Li(DPM)を原料とするLiz。あるいはLizC。g薄膜の

Li(DPM)を原料とするLi20あるいはLi2CO3薄膜の
減圧MOCVD
鄭
相馬*・今石宣之
Low Pressure MOCVD of Li20 or Li2CO3
thin rnms from Li(DPM)
Sang−Chol Jung and Nobuyuki lmaishi
Low pressure metal organic chemical vapor deposition (LPMOCVD) of Li20 solid thin
films from Li(DPM) in nitrogen−oxygen or argon−oxygen atmosphere is experimentally
investigated by using a small hot wall tubular type reactor. XRD and ESCA analyses revealed that
Li2CO3 film grows in nitrogen−oxygen atmosphere and Li20 grows in argon−oxygen atmosphere.
The grown lithium oxide or carbonate reacts with silicon or silica base materials to produce
silicates. The CVD model analysis by means of the well known micro trench method and Monte
Carlo simulation was not fully successful, but set of data on gas phase reaction rate constant and
surface reaction constant was obtained.
っている。LiNbO3に関連しては既に、その一方の成分で
1.緒言
あるNb205薄膜のNb(DPM)2C13を原料とするLPMOCVD
複酸化物結晶には多くの機能を有するものがあり、エ
レクトロニクス、オプティクスの諸方面で多用されてい
る。そのなかで、リチウムとニオブの複酸化物であるニ
オブ酸リチウム(LiNbO3)は、 SHGなど非線形光学特性、
機構について報告した(9)。本研究では、LiのDPM錯体
(Li(DPM))を原料としたLPMOCVDによる薄膜CvDに
ついての実験結果を報告する。
SAWなど電気音響特性を有する点で今後もオプトエレ
クトロニクスの材料として重要である。デバイスへの応
用を考えるとき、薄膜状の結晶の育成が必要である。複
酸化物薄膜の育成法のうち、比較的低温操作が可能であ
ることからCVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着
法)が注目されている(1)∼(4)。複酸化物薄膜CVDに関して
は、大表面上へ組成・膜厚を高度に制御した育成装置の
設計、操作条件の選定が重要な課題となっている。我々
は、多成分酸化物薄膜の減圧MOCVDの反応解析手法の
開発やCVD装置の反応工学的設計基準の設定に興味を
持ち、既にYSZ(Yttria・Stabilized・Zirconia)等についての解
析を行った(5)、(8)。我々の解析においては、まず最初に各々
の単成分酸化物の薄膜のCVDの反応工学的解析を行い、
それと多成分系のCVD特性とを比較検討する立場をと
2.実験装置・方法
2.1実験装置
本研究において使用した実験装置は、Fig.1にその概略
を示す小型ホットウォール管型CVD反応器である。 反
応管は全長34cmの5ゾーン加熱制御した円管型電気炉
によって加熱されている。反応管内の温度分布の測定結
果をFig.2に示した。ほぼ20cmの均熱部長さを得ている。
原料蒸気は蒸発器からキャリアガスで運ばれ、酸素ガス
および流量調整用のキャリアガスと混合されて反応管へ
と供給される。蒸発器は長さ15cm、内径3.6cmの縦長円
筒型ステンレス容器で、長さ23cm、直径6cmのアルミニ
ウム丸棒にあけた直径37mm、深さ19cmの孔の内部に設
置し、アルミ丸棒の周り全域にヒータを巻き温度を制御
した。流路内の圧力は、絶対圧トランスデェーサ(MKS
社製 バラトロン122A型(0∼1000Torr))を用いて反応管
受理日 1997年4月30日
*LG.半導体(株)
出口において測定した。酸素ガスおよびキャリアガスの
流量はそれぞれマスフローコントローラ(MFC)で制御
第11巻第1号(1997)
九州大学機能物質科学研究所報告
一7一
スケールのトレンチを有するシリコンチップ上にも析出
させた。さらに、基板材料の影響を見るため、石英、シ
リコンの他にアルミナチップも一部使用した。なお、CVD
成膜実験前後の、反応管の昇温・降温期間内の蒸発原料
1 Liq.N2
は下流に設置した液体窒素トラップで、また反応管内で
P.G.
生じた粉末はスミフロンフィルターにより回収し、次式
i ti3/g
Vac.
