巻頭言 - 分子ロボティクス

News Letter No. 8
2014 年 11 月 30 日発行
巻頭言
としての役割を果たすことであり、新学術領域研究の企画立
学術調査官として
分子ロボティクスを担当して
案および運営管理を行っております。立場は事務方ですので、
学術調査官は新学術の審査はしません。実際に審査をなされ
る方は、各委員会の審査委員の先生方です。我々はその内容
をまとめて、審査所見を書くことが一つの仕事です。その審
査所見には、調査官の観点からみて、
「このようにしたらこ
の新学術はもっとよくなるのに」と思うアドバイスを入れた
りもします。また、担当領域の運営会議に参加して、領域が
うまく推進されるように縁の下から支えることも調査官の任
務です。具体的には、制度の説明を行うとともに、事務的な
質問や相談を受け付けています。また、調査官の視点から見
て、領域にとって良かれと思われることを提案し、お忘れに
なられている実施予定事項を指摘させて頂いております。分
子ロボティクスには、巡り合わせの関係から、なかなか行事
東京理科大学 根岸 雄一 先生
に参加させて頂く機会が得られてはおりませんが、我々学術
調査官も、領域を良くすることを目指す仲間ですので、是非
とも今後は今までよりも多くの参加機会が得られればと思っ
ております。
昨年の 8 月より本領域を担当させて頂いております。その
新学術は、誰もがご存じの通り、多くの研究者で組織され
間、国際シンポジウムに一度参加させて頂いたことに加え、
ています。このとき、基盤研究と同じように、新学術でも各
私の個室にて、萩谷領域代表より直接、領域の目指す方向性
研究者が個人ベースで研究を進めて、それを足し併せれば良
についてご説明頂きました。領域の掲げる非常に夢のある目
いというのなら、わざわざ新学術のような形で研究費を配分
標に、研究者として心から楽しませて頂いております。
する必要はありません。新学術領域では、分野を超えたグ
さて、学術調査官とは何者なのだと思われている方もい
ループ研究だからこそ成し遂げられる研究が行われることが
らっしゃると思いますので、ここではまずは、我々の役割を
強く望まれています。また、そうしたグループ研究を通して、
簡単に説明させて頂けたらと思います。学術調査官は、文科
若手育成とアウトリーチ活動も強く望まれています。分子ロ
省より委託される非常勤の文部官で、文系理系を含む学術の
ボティクスは、グループ研究でないと成し遂げることが困難
さまざまな領域の大学および研究所の若手研究者より 27 名
な、非常に高く夢のあるゴールを掲げた領域だと思っており
が選ばれており、そのうち化学系の学術調査官は 4 名おり
ます。是非とも、領域一丸となって、こうした夢を実現して
ます。主たる任務は新学術領域研究のプログラムオフィサー
頂ければと心より祈念しております。
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
1
BIOMOD2014 国内大会
開催日時 : 2014 年 9 月 6 日(土)
開催場所 : 東京大学小柴ホール
BIOMOD は毎年 11 月にボストン・ハーバード大学で開催されている学部学生主体の国際生体分子デザインコンテストで
あり、今年で 4 回目の開催となります。日本では毎年 9 月にその前哨戦となる日本大会を分子ロボティクス研究会主催で
開催しています。本年度は 9 月 6 日 ( 土 ) に東京大学本郷キャンパス内の小柴ホールで日本大会を行いました。昨年も参
加した北海道大学,東北大学,東京大学柏,東京大学駒場,関西大学,福岡工業大学に,新たに九州工業大学と中国・天津
大学を加えた計 8 チームが参加し,
活気のある大会となりました。各チームとも大会当日に特色のある発表を英語で披露し,
発表を聞いた参加者から様々な質問やコメントを受けました。発表および事前に作成した web ページの採点が行われた結
果,見事,東京大学柏チームが優勝しました。どのチームも今回発見した課題を克服し,プロジェクトを完成・発展させ,
11 月の本大会で活躍することを期待します。
川又生吹
参加チーム
大学 チーム名
Hokkaido University Team Hokudai
Tohoku University Team Sendai
The University of Tokyo Kashiwa UTokyo Chem & Bio
The University of Tokyo Komaba Team UT-Komaba
Kansai University Team Kansai
Kyushu Institute of Technology
Team Kyutech
Fukuoka Institute of Technology
Team FIT
Tianjin University
Team Tianjin
スケジュール
13:00-13:03
開会
13:03-13:05
スケジュール,ルール説明
13:05-13:25
プレゼン 1 Kyushu Institute of Technology
13:25-13:45
プレゼン 2 Hokkaido University
13:45-14:05
プレゼン 3 Tohoku University
14:05-14:25
プレゼン 4 The University of Tokyo Kashiwa
14:25-14:30
集合写真
14:30-14:45
休憩
14:45-15:05
プレゼン 5 The University of Tokyo Komaba
15:05-15:25
プレゼン 6 Kansai University
15:25-15:45
プレゼン 7 Fukuoka Institute of Technology
15:45-16:05
プレゼン 8 Tianjin University
16:05-16:30
休憩および採点
16:30-16:40
表彰(川又)
16:40-16:45
総評(萩谷)
16:45-16:50
閉会
17:00
解散
17:30
学生懇親会 ( ノンアルコール )・メンター親睦会
2
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
日本大会 成績
順位
大学
チーム名
1位
The University of Tokyo Kashiwa
UTokyo Chem & Bio
2位
Tohoku University
Team Sendai
3位
Tianjin University
Team Tianjin
4位
Hokkaido University
Team Hokudai
5位
The University of Tokyo Komaba
Team UT-Komaba
全員集合
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3
DNA20 国際会議 開催日時 : 2014 年 9 月 22 日(月)- 26 日(金)
開催場所 : 京都大学芝蘭会館
Organizers
■ Hirohide Saito (co-chair)
Kyoto Univerisity
■ Masayuki Endo (co-chair)
Kyoto University
■ Akinori Kuzuya
Kansai University
Invited Speakers
■ Shawn Douglas (University of California San Francisco)
"Nanoscale Construction with DNA"
■ Cristian S. Calude (The University of Auckland)
"The Quest for Quantum Randomness"
■ Hiroshi Sugiyama (Kyoto University)
"Single-molecule Observation in the DNA Origami Nanostructures"
■ Rhiju Das (Stanford University)
"Nucleic acid design rules from a massive open laboratory"
■ Anne Condon (University of British Columbia)
"On folding pathways, recycling, and reversible programming"
■ Masaki Sano (The University of Tokyo)
"From Non-Equilibrium Physics to Active Matter"
各国からの参加者全員集合
4
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
The DNA 20 conference on DNA computing and molecular programming took place this year in Kyoto University
between September 22 nd and 26 th. As has been the case since the inception of this series of conferences, great
works ranging from the most theoretical to completely experimental. However, more often than not, the line between the two was fairly blurred.
