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多変量派生資産の評価:
コピュラと共単調和によるアプローチ
こ ぐれあつゆき
小暮厚之
要 旨
多変量派生資産とは、将来のペイオフが複数の原資産に依存している派生
資産を指す。このような多変量派生資産を評価するためには、多変量リスク
中立分布を規定する必要がある。もしも多変量派生資産が市場において頻繁
に取引されていれば、その市場価格から多変量派生リスク中立分布を抽出す
ることが可能であろう。しかし、新たに多変量派生資産が市場に導入される
場合や、既に導入されていたとしても流動性が低い場合には、市場価格から
多変量リスク中立分布を完全に決定することは困難である。ただし、そのよ
うな場合でも、多変量派生資産を構成する各個別資産は市場で広く取引され
ている場合が通常であり、少なくとも各資産の個別リスク中立周辺分布を規
定することは可能であろう。
本稿では、個別リスク中立分布が既に規定されているという条件のもとで、
いかに多変量派生資産を評価すべきかという問題を考える。よく知られてい
るように、多変量リスク中立分布は、個別リスク中立分布とリスク中立コピュ
ラ関数に分解できる。リスク中立コピュラをモデリングする手法として、個別
ディストーションと同時ディストーションを考察する。また、最近の保険リ
スク理論の成果である共単調性という考え方を適用して、リスク中立コピュ
ラを規定することなく多変量資産を評価するアプローチを試みる。日経225お
よびS&P500株価に対する適用を通じて、その実用性を検討する。
キーワード:多変量派生証券、コピュラ、レインボー・オプション、共単調和、
アジアン・オプション
本稿は、筆者が日本銀行金融研究所客員研究員の期間に行った研究をまとめたものである。同研究所
企画役の家田明氏(現在は日本銀行金融機構局)から有益な助言を頂いた。また、本稿の作成に当た
り、同研究所客員研究生の長谷川智弘氏(現在は三菱UFJ証券)より計算補助を受けた。ここに記し
て感謝する。ただし本稿に示されている意見は、筆者個人に属し、日本銀行の公式見解を示すもので
はない。
小暮厚之 慶應義塾大学総合政策学部教授(E-mail: kogure@sfc.keio.ac.jp)
日本銀行金融研究所/金融研究 /2007.11
無断での転載・複製はご遠慮下さい。
1
1.はじめに
多変量派生資産とは、将来のペイオフが複数の原資産に依存している派生資産
を指す。例えば、バスケット・オプションは、複数の資産のポートフォリオ(バ
スケット)を原資産とするオプションである。レインボー・オプションは、複数
の原資産の最大値あるいは最小値を対象とするオプションである。また、アジア
ン・オプションは、同一ではあるが異時点間の株価の算術平均を対象とするオプ
ションであり、多変量派生資産の範疇に入る。
このような多変量派生資産を評価するためには、多変量リスク中立分布を規定
する必要がある。もしも多変量派生資産が市場において頻繁に取引されていれば、
その市場価格から多変量派生リスク中立分布を抽出することが可能であろう。し
かし、新たに多変量派生資産が市場に導入される場合や、既に導入されていたと
しても流動性が低い場合には、市場価格から多変量リスク中立分布を完全に決定
することは困難である。ただし、そのような場合でも、多変量派生資産を構成す
る各個別資産は市場で広く取引されている場合が通常であり、少なくとも各資産
の個別リスク中立周辺分布を規定することは可能であろう。本稿では、個別リス
ク中立分布が既に規定されているという条件のもとで、いかに多変量派生資産を
評価すべきかという問題を考える。
よく知られているように、多変量リスク中立分布は、個別リスク中立分布とリ
スク中立コピュラに分解できる。リスク中立コピュラをモデリングする手法とし
て、個別ディストーションと同時ディストーションを考察する。また、共単調性
の理論を用いて、リスク中立コピュラを規定することなく多変量資産を評価する
アプローチを試みる。
2.リスク中立化法
いまm 個の資産があるとし、それらの満期 T 年における価格をX1, X2 ,⋅⋅⋅, Xmとする。
満期におけるヨーロッパ型多変量資産のペイオフを、
H ( X1, X2 ,⋅⋅⋅, Xm) ,
とする。例えば、バスケット・コール・オプションであれば、
H ( X1, X2 ,⋅⋅⋅, Xm) = (X1+ X2+ ⋅⋅⋅ +Xm− K ) + ,
となる。ここで、+は正値部分を表す。また、レインボー・オプションであれば、
H ( X1, X2 ,⋅⋅⋅, Xm) = (max (X1, X2 ,⋅⋅⋅, Xm ) − K ) + ,
という形のペイオフとなる。以下では、リスク・フリー・レートが存在するもの
とし、その値をrとする。このとき、多変量資産の理論価格は
2
金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
