kansailetter_98 - 日本カナダ学会公式WEBサイト

日本カナダ学会関西地区便り
(JACS Kansai Regional Newsletter)
KANSAI
第 98 号
発
行
人: 杉 本 公 彦
2014 年 11 月 26 日
編
集
人: 草 野 毅 徳
[email protected]
==関西地区・中部地区合同研究会のお知らせ==
日
場
時
所
: 2014 年 12 月 20 日(土) 午後 2 時~5 時
: 神戸国際大学 3 号館 4 階 共同研究室 3423 号室
兵庫県神戸市東灘区向洋町中 2 丁目 9‐1‐6
(JR 神戸線住吉駅下車、乗換、六甲ライナー終点下車
阪神魚崎駅下車、乗換、六甲ライナー終点下車、徒歩 5 分)
連絡先
: 〒658-0032
兵庫県神戸市東灘区向洋町中 9-1-6
神戸国際大学経済学部
下村雄紀研究室
日本カナダ学会事務局
Tel:080‐3868‐1941/ Fax:03‐6368‐3646
E-mail:[email protected].jp
◇
講師とテーマ
1. 山崎 美智(神戸大学 大学院 法学研究科 博士後期課程)
カナダ外交政策と「ミドルパワー」概念の関係
報告要旨:
国際関係論の多くの文脈で、カナダが「ミドルパワー」の代表例のように言われて
久しい。また、特に第二次大戦後、カナダ政府自身も、自国を「ミドルパワー」であ
ると幾度も形容してきた。また、逆に、
「ミドルパワー」という言葉が、カナダ外交自
体にも影響を与える場面も存在している。しかし、なぜ、カナダと「ミドルパワー」
という言葉は、このように密接に関連し合っているのであろうか。本報告の目的は、
カナダ外交と「ミドルパワー」という概念の関係を歴史的背景から明らかにすること
である。
1
2.
桑原
昌宏(元愛知学院大学・新潟大学・龍谷大学・アルバータ大学勤務)
カナダの貿易協定における労働権と人権に関する規定:
その比較法と世界史から
報告要旨:
カナダ連邦政府が締結してきた貿易協定の内、1988 年に米国との「自由貿易協定」
(FTA)以後の自由貿易協定に絞ってみてみると、労働者と人権を保護する規定を定め
る協定が増えつつある。最新の 2014 年 9 月締結の欧州連合との協定が典型である。一
つの課題は、こうした貿易協定に定められた労働権と人権の保護規定の特徴を欧米と
日本の貿易・投資協定と比較をして全体像を明らかにし、その上でその実効性をカナ
ダ・コロンビア間の FTA の例から推察して、さらにその改善策を探ることである。こ
れとは別に、1993 年発効のアルゼンチンとのそれ以来、29 の
「投資促進保護協定」
(IPPA)
を締結しているが、労働権と人権に関する規定はほとんど見当たらない。その理由は
推測するほかはない。ところで、国際的に見ると、カナダ政府がとった FTA に労働権
と人権を規定する FTA 締結事例が、2008 年以後に急増している。このことは、貿易と
労働を取り扱う当時の国際機関の WTO や ILO の動きと関係があるのではないのかとい
う推測が生まれる。もう一つの課題は、このカナダ連邦政府の FTA・IPPA 政策が、日
本の経済連携協定(EPA)と相互投資協定(BIT)の政策に労働権と人権保護の観点が
極めて乏しい事実の理由を探るのに有益ではないのか、である。歴史を紐解けば、1858
年安政修好条約(日米英仏露蘭)以来、殖産興業と経済発展を主たる柱とした日本政
府の政策・貿易政策との関係は如何に。さらに、欧米の貿易と投資の政策を 1840 年代
の奴隷貿易禁止条約に遡り、1948 年国連「世界人権宣言」採択を起点とする戦後の基
本的人権政策から、今日のカナダを含む欧米日の貿易・投資協定政策を考えることも
出来る。
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第 39 回年次研究大会の印象記
カナダ憲法の貿易協定締結権限と自由貿易協定の労働保護:
NAFTA と CETA の経験
桑原 昌宏
(元愛知学院大学・新潟大学・龍谷大学・アルバータ大学勤務)
2014 年度カナダ学会で、Emeritus Professor Armand de Mestral マッギル大学名誉教授が、
“Canadian Provinces and the Negotiation of International Trade Agreements”を報告されたが、
会場
で質問をさせてもらったこともあり私の見解を述べることとする。
教授の報告が新鮮味を帯びていたのは、10 月 1 日に、カナダ連邦政府の外務・貿易・開