Among the major trends this year, one might note the usage of RNA as a building material for origami. It’ s
properties allow folding without any staple strands, making it possible to generate origamis from a template
DNA strand and polymerase. With the progresses made on XNA (artificial nucleic acids) in the past few years,
we may also witness more exotic building material in the years to come, each with their own properties.
DNA origami and DNA nanostructures were still a huge part of the conference, and a lot of focus was given this
year on systematic exploration of the impact of parameters on the behavior or folding pathways of those structures. We are actually getting to a point were no stone is left unturned, which will result in a comprehensive understanding of the folding mechanisms and behaviors of DNA-based materials.
Note that this systematic approach is not limited to DNA nanostructures. Genot et al. also presented a microfluidic device that allows to test thousands of different initial conditions in one go. This is expected to chance drastically how the impact of parameters on Chemical Reaction Networks (CRNs) is explored.
CRNs were also one of the major topic this year again, with many theoretical results on the computational power of specific implementations. There was also a strong push toward a spacial version of CRNs, relying either
on reaction-diffusion, tethering of DNA strands on a surface, or both. VisualDSD, a simulation software for DNA
strand displacement CRNs, has been given extensions to support both strategies.
Nathanael Aubert-Kato
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
5
新学術領域「分子ロボティクス」 国際公開シンポジウム 開催日時 : 2014 年 9 月 26 日(金)
開催場所 : 京都大学芝蘭会館
Molecular Robotics Symposium
10:00-15:45, Friday, September 26,2014 Shiran Hall, Kyoto University
Special Talks
■ Nadrian C. Seeman (New York Univ.)"Molecular Machines Made from DNA " (10:10-)
■ Hiroyuki Asanuma (Nagoya Univ.)"Light-powered DNA nanomachine carrying
azobenzenes as molecular photon-engine " (11:10-)
Program
10:00
Opening Remark
Masami Hagiya
10:10
Special Talk 1 Nadrian C. Seeman
11:10
Special Talk 2 Hiroyuki Asanuma
13:30
Panel Discussion
Molecular Robotics : Contributions to Science, Technology and Society
Moderator : Satoshi Murata (Tohoku Univ.)
Panelists
Nadrian C. Seeman (New Yorek Univ.)
Masami Hagiya (UTokyo)
Akihiko Konagaya (Tokyo Tech.)
Satoshi Kobayashi (UEC)
Hirohide Saito (Kyoto Univ.)
15:30
6
: Shawn Douglas (UCSF)
Closig Remark
Akihiko Konagaya
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
分子ロボティクスシンポジウム 報告
東北大学 川又 生吹
9 月 22 日 ~ 25 日 に 京 都 大 学 芝 蘭 会 館 で 開 催 さ れ た
DNA20 の国際会議の翌 9 月 26 日、分子ロボティクスシン
知能班、アメーバ班、スライム班それぞれの研究紹介が行わ
れた。
ポジウムが開催された。シンポジウムは午前、午後の二部構
発表を聞いた国外の研究者からは、時間応答するデバイ
成になっており、午前は DNA ナノテクノロジーに関する 2
スは再利用可能かという質問や、光クロスリンクを使った鎖
件の特別講演、午後は分子ロボットの将来に関してのパネル
置換反応の加速が起きる原理に関する質問があり、関心の高
ディスカッションが行われた。
さが伺えた。
最初の特別講演者は DNA ナノテクノロジーの権威であ
その後、Seeman 先生、齊藤先生、小林先生、小長谷先
るニューヨーク大学 Nadrian C. Seeman 教授であった。
生、萩谷先生に、BIOMOD の主催者であるカリフォルニア
DNA 結晶構造や、ダイナミックな DNA デバイスに関する
大学 Shawn Douglas 准教授を加えた 6 名によるパネルディ
最新の研究成果を解説された。