e − rT E∗ [ H ( X1, X2 ,⋅⋅⋅,Xm ) ] = e − rT ∫ H ( x1, x2 ,⋅⋅⋅, xm ) dF ∗ ( x1, x2 ,⋅⋅⋅, xm ) ,
と表せる。ここで、F ∗ は X1, X2,⋅⋅⋅, Xmの同時リスク中立分布1、E ∗は F ∗に関する期
待値演算を表す。同時分布 F ∗ は、
F ∗(x1, x2 ,⋅⋅⋅, xm) = C ∗( F ∗X1 (x 1), F ∗X2 (x 2),⋅⋅⋅, F ∗X m(xm)) ,
(1)
のように、周辺分布 F ∗X j とコピュラC ∗に分解できる2。各Xj の個別市場が十分に流動
的であるとすれば、既存の手法によって、市場に存在する資産の市場価格から対応
するXj のリスク中立確率分布 F ∗X j を抽出することができる3。したがって、多変量派
生資産の評価の大きな課題は、コピュラC ∗をいかにモデリングするかという点に
ある。
3.リスク中立コピュラのモデリング
Wang[2005]は、多変量リスク評価のモデリングとして、単一変量のリスク評
価であるディストーション変換 4の考え方を拡張して、「個別ディストーション」
(individual distortion)と「同時ディストーション」(joint distortion)という2つのア
プローチを提案している。以下では、説明の簡便化のために、2変量(m = 2)の場
合について2つのアプローチを考察する。
(1)個別ディスト−ション
観察確率測度におけるX1とX2の分布関数F は、
(1)式と同様に、
F (x1, x2) = C ( F X1(x 1), F X2(x 2)) ,
(2)
のように周辺分布 FX 1、FX 2とコピュラC に分解できる。
個別ディストーションでは、リスク中立コピュラC ∗は観察確率測度のコピュラC
に等しいとモデル化する。
Rosenberg[2003]では、かなり一般的な条件のもとで C = C ∗が成立するとの主張
が述べられている。そのような、個別ディストーションが成立する例を述べよう。
1 より正確に言えば、各資産の現在価格を条件とした条件付同時リスク分布である。
2 コピュラについては、戸坂・吉羽[2005]、Embrechts, McNeil, and Straumann[2001]、Frees and Valdez
[1998]等を参照されたい。また、本稿に必要な知識を補論1にまとめてある。
3 Mandler[2002]では、多様な抽出手法が述べられている。
4 いわゆるWang変換(Wang[2000])はその代表的な例である。
3
例1:アジアン・オプション
時点0の株価(既知)をs、1年後の株価をX1、2年後の株価をX2とするとき、満期
時点T = 2年において
(
X1 + X2
−K
2
)
+
,
を支払うアジアン・コール・オプションを考える。ブラック=ショールズ・モデル
では、X1とX2 は一定の␮ 、␴ を用いて、
X1= s exp {␮ +␴Z1}, X2 = X1 exp {␮ +␴Z2} = s exp {2␮ +␴ ( Z1+ Z2)},
とモデル化される5。ここで、Z1とZ2は互いに独立な標準正規分布に従う確率変数
である。このとき、X1とX2 の周辺分布は
FX1( x1) = Φ (( log (x 1/s ) −␮ )/␴) ,
F X2( x2) = Φ (( log (x 2/s ) −2␮ )/ √ 2␴) ,
となる。ここで、Φは標準正規分布の分布関数を表す。また、X1とX2のコピュラは
C ( u, v) = Φ 2 (Φ −1(u) , Φ −1(v) |1/ √ 2 ) ,
となる。ここで、Φ2 ( . , . | ␳) は相関係数が␳ の標準2変量正規分布関数を表す。ブ
ラック=ショールズ・モデルでは、リスク中立分布の周辺分布は
FX∗1 ( x1 ) = Φ
(
log (x1 / s ) − ␮ ∗1
␴
)
,
FX∗2 ( x2 ) = Φ
(
log ( x2 / s ) − ␮ 2∗
2␴
)
,
コピュラは
C ∗( u, v) = Φ 2 (Φ −1(u) , Φ −1(v) | ␳ ∗ ) ,
とモデル化される。ここで、␮ ∗1, ␮ ∗2 , ␳ ∗は無裁定性条件
E ∗[e−r X1] = s ,
E ∗[e−2r X2] = s ,
E ∗[e−r X2 | X1= x 1] = x 1,
を満たすように定められる。ここで、E ∗はリスク中立分布に関する期待値を表す。
その結果
5 標準的には、X1= s exp{␮ − ␴ 2/2+ ␴Z1}、X2 = X1 exp{␮ − ␴ 2/2+ ␴Z2}と表現するかもしれない。本稿では、説
明の便宜上、␮ − ␴ 2/2を単一のパラメータとして、このように表現している。
4
金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
␮ ∗1 = ␮ ∗2 = r − ␴ 2 / 2,
2 ,
␳ ∗ = 1 /√
が成立し、C = C ∗となる。すなわち、アジアン・オプションの場合は、個別ディス