発省が、
欧州連合と本年 9 月、
合意に達した協定
(欧州連合との貿易協定:Canada Europe Trade
2
Agreement:CETA)について言及されたことである。その草案は、従来非公式にウエブサイ
トにリークされていたが、カナダ政府がその協定文を正式に公表したのである。また、教
授は、法律の面で重要な点として、協定の交渉過程で欧州連合側が、連邦政府とは別に、
カナダ「州」政府との交渉をカナダ連邦政府に対し求めていた事実を紹介された。これは、
カナダ憲法により国際条約の締結権が連邦政府に属し、州政府には属しない制度の下で、
締結に至る交渉の現状は変化しているという指摘である。教授は、既に 1970 年代以来、州
の行政に関連する課題であれば、国際条約の締結の過程で、社会保障、教育、租税等の社
会問題も、州政府が関与してきており、CETA の交渉過程でも、欧州連合側の交渉官が、カ
ナダの州政府代表との直接交渉を、連邦政府に対し要請したと紹介された。
この報告を聴いて考えた第一は、国際条約を批准していない州で、州に規制権限が委ね
られている労働事件などの分野の州民は、国際条約が保障している法的利益をどの程度享
受できるのかという点である。例えば、U.S. NAO Submission 9803 事件で、ケベック州セン
トハーバート市の米国資本のマクドナルド店で働く民間労働者が、賃上げの団体交渉を使
用者に求めたが、使用者は団交に応じず、閉店してしまったので、ケベック州の労働者が
NAFTA 附属「労働協力協定」
(NAFTALC)を使い訴えた。しかし、事件解決の支援を求め
て申し立てをしたのは、NAFTALC に基づき設置されたカナダ行政事務所ではなく、米国行
政事務所に対してであった。申し立て団体には、米国の労働組合団体と人権団体が、カナ
ダの労働組合に加わった。ケベック州の労働者だけでは、制度利用をしなかった。連邦政
府は、国際条約の交渉に当たる時、州政府の意向を汲み上げる工夫が必要となろう。
第二の関心事は CETA の交渉過程とその第 X 章「貿易と労働」である。この協定は、今
年 9 月 26 日に署名され、10 月 1 日に公表された。その交渉は 2009 年 5 月 6 日から 5 年 4
ゕ月余かかった。カナダ政府国際貿易長官は公表に際し「雇用増大と貿易拡大にとり歴史
的」と述べている。この第「X プラス I」章の内容は、1994 年発効の NAFTALC に比べかな
り充実している。まず、2011 年国連人権理事会が採択した決議:企業と政府が人権の「尊
重・促進・実現」をすべき 3 原則を明記し(第 3 条第 1 項)、国際労働機関(ILO)の採択
した 1998 年「基本的原則と労働権」宣言にある児童労働・強制労働の禁止、雇用差別の禁
止、団結権・団体交渉権の保護(第 3 条第 1 項)に止まらず、労働安全衛生文化の尊重・
最低雇用基準の確立・労働条件差別の禁止の保障を謳い(同第 2 項)、2008 年「公正なグロ
ーバリゼーションのための社会正義」宣言に基づく原則の国内労働法での具体化を定め(同
第 2 項)
、殊に ILO からの情報収集義務を労働紛争処理パネルに課す(第 10 条第 9 項)。注
目できるのは、投資導入のために労働法の基準低下と実効確保不作為の禁止(第 4 条)、労
働監督の充実、違反企業への行政・司法手続きの確保(第 5 条)、労働法令の広報(第 6 条)
政府には民間団体から見解が提出されれば協議義務(第 8 条第 3 項)
、協定実施に関する政
府間協議(第 9 条)、政府間で意見不一致の場合の専門家パネルの設置(第 10 条)
、第三者
3
による斡旋・調停手続き利用可能(第 11 条)、等の規定である。これらは、私の調査による
と、欧州共同体(EC)と EU が 1963 年以後 2014 年までに締結した 19 の関税、連携、貿易
協定と、欧州自由貿易連合(EFTA)が 1991 年から 2013 年までに締結した 26 の自由貿易協
定の中で最も進んでいる内容でカナダ政府の人権保護政策の反映でもある。
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日本カナダ学会年次研究大会の印象記
田近
一泰(関西学院大学)
本年度のカナダ学会年次研究大会が 10 月 4 日と 5 日に開催された。私は両日とも出席し
ほぼすべての発表を聞かせて戴いた。その後私事で、バンクーバー経由でシアトルに赴き
またカルガリー経由で NY から帰国したところであるが定期的に行くアメリカから日本を
観る視点も含め以下若干の気付きの点と感想の述べさせて戴きたい。