スカッションが行われた。パネルディスカッションでは大き
発表の中で印象に残ったのが、アートからインスピレー
ションを受けるという点だ。発表資料の中には様々なアート
が含まれており、三次元 DNA 構造を作成するアイディアも
M. C. Escher による Depth という作品から着想を得たそうだ。
く分けて「分子ロボットの知能」、「分子ロボットの科学への
貢献」、「分子ロボットの応用」の 3 つのテーマがあった。
「分子ロボットの知能」については、まず小長谷先生が先
行研究例としてバクテリア IQ の紹介を行った。ゲノム中の
講演を聞いた参加者からは様々な質問があり、回答の中
シグナルタンパクの割合をバクテリアの IQ の指標にする研
でライゲースなどの酵素を避けたい理由や、原子位置が正確
究で、分子ロボットについても同様の指標を作れないかとい
に指定された結晶構造の魅力を語った。
う話題提供だ。
続いて、光応答性塩基研究の第一人者である名古屋大学
Seeman 先生からは、生物に見られる自己複製の概念が
浅沼浩之教授が特別講演を行った。DNA システムの機能を
忘れられているのではないかという指摘があった。分子ロ
拡張する観点から、化学合成した人工塩基を導入する重要性
ボットが自発的に進化するような仕組みが、様々な環境に
を語った。具体的には、光応答性を示すアゾベンゼンを使っ
適応するには必要ではないかという発想だ。会場からは、
た DNA ハイブリダイゼーションの制御について詳細に解説
DNA 構造自体を複製するのは難しいので DNA に書かれた
いただいた。
情報を複製できないか指摘があり、盛り上がりを見せた。
研究の応用例として、転写の制御を行う分子マシンや、
Douglas 先生は、そのように知能を持った自己複製する
DNA ナノ構造またはマイクロカプセルが光照射によって分
分子は人類を脅かすような危険が潜在的に存在する、と分野
解するシステムを紹介された。質疑応答では、異性化の反応
外の人に思われていると発言した。そのため、自身の研究成
速度について、および二重らせん構造の変形について補足を
果はシンプルなシステムであると説明するよう心掛けている
行った。
そうだ。まずは安全な環境で十分に研究を行い、知能のある
午後のセッションではパネルディスカッションに先立ち、
分子を作成できるほど分野が発展しても、対処するすべを身
村田智教授が領域全体の説明を行った。説明の中では、ブー
に着けていると主張するそうだ。分子ロボットの潜在的な危
トキャンプ、ニュースレター、学生コンテスト (BIOMOD)
険性をウィルスと比較していた点は印象に残った。
の支援、ポジションペーパーなど、最近の活動についても触
れた。
次の「分子ロボットの科学への貢献」というテーマでは、
まず Seeman 先生が分子ロボットはナノスケールで原子を
続いて、本領域の各計画研究代表者である齊藤博英教授、
正確に移動させる仕事ができるだろうと指摘した。将来的に
小林聡教授、小長谷明彦教授、萩谷昌己教授から、感覚班、
は有機合成化学の分野で、例えば安く簡単に製薬を行うよう
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
7
な貢献があるのではないか、と補足した。
会場の参加者も活発にコメントを行った。例えば、タン
パク質のアミノ酸を改変する手法で生物に似た分子ロボット
を作るアイディアはないのか指摘があった。Douglas 先生
は生体分子を元に新たに分子を作る手法が有用であることに
は同意したが、自然界に存在していない機能を創造すること
の重要性も述べた。Seeman 先生と萩谷先生は、自然界に
存在する生体分子を模倣することと、自然界に存在しない新
規の生体分子を設計することの区別についてコメントした。
3 つ目の「分子ロボットの応用」というテーマでは、iPS
研究所に所属する齊藤先生が話題提供を行った。細胞リプロ
グラミングの分野では、がん化した細胞とそうでない細胞を
区別する問題や、細胞内の反応はブラックボックスであるこ
とを指摘し、生物を分子ロボットによって制御する応用がな
いか質問を行った。
Douglas 先生は、人々はある技術の将来性を、短い期間
では過大評価するが、長い期間では過小評価する傾向がある
と指摘した。インターネットや GPS を開発していた時代に
スマートフォンは想像できなかった例や、免疫の研究がワク
チン開発を成功させた例を用いて説明した。分子ロボットの
開発でも同様の傾向があり、基礎研究や理論研究が進むこと
で、将来的には強力な応用があると考えられるそうだ。
一方萩谷先生は、分子コンピュータで計算を行う応用に
ついての夢を語った。分子コンピュータを既存の電子計算機
と組み合わせて、学習のような脳の機能を模倣するアイディ
アだ。Seeman 先生は、DNA の過去の会議でもキラーアプ
リは何かという話題があり現在でもそれを探している認識を
示した。
最後に村田先生が、パネルディスカッションでの議論を
もとに分子ロボティクスの研究を進めていくとコメントし、
小長谷先生が参加者への感謝を述べてシンポジウムを閉会
した。
Excursion: 春光院で座禅体験 (Zazen and Tea Ceremony)
8
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
第 52 回日本生物物理学会年次大会シンポジウム企画
新学術領域「分子ロボティクス」
開催日時 : 2014 年 9 月 27 日(土)
開催場所 : 札幌コンベンションセンター A 会場(中ホール 1/2) 日本生物物理学会第 52 回年会との共催により札幌コンベンションセンターにて新学術領域「感覚と知能を備えた分子ロ
ボットの創成」企画のシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、学術領域・分子ロボティクスの紹介、続いて特別講演
一件、一般講演4件が行われ、総勢 160 名の研究者・学生が集まり活発な意見交換がなされた。
当該領域事務担当村田 智(東北大学)により本領域の紹介後、DNA ロボットの先駆者でもある Shawn Douglas 氏
(University California, San Francisco)から最近の DNA ナノデバイスに関する進歩状況について講演を頂いた。続いて
本領域の各班を代表して瀧ノ上 正浩(感覚班)
、小宮 健(知能班)
、小長谷 明彦(アメーバ班)
、萩谷 昌己(スライム班)
から現在取り組んでいる研究課題とその展望について説明して頂いた。具体的には DNA やタンパク質などの生体あるいは
人工の高分子そのものの設計方針や,それを構造化・システム化する技術などについて取り挙げられていた。各研究トピッ
クスに対しても活発な討論が行われ、盛大のうちに閉会した。
Program
3SAA-01 分子ロボティクス―その展望と動機
Molecular Robotics — Perspectives and Motivation
村田 智(東北大学)Satoshi Murata (Tohoku Univ.)