トーションが成立している。この直感的な理由は、アジアン・オプションのペイオ
フは確かに2変量に依存するが、基礎証券は単一だからである。
次の例は、個別ディストーションが成立しない場合である。
例2:バスケット・オプション
満期時点 T = 1 年の株式1の価格をX1、株式2の株価をX2とするとき、満期時点1に
おいて
(
X1 + X2
−K
2
)
+
,
を支払うバスケット・コール・オプションを考える。時点0におけるそれぞれの株
価をs1, s2とすると、ブラック=ショールズ・モデルでは
X1 = s 1 exp {␮1 +␴1Z1},
X2 = s 2 exp {␮2 +␴ 2 Z2},
であり、Z1とZ 2 は相関係数が ␳ である2変量標準正規分布に従う。このとき、X1と
X2の周辺分布は
FX1 ( x1 ) = Φ
(
log (x1 / s1 ) − ␮ 1
␴1
)
FX2 ( x2 ) = Φ
(
log (x2 / s2 ) − ␮ 2
,
␴2
∗
, FX2 ( x2 ) = Φ
(
log (x2 / s2 ) −␮ 2∗
,
)
となり、コピュラは
C ( u, v) = Φ 2 (Φ −1(u) , Φ −1(v) | ␳ ),
となる。リスク中立分布は
F ∗X1 ( x1 ) = Φ
(
)
log ( x1 / s1 ) − ␮ ∗1
␴1
␴2
)
,
および
C ∗( u, v) = Φ 2 (Φ −1(u) , Φ −1(v) |␳ ∗ ),
とモデル化される。この場合、無裁定性条件
E ∗[ X1] = s 1e r ,
E ∗[X2 ] = s 2e r ,
から
␮ ∗1 = r − ␴ 1 / 2,
2
␮ ∗2 = r − ␴ 2 / 2,
2
が成立するが、␳ ∗の値は定まらない。すなわち、個別資産の価格だけからでは、バ
5
スケット・オプションのコピュラは定まらない。この直感的な理由は、バスケッ
ト・オプションはアジアン・オプションと同一のペイオフの表現を持つが、アジア
ン・オプションとは異なり、その基礎証券は単一ではないからである6。この場合
には、個別ディストーションはリスク中立コピュラを特定化する 1つの手法である。
(2)同時ディストーション
同時ディストーションによるリスク中立コピュラのモデリングは、コピュラ密度
関数によって表現できる。m = 2の場合に、(1)の両辺をx1とx2に関して偏微分する
と、2変量リスク中立密度関数
f ∗(x1, x2) = f ∗X1(x 1) f ∗X2 (x 2) c ∗(F ∗X1(x 1), F ∗X2(x 2)) ,
(3)
が得られる。ここで、f ∗X 1、 f ∗X 2は、F ∗1とF ∗2の密度関数であり、c∗ は C ∗の密度関数
c ∗ (u, v ) ≡ ∂
∂u
∂
C ∗ (u, v ) ,
∂v
である。同様にして、(2)式より、観察確率測度の2変量密度関数は
f (x1, x2) = f X1(x 1) f X2 (x 2) c (F X1(x 1), F X2(x 2)) ,
(4)
と表現できる。ここで、 f X1、f X2、c は、それぞれF1、F2、C の密度関数である。
同時ディストーションによるリスク中立密度関数は、
(3)式において
c∗(F ∗X1(x 1), F ∗X2(x 2)) = c (F X1(x 1), F X2(x 2)) ,
(5)
と仮定することによって、
f ∗(x1, x2) = f ∗X 1(x 1) f ∗X 2 (x 2) c (F X 1(x 1), F X 2 (x 2)) ,
(6)
と与えられる。
(3)同時ディストーションとプライシング・カーネル
同時ディストーションは、プライシング・カーネルによって理解できる。各Xjの
6 2変量派生資産(例えば、満期のペイオフがX1X 2である資産)の市場価格が既知であれば、それに基づい
て␳∗の値を導くことは可能である。本稿では、そのような多変量派生資産は市場に導入されていないと想
定している。
6
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多変量派生資産の評価
プライシング・カーネルは
MX j ( x ) ≡
f X∗j (x )
f X j (x )
,
j = 1, 2 ,
と定義される。このとき、各Xjの個別のリスク中立密度は
f ∗Xj (xj) = M Xj (xj) f Xj (x j) ,
と表される。同様に、2変量プライシング・カーネルは
M (x1, x2) ≡
f ∗ (x1, x2)
f (x1, x2)
,
と定義され、2変量リスク中立密度は
f ∗(x1, x2) = M (x1, x2) f (x1, x2) ,
と表現できる。
(3)
、
(4)式より、2変量プライシング・カーネルは
M (x1, x2) = MX1 (x1)MX2 (x2)
c ∗(F ∗X1 ( x1 ) , F ∗X2 ( x2 ))
,
c ( FX1 ( x1 ) , F X2 ( x2 ) )