今回も若い人達の研究発表を 知的好奇心を抱きながら感心して聞かせていただいたが、
特に印象に残った Munton 教授の Canadian internationalism and its implication to Japan について
の講演から述べたい。Internationalism について教授は、その意味が極めてあいまいであると
指摘する(vaguely defined)
。国際化とは、抽象的に定義すると世界の事柄に積極的に関与す
る(most basically taking an active involvement in world affairs ,pursuing commitments)そして国際
機関を強化することであるが必ずしも平和的手段ではないということも併せ述べる。
教授は、ハーパー政権に至るまでの歴代政権の外交 1956 年の日本の国連加盟の dead lock
についての Paul Martin (Senior)が果たした役割や 1970 年のトルドー首相による中華人民共
和国の承認にみられるカナダが成功したとされる数多くのカナダ外交の成功体験について
言及しながらも軍事面での国際貢献にみられる負の部分についても懸念を示す。
折しも、10 月 8 日の Globe and Mail は、一面トップでカナダの対イスラム国空爆への有
志連合参加問題で Divided House gives government mandate for combat mission
YES 157 NO
134 と報じ社説では On balance, Harper is right と論じている。米国一極体制が弱まるという
ことは、その分カナダのような middle power の国の責任が増すことであり軍事面の負担そ
れにともなうアフガン紛争にみられるような国民の血が流れることにつながりかねないわ
けだ。
これは日本にとりどういうことを意味するのであろうか?憲法 9 条とそれを踏まえた吉
田ドクトリンにより長らく同じ米国の同盟国であってもカナダや NATO 諸国のように軍事
面での負担はほぼ回避してきたのであるが日本も internationalism を指向するのであればそ
4
れが意味する様々な側面をよく考えておく必要がありそうである。
次に旧知のゴードン門田氏の迫力満点の The Japanese Canadian Redress Movement: the
Origin, the Process and Impact と題した講演は NiKKEI カナダ人としての自覚に基づく極めて
パワフルなものであった。第 2 次大戦時カナダ生まれの日系カナダ人の BC 州からの強制移
動は、Evacuation という英語は正確ではなく Forced Removal であるとの指摘。カナダ生まれ
日系カナダ人の日本への送還は、Deportation ではなく Exiled to Japan であるとの指摘。また
日系カナダ人と日系以外との結婚は、international marriage ではなく inter-racial marriage であ
るとの指摘等々日本系カナダ人としの人権感覚に溢れた講演内容であった。
また様々な日本系カナダ人の中で Japanese という言葉を必ずしも好まない人もいる中、
日系カナダ人会長としてこれらの人々をすべて満足させまとめていく言葉とし NiKKEI と
いう言葉を使うに至った経緯の紹介等 eye opening な内容でもあつた。
この講演には関学カナダセミナーをとっている多くの若い学生諸君も参加していたが現
役の在加日系人指導者の考え聞く極めて有意義な機会となったものと思う次第である。
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第 39 回年次研究大会を開催して
大石 太郎(関西学院大学)
去る 10 月 4 日・5 日の 2 日間、水戸考道大会実行委員長のもと、関西学院大学にて第 39
回年次研究大会を開催し、下村雄紀会長をはじめ、参加者各位のご協力により、無事に終
えることができた。17 年前、当時修士課程の大学院生だった私は、学会創設 20 周年を記念
して福島県天栄村にあるブリティッシュ・ヒルズで開催された大会に初めて参加した。そ
れ以来、参加できなかった年も何回かあるものの、研究者として育ててもらった学会のひ
とつであり、大会開催というかたちで、わずかとはいえ恩返しできたことをうれしく感じ
ている。一方で、大会開催に至る準備の過程では、一抹の寂しさを感じることも少なくな
