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平成 28 年 11 月 1 日 第 395 号
情勢判断学会 東京本部
会員向けニューズレター
発行人 古川 彰久
事務局 〒252-0321 神奈川県
相模原市南区相模台1-23-9
Tel.&Fax.
042-748-8240
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E-mail:[email protected]
本原稿資料は、真福寺写本の中国語を翻訳した
もので、上、中(原稿用紙83枚)
、下巻(56
枚)からなり、上巻のみが製本済です。面白いの
は 上巻の序で、古事記の序文は漢文で書かれて
いるのに、本文は簡単な中国語で記されていて、
内容に相違があり、つながらないなど、我々が学
んできた古事記の認識とは違いがあるようです。
11月例会ご案内
11月10日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ : 城野先生遺稿
古事記中国語原本と翻訳
第5回
場所
: 港区商工会館
参加費 : 1000 円
担当
: 郷津 光
城野さんによれば、古事記は本居宣長が日本の
古語を研究し、古事記の中国式漢字配列のそばに
自分の知っている古語を当てはめたのが「古事記
伝」である。全部が日本の古代語らしいものに置
き換えられてあり、普通の人には分からない。古
事記の研究というと、原本のやさしい中国語では
なく、難しい古代語訳古事記が、まるで本来の古
事記の原本だと誤解されてしまったようだ。
城野さんは、古事記は難解で近寄り難いという
先入観を突き崩し、古代日本人の生活内容を研究
して、これまでの偽りの歴史から抜け出す助けに
しようとされたのだと思います。この為に勉強会
を立ち上げ、このテキストとして、上巻に引き続
き、中巻、下巻と発刊したかったと思いますが、
残念ながら先生が亡くなられたため、刊行は上巻
のみとなっています。
これまでの古事記に関する論議を総括する意味
で、城野先生が脳力開発の観点から古事記について
書かれた『
「古事記と人間」
:脳力開発による歴史の
解明』を読み取り、城野先生が古事記の中から何を
受け止めておられるのか整理することとし、まず郷
津氏に読んでいただき整理をして頂きます。それを
もとに論議しましょう。
これまで以下の様に4回に亘って論議を進めてき
ました。
6月の例会では、榊原氏から城野先生遺稿「古事
記中国語原本と翻訳」について、以下のような項目
で説明がなされた。
1. 古事記とは
(1) 真福寺写本
(2) 本居宣長の翻訳とは
2. 城野宏先生の古事記翻訳
(1) 先生の古事記既刊本との時系列的関係
(2) 翻訳の目的
3. 城野宏先生の問題提起
(1) 序文と本文はつながらない
(2) 本居宣長翻訳の問題点
(3) 古事記と日本書紀の年代確定について
4. テキスト古事記(上巻)の発行者について
9月の例会では、石田氏が参考資料を用意いた
だき、上巻に出てくる神々と命(みこと)
、比売
(ひめ)等の名前と系図を整理し説明頂きまし
た。また、中巻に出てくる神武天皇以降応神天皇
までの天皇や王(おおきみ)
、命、比売の系図表を
整理し解説をされました。
更に 10 月の例会でも、石田氏から補足として、
下巻の仁徳天皇から推古天皇までの系図表を提示
いただきました。
これまでの論議で「古事記」そのものについて
はだいぶ理解できたので、これを整理するために
城野先生の著書「古事記と人間」を整理すること
といたしました。
7月の例会では、石田氏のご好意によりスキャナ
ーしていただいたテキスト古事記(上巻)の資料を
それぞれが読み感想や意見を述べ合いました。
石田氏の例会報告の要約は以下の通りです。
1