と表現できる。したがって、
(5)式は
M (x1, x2) = MX1(x1) MX2(x2) ,
と同値である。すなわち、同時ディストーションによるリスク中立コピュラのモデ
リングとは、2変量プライシング・カーネルとして個別プライシング・カーネルの
積を採用していることと同値である。
4.多変量派生証券評価モデルの推定
本節では、周辺リスク中立分布が与えられているときに、個別資産の市場価格か
ら個別ディストーションと同時ディストーションによって、多変量派生資産の理論
価格を推定する手法を考察する。
(1)個別ディストーションによる評価
個別ディストーション・モデルによる評価を行うために以下の定理を用いる。
7
定理1
(X1, X2) ∼ F X1, X2(x1, x2) = C(F X1(x 1), F X2(x 2))とするとき、
(F X−1∗1 (F X1(X1)), F X−1∗2 (F X2(X2))) ∼ C (F X ∗1 (x 1), FX ∗2 (x 2)) ,
が成立する。
すなわち、(F X ∗ (F X1(X1)), F X−1∗2 (F X2(X2))) は、周辺分布がリスク中立確率のそれに
−1
1
一致し、コピュラが観測確率のそれに一致する。この定理の証明は補論2に述べる。
この定理1から、C = C ∗のとき
−1
−1
E ∗[H( X1, X2)] = E [H(F X ∗1 (F X1(X1)), F X ∗2 (F X2(X2)))] ,
(7)
となる。この結果を利用して、個別ディストーションによる多変量派生資産の評価
を行うことができる。
いま具体的な例として、2つの資産の粗収益率の最小値を原資産とするレイン
ボー・オプションの評価を考えよう。2つの資産の時点0における価格をs1, s2、時
点T における価格をX1, X2と書くとき、そのようなレインボー・オプションの満期
時点 T におけるペイオフは
( (
H ( X1 , X2 ) = 100 min
X 1 − s1
X 2 − s2
,
s1
s2
))
+
,
と与えられる。Rj ≡ Xj /sj ( j = 1, 2 )とおくとき、このペイオフは
H( X1, X2) = 100 (min (R1 , R2) − 1)+ ≡ K ( R1 , R2) ,
と書き換えられ、(7)式より、理論価格は
−1
−1
H 0I = e−r T E ∗[K ( R1 , R2)] = e−r T E [K ( F R ∗1 (F R1 (R1)), F R ∗2 (F R2 (R2)))],
(8)
と表現できる。ここで、FRj はRjの分布関数、FR ∗j は Rj のリスク中立分布関数である。
いま、観測のスタート時点をt 0 として、時点 t = t 0 , t 0 + T, t 0 + 2T ,⋅⋅⋅, t0 + nT におけ
る2つの資産の価格の観測値を X1t , X2t ( t = 1, 2 ,⋅⋅⋅, n)とするとき、
Rjt ≡
Xjt
Xj , t −1
j =1, 2; t = 1, 2,⋅⋅⋅, n ,
,
は粗収益率データである。この粗収益率データ{(R1t , R2t )}が、2変量時系列データ
として定常であるという仮定のもとで、現時点における派生証券の現在価値(8)は
∧
H 0I = e − rT n1
8
金融研究 /2007.11
n
∧
∧
∧
∧
⌺ K ( F R−1 ( FR ( R1t)) , F R−1 ( FR ( R2t))) ,
t= 1
*
1
1
*
2
2
(9)
多変量派生資産の評価
∧
∧
によって推定できる。ここで、 FRj , FR∗j は、それぞれFRj, FR∗j の推定量である7。
(2)同時ディストーション・モデルによる評価
同時ディストーション・モデルの場合は、ペイオフがH (X1, X2 ) で与えられる派
生証券の現在価値は
H 0J = e−r T E [MX1(X1)MX2(X2)H ( X1, X2 ) ] ,
と表現できる。前節で取り上げたレインボー・オプションの場合には、
H 0J = e−r T E [MR1(R1)MR2(R2)K ( R1, R2 ) ] ,
(10)
となる。ここで、MR j はRj のプライシング・カーネルであり、
MR j (r ) =
dFR∗j (r )
dFRj (r )
,
によって定義される。このとき、現時点における派生証券の現在価値(10)は
∧
H 0J = e − rT n1
n
∧
∧
⌺ MR ( R1t) MR ( R2t) K ( R1t , R2t) ,
t= 1
1
2
(11)
∧
によって推定できる。ここで、 MR j は、MR j の推定量である。
5.周辺リスク中立分布の抽出とレインボー・オプション評価
への応用
4節で提案した手法に基づいて、日経225 とS&P500の2つの株価指数を原資産と
するレインボー・オプションの評価を考察する。ここでは、2つの資産として
X1 = 日経225株価指数、X2 = S&P500株価指数