かった。ここに、大会を開催した感想を記してみたい。
周知のとおり、日本カナダ学会では 7 月中旬ないし下旬に開催校から大会開催の案内を
送付することになっており、今回は約 260 名の会員に案内を送付した。会費納入状況が反
映されているため、この数字が現在の会員数というわけではないようだが、一時期は 400
名にも届こうかという勢いがあったと記憶しているだけに、私にとっては予想外の数字で
あった。大会の参加者数も、かつては 80 名から 100 名程度の参加を見込んでいたように思
われるが、会員に限ってみると、今回は 65 名程度だったようである。懇親会の参加者はさ
5
らに少なく、招待を含めて約 40 名であった。
このような会員や大会参加者の減少は、その背景に高齢化といった日本全体が抱える問
題が存在するので、日本カナダ学会にだけみられる現象ではないことはいうまでもない。
大学でも団塊の世代が定年を迎えつつあることに加え、日本カナダ学会では、私が記憶し
ているだけでもこの 10 年ほどのあいだに 10 名前後ものアクティブな会員の訃報を聞いて
いる。これは当然大きな痛手になっているはずである。また、日本国内でカナダ研究の研
究者を養成する講座が実質的に存在しないだけでなく、研究者を多く輩出してきた研究中
心型の大学に勤務する会員ばかりではないため、新たな会員は偶然カナダに関心を持った
研究者(大学院生を含む)にほぼ限られることも、会員の再生産という点で不利に作用す
る。要するに、各会員の努力だけではどうにもならない部分が多いのは確かである。
しかしながら、このまま下降線をたどりながら、というのはあまりに寂しすぎやしない
だろうか。カナダ政府からの資金的援助がなくなり、カナダから研究者を招聘できなくな
ったことは、たしかに大会に参加する魅力を減じているのかもしれない。しかし、本来学
会とは同好の士が集まって議論する場であるはずであり、ディシプリンを異にしながらも
研究対象を同じくする研究者が集まって切磋琢磨するということの意義がなくなっている
とは到底思えない。その意味では、特定のセッションだけでなく、2 日間のプログラムに積
極的に参加する会員が増えることが望ましいだろう。逆にいえば、そうした会員が減って
いることが、元気のなさにつながってはいないだろうか。大学の業務に忙殺される会員も
多く、もはやないものねだりに過ぎないのかもしれないが、この大会の運営を通じて、会
員みんなで盛り上げていく機運が必要ではないかと強く感じた。
末筆ながら、大会開催にご協力してくださった会員各位に感謝申し上げたい。
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日本カナダ学会大会開催をお手伝いして(1)
大西
沙季・加古 裕美子(関西学院大学学生)
私たちは、2014 年 10 月 4、5 日に行われたカナダ学会に、大会スタッフとして参加させ
ていただきました。受付担当だったため、教授の方や参加していらっしゃる方と接する場
は少ししかなかったのですが、とても活気があった印象です。1日目は、参加する学生も
多かったので、特に活気があるように感じました。
1日目の朝の受付は、準備がうまくできておらず、参加された方に不便な思いをさせて
しまいましたが、どの教授の方も親切に対応していただいたので、とても助かりました。
なかには、私たち受付の学生スタッフにフレンドリーに接してくださる先生もいて、楽し
6
く会話することもできました。先生方のなかには、会場の場所がわかりにくかったせいか、
道に迷った方もいらっしゃったようなので、今後、よりわかりやすく道順を案内する看板
を増やすなど、改善していくべきだと思いました。 2日目は、学生が少なかったせいか、
受付もスムーズに行えました。
受付のスタッフは、会場内で先生方のお話を聞く機会がなかったですが、今回のカナダ
学会は、貴重な経験になりました。
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日本カナダ学会大会開催をお手伝いして(2)
石田
麻佐子・高橋
結花(関西学院大学学生)
私たちは今回、初めて学会のお手伝いをさせて頂いたのですが、日本カナダ学会には様々
な大学の先生方が参加されており、非常に活気のある大会であったと感じました。大会ス
タッフという立場でお手伝いをさせて頂く中で、会場係だった私たちは、いくつかの講演
を聞く機会がありました。どの先生方も、政治、経済、文化または日本との交流など、様々
な視点からカナダについて論じていらっしゃって、大変興味深いものでした。また、これ