3SAA-02 Building Nanoscale Devices with DNA
Shawn Douglas (UCSF)
3SAA-03 核酸ナノ構造を活用した分子情報変換デバイスの設計
Designing DNA/RNA nanostructure-based information converters
齊藤 博英 1, 遠藤 政幸 1, 瀧ノ上 正浩 2(1 京都大学 , 2 東京工業大学)
Hirohide Saito1, Masayuki Endo1, Masahiro Takinoue2 (1Kyoto Univ., 2Tokyo Tech.)
3SAA-04 分子ロボットのリアルタイムな動作を目指した試験管内での知能の実装
Implementation of in vitro intelligence for real-time operation of molecular robots
小宮 健(東京工業大学)Ken Komiya (Tokyo Tech.)
3SAA-05 アメーバ型分子ロボットの課題と展望
Perspectives and objectives of amoeba-type molecular robots
小長谷 明彦(東京工業大学)Akihiko Konagaya (Tokyo Tech.)
3SAA-06 ゲルに基づく分子ロボットとその計算モデル
Gel-based molecular robots and their computational models
萩谷 昌己(東京大学)Masami Hagiya (UTokyo)
オーガナイザー:小長谷 明彦(東京工業大学)
,萩谷 昌己(東京大学),村田 智(東北大学),角五 彰(北海道大学)
Organizers :
Akihiko Konagaya (Tokyo Tech.), Masami Hagiya (UTokyo), Satoshi Murata
(Tohoku Univ.), Akira Kakugo (Hokkaido Univ.)
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
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CBI 学会 2014 年大会公開シンポジウム
新学術領域「分子ロボティクス」
開催日時 : 2014 年 10 月 28 日(火)- 30 日(木)
開催場所 : タワーホール船堀小ホール(東京)
昨年度に引き続き、CBI 大会において分子ロボティクス公開シンポジウムを開催した。2014 年度は 10 月 28 日、29 日
の日程で、タワーホール船堀小ホールにおいて、16 件の口頭発表および 32 件のポスター発表(口頭発表との重複を含む)
を行った。今年度は多機能性リポソーム、振動制御モデル、スライムモデルをトピックスとして取り上げ、先端技術に関し
て活発な意見交換を行った。参加者は分子ロボティクス関係者を中心に初日が 27 名、二日目が 24 名であった。
Program
10 月 28 日(火)14:00-15:30 多機能性リポソーム(1)
■豊田 太郎(東京大学)
: Application of Giant Liposome to Bio-imaging
■濱田 勉(北陸先端科学技術大学院大学)
:Creation and Manipulation of an Artificial Cellular Membrane
■柳澤 実穂(東京農工大学)
:Oriented Reconstitution of an Ion Channel in a Cell-sized Liposome
■眞山 博幸(旭川医科大学)
:Fracture of Biomaterials
10 月 28 日(火)16:00-17:30 多機能性リポソーム(2)
■庄田 耕一郎(東京大学)
:Development of a Molecular Sensor that Works on a Liposomal Membrane
■梅田 民樹(神戸大学)
:Theoretical Analysis of the Formation of Membrane Tubes in Giant Liposomes
induced by Electrostatic Effect
■ Jonathan Heddle (RIKEN):Building Nanoscale Objects Using Protein and DNA
■野口 洋文(琉球大学)
:Islet Transplantation and Regeneration
10 月 29 日(水)14:00-15:30 振動モデル
■大下 福仁(大阪大学)
:Loosely-stabilizing Algorithms for Leader Election in Population Protocols
■井上 正樹(慶應義塾大学)
:Bifurcation Analysis in Reprogramming Process of Somatic Cells
■森田 裕史(産業技術総合研究所)
:Revised Modeling of Self-oscillating Gel including Experimental Results
■ Anissa Lamani (Kyushu University):Oscillatory Population Protocols
10 月 29 日(水)16:00-17:30 ゲルモデル
■池田 将(岐阜大学)
:Masashi Ikeda: Biomarker-Responsive Supramolecular Hydrogels
■萩谷 昌己(東京大学)
:Slime Mold Molecular Robots and Gellular Automata
■川又 生吹(東北大学)
:Spatial Sol-gel Transition by Diffusing DNA Strand That Triggers Hybridization
Chain Reaction
■高畠 芙弥(東北大学)
:Reaction-Diffusion Model for Gel-Sol Transition of DNA-Cross linked
Polyacrylamide Hydrogels
10
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
CBI 学会 (Chem-Bio Informatics Association) は、化学、生物学、情報計算学という3つ
の学問分野に関わる先端的な研究開発の基盤構築をめざす非営利の学術任意団体であり、
BIOMOD2014 国際学生コンテストにご支援いただくなど、本領域とも深く関わりのある
研究会です。
ポスター発表の様子
Single-molecular Activity Measurement of Enzymes Attached to DNA origami
Ban Okabayashi, Ibuki Kawamata, Shin-ichiro M. Nomura, Satoshi Murata
E-mail: {okabayashi, kawamata, nomura, [email protected]
Tohoku University, 6-6-01, Aoba-yama, Aoba-ku, Sendai, 980-8579 Japan
㻌 Introduction
DNA is a suitable material to make functional devices. For example, nanostructures made of DNA origami can be used as a substrate to realize precise control of chemical
reaction including DNA hybridization and enzymatic reactions.1, 2, 3 These enzymes basically can react at any places of DNA in a solution. Therefore, to study geometrical
properties of enzymatic reaction, it is useful to attach enzymes to 2D plane to restrict their reaction ranges. Here, we propose a system capable of controlling the area of
enzymatic reactions. In detail, a dumbbell hairpin which is made of DNA is detached from DNA origami by polymerase reaction. Polymerase reaction range is controlled by
adjusting the length of ssDNA of polymerase-ssDNA conjugation. When polymerase react to dumbbell hairpin in the restricted condition, dumbbell hairpin is detached from
DNA origami by strand displacement activity of polymerase. We can measure single-molecular activity of polymerase by AFM.