を取り上げる。また満期までの期間 T を1ヵ月とする。2000年1月から2004年12月ま
での期間の粗収益率の基本統計量は表1に掲げるとおりであり、その2変量密度関数
は図1のように推定される。
7 この推定法は、Rosenberg[2003]で推定された手法と異なり、密度関数の推定を必要としない。密度関数
のノンパラメトリック推定は、平滑化パラメータの選択という困難な問題を抱えており、しばしば不安定
な推定結果をもたらす。したがって、われわれの推定法の方がよりロバストな推定を与えると考えられる。
9
表1
粗収益率の基本統計量
平均
標準偏差
相関係数
0.4908
日経 225
0.9906
0.0551
S&P500
0.9966
0.0455
図1
2つの粗収益率の密度関数の推定値
密
度
日
経
00
P5
S&
22
5
(1)周辺リスク中立分布の抽出
Mandler[2002]5.2節に従って、資産価格のリスク中立分布が混合対数正規分布
に従うと想定してリスク中立分布を抽出する。時点0における資産価格を sとすると
き、満期時点Tの資産価格Xのリスク中立密度関数は
f X∗ ( x | s) =
1
x
k
⌺ ␪j
j= 1
(
log ( x / s ) − ␮ j
1
␾
␴j
␴j
)
,
x>0,
(12)
と与えられる。ここで、␾ ( . )は標準正規分布の密度関数であり、␪j , ␮j , ␴j のパラ
メータであり
k
⌺ ␪j = 1 ,
j= 1
␪j > 0 ,
␴j > 0 ,
という制約条件を満たすものとする。これらのパラメータをまとめて
10
金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
η = (␪1,⋅⋅⋅,␪k , ␮1,⋅⋅⋅,␮k , ␴1,⋅⋅⋅,␴k ) ,
∼
と書く。このリスク中立密度(12)に基づく先物理論価格 F(s |␩ )、コール・オプショ
∼
∼
ン理論価格C (K, s, r |␩ )、プット・オプション理論価格 P (K, s, r |␩ )はそれぞれ
)
(
k
∼
1 2
F ( s |␩ ) = ⌺ ␪ j exp ␮ j + log s +
␴ ,
2 j
j= 1
∼
C ( K , s , r | ␩ ) = e − rT
k
⌺ ␪j
j= 1
(
−KΦ
∼
P ( K , s , r | ␩ ) = e − rT
[
(
exp ␮ j + log s +
− log (K / s) + ␮ j
␴j
k
[
+KΦ
(
(
log (K / s) − ␮ j
␴j
)
log (K /s ) − ␮ j − ␴ 2j
1 2
␴j Φ
2
␴j
)
) (
)] ,
⌺ ␪ j − exp ␮ j + log s +
j= 1
− log (K /s ) + ␮ j + ␴ 2j
1 2
␴j Φ
␴j
2
) (
)] ,
と表される。ここでK は権利行使価格であり、r はリスク・フリー・レートである。
時点 t における株価をst 、リスク・フリー・レートをrt 、i 番目の権利行使価格を
Kitと記す。時点 t における満期が T の先物価格の実際の値をF ( st )、満期が T、権利
行 使 価 格 が K itの コ ー ル ・ オ プ シ ョ ン と プ ッ ト ・ オ プ シ ョ ン の 実 際 の 値 を
C (Kit , st , rt )、P(Kit , st , rt )とするとき、␩ を
∼
∼
(C ( K it , st , rt ) − C ( K it , st , rt | η )) + ⌺ (P ( K it , st , rt ) − P ( K it , st , rt | ␩ ))
⌺
i, t
i, t
2
∼
+ ⌺ (F ( st ) − F ( st | ␩ )) 2 ,
2
(13)
i, t
を最小化して求める8。
本稿では、混合分布の個数 kの値は k = 3 として推定を行った。日経225オプショ
ンおよびS&P500オプションの価格は、2004年12月、2005年3月、6月、9月限月のオ
プションのうち、清算日から4週間前の日のプットとコールの価格を用いている。
それぞれの日付については以下の表2、3に示す。
各日付において、日経225オプションでは500円刻みに、S&P500オプションでは5
ドル刻みに権利行使価格が存在する。ここではその全ての権利行使価格についての
オプション価格を用いるのではなく、流動性の低いものは除外した。除外の基準は、
8(13)式において、取引量などに応じて各項に重みをつけた最小化を行うことで、より効率的な推定が可能
かもしれない。
11
Rosenberg[2003]にならい「1日の取引が5件未満のものを除外」とした。そして、
先物価格、現物価格、オプション価格採集日と同日のものを用いた。また無リスク
金利は、オプション価格採集日と同日の1ヵ月物ユーロ円TIBORおよびドルLIBOR
を用いた。各パラメータの推定値は表4のとおりである。対応する粗収益率の確率