Reactor
で定義した収率ζにより物質収支を検討した。
Pump
Membrance
ζ=【(膜+液体N2トラップ捕収物+フィルター捕収物)
L Evaporator
中の金属量]/蒸発金属量×100
Li
2.2 実験条件と実験法
MFC
MFC l 1 MFC
N2
CVD成膜実験の実験条件の大要は、反応温度773K∼
1023K、反応器圧0.5∼2KPa、全ガス流量500∼1500sccm、
02
反応器入り口での気相中の酸素組成は50mol%、である。
キャリアガスとしては、大部分の実験においては窒素
Fig.1 Schematics of the hot wall tubular CVD reactor
(N2)を使用したが、一部アルゴン(Ar)を使用し、キャ
リアガス種の影響についても検討した。
約lgの原料(Li(DPM))を蒸発器に充填し、453K程度に
加熱し、同時に反応管の反応温度、流量、圧力を設定し、
o
約1時間その状態を保つ。その後バルブを切り換えて反
Fused
Si Suscepter Silica Tube
x
応管内に原料を流し、約2時間から3時間、細引実験を
行い終了する。Fig.1中の点線で囲んだ部分は、リボンヒ
ータによる保温箇所で、蒸発器より約15K程度高温に設
Gasinlet
[email protected]
定し、原料蒸気の凝縮を防いだ。
2.3 fi莫雪平イ面
得られた薄膜の局所生成速度は前述のように、石英短
管の重量変化測定から算:出した。
90
析出固体薄膜の組成や結晶構造は、XRD、 ESCAを用い
て測定した。ミクロトレンチ上の膜の形状観察にはSEM
1023
g.700
を使用した。なお、ESCAでデップスプロファイルを測
923
定する場合、アルゴンプラズマによるエッチング条件を
873
加速電圧2.OKV、電流30mAとし、エッチング時間10分
島・・
毎に測定した。この操作は、表面から逐次大略0.02μm毎
の面分析を繰り返したことに相当する。
300
o
3.実験結果
rt 20 30
Axial Position [cml
3.1N2キャリアガスによる実験
Fig .2 Details of the reactor tube and temperature
distributions
Li(DPM)を原料とし、 N2をキャリアガスとし、酸化剤
した。排気はロータリポンプ(排気速度31011min)で行
としての02の反応管入り口組成を50mol%とした実験結
い、反応管後方に目開き10μmの多孔質膜(住友電気
果は下記の特性を示した。
工業社製
フロロボアFPIOOO膜)を置き粒子フィルタと3・1・1成肥速度分布 操作圧力を0・66kPaに保って操作温度を
した。原料はトリケミカル社製のLi(DPM)をそのまま使
変化させた場合、管内の成膜速度分布はFig.3に示すよう
用した。原料は反応管内で昇温し反応を経て、管壁に固
に変化した。また、操作圧力を増すと、成膜速度が最大
体薄膜を析出する。全長40cmの石英製反応管(外径19mm、
値を呈する位置は反応玉入り口に近づく傾向を見せた。
内径17㎜)を上記の電気炉内に設置し、その反応管内
これらは、これまでに解析した多くのCVD系において見
に石英短管(外径16.7㎜、内径13mm、長さ20mm)を
られたものと同様な傾向であり、この系でのCVD成膜に
装填し、その内側に膜を析出させた。各々の短管の実験
も、原料が何らかの気相反応を経て活性な中間体に変化
前後の重量変化から局所析出速度を測定した。またμm
第11巻第1号(1997)
九州大学機能物質科学研究所報告
一8一
一クが全く見られないことから、この薄膜はLi20ではな
く、炭酸リチウム(Li2co3)およびシリケ・一・・一ト類(Li4sio4、
Totat Flow rcte 1000 ccTn
Tetal Flow rote 750 ccm
O.1
R日飢正蹴P.973κ
REACT.正MP.1023 K
Li2SiO3)から構成されていることが分かった。Li20が生成
o.o
されない事実は、成膜温度や操作圧に関わらず、N2をキ
ャリアガスとする全ての実験において成立した。この
言。’
Total Fiow rcte 750 ccm
筆α1
REACT.正MP.925 K
e
XRDの結果を確認するためESCAによる;構成化学種のデ
Total Flow rate 750 ccm
REACT.了E繍P.975 K
ップスプロフアイルを測定した。
も0・0
且
う0.O
Lils
OIS
To亀d FIσ騨ro亀0500 c㎝
qEAσr.TEMP.975 K
To匙ol Fb騨rde 750 c㎝
REACT.TEMP. 823 K
O.1
T,Viltr・t?i 一:. .tN”tttt
o.o
Layer
min
1
@O.