神武天皇は,日向で娶った阿比良比売に二人の
子、正后である美和の大物主の神の娘を娶った伊
須気余理比売に三人の子がいた。が,天皇がなく
なると、阿比良比売の子の多藝志美美の命が三人
の謀殺をめぐらすという跡目争いが起きた。結
果、伊須気余理比売の子、神沼河耳命が藝志美美
の命を殺し、神沼河命が綏靖天皇として即位す
る。天皇の跡目がスムースには行かない。謀略が
付きまとうのである。神武天皇は 137 歳まで生き
たとしている。
9月例会報告
9月8日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ : 城野先生遺稿
古事記中国語原本と翻訳
第3回
場所
: 港区新商工会館
担当
: 石田 金次郎
上巻には沢山の神様が出てきた。その内容を理解
するには、神々の系図の整理が出来ないと理解でき
ないと思い、系図などを整理してある本を見つけ
た。2012 年発行の学習院大学名誉教授吉田敦彦監
修、島崎晋著「面白いほどよく分かる古事記」であ
る。これを頼りに城野先生の翻訳をよみながら、上
巻の内容を理解して,中巻を読んだ。
綏靖天皇から安寧、懿徳、孝昭、孝安、孝霊、
開化の各天皇については、短い事歴を記し、各氏
族の祖になっている事が短く紹介されている。崇
神天皇の時は、疫病が流行し、その対策に大山主
神を祭って疫病が止み国家が平安になった事や地
方の豪族を平定したこと。垂仁天皇の時は、后沙
本毘売とその兄が謀反を起こしたことや物の言え
ない御子のこと。景行天皇の時は、太子の倭建を
使って,熊曽建、出雲建、東国十二道を平定した
こと。仲哀天皇の時は、皇后神功皇后が新羅を下
し、百済に役所を設けたりしたこと。応神天皇の
時、様々な「部」を定めたり、新羅の人が池作り
したり、百済国王昭子王が太刀や鏡、論語 10 巻、
千字文1巻など人と共に献上してきた。鍛冶屋や
酒作りの須須許理たちがやってきたなど半島との
交流があったこと、そしていつの天皇の御代には
皇位継承をめぐって謀反・謀略などあったことが
書かれている。
古事記は記であり、歴史を追って記述がされてい
る。何を主張したいかを知るためには、その歴史を
逆に追ってみるとハッキリしてくる。この上巻は、
神武天皇、またの名、神倭伊波礼毘古の出自を言い
たいのである。神倭伊波礼毘古は天津日高日子波限
建鵜草葺不合命の子であり、その祖は、邇邇藝命で
あり、その祖は、天照大御神の子である正勝吾勝勝
速日天忍穂耳命である。つまり、神倭伊波礼毘古は
天照大御神の直系であるということを証明している
のである。
同じ天照大御神の弟である速須佐之男之命の系譜
は,大国主の神であり、数々の神を輩出し、下界の
国 豊葦原を支配していた。が、高御産巣日神や天照
大御神は,豊葦原は天照大御神の支配するところで
あるとして、建御雷命を送り込んで、国譲りをさせ
る。そして、任務を果たさなかった天之若日子は,
天命に背いたとして、射殺される。正統に反逆すれ
ば,裏切り者には天罰が下るという示しであろう。
これらのことを言わんがために色々な挿話が入って
いるということが理解できた。
中巻は上記のような内容が書かれている。上巻
の神話の世界から人間の世界へと変わってきてい
る。
下巻は読んでいないが、大雀命またの名仁徳天
皇から小治田天皇またの名推古天皇までである。
仁徳、履中、反正、允恭、安康、雄略、清寧、顕
宗、仁賢、武烈、継体、安閑、宣化、欽明、敏
達、用明、崇峻、推古の 18 代の天皇の記録であろ
う。
吉川弘文館の歴史年表によれば、応神天皇の時
代は 4 世紀頃であり推古天皇は 6 世紀末から7世
紀である。
中巻は、神倭伊波礼毘古、またの名,神武天皇の
国作り,初めの建国の事業は天下の政をとるために
東征が語られる所から始まる。高千穂の宮を出発
し、兄、五瀬命が落命した蓼津の登実毘古、宇陀の