密度は図2 の点線で描かれている。
表2 日経225 オプション価格の採集日
限月
2004年12月
05年3月
05年6月
05年9月
(清算日)
(12月10日)
(3月11日)
(6月10日)
(9月9日)
4週間前
11月12日
2月10日
5月13日
8月12日
表3 S&P500 オプション価格の採集日
限月
2004年12月
05年3月
05年6月
05年9月
(清算日)
(12月18日)
(3月19日)
(6月18日)
(9月17日)
4週間前
11月19日
2月18日
5月20日
8月19日
表4
混合対数正規モデルのパラメータ推定値
␮2
␮1
␪2
␪1
␮3
␴1
␴3
␴2
日経225
0.6820
0.3123
0.0051
−0.0156
0.0585
0.0306
0.0517
0.1136
S&P500
0.6272
0.1601
0.0102
0.0329
−0.0506
0.0084
0.0316
0.0008
図2
粗収益率のリスク中立密度と観測密度
日経225
S&P500
観測
リスク中立
6
15
観測
リスク中立
5
10
4
密
度3
密
度
5
2
1
0
0
0.8
0.9
1.0
1.1
Yt
12
金融研究 /2007.11
1.2
1.3
0.94 0.96 0.98 1.00 1.02 1.04 1.06
Yt
多変量派生資産の評価
(2)レインボー・オプション評価への応用
まず、
(9)式を用いて個別ディストーションによる理論価格の推定値を算出した。
FR∗j の推定値は、前節の混合対数正規モデルを用いた。また、FRj の推定値は、経験
分布関数
∧
F R j ( x ) ≡ n1
n
⌺ I ( R jt ≤ x ) ,
t= 1
j = 1,2 ,
である。ここで、I (A)は指示関数であり、Aが真ならば1、偽ならば0をとる関数を
表す。このとき
∧
F R j (Rju ) =
Rju 以下の観測値の個数
, u =1, 2,⋅⋅⋅, n ,
n
∧
となる。その結果、H 01 = 0.6468と算出された。比較のために、観測確率に関する値
を計算したところ、0.9643と算出された。個別ディストーションによる評価の方が
値が小さく、リスク中立確率と観測確率の差異が的確に反映されていると考えられ
る。Resenberg[2003]のアプローチは、密度関数のノンパラメトリック推定に基
づいており、密度関数推定に特有な推定上の不安定さや計算の非効率性を抱えてい
る。本アプローチを用いることによって、そのような問題を克服し、より信頼でき
る評価が可能となると考えられる。
次に、(11)式に基づいて、同時ディストーションによるオプション理論価格の
推定値を算出した。MR j (r) は
∧
∧
MR j (r ) =
f R∗j (r )
f Rj (r )
,
j =1, 2 ,
(14)
∧
によって推定した。ここで、 fR∗j は前節で求めた混合正規分布による密度関数であ
∧
り、f R j は正規カーネル密度関数推定値
∧
1
f R j (r ) = n
n
⌺
t= 1
1 ␾
h
(
r − R jt
h
),
j = 1,2 ,
(15)
である。ここで、hはバンド幅と呼ばれる平滑化パラメータであり、Sheathers and
∧
Jones 法により定めた9。その結果、同時ディストーションでは、H 0J = 213.8177と推
定された。このような非現実的な推定値が算出された理由として、図3にあるよう
に、日経225およびS&P500のプライシング・カーネルが、右端の方で大きく歪ん
でいる(極端に大きな値をとる)ことが指摘できるかもしれない。これは、(14)
式の分母を構成する(15)が、分布の裾において、密度関数推定に特有な不安定性
9 Sheathers and Jones法については、例えば Wand and Jones[1995]3.6.2節を参照されたい。
13
図3
プ
ラ
イ
シ
ン
グ
・
カ
ー
ネ
ル
粗収益率のプライシング・カーネル
日経225
S&P500
5
5
プ
ラ
イ
シ
ン
グ
・
カ
ー
ネ
ル
4
3
2
1
4
3
2
1
0
0
0.96
0.98
1.00
Yt
1.02
1.04
0.96
0.98
1.00
Yt
1.02
1.04
をもたらすことに起因するのかもしれない。それに対して、プライシング・カーネ
ルを(直接は)推定しない、個別ディストーションの方が安定的な結果を与えてい
ると推察できる。
6.アジアン・オプションの評価:共単調和アプローチ
リスク中立コピュラが未知であるときのより安全なアプローチとして、理論価格
の上限を求めるアプローチが考えられる。一般に、コピュラには、いかなるコピュ
ラも
max ( u1+ u2 − 1, 0) ≤ C ( u1, u2 ) ≤ min ( u1, u2 ) ,
という関係(Frechet-Hoeffdingの不等式)が成立し、これを用いて、コピュラのモ
デリングを規定することなく、例えばレインボー・オプションの理論価格式の上限