5
o.o
10 20 30
O 10 20 30
Axial position [cml
驚黍i箋
Effect of temperature Effect of total flow rate
Pressure: P = O.66 kPa
e? 一
“ .e
542,538,534.5
10
100.
e
A
eA
gAeleA A eg e .sio2substrate
曾 ▲ “、taL ●
15
150
292. 288. 284. 2
dio
Binding Energy (2.OeVldiv)
島
min
o;
5
50:
α5280
Binding Energy (2.OeVldiv)
1
o.
Si substrate
150
Si2
Layer
min
A
P00
15
CIS
e−
? ,eAAAe?
10
70. 60. 50. 40.
Binding Energy (2.OeVldiv}
grown from Li(DPM) in N2−02 50 mo190 gas
P51015
50.
20
Fig.3 Distribution of local growth rate in the reactor tube,
Lay
50
Layer
1
5
10
1
15
15
1
Binding Energy (2.OeV/div)
Fig.5 Narrow range ESCA spectra of the film grown on
一 P 一 AhO3 substrate
silicon substrate from Li(DPM) in N2一一〇2 50mo190
−A 1 一
atmosphere at T=973K, P=O.66kPa, e=750sccm
7,A kAIWAe A・e 7
シリコン基板上に析出した薄膜のESCA測定結果を
Fig5に示す。表面極近傍のグラファイト状カーボン
25 30 35 40 45 50 55
20 (deg)
(Cls:2865eV)と薄膜中の炭酸塩に相当するカーボン
(Cls:292.5eV)のピークが観測される。このカーボン
e:Li2CO3 A:Lithium Silicate 1:A1203
(Cls:2925eV)のピークは表面から内部に行くにした
Fig 4 XRD patterns of the films grown on different substrates
from Li(DPM) in N2−02 50mo190 atmosphere at T =
973K, P = O.66 kPa, e = 750 sccm
がって減衰し、約0.2μmの深さで消滅する。一方、第3
層(約0.06μm)から下ではSiOに相当するシリコン(Si2p:
105.5eV)のピークが出現し、さらに第15層(0.3μm)
する「気相反応」と、その中間体が気相中を拡散して固
気界面に到達した時に生じる「界面反応」の、少なくと
も2段の直列に生じる反応と、熱・物質の移動との相互
作用から構成されていることを示唆している。
以下からは元素状シリコンのピーク(Si2p:99.2eV)が増
大する傾向を示している。この測定結果とXRDの結果か
ら、シリコン基板上に析出したLi2co3がSiと反応してシ
リケートを生成したと説明できる。反応は析出膜の表面
からわずかに内部に入った場所で進行し、シリケート膜
しかし、生成した薄膜の化学組成がLi20であるとする
と、反応管内に析出した膜中のリチウム量が、原料とし
て供給したリチウム章を上回るという矛盾が生じた。そ
こで以下に示す組織・組成の検討を行った。
内をSiが拡散することでシリコンが供給され、この反応
は高温下での膜析出期間中持続したと考えられる。
石英基板上に厚く(5μm)析出した膜の表面近傍を
ESCA分析した結果、膜の表面から約0.2μm以内におい
3.1.2膜組成 得られた固体薄膜の組成はLi20と期待さ
れるが、シリコン基板、石英基板、アルミナ基板上の膜
のxRDスペクトルをFig.4に示す。同型中にはLi20のピ
てはsi2pのピークは検出されずLils、01、、 cl、のピークの
みが検出された。このことから、析出した薄膜の主成分
九州大学機能物質科学研究所報告
第11巻第1号(1997)
一9一
はしi2co3であることが分かる。しかし、析出膜と石英と
反応管内の各所に置いたシリコンチップ上の細いトレン
の界面近傍ではSiO2としi2co3とが反応しシリケートが
チの最深部に至るまでFig.6と同様な極めてコンフォー
生成され、それがXRDに検知されたと判断できる。SiO2
マルな膜が育成された。
基板中のSiは容易に移動できないため、石英基板上では
シリケート生成反応の進行は最初の界面近傍に限定され
3.2Arキャリアガス下での実験結果
3.2.1成膜速度分布 キャリアガスをArとした実験にお
たものと思われる。
ける成膜速度分布の測定結果をFig.7に示す。 N2キャリ
また、アルミナ基板上に成長した膜の場合、薄膜表面
アの場合に比して成膜速度が小さくなっていること、成
にはグラファイト状カーボン(Cls:結合エネルギー
膜速度の最大値を示す位置が、入り画面に移行したこと、
288.5ev)の存在が認められるが、膜中では直ちに消滅し、
などの特徴が見られる。
リチウムLils、酸素01s、および炭素(qs:292.5eV)の
炭酸塩を構成する炭素に相当するピークのみが観測され、
REACT.正MP。1023 K
Total Flow rate 750 ccm
REACT.TEMP. 873 K
Total Flow rnte 750 ccm
Totat Flow rate 750 ccm
REACT.正即.973 K
REACT.正MP,825 K
Total Ftow rate 750 ccm
REACT.TEMP. 923 K
Totat Flow rate 750 ccm
Total Flow rate 750 ccm
e.1
る。したがってESCAの測定結果からも、アルミナ基板
o.