迦斯兄弟、忍坂の土雲、更には師木兄弟など諸処
にいる軍事勢力を平定していく。高御産巣日神が草
薙の剣,道案内として八咫烏など遣わして支援して
いる。このような神武天皇の戦闘は建国の過程での
諸豪族間の争闘を物語化したのであろう。
古事記の編纂を指示したのは天武天皇であろ
う。天智天皇の皇弟・大海人皇子は、天智天皇の
皇太子に大友皇子を推挙しながら、吉野の山に籠
もり、天智天皇が崩御した後、東国の豪族を従え
て反乱を起こし大友皇子を自決に追い込み勝利
し、自らは飛鳥浄御原宮を造って天武天皇として
即位した。天武天皇元年(672 年)が干支で壬申に
あたるので壬申の乱といわれている。
2
古事記の序文には「飛鳥の清原大宮で云々」から
「清原大宮で天位についた」の間にこの内乱の事態
が述べられている。天武天皇としては、天皇の権威
を内外に誇示すると同時に,自らを正当化する必要
があったのは明らかである。その為に古事記の編纂
をした。
序文に「朕がきくところによると、諸家で伝えて
いる帝紀及び本辞は、既に真実と違ってきており、
偽りが多い。いまそのまま間違いを改めなければ,
幾年も立たぬうちに,その本旨が失われてしまう。
これは国家の根本の筋であり、王化の基本である。
だから帝紀を記録し,旧辞を検討し,偽りをけず
り,真実を確定し後世に伝えようと思う。
」として、
側近の家臣の稗田阿礼によみ習わせた。その後、元
明天皇の和銅 4 年に、臣安万呂に、
「稗田阿礼の記憶
してきた勅語・旧辞を記録して献上せよ」としてま
とめさせた。残念ながら、古事記の編纂範囲には、
壬申の乱は入っていない。が、当然、権力側にとっ
て都合の良いことが選ばれ、都合の悪いことは取捨
選択されたであろうし、これが古事記であるといえ
る。
古事記の中には,稲羽の白兎や八俣の大蛇や天之
若日子の矢など多くの挿話が入っているが、朝鮮や
中国のみならず西域やヨーロッパにも同じような挿
話があり、独創の話ではなく、極東の地に流れてき
ていたのでないかと思う。
先日の新聞に平城宮役人に唐人・ペルシャ人がい
たという 765 年の木簡が発見されたというニュース
があったが、古代にもかなりの国際交流があったの
でないかと推測する次第である。
それと、女性の生殖器に対する関心というか,こ
れに対して矢になって近づいたり、夜這いで女性と
交わるのが公然と表現されていることは当時の生活
感として一般的であったのや、戦闘における正々
堂々の戦いは表現されず、謀略の記述が堂々と天皇
家の歴史であるという事なども驚きである。
また、神武天皇百三十七歳、孝安天皇百二十三
歳、孝霊天皇百六歳、崇神天皇百六十八歳、垂仁天
皇百五十三歳、景行天皇百三十七歳、応神天皇百三
十歳と長命であるのは、内容の信憑性を疑わせるも
のである。
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例会予定
2016 年
12月8日
テーマ :
場所
:
担当
:
木曜日 18;30 ~ 21;00
未定
港区商工会館
未定
2017 年
1月12日
テーマ :
場所
:
担当
:
木曜日 18;30 ~ 21;00
未定
港区商工会館
未定
編集後記
これまで4回に亘って「古事記中国語原本と翻
訳」について検討して参りましたが、その総括と
して、城野先生の脳力開発の視点から古事記の内
容とその歴史的環境等を整理したいと思います。
皆様の積極的な参画を期待申し上げます。(古川)
開催場所:港区商工会館
港区商工会館へのご案内地図
東京都港区海岸 1-4-28 TEL03-3433-0862
ゆりかもめ竹芝駅より徒歩6分、
JR浜松町駅北口から徒歩およそ7分 、
都営地下鉄浅草線・大江戸線大門駅B2出口からおよ
そ徒歩10分
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