P
P
Dumbbell
hairpin
Polymerase
(tethered)
P
P
Single-molecular activity measurement system
Process of this system
㻌 Design
㻌 Experiments
First, we have checked that dumbbell hairpin is properly attached to DNA origami
structure by using AFM. Second, to confirm activity of polymerase which is not
conjugated by ssDNA, we used free polymerase which is able to react to dumbbell
hairpin. The result of comparison is given in the histogram below.
20 nm
The size of DNA origami is 65nm x 90 nm.
9 dumbbell hairpins are placed on the DNA
origami surface (red) and distance between
them is 20 nm. This can be observed by AFM.
Polymerase position is colored by yellow.
To identify side of DNA origami surface, right
top corner of the DNA origami is removed.
60 bs
㻰㼡㼙㼎㼎㼑㼘㼘㻌㼔㼍㼕㼞㼜㼕㼚㻌
Dumbbell hairpin is designed to observe the
reaction by AFM. Position of primer which
gives the starting point of polymerase reaction
located 10 nt apart from the DNA origami
surface to allow polymerase capture the primer.
primer
Precise
image
Klenow fragment was used as the polymerase.
It has strand displacement activity but doesn’t
have exonuclease activity.
The polymerase was attached to ssDNA (40 nt)
by conventional method, where EMCS
connects cysteine of the polymerase and NH2
modified ssDNA as a cross-linker.4
EMCS
Enzyme
+
+
DNA
Connection
Enzyme
DNA
Conjugate reaction
cysteine
Enzyme
before
purification
After adding polymerase
14
The average number of dumbbell
hairpins was decreased after adding
polymerase from 4.63 to 0.82 dumbbell
per DNA origami.
12
10
8
Before hairpins
n = 46
After
n = 29
6
4
2
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
The number of dumbbell hairpin
Histogram of dumbbell number
We succeeded in attaching ssDNA to polymerase which is checked by SDS-PAGE.
Eventually, 10.1 % of the polymerase attached to the DNA origami.
EMCS
㻾㼑㼘㼍㼠㼕㼛㼚㻌㼛㼒㻌㼑㼍㼏㼔㻌㼏㼛㼙㼜㼛㼚㼑㼚㼠㼟㻌
P
P
EMCS
The length of ssDNA attached to polymerase is
24 nm from DNA origami surface. Therefore,
in theory, the polymerase can capture 7 of
dumbbell hairpin except left top and left
bottom position.
The intervals between polymerase and
dumbbell are in the range of 5 nm to 34 nm.
2 hours
at 4 ℃
Dumbbell hairpin
Before adding polymerase
Dumbbell
hairpin
Stability of dumbbell hairpin
㻼㼛㼘㼥㼙㼑㼞㼍㼟㼑㻙㼟㼟㻰㻺㻭㻌㼏㼛㼚㼖㼡㼓㼍㼠㼕㼛㼚㻌
P
P
3 hours
95 ℃ to 25 ℃
Experimental method
90 nm
The size of DNA origami structure
The number of DNA origami structures
㻰㻺㻭㻌㼛㼞㼕㼓㼍㼙㼕㻌㼚㼍㼚㼛㼟㼠㼞㼡㼏㼠㼡㼞㼑㻌
65 nm
This system consists of 3 components; DNA
origami as substrate, polymerase-ssDNA
conjugation and dumbbell hairpins.
30 min at RT
3 hours on ice
P
3 hours
95 ℃ to 25 ℃
3D image of polymerase
P
2 hours
at 4 ℃
Experimental method
Polymerase
&
Polymerase
ssDNA
Conjugation
24 nm
P
Polymerase
SDS-PAGE of
Polymerase-ssDNA conjugation
Range of Polymerase-ssDNA
㻌 Reference
[1] Murata, S et al., New Generation Computing, 31:27 (2013)
[2] Paul W. K. Rothemund, Nature 440, 297-302 (2006)
[3] Montagne, K et al., Molecular Systems Biology, 7: 466 (2011)
[4] Miyazono, Y et al., The EMBO Journal, 29: 93 (2010)
Polymerase attached to DNA origami
㻌 Conclusion & Future work
We designed a system to evaluate the work range of enzymes. We have attached
polymerase via cross-linker to DNA origami structure. As a substrate, dumbbell
hairpins on DNA origami are prepared. These dumbbell hairpins were detached
away from DNA origami by adding free polymerase in solution.
However, enzymatic reaction of restricted polymerase was not observed yet. To
solve this problem, we may reconstruct new polymerase which has cysteine located
different position to preserve enzyme activity.