らの講演は、関西学院大学国際学部で北米コースを専攻し、カナダ留学を通してカナダ各
地を訪れた経験のある私たちにとって、非常に勉強になるものでもありました。その中で
も、私たちがより関心を持った講演は、神崎舞会員による「ケベックの葛藤と調停:ロベ
ール・ルバージュ演出のシェイクスピア作品を中心に」です。演劇の演出の仕方から政治
について考えるという、今まで私たちが考えもしなかった新しい面からの考察で、感銘を
受けました。
また、質疑応答の時間は、発表者以外の会場にいらっしゃる先生方の意見を聞くことが
できる貴重な機会であったと思います。先生方の指摘は、表現の選び方や、データへの指
摘、自分の研究分野と比較して新たな考え方の提示など、大変的確で勉強になりました。
発表後にも、発表者の方へ質問をしたり、発表に関してのお話をしたりする熱心な先生方
の姿が印象に残っています。
緊張感のある発表会場ではありましたが、発表場面以外では非常に気さくな参加者の方
が多かったことも印象的でした。朝、誘導で道に立っている時には、
「ご苦労様!」
、
「朝か
ら大変だね!」と優しく声をかけて頂いたり、会場内で仕事をしている時も「ありがとう」、
「学生さんに手伝ってもらって助かるよ」とねぎらいの言葉を頂いたりと、とても嬉しか
ったです。
会場には学会の先生方だけでなく、学生も講演を聞きに来ていました。特に1日目は聴
講していた学生が非常に多く、休日にも関わらず勉強をする学生を見て、私たちもよい刺
7
激を受けることができました。
今回の学会では、勉強になることがたくさんあり、お手伝いをさせて頂きながらも非常
に有意義な時間を過ごすことができました。ここでの気づきを、今後の勉強に役立ててい
きたいと考えています。ありがとうございました。
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【記念行事】
日加修好 85 周年記念行事日本カナダ学会共催の
E.H.ノーマン図書館スピーカーズ・シリーズに参加して
杉本
公彦(前日本カナダ学会会長)
2014 年 10 月 7 日に在日カナダ大使館において、各カナダ関連団体を集めて日加修好 85
周年記念行事が開催されました。この記念すべき行事に、学会を代表して下村雄紀会長、
佐藤信行・田中俊弘両副会長を含め多くの理事および会員が参加されたことを嬉しく思い
ます。
当日午後より、大使館を代表して M. Pagé 公使の日加関係の総括に続いて、A. Alexander
氏による日加貿易の現状と広報担当の A. Schroeder 氏によるカナダ国際教育プログラムの
報告と紹介が行われました。
小休止を挟んで、各カナダ関連団体による自己紹介と活動報告がなされましたが、特に
興味深かったのは、多くの姉妹都市の代表が参加されており、それぞれが意欲的に姉妹都
市関係を維持・向上させていることでした。残念ながら、日加間で最初の姉妹都市関係を
結んだ大阪府の守口市が不参加でしたが、各地方公共団体では文化・教育の分野で活発な
姉妹都市関係を内外で維持しているとのことで、頼もしく感じました。関西では草野元会
長のイニシアティブで地方からの活性化を模索したこともあり、
「横の連携」の難しさも経
験していた私にとって将来に希望のもてるセッションでもありました。
続いて、名誉領事による活動報告があり、大阪総領事館を失い、その復活を切望してい
る関西および西日本地区としましては、少しホッとさせられるところでした。名誉領事に
は今後とも横の連携をとりつつ相互に協力していければと考えております。また、活動報
告にとどまらず、参加者全員がグループに分かれて、カナダ関連団体がカナダとの関係を
活性化させるために、どうあるべきかについてラウンド・テーブル形式でグループ・ディ
スカッションを行い、その後全体で再度集まって、それぞれの結論を披露することで、ネ
ットワークの「連携」へのヒントとなったと思います。
学会としての主眼は、田中副会長と関東地区研究会の企画で実施された E.H.ノーマン図
書館のスピーカー・シリーズで、ヴィクトリア大学の Ann P. Shannon 氏によるご著書『日
本発見: カナダ人が出会った近代アジア』をテーマとする記念講演とディスカッション・セ
ッションにありました。Shannon 先生の講演には、今日の日加関係を構築する上で欠かせ
8
ない有名・無名のカナダ人と日本人が写真付きで登場し、我々にとって日加関係を見直す
良い機会になったと思います。また、多くの写真は先生の研究過程で発見されたものも含
まれており、カナダ研究者にとっても魅力的なものでした。さらには、田中副会長との軽
