーマ・チャルヤの活動2009
静岡大学教育学部 小西 潤子
バリ・ガムラン演奏団ナーダ・ブラーマ・チャルヤ
今回の演目は、演奏団のインストラクターでもあ
は、2008 年度キャンパスミュージアム特別展(11 月
るバリ島出身のイケトゥット・ムジャ氏(岐阜大学
11 日∼ 11 月 17 日、於:静岡大学キャパスミュージア
連合農学研究科、静岡大学配置)によるオリジナル
ム)を機会に結成され、イベントごとにメンバーを更
作品に加えて、浜松市在住の作曲家・小菅由加里氏(静
新しながら活動を行っている。学部や学年を超えて、
岡大学教育学研究科作曲専攻修了)によるガムランの
静岡大学生はもちろん卒業・修了生や東海大学海洋学
ための委嘱作品《海辺にて On the Seashore》の初演も
部生有志などが参加しており、学生のサークル活動
行った。小菅氏は、これまで「ザ・茶歌プロジェク
を超えた学生(インドネシア人留学生を含む)と教員、
ト」
(2007)、
「UNO パーカッションコンサート」
(2008)
地域の有志らによるチュートリアルと位置づけられ
など、生涯学習教育研究センター協力のもとで実施
る。今年度は、静岡大学創立 60 周年記念「静大フェ
された教育学部音楽教育講座有志による事業にも参
スタ」(5 月 30 日∼ 31 日、於:ツインメッセ静岡)お
加してきた。西洋音楽作品の創作中心に活動してき
よび第 24 回国民文化祭「海のおもしろ民族学展」(10
た小菅氏にとって、ガムランの音世界は全く未知で
月 31 日から 11 月 8 日、於:焼津市文化センター小ホー
あったにもかかわらず、演奏団からの依頼を受けて国
ル)において、それぞれ展示と演奏を行った。ここ
内のガムラン演奏団のワークショップに参加したり、
では、後者における演奏活動を中心にとりあげたい。
バリ島までに赴いて演奏指導を受けたりなど積極的
国民文化祭とは新たな芸術文化の創造をねらいと
に関与し、その成果をもとにナーダ・フラーマ・チャ
して全国持ち回りで毎年開催される文化活動であり、
ルヤへの指導も行った。
第 24 回目となる今年度は静岡県内各所を開催地とし
実は、国内には 20 年以上の活動実績のあるガムラ
て、10 月 24 日∼ 11 月 8 日まで地域に根ざした文化や
ン演奏団が複数あり、全国の多くの大学がガムラン
特色をいかした 95 の事業が同時多発的に実施された。
セットを所蔵している。その意味でガムラン自体は
「海のおもしろ民族学展」は、そのうちの焼津市主催
決して珍しいものとは言えないが、マーダ・ブラーマ・
事業「海の文化フェスティバル」の一環であり、国立
チャルヤの活動の意義は、イベントをきっかけに演
民族学博物館の特別協力により、楽器も含めて海に関
奏団と留学生、地域の有志が協同しつつ、共に発展
する民族関係資料の展示や演奏を行ったものである。
するところにある。参加者自らが演奏のみを楽しむ
ナーダ・ブラーマ・チャルヤとしては、開催前に展
ことを超えて、大学と地域とがつながっていくツー
示用としてガムラン一式を貸し出すとともに、11 月 1
ルとしてガムランの可能性を追究する活動を今後も
日 11 時からと 13 時からの 2 回にわたり演奏とワーク
展開したいと考えているのである。
ショップを行った。各回約 50 名の来場者があり、そ
のうちワークショップには約 20 名が参加した。
小菅由加里氏氏
イケトゥット・ムジャ氏
国民文化祭での演奏風景
5
March 2010
Shizuoka University
◆報告◆
静岡キャンパス生物調査
静岡大学教育学部 新妻 廣美
キャンパスミュージアムでは、2009 年 6 月から 3 カ
キガエル(ここまで全て県要注目種)、モリアオガエ
年計画で、構内の生物調査を進めている。これは自然
ル(県準絶滅危惧)、シロマダラ(県情報不足)が含
環境も大学の重要な資源であるとの考えに立ち、調
まれている。シロマダラなど 4 種の爬虫類をアルコー
査の成果を環境教育や学内の環境保全施策に活用す
ル標本として保管し、分布の証拠とした。
るためである。
3)昆虫類
本調査は、学内の教職員と学生、これに NPO 静岡
捕虫網による採集に加え、バナナトラップの設置や
県自然史博物館ネットワークの会員が加わり、3 者協
灯下採集(写真 2)なども行い、330 種の昆虫類を確
同で進められている。現在、哺乳類・鳥類調査チーム、
認した。そのうちの 232 種は乾燥標本やバルサム標本
爬虫類・両生類調査チーム、昆虫類調査チーム、貝
として残した。近年、温暖化によって分布を広げた
類調査チームの 5 チームと記録やホームページ担当の
クロコノマチョウ、ナガサキアゲハ(写真 3)、ツマ