東北大学村田研究室の岡林 盤さんが Excellent Poster 賞を受賞しました
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
11
BIOMOD2014 国内大会奮戦記
チーム北大
チーム仙台
■タイトル:「チーム北大の歩み」
■タイトル:
「World Taste Travel」
■チーム名:Team Hokudai
■チーム名:Team Sendai
■メンバー:○ Shinji Yamada, Hiroki Sakai, Takahiro
■メンバー:○ Ei k i Ishihara, Shunsuke Imai, Hayato
Yamamoto, Ryo Shirakawa, Tomoki Fuku-
Otaka, Yuto Otaki, Kenta Suzuki, Yoriko
shima, Kento Nishii
Hashida,Taiki Watanabe, Yuichiro Ogawa,
■学生メンター:Daisuke Inoue, Masaki Ito, Shoki Wada,
Youhei Kon, Takuto Takahashi, Ryoma Toyo-
Arif Md.Ra shedul Kabir, Md.S irajul
sat o, Sho Aradachi, Shota Kawakami,
Islam, Tanjina Afrin
Daisuke Tamatsuki, Yu-chen Chen, Shogo
■教官メンター:Akira Kakugo
Hiratsuka, Hayato Yuuki
■学生メンター:Akira Saito, Keitel Cervantes-Salguero,
4月、私たちは北大 BIOMOD チームを存続すべく、メン
Ban Okabayashi, Daisuke Kandatsu,
バー2人で活動を始めました。それから、
メンバーを募集し、
Shinnosuke Tsutsui, Yoshiaki Tanaka,
友達に声をかけ何とか6人というチームになりました。しか
Satoru Yoshizawa, Koichi Kurashima,
し、集まった6人も実験をまともにやったことのない学部1,
Masaru Tsuzawa, Tomoyuki Hirano, Kazuki
2年生ばかりでした。そんなメンバー達ですから、wiki お
Hirahara, Takahiro Tomaru,Takuto Hosoya,
よびプレゼンテーションも手探りの状態でした。それでも、
Ryo Kageyama, Koichiro Katayama,
メンターの方々に支えられながら、活動を続けることができ
Thanapop Rodjanapanyakul
ています。
東京大会では慣れない英語のスライドや発表原稿を作るの
■教官メンター:Satoshi Murata, Shin-ichiro M.Nomura,
Ibuki Kawamata, Fumi Takabatake
に大変苦労しました。何とか原稿を覚えて、自分たちなりに
いい発表が準備できたと思います。上位3位以内入賞を目
指して大会に臨みましたが、4位という結果に終わりまし
国内大会は 2 位という結果に終わった。決して満足のい
く結果ではなかったが、そこに至るまでの道のりは長かった。
た。スピーチや質疑応答でも奮闘したのですが、上位のチー
チーム仙台は 1、2、3 年生から構成されている。それぞ
ムとの英語力、プレゼンテーション力の差を強く実感しまし
れ参加した目的は異なるが、皆本大会で優勝するという思
た。私たちは生体分子モーターという、他のチームと異なる
いを持って今も取り組んでいる。活動は 4 月中旬から始ま
テーマを扱っています。この個性を強みにして他のチームと
り、先生方から BIOMOD に必要な教養や知識を学んだ。5
は違った研究発表をしたいと思います。また、この生体分子
月に入りアイデア構想も始めたが、メンバーのほぼ全員が未
モーターがより注目を集められるように分かりやすいプレゼ
経験者であるため何もかもが手探り状態だった。話し合いの
ンテーションを作りたいと思います。
方法などを変えてみたりしたが、これだというアイデアはな
今後は、より一層実験に力を入れ、ボストン大会に臨みた
かなか出ず果たして国内大会までに間に合うのか不安になっ
いと思います。また、wiki、プレゼンテーションの東京大会
た。ようやくアイデアの方針が決定したのが 8 月の中旬で、
で指摘された所を改善していきます。本大会では自分たちの
そこから国内大会当日までは怒涛の日々だった。アイデア
個性を生かし、できるだけ分かり易く、また会場の人をひき
の詳細を固め、アブストラクトを一週間で書きあげた。wiki
つけるようなプレゼンテーションを行いたいと思います。最
の締め切り前の一週間はさらに忙しく、メンバーが懸命に
終的に、当初の目標であるゴールドメダルを獲得できるよう
wiki やシミュレーション等に取り組んでくれたことで何と
に頑張っていきます。
か形にすることができた。プレゼンテーションの準備も大変
で、スライドや原稿の編集は深夜まで続くことが常だった。
原稿は当日の朝にようやく完成し、スライド編集と発表練習
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
は本番ぎりぎりまで続いた。結果は惜しくも 2 位だった。
が評価していただけたこと、そしてこの評価が国内大会の優
短期間の中ここまでプロジェクトを推進できたことは称
勝に結びついたことは、この上なく幸運なことであった。
チー
えたいが、国内大会を終えて多くの課題が残った。私は情報
ム一丸となってプロジェクトを進められた結果であり、チー
共有や的確なプロジェクト運営の難しさを知り、リーダーと
ムメンバーや上田卓也研、新学術分子ロボを初めとした関係
しての未熟さを痛感した。メンバーの懸命な努力とメンター
者の皆様に感謝いたしたい。
の皆さんの丁寧なご指導がなければ国内大会までにここまで
また、今大会では、自分たちのプロジェクトの問題点を
成果を出すことはできなかった。協力していただいた多くの
明確にすることができただけではなく、他のチームから大
