山形県置賜地域 - APPLIC(一般財団法人 全国地域情報化推進協会)

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化
特集8
あなたが住む街の電子自治体への取組み その2
2 先進的な事例紹介
2.
1 自治体クラウドの先駆けとなった8市町によるクラウド構築への取り組み(山形県置賜地域)
〔概要〕
これまで山形県・置賜地域の自治体では、
それぞれ独自に基幹システムを構築・運用しており、
システムにかか
るTCO
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の削減、
職員負担の軽減、法改正等に伴うシステム改修への迅速な対応、
また
災害時のサービスの継続などが課題となっていました。
このため、山形県は構成8市町及び置賜広域行政事務組合が参加する勉強会を立ち上げ、
共同化を模索すると
ともに、
クラウド化の検討を行いました。
その結果、
置賜広域行政事務組合が事務局となり、
7市町が基幹系1
2業務
を自治体クラウドへ移行することが決定し、
7市町合計の年間運用経費を年間約4
0%(約2億円)削減することに成
功しました。
本事例は、
まだ全国的に自治体クラウドの本格的な普及が始まる前に実施された、
まさに先駆けとなった先進事
例と言えます。
これには、
もともと置賜広域行政事務組合は一部事務組合として、組合設立時から共同電算処理を
担っており、
共同化に対する意識が高かったこと、
原課職員の理解を得ながらノンカスタマイズで共同化を推進す
る熱意があってこそ、
このような先進的な事例としてクラウドサービスの利用が実現したものです。
〔コラム〕
山形県の置賜地域は山形県の南部に位
置し、東部に奥羽山脈、南部には吾妻・飯
豊山系、北西部には朝日山系がそれぞれ
連なり、磐梯朝日国立公園の主軸を成して
います。
これらの山系を源流とする最上川
や荒川の流域に形成された米沢盆地、
長
井盆地には美しい散居集落が形成されて
います。
この置賜地域は米沢市、
長井市、
南
飯豊町、小
陽市、高畠町、川西町、白鷹町、
国町の3市5町で構成されており、人口総数
約23万人です。
置賜広域行政事務組合は以上の8市町
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を構成市町とする一部事務組合で、
広域
市 町 村 圏 計 画 の 策 定 及び 実 施、
コン
ピュータ利用による行政事務の情報処理
等を主な業務として昭和4
6年に設立され、
同年、
民間業者へ情報処理共同事業を
委託する方法で業務を開始しました。
し
かしながら、
I
Tの進歩にあわせて、共同
電算処理から比較的安価に導入が可能
になったクライアント/サーバシステムを
使った独自電算処理への移行が進みま
したが、
、平成1
9年頃には残された市町
の共同電算処理の在り方への議論が再
燃することになりました。
一方で、
独自電
算処理に移行した市町にもシステム更新
や運用・維持に係る増大する経費への対
処という大きな課題が生じたため、
最終
的には平成20年に置賜広域行政事務組
合を事務局とした置賜地域共同アウト
ソーシング事業が開始されることになりま
した。
クラウドサービスを活用した共同アウト
ソーシングの最大の目的は、
システム運
用に係る財政負担の低減です。
毎年の
法改正に合わせたシステム改修のため
システム運用コストは増大し、
これにとも
ないシステム運用維持にかかる職員の
負担も増え続けていました。
コストダウンのためには、原則として標準パッケージを利
用し業務はそれに合わせ、
基本的にはコストアップになる
カスタマイズは加えないことを前提として、
徹底した業務標
準化を進めることを共同化の方針としました。
また自治体クラウドサービスへの移行については、
7市
町一斉にシステム移行をするのではなく、現行システムの
使用期間を満了した市町から5年をかけて順次移行をし
ています。
また、
12業務を同時にクラウド移行する以外にも、
移行可能となる業務から順番に移行する
(いわゆる
「さみ
だれ方式」
)
ことも可能とされており、
各市町の事情に合わせた移行計画が立てられるようになっています。
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あなたが住む街の電子自治体への取組み その2
以上のように、業務標準化を達成した上
でクラウドサービスの共同利用の導入を実
現することにより、大幅なコスト削減効果が
表れました。
削減効果の多くは、
カスタマイ
ズに係る費用の削減と、業務標準化ともなう
共同調達によるスケールメリット
(割り勘効
果)
から現れます。試算によると参加市町合
計で年間4
0%、約2億円の経費削減効果に
つながるとされています。
また、
今後、置賜
方式の山形県内を始め全国に水平展開す
ることができれば、
更なる割り勘効果により
一層の削減が期待できることもあります。
このように、
自治体クラウドサービスを導
入したことで、
法改正対応等を含むシステム運用に係る経費等の大幅な削減に基づく継続したコストメリットを享受
することができることになり、
節約できたシステム運用費を別の事業に振り向けることが可能となりました。
このことは
例えば戸籍の電算化や24時間コンビニ収納など新たな住民サービスへの展開が期待されます。更に、帳票出力・
封入・封緘等の業務もアウトソーソングすることで職員負担が減ったため、
本来の住民サービスの向上に一層、
職
員のリソースを充当することができました。今後は12業務以外への展開を視野に入れた検討を続けるとともに、他の
自治体への水平展開も見据えた広報活動へ寄与していきたいとのことです。
本事例において、今後の自治体クラウドサービスを導入にあたり非常に参考となる考え方も示唆されています。
地域情報プラットフォームへの対応はもちろんのこと、ヘルプデスクやコールセンター等のサポート体制の有無も、円
滑にサービスインが可能となる重要なポイントと言えましょう。
更に今後、
全国の自治体が自治体クラウドを導入する
にあたり、
導入をスクラッチで検討するよりも、最初からこのような置賜方式の自治体クラウドサービスを活用する方
が、導入に要する時間や費用等の削減が期待でき、
また非常に円滑なサービスインに繋げることが可能となります。
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2 先進的な事例紹介
多くの自治体においても活用されることで、業務の標準化やシステムの標準化が進むことはもとより、
そのコストメ
リットは最大化します。
今後、
このような視点で自治体クラウドサービスの導入を検討することは、大変に重要なこと
であると思われます。
図表の出典は、置賜広域行政事務組合
(問い合わせ先)
置賜広域行政事務組合
総務課長補佐 八幡 様
TEL
:
0238-23-3246
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[email protected]
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