上に析出した固体膜は酸化リチウム(Li20)ではなく、炭酸
リチウム(Li 2CO3)であることが確認された。
FO.
{O.1
cvD操作温度がLi2co3の融点(891K)より高くても
巷
低くても同様な結果が得られた。以上、本実験の全温度
鄭
域で、N2+02(50mol%)雰囲気中でのしi(DPM)の熱CVD
によって析出する薄膜は炭酸リチウムであること、また、
。.oo
場合によっては炭酸リチウムが基板を構成する化学種と
O.12
REACT.正MP.フ73 K
反応を起こすことが明らかになった。
O.06
反応管内に析出する薄膜の主成分がLi2co3であると想
定すると、ほぼ全ての実験で90%以上の物質収支が取れ
O・oo“一31.一一“T6r一“一io. 20. 3. rm. io. 20. o.
た。また、供給原料中のLiの内、高温の反応管壁上の薄
Axial Pesition [cml
Effect of temperature Effect of total flow rate
膜として回収した割合、 「膜収率」の値は約30∼50%で、
Pressure: P = O.66 kPa
著者らや秋山らが行った、DPM錯体を原料とするNb(5)、
Fig.7 Distribution of local growth rate in the reactor tube,
Zr(5)、 Y(9)などの酸化物薄膜のLPMOCVDの場合にほぼ匹
grown from Li(DPM) in Ar−02 50 mo190 gas.
敵する値であった。
A
3.1.3ミクロトレンチ上の強膜挙動 ミクロトレンチ上への
.
析出膜形状のSEM観察結果の一例をFig.6に示した。本
Si s“bstrate
A A
eA ef e
cvD系では、いずれの温度(Li2co3の融点(891K)以上
の実験結果も、融点以下での実験結果も)においても、
e
・
SiO2 substrate
in N2 carrier gas
in Ar canier gas
て庁 ▲
量
A A
).1
一
H
諾.◆
.g
.
?elk e
1
一 A120.3 substrate
P・ eA 1 ・7
藷
25 30 35 40 45 50 55
2e (deg)
e:Li2CO3. e:Li 20 A:Lithium SiSicate 1;Al 20i
g
Fig.8 XRD patterns of the films grown on different substrates
ヨ
3
from Li(DPM) in Ar−02 50mo190 atmosphere at T = 973K,
1
P = O.66kPa, e = 750 sccm
U
7SO.oo5 v$O.oos
3.2.2膜組織・組成 XRDによる分析の結果をFig.8に示
Fig.6 Film profile grown on ?m scale trench from Li(DPM)
した。アルミナ基板上に成長した薄膜のXRDは、強い
in N2−02 and Ar−02 ( 02: 50mo190 ) atmosphere, at T =
Li20と弱いLi2co3のピークを示した。シリコン基板上の
973K, P = O,66kPa, e = 750sccm
第11巻第1号(1997)
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一 10 一
薄膜からは、Li20とシリケート類および微弱なLi2CO3
のピークが検出された。ESCAのデップスプロファイル
行し成膜種の物質移動律速となると考えられる高温域で
はFig.gに示す通りである。これらの結果から、キャリア
得た直線の傾きから次式によって成膜種の拡散係数DAB
ガスをN2からArに変化させただけで、 Li(DPM)の含02
を算出し、成二種の大きさを推定した。
の成膜速度分布を流れ距離に対して片対数プロットして
雰囲気中での熱CVDによって生成する固体膜の主成分
Slope = 4 ・ Sh ・ DAB/ (u ・ d2)
が、Li2CO3からしi20へと変化することが分かった。この
(2)
場合にも、シリコン基板上に生成した薄膜中では基板か
命中のShは、十分発達した円管内層流場では3.6611)であ
らシリコンが拡散し、成長表面からわずかに内部におい
る。その結果、本CVD系における活性中間体は、原料と
てシリケートが生成する固相反応が進行することが確認
ほぼ等しい質量を持つと推定された。
された。
4.2ミクロシミュレーションによる表面反応解析
秋山ら(5)・(7)・(12)が開発したモンテカルロ法によるミクロ
Lits
OIS
Layer min
囎
.vv .