方々に感謝の意を示すとともに、11 月の本大会では必ず優
いに刺激を受けることもできた。東北大学や東京大学・駒
勝することを誓う。
場の Wiki はデザインが綺麗で、作りこまれていると感じた。
当日のプレゼンテーションでは、各チームが会場を湧かせ
る工夫をしていた。九州工業大学の客席からの発言、関西
大学の QR コードをその場で読み込ませるのは予想外であっ
た。福岡工業大学のアニメーションはわかりやすく、また、
北海道大学の羽ばたきの実演は、会場全体を笑いに包んで
いた。そして、天津大学の質疑応答からは彼らの積極性と
高い英語力がひしひしと伝わってきた。これらの点は、本
大会では是非参考にしたい。
本大会に向けた残りの期間は短いが、プロジェクトの
ゴールへと一歩一歩向かい、中間大会で多用した、「Future
Work」を一つでも多く解決していきたい。
チーム東大(柏)
■タイトル:「UTokyo Chem & Bio 国内大会奮戦記」
■チーム名:UTokyo Chem & Bio
■メンバー:Takaki Kirihara, Yutaro Yamaguchi, Saki
Atsuta, Shin Izuta, Reira kawarada, ○Tomoki
Nakagawa, Kohei Soeda, Reika Tei, Keisuke
Tsukamoto, Anna Yui
■教官メンター:Hisashi Tadakuma
BIOMOD 国内大会は、私にとって非常に思い入れのある
大会となった。私は主にプレゼンテーションを担当した。
発表用の原稿の暗記を始めるとすぐに、たった 8 分だと
思っていた発表時間は決して短いものではないということが
分かってきた。大会前の 1 週間は、原稿を暗記するために
研究室のベランダで音読を繰り返した。チームのメンバーは
もちろん、研究室の先生・先輩方にもサポートをしていただ
きながら、想定される質問を洗い出し、スライドを何度も書
き換え、本番をイメージして質疑応答の練習も重ねた。
このような努力が結果として現れて、プレゼンテーション
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チーム東大(駒場)
チーム関西
■タイトル:
「国内大会を終えて」
■タイトル:
「Nano QR code」
■チーム名:Team UT-Komaba
■チーム名:Team Kansai
■メンバー:○ Yuri Hashimoto, Makiko Ogino, Tsubaki
■メンバー:Hitomi Okuyama, Erina Kigoshi, Shota Nakagawa, Kazuki Fukushima, ○ Erika Yamamoto,
Ota, Yu Sasaki, Hiroki Nishizawa
Kenta Wakabayashi
■教官メンター:Masami Hagiya, Akira Suyama
■学生メンター:Shizuma Tanaka, Ryosuke Watanabe
私たち駒場チームは、全員が新規メンバーであり、専門の
■教官メンター:Akinori Kuzuya
勉強に入っていないため、充分な専門知識もないという、厳
しい状況の下にはじまりました。
今回私たちは世界最小の QR code である Nano QR code
そこから、5 位とはいえ、国内大会で結果を残せたのは、懇
の作成を試みました。wiki 班、動画・スライド班、実験班
意に指導してくださる研究員の方、先生方、共に BIOMOD
に分かれて各々の仕事に取り組むとともに、6人で話し合い
に取り組んでくれるメンバーの協力の成果であると思いま
を何度もして試行錯誤しながら進めてきました。wiki ペー
す。国内大会を終えて、私たちには大きな反省点が二つあり
ジの作成では、過去の関大のページとはひと味違うものを作
ます。
ろうという意気込みのもと、デザインやレイアウトに力をい
まず第一に、実験の進度が非常に遅かったことです。
れました。スライドの作成では、レイアウトはもちろんです
専門知識の習得やテーマ決めに時間をかけすぎてしまい、残
が、わかりやすく、見やすく、面白くを念頭において作成を
された時間では数回の基礎的な実験しか終わらせることがで
進めました。実験では、DNA origami の設計が難しく、先
きませんでした。この反省をもとに、国内大会後、本番を見
生や先輩方にアドバイスをいただきながら改良を重ねまし
据えた綿密な実験予定を立てたので、国際大会までには納得
た。設計が決まってからもなかなか目的の AFM 画像が得ら
いく形をみせられるように、計画的に実験に取り組んでいき
れず、アニーリング温度や staple を混合する順番などの実
ます。
験条件の検討を大会前日まで行っていました。
二つ目は、プレゼンテーションの準備にとりかかるのが遅
初めての学外発表で、さらに英語での発表ということで不
かったこともあり、不完全な状態で発表をしてしまったこと
安や緊張がとても大きかったことに加え、本番直前まで発表
です。採点官からのフィードバックをもとに、国際大会のプ
スライドや原稿の変更があり、準備不足で挑むことになって
レゼンではアニメーション等を用いて説明を分かりやすく、
しまった点が悔やまれます。また、質問されたことに的確に
かつ詳細にするとともに、他チームを参考に、演出にも手を
答えることができず、質問対策が不十分であったことを痛感
加えていきたいと思います。
しました。
専門の勉強にはいっていない私たち駒場チームの生徒に
本大会にむけての課題、改善すべき点が見つかったので、
とって、BIOMOD のような本当の研究に携われる機会はな
国内大会は良い勉強になったと思います。先生をはじめメン
かなかないので、大変貴重な体験をさせていただいていると
ター、関係者の方々にはたくさんのアドバイスと激励をいた
思います。本大会は、研究とはなにか、本当の学びとはなに
だき感謝しています。これを糧にして、本大会では悔いのな
かを考えるとてもいいきっかけになりました。
いように、また Team Kansai らしさを出せるように頑張り
今後も、国内大会でいただいたアドバイス・ご指摘をもと
たいです。
に、国際大会での上位入賞を目指して、日々実験・考察等に