妙な遣り取りも聴衆を魅了するのに十分で、聴衆も最後まで参加され、質疑・応答でも活
発な意見が交換されたことは、学会にとりましても有意義な記念行事となりました。
企画・運営にあたられたカナダ大使館の L. Peter 広報部長、C. Husband 書記官、寺内美
佐子氏と特別講演を企画された田中副会長に感謝申し上げたいと思います。
ディスカッション・セッション
カナダ大使公邸にて
( Shannon 氏と田中副会長 )
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【記念行事の関連記事】
日本カナダ学会会長下村雄紀氏が 2014 年 10 月 07 日(火)に在日カナダ大使館で開催された
日加修好 85 周年記念行事においてご挨拶された内容をここに転載しておきます。
(S)
カナダ・ネットワーク・シンポジウム
下村 雄紀会長(日本カナダ学会)
日本カナダ学会は、1977 年に「日本カナダ研究会」として発足し、同年に第1回年次研
究大会を開催したことにはじまります。翌 78 年の第 2 回年次研究大会後に、その名称を「日
本カナダ学会」と改名して、今日に至っております。本年度の年次研究大会は、先週末、
学会設立 35 周年の記念大会として、創立 125 周年を迎えた関西学院大学にて開催され、関
学の学部生を含む多くの参加者を得て、記憶に残る大会となりました。
本学会は、世界的にもアメリカ、カナダ、英国、フランスなどに次ぐ古参のカナダ学会
として、1981 年に創設された国際カナダ研究協議会 (International Council for Canadian
Studies: ICCS) と ア ジ ア 太 平 洋 カ ナ ダ研 究 ネ ッ ト ワ ー ク (Pacific-Asia Network of
Canadian Studies: PANCS)の設立メンバーでもあり、過去 35 年以上にわたって、日本に
9
おけるカナダ研究の発展のみならず、国際的にカナダ学の啓蒙にも寄与してまいりました。
カナダ関連出版物も『カナダ研究年報』をはじめとして、会員による著書や論文も多く、
ニューズレター98 号を数えるまでになりました。出版物の多くは、この会場の横にござい
ます E.H.ノーマン図書館でもご覧になることができます。ニューズレターに関しましては、
学会サイトでどなたでもご覧になれるようにオープンにしております。現在、新しいサイ
トへ移行中ですが、『カナダ豆事典』の最新版もお使い頂けるようにする予定です。
今日国内では、カナダ研究も日本カナダ文学学会、カナダ教育学会、日本ケベック学会
と新たな専門学術分野へと裾野を広げており、現在では学会員数だけでも全体で 600 人を
超える研究者を擁する分野へと発展を遂げております。ご存知ない方もいらっしゃるかも
しれませんが、現在では田島高志元駐カナダ特命全権大使を理事長とするカナダ検定協会
(JACC)も存在し、国内のカナダへの関心を高める役割を果たしております。
地区研究会(支部)は、北海道、関東・東北、関西・中部地区を拠点として、それぞれ
の学術活動を行っております。また、関東地区には若手研究会も常設して、若手研究者の
育成にも勤めております。
また、地域研究としてのカナダ研究は、学会の枠を超えて広がりつつあります。歴史、
政治、経済、文化、教育の各分野の研究者によって、カナダを対象とした研究書や論文も
数多く見受けられるようになりました。このことは、日本において、カナダをテーマとす
る研究が意義ある学問分野として認識されるようになったことを意味します。驚かれるか
もしれませんが、私が学生であった頃の高等教育機関で、カナダを語る人は稀でした。こ
の意味でも日本カナダ学会およびカナダ関連の学術団体が長年を掛けて育んできた成果は、
手前味噌ながら認めざるをえないと考えております。
日本カナダ学会は、学際的地域研究の基幹組織としてこれからも発展し続けてまいりま
すが、同時に、本日ご出席のカナダ関連団体の皆様とも連携を深めてまいりたいと考えて
おります。私が関西をベースとしております関係上、その例をあげさせて頂きますと、日
本カナダ学会関西・中部地区研究会では、日本カナダ会 (JCK)、関西ビジネス・アソシエ
ーション (KCBA)、関西カナダ人協会 (KCA)と相互に連携し、常時情報交換を行いオープ
ンな活動を展開しております。関西地区研究会の研究発表例会には、KCBA や KCA の会員
の方々も参加されており、基調な体験談をご提供頂いております。
来年の年次大会は、関東に席を移して、立教大学での開催を予定しております。ご希望