二1
網膜形状シミュレーションをこの系に適用した結果を
Fig.6にSEM写真と比較して示した。図中のηは、気相
Layer
La
1
0.
反応で生じた活性な中間体が固体表面に衝突したときに
一.A一...
30
表面反応を経て固体に変化する確率、いわゆる反応性付
3α
一A一’r ”f5
5
!v一. ..
八
60:
∩.へ
ii6t.“’t=g6:’一s 一〇. td.o
o.
Binding Energy (2.OeVtdiv)
着確率である。ミクロシミュレーションによると、反応
6
性付着確率が1≧η≧O.05の範囲では、その値のわずかな
9
42.
538.
534.53α52己P
変化も膜形状の変化をもたらし、形状からηの値を正確
Binding Energy (2.OeVtdiv)
に決めることが可能である。しかし、η≦0.005の範囲で
ct
噌
はηの値によらず同一のコンフォーマルな形状が得られ
Ltayer
るため、膜形状はηに対する感度を失い、表面反応速度
の決定手段としての利用は困難である。Fig.6の結果など
3
5
から、本CVD系におけるηの値は、全ての実験温度で、
0.005以下(表面反応速度:ks=0.04∼0.4[mls]程度以下)
であると推定され、表面反応速度定数の温度依存性に関
90tmt2. 2ss. 2s4.28a.O
Binding Energy (2.OeVldiv)
する正確な情報を得ることは出来なかった。
Fig.9 Narrow range ESCA spectra of the film grown on
4.3マクロモデルによる解析
alumina substrate from Li(DPM)in Ar−0250mo190
atmosphere at T = 973K, P = O.66kPa, e = 750sccm
,ρ、
@ 、
ノ’一
、 、 0250mol% 響、、 750SCCM
3.2.3ミクロトレンチ上の成膜挙動 Arキャリアガス中で
02 50motYe
0.1
のCVDによってミクロトレンチ上に成長する薄膜の形
状は、N2キャリアガスによるCVDの場合(Fig.6)とまった
こ、 匿へ。
’置
N
、
o.
一
4.シミュレーションによる反応解析
’鯖、
!
0.1
筆
’
’.。.
’
〇
90.
02 50mol%
、、 750SCCM
、、73973K
750 SCCM
’
三
本実験系におけるN2キャリアガス下のCVD成膜特性
’、 q250mol%
T= 823K
、’㌔.. 、、
0.0
4.1反応モデルの概要
、
・さ
”
洗
0.0
を、Zr(DPM)4(5)、 Y(DPM)3(5)、 Nb(DPM)2C13(9)などのDPM
O.1
錯体を原料とする酸化物薄膜の熱CVD系と同様な反応
モデルで説明することを試みた。すなわち、原料Aが気
t
’
o.o
.IZ
相中で熱化学反応によって活性な反応中間体Bに変化し、
o.o
中間体Bが基板上へ移動し、表面反応を経て固体を形成
/
oj 50mel%
02 50mot%
750 SCCM
750 SCCM
唐k T=923K
N.s
’一’“
r= n3K
NN
×
O 10 ZO 30 O 10 20
Axiat position lcm]
するモデルを考える。
(mass transfer+surface reaction) controlling
(mass transfer +gas phase reaction ) controlling
気相反応 表面反応
(mass transfer + gas phase reaction + surface reaction)
controlling
LiDPM(A)→活性中間体(A*)→ Li2co3(膜) (1)
ここで活性中間体(A*)の大きさを決定するため、稲垣ら
ノ 、
、・.