写真チームが活動している。まだ道半ばではあるが、
グロヒョウモン、クロメンガタスズメを構内でも採
これまでの成果を簡単に報告する。
集した。また数年前まで県内では偶産と見なされた
サツマゴキブリが、構内で既に繁殖していることも
1)哺乳類・鳥類
確認した。一方、近年急激に数を減らしてきたサト
哺乳類の調査では、構内に自動撮影装置(写真 1)
キマダラヒカゲ(日本固有種)や一般に山地で見られ
を置いて、タヌキやハクビシンなど 4 種の動物を確認
るアサマイチモンジ、コムラサキを構内で記録した
した。また、鳥類の調査では、定期的な観察会によっ
ことは注目に値する。本調査で採集したムネアカセ
て、47 種を記録した。この中にはオオタカ(環境省
ンチコガネ、ヤマホソヤガは県内では希少種であり、
カテゴリー絶滅危惧 II 類、静岡県カテゴリー絶滅危惧
アルマンモモアカアナバチ、キンモウアナバチは有
II 類−以下、環境省カテゴリーを国、静岡県カテゴリー
度山初記録の種である。
を県と略す)、サンショウクイ(国絶滅危惧 II 類、県
4)貝類
絶滅危惧 IB 類)、サンコウチョウ(県準絶滅危惧、静
17 種の貝類を採集した。この中には 15 種の陸生貝
岡県の鳥)、ヤマシギ(県情報不足)が含まれている。
類が含まれている。
さらに、構内でコシアカツバメ(県準絶滅危惧)の
5)植物類
繁殖も確認した。大学の近隣は、かつてサンコウチョ
約 200 種を採集し、さく葉標本として保管した。マ
ウの営巣地であったが、今では他所への通過地点と
ツバラン(国準絶滅危惧、県絶滅危惧 II 類)、タシロ
なってしまったようだ。
ラン(国、県準絶滅危惧)、クロヤツシロラン(県絶
2)爬虫類・両生類
滅危惧)、タコノアシ(国、県準絶滅危惧)を構内で
11 種の爬虫類と 4 種の両生類を確認した。この中に
確認した。
はクサガメ、ニホントカゲ、ニホンヤモリ、アズマヒ
写真1 自動撮影装置による哺乳類調査(2009
年6月3日)/写真チーム撮影
6
写真2 灯下採集よる昆虫類調査(2009年6月
29日)/写真チーム撮影
写真3 クサギに集まるナガサキアゲハ(2009
年9月1日)/写真チーム撮影
March 2010
Shizuoka University
◆連載◆シリーズ・キャンパスの自然
構内の爬虫類と両生類
静岡大学農学部 加藤 英明
暖かい春が訪れると、静岡大学のキャンパス内で
供を産む。夜行性だが、受胎したメスは胎児の発育
は冬眠から覚めたトカゲやヘビたちが、あちらこち
を促進させるため、日光浴を頻繁に行う。逃げ足が
らで日光浴を楽しむ姿が見かけられる。そんな姿は
遅いヘビであり、人気のない場所を歩く時には、昼
学生たちを驚かせ、時に不快にさせることすらある。
夜を問わず足下に注意が必要。
一般的に、両生類や爬虫類は、好まれてない。しかし、
3) ニホントカゲ Plestiodon japonicus
彼らは自然の豊かさの象徴。その生存には、餌となる
構内の石段やコンクリートブロックの間に棲む。日
多種多様な生物が生息する環境が必要不可欠である。
中は、餌を求め賑やかしい学生たちの足下をせわし
今回は、キャンパス内の豊かな自然に支えられてい
なく走り回る。危険が迫ると鮮やかな青い尾を振り、
る爬虫類と両生類を紹介する。これらは近年数を減
敵の攻撃を自切により回避する。メスは 6 月頃に卵を
らした生物であり、アオダイショウとニホンマムシ
産み、孵化までの 1 ヶ月間、巣穴にこもり卵を守る。
を除けば、いずれも静岡県のレッドデータにおいて
この仲間に地味な色をしたニホンカナヘビもいるが、
要注目種に位置付けられている。
科階級から異なる別種。
1) アオダイショウ Elaphe climacophora
(Boie, 1826)
4) ニホンヤモリ Gekko japonicus
(Peters, 1864)
(Duméril et Bibron, 1836)
最近、マムシの出現が騒がれているが、本種は度々
夏、虫が集まる電灯には、最近では見かけなくなっ
それに見間違えられる。全長 2m にまで成長する大型
たヤモリも現れる。害虫を補食するため有益とされ、
のヘビ。無毒で大人しいが、強く握ると咬み付かれる。 「家守(守宮)」と漢字が当てられる。指の裏にある
小鳥や小型の哺乳類まで、飲み込める生物は何でも
鱗を使い、垂直な壁やガラス窓を登ることができる。
捕食する。風通しの良い環境を好み、昼間に道路沿
時折、教育学部附属のビオトープの小屋で見かける。
いに繁るスダジイやシラカシなどの樹上で見かける。
ここの池では良く似た名前のニホンイモリ(アカハラ
2) ニホンマムシ Gloydius blomhoffii
イモリ)も見かけるが、これは似ていて非なるもの(両