励んでいきます。ありがとうございました。
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.8
チーム九州工大
チーム福岡工大
■タイトル:「Molecular Governor」
「国内大会の反省」
■タイトル:
■チーム名:Team Kyutech
■チーム名:Team FIT
■メンバー:Kentaro Kurihara, Ippei Asada, Ryousuke
■メンバー:Naoya Yamaguchi, Shinya Anraku, Ryo
Suzukawa, ○ Ryudai Seguchi, Daiki Sato,
Iwashita, Maika Kuroki, Kazuya Inoue,
Keigo Fujimoto
Kousuke Kuroki, Chikako Shinohara, Yoshiki
■教官メンター:Takashi Nakakuki
Hiranaka, ○ Moe Matsumura, Takumi Oka-
yama, Miho Sase
私たちは今回初めて BIOMOD 大会に参加しました。プロ
■教官メンター:Nobuyoshi Miyamoto, Hazime Mita
ジェクトを進めていく過程で、一番困難だったことは、メ
ンバーの中に化学分野を専門としている学生がいなかった
私たちはナノスケールで黑髭危機一髪の模倣を行うとい
ことです。私たちのメンバーのほとんどが、制御分野、情
う、だれにとっても身近で理解しやすいようなテーマを選び
報分野の専門で構成されています。そのためプロジェクト
ました。しかしここまでの活動を振り返ると、失敗や苦悩の
に入る前に、分子や DNA など生化学分野の知識をチーム全
連続でした。まず、具体的な実験案を確立することができず
員で毎日学習しました。そうして学習を進めるうちに「BIO-
に DNA の発注が遅れ、実験ができないことがありました。
MOD における最終目標は、分子ロボットを自由に制御する
また、与えられた課題ではなく自らが一からアイディアを練
ことだ」と私たちは考えました。制御が得意な我々なら、工
りだすことは今までの経験上少なく、これほど難しいものは
学系の制御理論を生化学の世界に応用するといった斬新で、
ありませんでした。
かつ実用性が高いこのアイデアを実現できると考え、チー
ムの役割を決めそれぞれが努力をしてきました。
国内大会でのプレゼンテーションの反省点として、他の
チームよりもスライドが文字ばかりで見にくく、理解しづら
しかし、実際には理論通りに進めると矛盾が生じたこと
かったという点が挙げられます。アニメーションや図などを
もあり、何度も理論の訂正や実験、シミュレーションを繰り
他のチームを参考に取り入れて有効活用し、傍聴者にとって
返してきました。こうして、将来分子ロボットを制御する
魅力的に感じるようなスライドを作ろうと思いました。また
ための必要な理論が少しずつ確立されてきました。プロジェ
英語力の低さも挙げられます。カンペをただ読むだけの発表
クトに専念していると時間もあっという間に過ぎ、国内大
になってしまいました。さらに質疑応答では伝えたいことが
会では、Wiki の作成、プレゼンのスライド作成など、自分
英語でうまく言えませんでした。これらの原因として発表直
たちが納得できない完成度のまま発表を行ったため、自分
前までのスライドの作成や差し替えによるリハーサル不足が
たちが伝えたかった内容を十分に伝えきれないことに悔し
考えられます。本番ではもう少し余裕をもって望みたいと思
さを感じました。また、質疑応答でも、我々に残っている
いました。
課題が浮き彫りになりました。
しかし反省点ばかりではありません。本プロジェクトでし
本大会に向けて、国内大会での反省点を活かして、実験
か使えない機器を操作したり、シリカの周りにリングが見え
での理論証明はもちろんのこと、英語でのプレゼンテーショ
たことで蛍光分子付き DNA がシリカ表面に修飾されている
ンや Wiki、Youtube の作成力を入れて、チーム一丸となっ
ことを確認できたこと、また蛍光スペクトル測定で FRET 法
てプロジェクトを成功させたいです。
が起こっているのか確認できたこと等、とても良い経験をす
ることが出来ました。国際大会では、今回の反省点を踏まえ
て自分たちが伝えたいことをわかりやすく伝えられるような
発表をします。その為に早めに行動に移し、計画性をもって
作業をしていこうと思います。
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TOPICS
● BIOMOD2014
本大会 速報
11 月 1 日から 2 日間にわたって、ハーバード大学で BIOMOD2014(国際生体分子デザインコンペティション)
のジャンボリー(プロジェクト発表会と表彰式)が開催されました。
4回目となる今年は、世界から 32 チーム、うち日本からは 7 チームが参加し、各大学の学部生チームがユニーク
なデザインを競い、昨年にまして高いレベルの戦いとなりました。日本勢では東北大チームが健闘し、昨年に続い
て総合 3 位に入賞するなど健闘しました。
なお,11 月 21 日(金)田町 CIC 分子ロボティクス田町オフィスにて日本チームの帰朝報告会を開催しました。
BIOMOD 2014 出場の全 32 チーム 2014 年 11 月 2 日 Harvard 大学にて
今後の予定
12 月 8 日
12 月定例研究会(九州大学)
1 月 23 日
1 月定例研究会(鳥取大学)
3 月 10-12 日
第五回領域会議(静岡県ラフォーレ伊東)
次号 No.9 臨時増刊号は12 月発行予定です
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発行:新学術領域 分子ロボティクス 感覚と知能を備えた分子ロボットの創成
事務担当 :村田智([email protected])
広報担当 :小長谷明彦([email protected]) http://www.molecular-robotics.org/
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