、●・い
く同様なコンフォーマルな膜であるることが確認された。
rG=kGCA rs=ksCA*
7冨873K
、
∫’
O.0
750 SCCM
、 7冨1023K 一
.’8
Fig.10 Growth rate distributions compared with simulation
results for Li2CO3 growth from Li(DPM) in N2−02
(02 50mo190), P = O.66kPa
10)の方法を採用した。すなわち、化学反応が十分速く進
第11巻第1号(1997)
九州大学機能物質科学研究所報告
一 11 一
上記のように、Li(DPM)からのしi20(Li2CO3)のCvD
(5) Akiyama, Y,, Sato, T, and lmaishi, N., J, Cryst. Growth,
の機構には不確実な要素が残されているが、表面反応速
147 (1995), 130.
度定数がEq.(3)で表現され、さらに析出固体がLi2co3で
(6) Akiyama, Y., Sato, T. and lmaishi, N., Proc. CVD−12
あると仮定する。マクロモデルを適用し、流れ方向の成
( Electrochem Soc.), (1993) 300.
膜速度分布を最も精度良く再現する気相反応速度定数を
(7)秋山泰伸,今石宣之,化学工学論文集,18(1992),
求めた結果、Eq.(4)が得られた。それらの値を用いた油膜
212.
速度分布の計算結果をFig.10中の実線で示した。
(8) lmaishi, N., Sato, T., Kimura, M. and Akiyama, Y., J.
Cryst Growth, (1997) in press.
ks = O.46 ’ exp (一1000/(R ’ 7))
(3)
kG = 1.70 × 10’3 ’ exp (一1.7 × l o5 / (R ・ T))
(4)
(9) Jung, S.C., lmaishi, N. and Park, H.C., Jpn. J. Appl. Phys.,
34 (1995), L775.
このcvpモデルはzro2(5)・Y203(5)・Nb205(9)などのcvD
特性を良好に記述でき、速度パラメータの信頼性も高い
ものであった。しかし、Li(DPM)からの・Li20あるいは
Li2co3のCVDの特性をこのモデルで完全に記述するこ
とは困難で、本報告で提案した速度定数等の適用範囲は
本実験の範囲内に限られ、操作条件(温度、圧力)が大
(10)稲垣隆之,小宮山宏,化学工学論文集,15(1989),
851.
(11)佐藤恒之,今石宣之,化学工学論文集,16(1990),
483.
(12) Akiyama, Y. and N. lmaishi, Jpn J. Apply. Phys., 34
(1995), 6171.
きく異なる場合には適用してはならない。
5.結論
Li(DPM)を原料として、圧力0.5k∼2kPa、反応温度
773K∼1023Kの範囲で減圧MOCVDによる薄膜育成実験
を行った。反応管入り口における気相中の酸素分率は
50mol%とし、キャリアガスとしてN2とArを用いた。こ
のCVD系では、 N2キャリアの場合Li2CO3が生成され、
Arキャリアの場合には主にLi20(微量のLi2co3を含む)
膜が生成される。これらの析出膜は基板のシリコンある
いは石英と固相反応をおこし、シリケート類を生成する。
シリコンはシリケート手中を拡散して析出膜の表面近傍
で反応が進行する。
キャリアガスによって生成固体薄膜の化学組成が変化す
る機構は未だ説明できなかった。
ミクローマクロCVDシミュレーション手法を用いて本
CVDのモデル解析を試み、実験結果を説明できる、気相
反応、表面反応に関する速度定数の値を決定した。ただ
し、このモデルと速度パラメータ値の適用範囲は本実験
条件内に限定される。
文 献
(1) Cunis, B J. and Brunner, H.R,, Mat. Res. Bull., 10, (1975),
515.
(2) Takagi, T., Kobayashi, 1., Tominaga, K. and Okada, M.,
日本化学会誌,7(1993),831.
(3) Hiskes, R., Dicarolis, S.A., Fouquet, Lu, Z., Feigelson,
R.S.,Route, R.K,,Leplingard, F. and Foster, C.M., Mat.
Res.Soc. Symp.Proc., 335 (1994), 299.
(4) Wernberg, A.A., Gysling, H.J., Filo. A.J. and Blanton,
T.N., Appl. Phys. Lett, 62 (1993), 946.
第11巻第1号(1997)
九州大学機能物質科学研究所報告
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