を求めることができる(Cherubuni and Luciano[2002])
。
Dhaene, Denuit, Goovaerts, Kaas, and Vyncke[2002b]では、アジアン・オプショ
ンの評価に対して、共単調性の理論を展開し、共単調和によってモンテカルロ法で
得られる近似解に非常に近い上限が得られることを明らかにした。本節では、この
共単調和の考え方を説明し、それを日経225株価に応用する。
14
金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
(1)共単調和
まず、共単調和について説明する10。任意のm個の確率変数 {Xi}の和
m
S ≡ ⌺ Xi ,
i= 1
を考える。Uを[0, 1]上の一様確率変数とするとき、
m
S c ≡ ⌺ F −1
Xi ( U ) ,
i= 1
をSの共単調和という。このとき、任意の定数dに対して
E [(S − d)+] ≤ E [(S c − d)+] ,
(16)
であることが示される。S が株価であれば、左辺は権利行使価格が d のコール・オ
プションの期待値を表し、この不等式は、コール・オプションの期待値が共単調和
を対象とするコール・オプションの期待値によって抑えられることを意味する。
共単調和の定義から、右辺の期待値は周辺分布だけから計算できるはずである。
実際
m
E [(S c − d ) + ] = ⌺ E [(Xi − di ) + ] ,
(17)
i= 1
が成立する。ここで、各di は
−1
di = F Xi ( FS c ( d)) ,
によって与えられる。XiをS を構成する個別銘柄の株価とみなせば、(17)式の右辺
はXi に対する原資産とする権利行使価格がdiのオプションの期待値の和である。こ
こで、FS c は
m
FS c (u ) ≡ ⌺ F Xi (u ) , 0 < u < 1 ,
i= 1
によって求めることができる。
(2)アジアン・オプション
時点tの株価をA ( t ) とするとき、満期時点 T におけるヨーロッパ型の算術平均ア
ジアン・コール・オプションのペイオフは、その行使価格をK とするとき、
−
(A − K ) + ,
10 共単調性の詳細については、Dhaene, Denuit, Goovaerts, Kaas, and Vyncke[2002a, 2002b]、小暮[2005]を
参照されたい。
15
−
と与えられる。ここで、A は、時点
T − ( m − 1) ␦ ,⋅⋅⋅, T − ␦ , T ,
における各株価 A (T − i ␦ ) の算術平均
− 1
A≡ m
m
⌺ A (T − ( i −1) ␦ ) ,
i= 1
である。ただし、T − (m − 1) ␦ > 0とする。リスク中立確率に関する期待値をE ∗とす
ると、時点0 における理論価格は
−
CA(K, T, m) ≡ e−r T E ∗[( A − K )+],
と与えられる。
ブラック=ショールズ・モデルでは、リスク中立確率測度のもとで、株価は幾何
ブラウン運動
dA(t) = rA(t)dt +␴A(t)dW(t) ,
に従うと仮定される。ここで、{W(t), t ≥ 0} は標準ブラウン運動である。このとき、
A ( T − ( i −1) ␦ ) の周辺分布は対数正規分布であり、コピュラはガウシアン・コピュ
−
ラとなる11。この場合、A は非独立な対数正規分布の和の分布に従い、よく知られ
ているように、その分布を解析的に表現することはできない。
m
Xi ≡ A (T − ( i −1) ␦ ) , d = mK , S = ⌺ Xi ,
i= 1
とおけば
CA ( K, T, m) =
e − rT ∗
E [(S − d )+ ] ,
m
と表せる。したがって、共単調和の性質(16)式および(17)式を用いて
− rT
c
CA ( K, T, m) ≤ e
E∗[(S − d )+ ]
m
=
e − rT
m
m
⌺ E∗[ (Xi − di )+ ]
i= 1
m
1
= m
⌺ e − r(i −1) ␦ E∗[ e − r(T − (i −1) ␦ ) (Xi − di ) + ]
i= 1
1
= m
⌺ e − r(i −1) ␦ C (d i , T − (i − 1) ␦ ) ,
i= 1
m
11 ガウシアン・コピュラとは、多変量正規分布のコピュラのことである。
16
金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
表5
アジアン・オプションの評価
満期までの期間
4
3
2
1
i
di
1
2
3
4
9960.94
9974.02
9993.04
10072.00
C (d i )
188.59
142.74
87.29
53.27
となる。ここで、C ( K , ␶ ) は権利行使価格がK 、満期までの期間が ␶ の通常のコー
ル・オプションの現在価値である。この共単調和による上限は、通常のコール・オ
プションを適当な比率で組み合わせることにより、アジアン・オプションをヘッジ