(Boie, 1826)
毒ヘビ。構内の竹林を中心に、湿度が高く湿った
生類)。
林床に好んで棲む。神経質なヘビで、賑やかしい場
5) アズマヒキガエル Bufo japonicus formosus Boulenger, 1883
所に現れることは稀。卵胎生で、晩夏に 5 匹前後の子
拳ほどの大きなカエル。地上棲で、夜になると餌
を求め動き出し、ミミズや虫を捕食
する。日中は、路肩の落ち葉溜まり
の中で夜の訪れをじっと待つ。繁殖
は 2 月から始まり、太いひも状の卵嚢
に包まれた数千個の卵がビオトープ
の池で見られる。
アオダイショウ
ニホントカゲ
ニホンマムシ
ニホンヤモリ
アズマヒキガエル
7
March 2010
Shizuoka University
2009年度キャンパスミュージアム活動報告
ワーキンググループ
展示室の公開 今年度は、6 月 12 日(金)より大学会
士山の科学」を、11 月 21 日に展示会場にてミュージ
館で特別展を行うため、通常開館は 5 月 28 日(水)ま
アムトークを、それぞれ開催した。
でとなった。その間の一般公開は、授業期間中の火曜
日と木曜日の 3 時間(12:00 ∼ 15:00)で、一般公開日は、
大学博物館等協議会 5 月 21・22 日、鹿児島大学にお
22 日間であった。また、一般公開日とは別に、
春のフェ
いて第 12 回大学博物館等協議会総会(第 4 回博物科
スティバル期間中(5/9・10)に 2 日間の特別公開(10:00
学会)が開催された。同総会には、金子 淳・キャン
∼ 16:00)を行った。このほか、公開日以外の来訪者
パスミュージアム WG 長(生涯学習教育研究センター
に対しては、生涯学習教育研究センターの協力を得
准教授)が出席した。
て随時公開を行った。通常開館中の来館者数は 388 人
学術資料の登録 以下の標本を新たに登録した。
であった。
・モンユスリカの仲間(和名未定)
特別展「静岡大学のあゆみと教育・研究の現在」
静
Bilyjomyia fontana Niitsuma & Watson, 2009
岡大学創立 60 周年を記念して、大学会館 2 階におい
SUM-IC-T0254 正基準標本(1 点):雄成虫と幼虫・
て開催した。会期および期間中の来場者数は下記の
蛹の脱皮殻
とおり。
SUM-IC-T0255 − T0284 副基準標本(30 点):3 個体
・会期:6 月 12 日(金)∼ 2010 年 2 月 19 日(金)の
平日(月∼金曜日)10:00 ∼ 16:00(163 日
間)※夏季一斉休業期間(8/13・14)、年末
の雄成虫と蛹・幼虫の脱皮殻、5 個体の雌成虫と蛹・
幼虫の脱皮殻、4 個体の蛹、18 個体の幼虫
・ミヤガセコジロユスリカ
年始(12/21 ∼ 1/10)、
大学入学試験日(1/16・
Larsia miyagasensis Niitsuma, 2001
17) は 休 館。 オ ー プ ン キ ャ ン パ ス(8/1・
SUM-IC-T0285 正基準標本(1 点):雄成虫と蛹の脱
2)、静大祭開催中及び翌週の土日(11/21・
皮殻
22・28・29)、11/23(月・祝)、12/5(土)、
SUM-IC-T0286 − T0307 副基準標本(22 点):7 個体
12/12(土)は開館。
の雄成虫と蛹・幼虫の脱皮殻、5 個体の雌成虫と蛹・
・来場者数:908 人
幼虫の脱皮殻、10 個体の幼虫
企画展「富士山展 富士山の過去と現在と未来」
特
実習室の利用 本年度は、新入生セミナーや博物館
別展会場の一部を使って開催した。会期および期間
学芸員関係の授業、フィールドワーク関係の授業な
中の来場者数は下記のとおり。
どにおいて活用された。
・ 会 期:11 月 13 日( 金 ) ∼ 2010 年 2 月 19 日( 金 )
の平日(月∼金曜日)10:00 ∼ 16:00(60 日間)
・来場者数:1,546 人
ホームページの更新 地域連携協働センターのホー
ムページ開設にあわせ、URL の変更を伴う大幅なリ
なお、会期中の催しとして、11 月 28 日(土)に静
ニューアルを行った。URL は下記のとおり。
岡市産学交流センター(B-nest)大会議室で講演会「富
http://www.shizuoka.ac.jp/chiiki/c_museum/
■発 行 日
■発 行
■編集担当
■連 絡 先
■印 刷
8
2010年3月14日
静岡大学キャンパスミュージアム
金子 淳(生涯学習教育研究センター)
〒422-8529 静岡市駿河区大谷836 静岡大学学術情報部研究協力・情報チーム
☎054-238-4264 FAX 054-238-4312
株式会社エスケイピー