頂ければ、参加可能でございます。
日本カナダ学会は、関連団体や大使館とも、これまで以上に連携を深め、その伝統を守
りつつ、さらなる発展を目指してまいりたいと存じます。今後ともよろしくお願い申し上
げます。
ご清聴ありがとうございました。
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【 諸 連 絡 】
来る 2015 年 2 月 28 日に日本カナダ学会創立 35 周年記念講演会シリーズ III:日加修好
85 周年記念 を開催する予定にしております。日時、場所が確定した段階で再度ご案内申し
上げます。皆様方には、ご多忙のことと存じますが、万障お繰り合わせのうえご参加くだ
さいませ。お待ち申し上げております。
日本カナダ学会会長 下村 雄紀
日時: 2015 年 2 月 28 日
会場: 神戸国際大学
http://www.kobe-kiu.ac.jp/access/index.html/
交通案内:JR住吉または阪神魚崎から六甲ライナーでマリンパーク下車すぐ
主催: 日本カナダ学会
共催: 日本カナダ学会関西・中部研究会、神戸国際大学学術研究会
後援: 在日カナダ大使館
『日本−カナダ観光ワークショップ』
特別講演『日系カナダ人の過去と未来』
趣 旨
本年度は日本カナダ学会の創立 35 周年であるのと同時に、日加修好の 85 周年にあたる
記念すべき年でもある。10 月の日本カナダ学会第 39 回年次研究大会および在日カナダ大使
館主催のスピーカーズ・シリーズに続いて、記念行事の最後となる記念講演を神戸国際大
学で実施したいと考える。本年度のテーマは、
「日加関係」である。日本は、カナダが英連
邦以外で早期に外交関係を結んだ国家であり、19 世紀終盤から多くの日本人が海を渡った
国としても知られている。横浜を除いて、神戸は関西・西日本の各県から多くの移民をカ
ナダへ送り出した地であり、神戸出身の田村新吉などカナダで活躍した人材を輩出した地
でもある。この意味で神戸とカナダの関係は意義深いものであり、この地で日系カナダ人
についての記念講演を開催することは学問的にも大きな意義をもつものである。
基調講演のために招聘するゴードン門田氏は、1987 年のカナダ政府による戦時中におけ
る日系人の強制収容に対する謝罪と補償への道筋をつけた元日系カナダ人協会会長であり、
日系カナダ人の重鎮である。また、長年に渡って観光およびビジネスの分野で日加関係に
寄与・貢献してこられた人物でもある。この稀な機会に、神戸国際大学教員および学生に
参加を求めて、日本人のカナダ観光およびカナダ人の日本観光の発展について知る意義は
大きいと考える。
11
プログラム予定表
13:30
受付
14:00~14:15
開会の辞
下村 雄紀 日本カナダ学会会長
大学挨拶
近藤
14:15~15:30
剛 神戸国際大学学術研究会会長
日本—カナダ観光ワークショプ
ゲスト: ゴードン・門田氏
司 会: 前田 武彦 神戸国際大学観光学教授
15:30~15:45
休息
15:45~16:25
基調講演: 日系カナダ人の過去と未来
16:50~17:00
17:00~17:10
講演者: ゴードン・門田氏
元日系カナダ人協会会長
ディスカッション
討論者: 河原 典史 立命館大学文学部教授
Q&A
17:10
閉会の辞
杉本 公彦 前日本カナダ学会会長
関西地区・中部地区代表
17:10~18:00
茶話会
Kobe International University
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【 編集後記 】
第 98 号をお届けします。関西学院大学で 10 月 4~5 日に開催された今年度研究大会の参加感想録
です。桑原昌宏・田近一泰・大石太郎各会員と関西学院大学の学生さんたちに感謝致します。
恒例の関西地区・中部地区合同研究会が 12 月 20 日、神戸国際大学で開催されます。山崎美智・桑
原昌宏両会員のご報告を楽しみにしたいです。
併せて、2015 年 2 月に「日加修好 85 周年記念 」としてゴードン・門田氏に基調講演をお願いして
います。奮ってご参加ください。
更に、発行人・前会長の杉本会員による「E.H.ノーマン図書館スピーカーズ・シリーズ」 への参
加記録を写真入りで掲載することができました。盛り沢山の内容をご堪能下されば幸いです。
編集人へのご連絡は次のメールへよろしく。
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[email protected]
(Tak)