できることを示している。そして、そのような組合せの中で、最小の上限を与え
る最適なヘッジ戦略に一致する(Nielsen and Sandmann[2003])。
(3)日経225 を原資産とするアジアン・オプション
Dhaene, Denuit, Goovaerts, Kaas, and Vyncke[2002b]では、ブラック=ショール
ズ・モデルのもとで、共単調和の理論によってアジアン・オプションの評価を行っ
ている。また、Albrecher[2004]では、株価が指数レビ過程に従うという仮定のも
とで、共単調和を用いた評価を提案している。ここでは、日経平均を例にとり、5
節で推定した混合対数正規モデルに基づく個別リスク中立確率を用いて、アジア
ン・オプションの評価を試みた。
満期までの期間を T = 4週間、間隔を␦ = 1週間とした。したがって、m = 4である。
リスク・フリー・レートは1%(r = 0.01)とした。また、時点0の株価をs = 10,000
とし、権利行使価格がK = 10,000のアジアン・オプションを考えた。このとき
d = mK= 40,000, FS c ( mK ) = FS c ( 40,000) = 0.4568 ,
となり、表5のように計算された。
この結果、CA = 117.95と算出された。この値は、通常のコール・オプションの組
み合わせによって得られる最適な上限であり、実際のアジアン・オプションの評価
をするうえで有用な指針を与えるであろう。
7.結論
本稿では、コピュラを用いて、多変量派生証券の評価を論じてきた。コピュラの
大きな利点は、既知の周辺分布の情報を完全に取り込む形で、多変量リスクのモデ
リングが可能なことである。リスク中立コピュラのモデリングについては、Wang
によって提案された個別ディストーションと同時ディストーションの2つのアプ
ローチを考察した。われわれは、ブラック=ショールズ・モデルが前提とするよ
17
うなパラメトリックな世界を想定せずに、セミ・ノンパラメトリックな観点から周
辺リスクをモデリングした。日経225およびS&P500の2つの株価指数を原資産とす
るレインボー・オプションへの適用結果から、同時ディストーションによる多変量
派生資産の評価には不安定な結果がもたらされることが示唆された。さらに、リス
ク中立コピュラにおけるパラメトリックなモデリングの仮定を外す意味で、共単調
性によるアプローチを試み、日経225を原資産とするアジアン・オプションの評価
を行った。
18
金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
補論1.コピュラ
2変数の場合について考える。コピュラとは、一般に2つの一様確率変数U1とU2
の同時分布関数
C (u1, u2 ) ≡ Pr ( U1 ≤ u1, U2 ≤ u2 ) ,
0 < u1, u2 < 1 ,
のことをいう。コピュラを用いると、X1とX2の同時分布関数は
FX1, X2(x1, x2 ) = C (FX1(x1) , FX2 (x2)) ,
と表せる。したがって、周辺分布が所与ならば、同時分布はコピュラによって完全
に特定化できる。X1とX2が共単調の場合は、コピュラは
C (u1, u2 ) = Pr ( U ≤ u1, U ≤ u2 )
= Pr ( U ≤ min ( u1, u2 )) = min ( u1, u2 ) ,
となる。
いかなるコピュラも
max(u1+u2 − 1, 0) ≤ C ( u1, u2 ) ≤ min ( u1, u2 ) ,
という関係(Frechet-Hoeffdingの不等式)を満たす。コピュラとして共単調性を選
択することは、{U1 ≤ u1} と{U2 ≤ u2} という2つのイベントが同時に起きる確率が最
も大きくなる状況を想定していることになる。
19
補論2.定理1の証明
まず、FX1(X1) , FX2(X2) は、それぞれ一様分布に従うので、FX∗1 (X ∗1) 、FX∗2 (X∗2) の周
辺分布はX ∗1、X ∗2 の周辺分布に一致する。また、
−1
−1
Pr ( F X∗1 (FX1(X1)) ≤ x1, F X∗2(FX2(X2)) ≤ x2)
= Pr ( FX1(X1) ≤ FX∗1 ( x1) , FX2(X2) ≤ FX∗2 ( x2))
−1
= Pr ( X1 ≤ F −1
X1 ( FX∗1 ( x1)) , X2 ≤ F X2( FX∗2 ( x2)))
−1
= C ( FX1(F −1
X1 ( FX∗1 ( x1))) , FX2 ( F X2( FX∗2(x2))))
= C ( FX∗1 ( x1) , FX∗2(x2)),
となる。
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金融研究 /2007.11
多変量派生資産の評価
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